とにかくシンプル!ユルくてアツイ新作ゲーム『Tenya Wanya Teens』

 2013年3月25日(北米時間)よりサンフランシスコでGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2013が開催中。その会場から離れたクラブで行われるパーティーのために、『塊魂』シリーズや『のびのびBOY』を手掛けたゲームデザイナー 高橋慶太氏がゲームを作っている、という情報をキャッチ。さっそくGDC取材チームはタクシーを飛ばして、そのクラブに向かうことにした。

『塊魂』『のびのびBOY』を手掛けたゲームデザイナー 高橋慶太氏をサンフランシスコで直撃! 謎の新作ゲームリポートも【GDC2013】_01
▲パーティーが行われるクラブ。ちょっと細い通りで、内心ドキドキでした。もちろんパスポートは持参(年齢確認があるため)。

 このパーティーはインディーゲームのイベントを主催する団体が企画したもので、クラブを貸し切って一晩中フロアでゲームしたり、酒を飲んだり、踊ったり、ダベったり……とにかく楽しい夜にしようぜといった趣旨。そのクラブのフロアに高橋慶太氏の新作ゲーム『Tenya Wanya Teens』があるというわけだ。

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 さっそくクラブ内をズンズン進んで、2階に上がると一番奥のスペースに独特のビジュアルが目に飛び込んできた。この個性的なキャラクター、雰囲気は間違いなく高橋慶太氏の作品だ。このゲームのタイトルは『Tenya Wanya Teens』。ちょっと大きめのコントローラが2台並んでいるだけで、とくに説明は見つからない。どうやら2人で対戦するゲームらしいが……。

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▲コントローラにはレバーとボタンが……16個! とってもカラフルです。

 だが、マニュアルが必要ないことは、遊んでみればすぐに納得できる。

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 とにかく操作方法もルールもシンプル。そして楽しくなってくるのは、いくつかのステージをクリアーしてからだ。何種類ものオブジェクトが登場するステージでは、どの色のボタンがどのアクションだったのか覚えていないと、間違ったアクションを連発! しかもコントローラのボタンの色がコロコロ変わるので、さっき押したボタンが同じアクションだとは限らないのだ!

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▲レバーでキャラクターを移動して、オブジェクトの近くで対応するアクションのボタンを押せばポイントアップ! ステージにあるすべてのオブジェクトをクリアーすると、つぎのステージへ。
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▲裸になるのはシャワーで、オシッコは便器で、歯磨きは鏡の前で……と直感的に正しいアクションはわかるのだが、種類が多いのですぐにわからなくなる!
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▲いちいちアクションの内容を説明する必要はないだろう。初めてのプレイヤーでもすぐにわかるので、小難しい説明なんていらないのだ。
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▲あ、これは女性には説明がいりますね。少年は皆、落ちているエロ本から多くのことを学ぶのです。
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▲誰でもすぐにこんな感じになってしまう。プレイヤーボタンがわからず焦っているのに、見ている側は笑わずにはいられない!
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▲最後はベッドで就寝。もちろん先に眠ったプレイヤーはポイントアップ! スコアの合計で勝敗が決まる。

 もうなんというか「テキストで紹介しても半分も伝わらないだろうなぁ」とあきらめたくなるほど、ゲームをプレイしている人、それを見ている人がHAPPYになる作品なのだ。シンプルがゆえに勝ったら思わずガッツポーズが出るし、あまりのバカバカしさに自然に吹き出してしまう。ほのぼのとしたビジュアルに加えて、脱力系の効果音も輪をかけてHAPPYな雰囲気を演出しているが、これこそテキストでは伝わらないのが残念。じょぼじょぼじょぼ、シャカシャカシャカ、タッタラー、ベアー、キィーック……ひとつひとつを詳しくは説明しないが、効果音はこんな感じ。いい意味でユルすぎ!

 と、ここで当然気になるのが『Tenya Wanya Teens』はリリースされるのか? そこでパーティー会場でくつろいでいた高橋慶太氏に不躾ながらインタビューを申し込んでみた。

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――『Tenya Wanya Teens』は今回のパーティーのために作られたゲームなんですか?

高橋 そうです。パーティーで出すゲームを作ってくれと言われまして。でも、最初に提案したゲームは却下されたんですよ。

――え、それは一体どういったゲームですか?

高橋 クリスマスツリーに飾る光る紐みたいなモールってありますよね。あれみたいに豆電球をたくさん並べたものを置いて、光を無線コントローラで操作してレースをしたら、パーティー会場がキレイだし、走り回っておもしろいかなと思ったんですよ。

――それはパーティー向きで盛り上がりますね!

高橋 そうしたら、コストが高いから止めてくれって。LEDを使おうと主張したからなんですけど。その代わりに考えたのが、このゲーム(『Tenya Wanya Teens』)なんです。

――それでは正式にリリースされる予定はないのですか?

高橋 リリース!? リリースですか……そのつもりはあるらしいですよ。

――本当ですか!

高橋 Xbox 360とかでやるとは言っていましたけどね。

――あのう、それは誰が?

高橋 このパーティーを主催しているVenus Patrol(ウェブサイト運営)の Brandonです。

――でもボタンが16個あるので、そのままってわけにはいかないですよね?

高橋 そのあたりはなんとかするのかな。もしくはiPadとか? どうやら彼はやる気らしいですよ。

――「らしいですよ」と言われましたが、リリースに関しては完全に任せているのですか?

高橋 いや、このゲームの仕組みはおもしろいので、いろいろと広げられるとは思うんですけども。ただ、こっちの人ってわりと口が達者なので、そうは言っているけど、本当にやるのかどうかはあまり信じていない感じですよ。

――(笑)。それでは高橋さんとしては?

高橋 どっちでもいいですね。リリースしてもいいし、しなくてもいいし。これでRPGも作れそうですね。実際、ちょっとはRPGでもあって、操作している人が覚えることで成長するところとか。

――このゲームのアイデアはどこから思いついたのですか?

高橋 最初に「フィジカルなゲームがほしいんだ」と言われていて、その方向で考えることにしたんですよ。……でも、どこから出たんだろう(笑)。ちょっと出来すぎかもしれないけど、2歳の子どもを見ているとボタンを押すのが好きなんですよ。とくにエレベーターのボタンとか。それで、ボタンを押すこと自体が楽しいゲームを考えればいいのかなと。結局、いまはみんながゲームしているから、どのボタンを押すとどうなるのかわかってるけど、わからなくてもいいんじゃないか。わからないことが楽しくなれば、それがゲームになるのかなと、それだけですよ。

――パーティーの最中にお時間をいただき、ありがとうございました!

高橋 いえいえ。最後はわりと真面目に答えちゃいましたね(笑)。

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▲会場の一角ではグッズを販売中。高橋氏がデザインしたTシャツがあったので、記者も1枚購入しました。「ディスワンプリーズ!」「イエス!ミディアム」「サンキュー!」だけでもなんとかなるものです。22ドル也。