バンダイナムコエンターテインメント『ゴッドイーター』シリーズインタビュー

 人類の脅威である謎の生命体“アラガミ”を、仲間と力を合わせて倒すマルチプレイアクションとして、2010年に登場。 中高生の圧倒的支持を得て、 一躍人気シリーズに。 ゲーム発のIPとして多ジャンルへの展開が予定されており、今年夏にはテレビアニメが始まる。

”ゲームス”から”エンターテインメント”へ…バンダイナムコエンターテインメントインタビュー7【ゴッドイーターシリーズ】_01
”ゲームス”から”エンターテインメント”へ…バンダイナムコエンターテインメントインタビュー7【ゴッドイーターシリーズ】_03
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
プロデューサー
富澤祐介(とみざわ ゆうすけ)氏
(文中は富澤)
『ゴッドイーター』シリーズで、キャラクターや世界観の監修など作品全体を統括している。

神速で駆け抜けた5年間と『ゴッドイーター』のこれから

――本シリーズは、 ゲーム発の自社IPなので現在の成功までにいたる道のりは、 非常にたいへんだったのでは?
富澤 オリジナルタイトルとして立ち上がった『ゴッドイーター』は、おかげさまで今年で誕生から5年目を迎えました。振り返ってみると、ユーザーさんはもちろんですが、会社に育ててもらった部分も大きいなと思います。 バンダイ出身の私と、ナムコ出身のディレクターの吉村(吉村広氏)の両者による化学反応を期待されて動き出したプロジェクトでもありました。ユーザーさんにとってよりよいものになるなら何でも利用しようと、 若さに任せて怖いもの知らずのスタンスで制作に挑んだんです。 そをかけられることも(笑)。

――アドバイスとは別に、 作品がヒットすることで、 社内のほかの部署から関連商品開発のアプローチなども受けることは?
富澤 もちろんあります。作品がヒットすると、そのタイトルをIPとしてどう育て、 どう活かすか、ほかの部署といっしょに考えるようになります。 ただ、 僕らの知らないところで、 企画が立ち上がって一方的に動き出すようなことは基本的にありません。IPを統括するプロデューサーとして、アニメやグッズも監修して、"コンセプトが本当にユーザーさんが求めているものなのか"を、 時間が許す限りチェックします。 また、 自分たちからこの部署に作ってほしいと持ち込むこともあります。グループのリソースを使ってIP展開ができるのは、 我が社の強みですね。 今後ますますその強みが広がっていくということで、 今回の"エンターテインメント"への社名変更なのかなと思っています。『ゴッドイーター』は自社オリジナルIPだからこそ、自由度もあるし、判断もスピーディーにできるので、 その長所を活かして作品の世界をさらに広げていきたいですね。

――IPを広げる施策のひとつとして、 夏に放映予定のアニメ化がありますが、 テレビアニメ化への経緯を教えてください。
富澤 『ゴッドイーター』は、初期のころからプロモーションアニメを制作したり、アニメ的な表現を使用しながらゲームの楽しさを見せてきました。 とはいえ、 当初はアニメ化自体はあまり考えておらず、 アニメとはつかず離れずな距離感を保っていたんです。 ただ、 ファンの皆様からアニメ化希望の声をたくさんいただいたり、 毎回オープニングや劇中のアニメを手掛けている、ufotableさんとのやり取りを重ねていく中で、 ようやく機が熟したのかなと。結果、5周年というメモリアルイヤーにアニメを立ち上げることになりました。ただ、ゲームの物語をそのままアニメにしただけでは、本当におもしろいものにはならないだろうと。ユーザーさんが『ゴッドイーター』で感じた熱い感動と爽快な気持ちを、アニメというフォーマットで感じてもらうために、「ひと工夫ではなく、ふた工夫、三工夫はいるぞ」という気持ちです。 僕も吉村君も打ち合わせの段階からガッツリ関わって、スタッフと熱い議論を交わしながら作っています。 密度がすごく濃い作品になりそうなので、 今後公開される情報を、驚きをもって見ていただけると思います。

”ゲームス”から”エンターテインメント”へ…バンダイナムコエンターテインメントインタビュー7【ゴッドイーターシリーズ】_02

初のPS4への対応と海外展開について

――家庭用ゲームでは最新作の『ゴッドイーター2 レイジバースト』が、プレイステーション4に対応しましたが、手応えはいかがでしょう。
富澤 初の据え置き機なので、 いちばん気になったのは、ユーザーさんの遊ばれかたでした。ただ「大画面でストーリーを含めて楽しめるのはすごくよかった」など、プレイステーション4で遊ぶこと自体の満足度が非常に高かったので、 安心しました。 本シリーズ自体、 携帯機でプレイすることを考えてゲームデザインしていたので、 据え置き機でも違和感なく楽しんでいただけたのは我々としてもうれしい発見です。プレイステーション4は日本以上に海外での売上が好調なので、 アジアを始め海外展開を視野に入れた場合、 今回がプレイステーション4に踏み出すいいタイミングだったと思っています。 ただ、 プレイステーション Vitaとマルチということで、 プレイステーション4のマシンスペックをすべて使い切っているわけではないので、 本作を土台にしつつ、今後の作品ではふたつのハードのよさをもっと引き出した作品にしたいと思っています。

――いま海外のお話が出ましたが、 アジアで『ゴッドイーター』がヒットしていると伺ったことがあります。
富澤 一昨年、『ゴッドイーター2』発売後に台湾で行われたファンイベントに招待されたのですが、 何百人ものユーザーさんたちが集まっていて、 日本語版をガッツリ遊んでいたんです。 拝見していると、 皆さん日本のユーザーさんと同じ熱い顔をしているんですよ。 そして僕に「『ゴッドイーター』のことをもっと教えてくれ」、「中国語版を出してほしい」と、日本語で話しかけてきてくれました。 そんな熱い気持ちを受け取り、市場調査を重ねた結果、本作は繁体字版(中国語版)も出すことになりました。発売自体は日本の1週間後になりましたが、 おかげさまで『ゴッドイーター2レイジバースト』は、アジア圏でも売り切れになるほどだったと聞いています。

――何が海外のユーザーの心をつかんだと思いますか?
富澤 ジャパン系のコンテンツとしてアジアがいちばん親和性が高いというのはありますが、とくにキャラクターへの渇望みたいなものは強く感じます。直接的に「このキャラクターが好きです」と、海外のユーザーさんはストレートに思いを伝えてきます。 今回初めてアジアに一歩踏み出したので、 今後はさらに欧米を含めて展開を模索していきたいですね。 感動できて爽快なアクションが楽しめるという本質的な魅力に響いてくれる人は、 世界中にいるはずなので。

――最後に、今年は本シリーズ誕生から5周年という節目の年ですが、 何かアニバーサリー的な企画は行われるのでしょうか?
富澤 直近ですと、6月28日に5年ぶりの、ゴッドイーターフェスを開催するので、そこで5周年の後半に向けての秘策を発表します。企画段階ではあるものの、ネタをたくさん用意しています。 早く言いたいのですが……、 ごめんなさい! ただ、 テレビアニメの放送が始まる夏より前には、情報を出す予定です。5周年イヤーである2015年は、まだ始まったばかりです。インパクトのある発表をたくさん用意していますので、皆さんご期待ください。

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