“PlayStation Media Preview”を終えたSCEワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏に直撃インタビュー。発表会でPS VRパートを担当した吉田氏に、ラインアップの意図や今後の展開を訊いた。

●PS VRの気になる発売日や価格の発表は……?

 現地時間2015年10月28日から11月1日まで、フランスのパリで開催されているゲームイベントParis Games Week 2015。本イベントの開催に先駆けてソニー・コンピュータエンタテインメントヨーロッパ(SCEE)が開催した発表会“PlayStation Media Preview”では、多数のプレイステーション4用ソフトと併せて、バーチャルリアリティ(VR)システム“PlayStation VR”(以下、PS VR)の最新情報も続々と明かされた。

 発表されたVRタイトルの概要に関しては既報に詳しいが、注目すべきはそのジャンルの幅広さ。『Until Dawn: Rush of Blood』や『ROBINSON THE JOURNEY』、『BATTLE ZONE』や『RIGS: Machine Combat League』、さらには同名映画をモチーフにした『The Walk』から『鉄拳7』のVR対応まで……ホラー、一人称スポーツシューター、エクスペリエンスなど、ゲーム・非ゲームに関わらず、はっとする“体験”を味わえるタイトルが数多くお披露目された。今回ファミ通.comでは、発表会を終えたSCEワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏に直撃インタビューを敢行。発表会でPS VRパートを担当した吉田氏に、ラインアップの意図や今後の展開を訊いた。

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 インタビューの前に、まずは発表会の模様をアーカイブ動画でおさらいしておこう。

●『The Walk』は「“絶対ほかにはない”VRならではの体験」

――フランスでのカンファレンス開催は初めてとのことですが、まずは“Paris Games Week 2015”に併せてカンファレンスを開催された意図をお聞かせいただけますか?
吉田 ずっとgamescomでやっていたのですが、なぜか今年はE3がいつもより遅く(注:6月16日~18日)、gamescomの開催が早まったのです(注:8月5日~9日)。違ったものをお見せしたいときに、間隔が狭く非常に準備がやりづらいこともあり、10月のParis Games Weekに決めました。先のことはまだわかりませんが、開催してよかったかな、と。

――小野義徳さん(カプコン・『ストリートファイター』シリーズエグゼクティブプロデューサー)と原田勝弘さん(バンダイナムコエンターテインメント・『鉄拳』シリーズエグゼクティブプロデューサー)の掛け合いなどはとくにユーモアに溢れていましたが、フランスだからこその演出だったのでしょうか?
吉田 私もちょっと驚きました。ふたりの過去の経緯をよく知っているSCEEから「こういうのはどうだ」と提案を受けて。そこからはもうあとは任せようということで、いろいろふたりで相談していましたよ。Twitterのプロフィールアイコンを、3人の写真に変えました。いいでしょう? 待っている間に撮影したんです(笑)。

――そうそうたるメンバーがお揃いですね……! さて、今回はVRのお話を中心におうかがいしたいと思います。綱渡りのような体験ができる『The Walk』は、語弊を恐れずに言えば「あえて“ベタ”なものを出してきたな」という印象を受けました。
吉田 『The Walk』は、見ているだけで「あんなことができるんだ」と想像がつくじゃないですか。VRは体験したことがない人に想像してもらうのが非常に難しいものですが、あれだったら想像ができますよね。デモの出来もいいんですよ。映画も内容がいいようですし、私もデモをやらせてもらって、「これは絶対ほかにはないよな」というVRならではの体験だと感じました。

――ホラーとは違うアプローチだったので、アイデアの勝利だなと感じました。
吉田 より一般的な感じがしましたね。やっぱり、いろいろな方がいろいろなことでVRの技術を使おうとしていますから、放っておいてもおもしろいものが出てくるのです。映画はソニー・ピクチャーズですから、「PlayStation VRでやりたい」とアプローチがあって、協力することになりました。ほかにもオキュラスリフトを使った『パシフィック・リム』のVR体験や、日本では『進撃の巨人』を題材にしたものがありましたが、そういうものが増えてくると、ゲームに関心のない方でもVRに触れる機会が出てくるので、いいなと思っています。

――カンファレンスでは、発表の順序もすばらしかったと思います。PS VRがProject Morpheusとして発表された当初ではなく、よりゲームらしいVRコンテンツも多数登場しているこのタイミングで『The Walk』が来たというのが。
吉田 じつは、内部では多少揉めました。VRは何でもできますが、PS VRはずっと「ゲームをしっかりやります」とやってきたわけで、最初は技術デモに始まり、E3あたりからは、より“ゲームっぽいゲーム”を見せ始めていました。そのつぎはノンゲームというタイミングですが、社内的には「まだ早いのでは」と言う人もいたり、「そろそろいいんじゃないの」という人もいたり。けれどやはり『The Walk』の出来がよかったし、わかりやすかったので、「やっぱり入れましょう」と、発表することになったのです。VRのセクションでもいちばん最後に持ってきたのには、そういう理由がありました。

――ラインアップの充実で言うと、『Robinson: The Journey』にも驚かされました。
吉田 じつは、私もカンファレンスの準備をするまで知らなかったのです。CRYTEKさんは以前からCryENGINEのVRサポートをされていましたし、もともとグラフィックスのクオリティーの高いゲームを作られる会社さんなので、すごく期待しています。EPICさんもすごくいいデモを作られますよね。エンジンメーカーさんのゲームチームは、VRでもリーダー的なポジションになるのかなと思っています。

――『Robinson: The Journey』に象徴されるように、吉田さんがカンファレンスでもおっしゃっていた「知らない世界を体験する」というVRの魅力が表れたラインアップだったように思います。
吉田 違うところに行けるというのが基本的なVRの魅力ですよね。別の取材で「たとえば、1日の仕事が終わって、疲れて帰ってきた人が、家でヘッドセットをつける気になるか」と訊かれましたが、逆にVRのリラクゼーションのアプリなども作られています。家とは違う、もっと心地よい場所に飛んでいって、音楽をかけてゆっくりをするものなど、これからもっともっとそういうものが出てくると思います。

――用途の幅が広いのもVRの特徴でしょうか。
吉田 VRは集中度が違い、自分が“ここにいる”ことを忘れてしまうくらいのものですから。PS Moveを使う『The London Heist Getaway』というコンテンツがあり、目の前にテーブルがあるのですが、終わったときに、多くの人がPS MoveをVR上のテーブルに置こうとするんです(笑)。そういう錯覚が知らない間に起こってしまう。ですので、何か嫌なことを忘れたいときにVRをかぶってみたり……という使いかたも合うような気がします。