インソムニアックゲームスのクリエイターたちが大いに語る

 2014年7月24日(木)~27日(日)、アメリカ・サンディエゴのコンベンションセンターにて、エンターテインメントの祭典“Comic-Con International 2014”(略称:コミコン)が開催中だ。

『Sunset Overdrive』の世界観の魅力はさまざまな文化の“混合”にあり【Comic-Con International 2014】_04
▲司会を務めたのは、“メジャー・ネルソン”こと、ラリー・ハーブ氏。

 開催日初日にあたる7月24日には、Xbox One用ソフト『Sunset Overdrive』をモチーフとしたセッション“The fusion of art and style in Sunset Overdrive Panel”が行われた。“fusion”とは、“混ぜ合わされた”くらいの意味。独特な世界観を持っている『Sunset Overdrive』だが、その世界観はいかにいろいろなアートが“混ぜ合わされて”できたものかを語るセッションだ。パネリストは、開発元であるインソムニアックゲームズの4人、コミュニティー・リード・オブ・インソムニアックのジェームズ・スティーブンソン氏、クリエイティブ・ディレクターのマーカス・スミス氏、シニアアートディレクターのジェシーナ・チュー氏、リードクリエィティブ・アーティストのギャビン・ゴールデン氏が努めた。セッションは、司会者である“メジャー・ネルソン”こと、ラリー・ハーブ氏による質問に対して、パネリストが答えていくというスタイルで行われた。以下、そのやり取りをお伝えしていこう。

 その前に、まずはコミコンにあわせて公開された『Sunset Overdrive』の最新PVをお届けしよう。


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▲左からコミュニティー・リード・オブ・インソムニアックのジェームズ・スティーブンソン氏、クリエイティブ・ディレクターのマーカス・スミス氏、シニアアートディレクターのジェシーナ・チュー氏、リードクリエィティブ・アーティストのギャビン・ゴールデン氏。タイトルがタイトルだけに皆さんひと癖もふた癖もある感じに見えます。

Q.クレイジーな舞台設定をデザインする際に考えたことは何ですか?

チュー 『Sunset Overdrive』の舞台は、クレイジーで混沌として訳の分からない世界ですが、“アクションを楽しめるところ”というのは基本前提としてありました。さまざまなカラーパレットを使い、世界は混沌としているように見えますが、実際のところ世界観はしっかりとコントロールされています。

Q.これだけ色彩にあふれ、派手なキャラクターを作るのはいかがでしたか?

ゴールデン 確かに派手ですが、“楽しさ”を大事にしています。私はこれまでディープな世界観を持ったゾンビなどをデザインしてきましたが、本作はそれに輪をかけて“世界が終わる”という終末設定なので、逆にできるだけ楽しもうと思いました。

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Q.ゲームプレイやスタイルはどこから刺激を受けましたか?

スミス 強いて言えば、すべてですね。私たちは、さまざまなものが交じり合った文化の中にいます。You Tubeで見たものを組み合わせることで、何か新しいものが生まれることもあります。映画に刺激されたゲームがあり、それに刺激されてコミックが生まれるというというように文化は一巡しています。本作では、ジャン・ポール・ゴルティエなど、多くのデザイナーを参考にしていますよ。

Q.フィジーはゲームで重要な役割を果たしますが、このデザインはどのように発想されたのですか?

チュー もとは小さいバルーンのような形だったのですが、開発を進めていくうちに、徐々にいまのフィジーのモデルができあがっていきました。みんなが気に入って、いろいろなところで使い始めたんです。最初はストーリーの一部にはなっていなかったんですよ。フィジーは、みんなでコラボレーションしてできたものですね。

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Q.ゲームは、コミックやテレビ、映画、アートなどとは、どこが違うと思いますか?

チュー アクションの中にあることですね。コミックでは静的だが、ゲームでは実際に3Dの世界で起きているところが見えます。2Dでは見る側が場面のどこにいるのかわかりませんが、3Dでは目の前で起きたことを実感できるんです。リスポーンすると不思議な感覚も味わえますしね。

スミス セガの『クレイジータクシー』や『ジェット・セット。ラジオ』などは、とにかく楽しいゲームでした。プレイするときは、細かいことを気にすることなく楽しみました。マリオがキノコを食べても下水に入っても変に思わない。“ゲームの約束事”として、前提なしに受け入れられたんです。本作もインタラクティブに直感的に楽しめるようになっています。すべてを説明することが、つねによいわけではありません。

Q.覚えやすく目立つキャラクターはどのように造形するのですか? 重要な要素は?

スミス ドラマにぴったりのアーキタイプはありますね。性格や人間性が重要です。これを育てていくわけですが、同じことのくり返しはよくありません。アーキタイプは、“自分の親戚にこういう人がいる”というように、認識しやすいものがいいですね。ここに新しい視点を加えるわけです。

チュー 認識しやすいことは大事ですが、そこに特徴がないといけません。プレイヤーがそのキャラクターの立場ならどうするかを想像できるようにするのも重要です。服装も大切で、着ていることが納得できるものがいいでしょう。

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Q. シナリオはライターが作るわけですが、そのプロセスはどのようなものに?

スミス 本作のシナリオは、ビデオゲームを専門にしているライターさんにお願いしています。『Sunset Overdrive』の場合は、メインストーリーやゲームプレイをこちらで考えて、それをもとに脚本を書いてもらっています。そこからいろいろと変更を加えていくと、デザイナーがまた刺激を受け……という感じで、アイデアはつぎからつぎへと出てきますね。

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▲当日は、イギリスの著名アーティストに書いてもらったという『Sunset Overdrive』のアートも紹介された(左)。キャラクターのコスプレも登場(右)。

(取材・文 編集部/F)