伊藤賢治氏と下村陽子氏が、『サガ』や『キングダム ハーツ』の秘蔵音源を公開! SQEXコンポーザートークショーをリポート【TGS2015】

TGS最終日にスクウェア・エニックスブースにて行われた、SQUARE ENIX MUSIC Presents Composer Talk Showをリポート。

●毎年恒例の人気トークショーです!

 2015年9月17日(木)から9月20日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2015(17日・18日はビジネスデー)。開催最終日となる9月20日、スクウェア・エニックスブースにて、SQUARE ENIX MUSIC Presents Composer Talk Showが行われ、作曲家の伊藤賢治氏と下村陽子氏が出演し、楽曲にまつわるトークをくり広げた。

▲MCは週刊ファミ通編集部・世界三大三代川。

▲作曲家・伊藤賢治氏。

▲作曲家・下村陽子氏。

 3年連続開催となるコンポーザートークショー(第1回のリポートはこちら、第2回のリポートはこちら)。今回、光田康典氏は残念ながら、スケジュールが合わずに欠席となってしまったが、代わりにビデオメッセージが到着。10月14日に発売予定のアレンジアルバム『クロノ・トリガー&クロノ・クロス アレンジアルバム ハルカナルトキノカナタへ』をアピールした。

 CDと言えば、伊藤氏と下村氏も、9月に新作をリリースする。伊藤氏は、2015年9月16日に発売された『インペリアル サガ オリジナル・サウンドトラック』の作曲・プロデュースを担当している。声優の杉田智和さんとKENNさんが歌うボーカル曲「いざゆけ!怪傑ロビン」が収録されているなど、充実の内容となっている(詳しくはこちらのインタビューで)。

 下村さんは、2015年9月30日に発売されるアルバム『聖剣伝説 LEGEND OF MANA Arrangement Album -Promise-』の作曲・プロデュースを担当。こちらの記事で紹介している通り、ちょっとオトナなアレンジになっている。

 長年、作曲家として活動している伊藤氏と下村氏。伊藤氏は作曲家活動25周年、下村氏は27周年となり、ファミ通でも何度もおふたりを取材させていただいている。……ということで、過去の取材記事を見ながら、伊藤氏と下村氏の活動を振り返ることに。

 伊藤氏は、スクウェアの面接を受けたときに「コンピューターで曲を打ち込んだことがある?」と聞かれ、「もちろんです」と答えたものの、じつはそれはハッタリだった、というエピソードを披露。そんな伊藤氏を育てたのが『サガ』シリーズであり、伊藤氏にとって『サガ』は学校であったという。

▲週刊ファミ通で、なぜか下水道の特集をしたときの記事も。『ロマサガ』の「下水道」といえば名曲ですからね!

 一方の下村氏。作曲する際に、待つことでいいものが浮かぶのか? という問いに、“音楽の神様が振り返ってくれるとき”がある、と回答。この記事を見た下村氏は「すごく気取っていますね(笑)」と苦笑い。しかし、確かにそのような瞬間はあるのだとか。

▲スクウェアに入社するまで、自分のお給料を知らなかったという驚きのエピソードも。

 さてここで、スタッフが関係各所に根回しをした結果、公開できることになったワケありの秘蔵音源が披露されることに。

 伊藤氏の秘蔵音源は、『ロマサガ』の「バトル2」と、『サガフロ』の「Last Battle -Asellus-」のオーケストラアレンジ曲。この曲は、『インペリアル サガ』のテーマ曲をオーケストラ収録をした際に、あわせて収録されたものとのことで、おそらく今後、どこかで公開されるものだと思うが……!? 伊藤氏も、どこで使われるかは把握しておらず、「ここで公開していいのか!?」と焦っていた(どの秘蔵音源を公開するかはスタッフがチョイスした模様)。

 そして、このオーケストラ音源を聴いた下村氏は、「没曲を公開するって聞いていたのに!」と狼狽。つぎに公開されたのは、下村氏が手掛けた「Dearly Beloved」の没アレンジ。『キングダム ハーツ キー』、『キングダム ハーツ アンチェインド キー』用にアレンジしたものだが、オトナっぽすぎるということで没になってしまったとのこと。下村氏は、個人的にはどこかで披露したいと考えているそうで、「哲さんよろしくお願いします」と野村哲也氏にメッセージを送った。

 続いて流れたのは、下村氏が『聖剣伝説 ヒーローズ オブ マナ』のエンディング用に作ったボツ曲。じつはこの曲の後半では、伊藤氏が手掛けた『聖剣伝説』の曲「Rising Sun」のメロディーが流れる予定だったとか。

 ちなみに、PS Vitaとスマートフォンで今冬配信予定の『聖剣伝説 -ファイナルファンタジー外伝-』では、伊藤氏がみずから楽曲をアレンジしており、下記のPVで、アレンジ版「Rising Sun」が聴ける。

 つぎに行われたのは、恒例の質問コーナー。王道の質問からユニークな質問まで、さまざまな質問に伊藤氏と下村氏が答えていった。

■どんな状況のときにメロディが浮かびやすいですか?

伊藤氏 煮詰まったとき、コーヒーを淹れに行ったり、トイレに行ったりするときに浮かびますね。
下村氏 移動しているときとか。駅などで、スマホに向けてぶつぶつ言っている女がいたら私かもしれません。朝起きたら、わけのわからないメモが置いてあることもありますね。酔っぱらった帰りのタクシーの中でメモったのかなと(笑)。

■伊藤さんへ PS Vita/スマホ『聖剣伝説』は、『新約 聖剣伝説』とはアレンジのコンセプトは変えているのでしょうか。

伊藤氏 『新約』はストーリーもリメイクされていましたが、こちらはストーリーは原作そのままなので、原曲に近いものになっていると思います。もうちょっとアコースティック寄りになるかな。

■時田貴司氏より
下村さんへ いちばん課金したゲームは何ですか?

下村氏 課金とは呼んでいません、大人パワーと呼んでいます(笑)。他社さんのゲームになってしまうんですけど、作曲を担当している『サモンズボード』は、来年の2月に2周年になるのですが、長く遊んでいますね。それから、『アンチェインドキー』は大人パワーシステムがズルくて。私みたいに待てない人間は、月曜日に大人パワーを使ってしまうズルいシステムです。

■田畑端氏より
下村さんへ 得意料理は何ですか? イグニスのレパートリーに加えたいのでガチで回答してください。(料理するジェスチャー付きでコツの解説もお願いします)

下村氏 親子丼が好きで(鍋をゆするジェスチャーで)。いろいろな人に食べてもらったんですけど、わりと好評です。卵をとろとろにして、いい具合にタレと混ざりあわせるのが得意です。

■時田貴司氏より
伊藤さんへ 現在好きなアイドルは?

伊藤氏 最近、「いいな」と思うグループは、本当にいまさらなんですが、乃木坂46。かわいい、きれい、楽しいといった(メンバーの)バランスのよさがあります。

■植松伸夫氏より
伊藤さんへ 最近アイドルの曲を作っているらしいですが、なぜ僕に仕事を回してくれないですか?

伊藤氏 お酒でも飲んでいるんですか(笑)。書けばいいじゃないですか(笑)。

▲ちなみに、伊藤氏の乃木坂46の推しメンは、高山一実さんである模様。

■植松伸夫氏より
下村さんへ なぜ自分とは関係のないコンサートの打ち上げにいつもいるんですか?

下村氏 酒の匂いを感じるんですよ。お酒が私を呼んでいるんですよ! 私はよくばりなので、「この後打ち上げなんですけど、よかったら」と言われると、遠慮せず行ってしまうんです。

▲下村さんはお酒好き。ここで伊藤氏から、『スマブラ』の飲み会で、飲み足りなかった下村氏が、桜井政博氏の襟元をつかんで「三次会!」と叫んだという秘話も明かされた。

 また、植松氏からは、質問だけではなく、ビデオレターも到着。といっても、挨拶もそこそこに、コンサート“Final Symphony II”などの紹介をする内容になっており、ただの告知ムービーと化していた。

 続いて、こちらの記事で先にお伝えしている通り、PS Vita用ソフト『サガ スカーレット グレイス』(2016年発売予定)のシナリオとプロデューサーを務める河津秋敏氏が登場。PS Vitaの実機画面をちらりと見せたり、バトルのパーティーメンバーは5人であることを明かしたりと、宣伝スタッフを大いに焦らせる軽妙なトークをくり広げた。

 ここで、先日公開された『サガ スカーレット グレイス』のPVを、改めて上映。伊藤氏によれば、楽曲がサビに入る前に映像が終わってしまうそうだが、河津氏によれば、それはあえて聴かせていないのだとか。また河津氏は、楽曲について「主人公ごとのテーマはほしいなと思っている」、「曲を待ってます」と発言し、伊藤氏にプレッシャーをかけた。

 河津氏が退場すると、いよいよトークショーはフィナーレへ。今後の予定について聞かれた伊藤氏は、『サガ』や『聖剣伝説』の仕事に励むのはもちろんのこと、個人的にライブやイベントをやりたいと思っている、とコメント。下村氏は、『ファイナルファンタジーXV』や『キングダム ハーツ』シリーズの作曲のほかに、「具体的には決めていないけれど、またライブなどができたらいいな」と語った。

 もはや、TGS恒例となりつつあるSQUARE ENIX MUSICコンポーザートークショー。きっと次回も行われるに違いないので、来年を楽しみにしていよう。