『NEWラブプラス+』内田P&ミノ☆タロー氏インタビュー完全版_06
▲内田明理氏(左)。『ラブプラス』シリーズを統括するシニアプロデューサー。同シリーズ以外の代表作に『ときめきメモリアルGirl's Side』シリーズなど。

ミノ☆タロー氏(右)。本作はもちろん、シリーズを通してキャラクターデザインや、イベントグラフィックなどを手掛けてきた。筆の速さはかなりのもの。

 
 現実時間と連動した生活を送るゲーム機の中の“カノジョ”と、会話やデート、スキンシップまでも楽しめる恋愛コミュニケーションゲームのシリーズ最新作『NEWラブプラス+』の制作が発表された。果たしてその内容は? ミノ☆タロー氏が描き下ろした3枚のイメージボードの意味は?

 週刊ファミ通7月18日号(2013年7月4日発売)では、同作のキーマンとなるシニアプロデューサーの内田明理氏、キャラクターデザインのミノ☆タロー氏へのインタビューを実施。今回、本稿では誌面で載せきれなかった部分も合わせたインタビューの“完全版”をお届けする。

“+”だけではない全面修正・より遊びやすさを重視した作品に

 
――前作『NEWラブプラス』から、約1年半ぶりの再始動となりましたが、今回はどんな作品になっているのでしょうか?
内田明理氏(以下、内田) まさにタイトルのままですね。『ラブプラス』という作品に“NEW”がついて、さらに“+(プラス)”がついた。つまり、より進化して、より遊びやすく、そしてより皆さんに楽しんでもらえるような作品になる、ということだと考えてください。
ミノ☆タロー氏(以下、ミノ) マナカ、リンコ、ネネの3人が登場しますし、舞台も同じ“とわの市”を中心としたエリアになります。基本的に、前作と同じ人物・時間・場所が今回もそのまま使われる形になります。
――それでは、前作からどのような部分が“+”になったのでしょうか?
ミノ 僕が仕切っている2Dのイベントグラフィック部分では、いま新たなイラストモードにチャレンジしています。まだ詳しくは言えませんが、思春期らしいモードになっています(笑)。
――これまでも、画面をスクロールしたりタッチしてアクションを起こせる“夢イベント”がありましたが、それとは違うものなのですか?
ミノ 従来の“夢イベント”とは違った切り口ですね。
内田 “+”だけでなく、逆に“-”というか“ゼロ”に戻した部分もあります。前作で、さまざまなシステムやインターフェースを新しくした結果、遊びづらくなってしまったという声もいただきました。そういった部分を以前の仕様に戻すなど、全面的に見直しています。
――直した部分のなかで、とくに大きなところではどういったものがあるのでしょうか?
内田 縦持ち、横持ちの両対応をやめて、縦持ちだけにしたところですね。
ミノ 開発作業がたいへんな割には、縦持ちで楽しんでいただける方が多かったので、今回は横持ちには対応しないことにしました。
内田 それよりも、既存のシステムのブラッシュアップなどに注力させていただいています。
――新しく作るよりも、既存のものを直すほうがたいへんだとよく言われますが……。
ミノ とにかくUI(ユーザーインターフェイス)デザインがたいへんです。「ラブプラスってこうだよね」と思ってもらえるように原点に返りつつも、さらに進化したデザインになるようがんばっています。
内田 ほかにも、シナリオについては3人のヒロインそれぞれに、新たに膨大な量のシナリオを書き下ろしました。
――現在GREEで展開されている『ラブプラスコレクション』では4人目の“カノジョ”雪乃 玲(ゆきの あきら)が登場しましたが、本作にも彼女は登場するのでしょうか?
内田 期待を持たせてもしかたがないのでズバリ言ってしまうと、“カノジョ”として彼女が登場することはありません。
ミノ 僕らとしては家庭用の『ラブプラス』という作品は、あくまでマナカ、リンコ、ネネの3人のものだと考えています。もし、玲が“カノジョ”になるとしたら、新しいキャラクターと3人で『2』を出すでしょう。玲とのデートは『ラブプラス コレクション』で楽しんでいただけたらと思います。

今回のテーマは“修学旅行(?)”果たしてどんな展開が?

『NEWラブプラス+』内田P&ミノ☆タロー氏インタビュー完全版_02
『NEWラブプラス+』内田P&ミノ☆タロー氏インタビュー完全版_04
『NEWラブプラス+』内田P&ミノ☆タロー氏インタビュー完全版_03
▲カノジョ候補のひとり、正統派のお嬢様である高嶺愛花がいるのは、江戸時代の茶屋? こんな場所でも姿勢正しく座っているのがマナカらしい。
▲海賊船の船長のいでたちで、マストに恰好よく仁王立ちするカノジョ候補のひとり、小早川凛子。すっかりなりきっているのがカワイイのだ。
▲暑くて胸元をパタパタさせる仕草がセクシー! カノジョ候補のひとり姉ヶ崎寧々がいるのは……。背後にはスフィンクスらしき巨像の姿も。

 
――今回発表されたこの3枚のイラストですが、これはいったいどういったものでしょうか?
内田 何でしょうね?(笑)
ミノ ナゾナゾを出すような感じになってしまいましたが、じつはこれらは今回の発表に際して用意したイメージボードなんです。
――3枚とも、まるでバラバラのシチュエーションが描かれているようですが……。
内田 タイムスリップっぽいですよね? そう勘違いしてもらえるように描いてもらったのですが、これらは今回の新要素のテーマを表しています。
――『ラブプラス+』のときのように、どこか遠くに“旅”をするということでしょうか?
内田 じつは、そうなんです。時は駆けませんが(笑)。以前から、ゲームの中で修学旅行みたいなイベントができないかなと考えていました。
――修学旅行そのものではなく?
内田 学生生活の中で修学旅行と言えば、青春の10ページくらいある大きな存在ですよね? でも実際は、3人のカノジョたちは学年がバラバラで、たとえばネネさんには留年…… 降年? をしてもらわないと実現できないという問題がありました。その代替案として考えたのが、今回の新要素になります。
ミノ まだ詳細は発表できないのですが、“修学旅行”ではなく、“修学旅行(?)”くらいのイメージで考えています。
内田 じつは、ほかにも考えている新要素はあるのですが、いまのところこの“修学旅行(?)”でいっぱいいっぱいなので、もう少し固まり次第発表していきたいと思います。
――発売はいつごろをイメージしていますか?
内田 寒さを越えて、でもまだ暖かくはならない時期に出せたらいいな……と。今回はあまりお待たせせずに出せるようにがんばります。
――最後に、ファンに向けて今後の意気込みをお願いします。
内田 まずはシリーズを遊んでくださっているお客様に「これはおもしろい」と思っていただきたいと強く思っています。また、個人的には『ラブプラス+』のときに強く感じた、“開発とお客様との連帯感”をもう一度味わいたいですね。“旅行”や“ご当地キャラ”といったシステムを、全国で同時にさまざまなお客様が楽しんでくれて、それに答えるような仕掛けを僕らも行う、といった形で。いまはソーシャルネットワークを使って、ユーザーどうし、開発も交えて距離を超えたリアルタイムの交流ができるので、たとえばみんなでカウントダウンをするような盛り上がりが作れたらと。
ミノ お客様の気持ちになって「買ってよかった」と思ってもらえるような作品を作りたいです。だから今回は、自分の担当以外の分野でもうるさく口出ししています。一から携わっている大切なタイトルなので、責任を持っていいものをお客様にお届けできるよう、これからもがんばります。この作品は、ラブプラスプロダクションの看板タイトルなので、全力で制作を進めています。ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。