とにかくシンプル!ユルくてアツイ新作ゲーム『Tenya Wanya Teens』
2013年3月25日(北米時間)よりサンフランシスコでGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2013が開催中。その会場から離れたクラブで行われるパーティーのために、『塊魂』シリーズや『のびのびBOY』を手掛けたゲームデザイナー 高橋慶太氏がゲームを作っている、という情報をキャッチ。さっそくGDC取材チームはタクシーを飛ばして、そのクラブに向かうことにした。
このパーティーはインディーゲームのイベントを主催する団体が企画したもので、クラブを貸し切って一晩中フロアでゲームしたり、酒を飲んだり、踊ったり、ダベったり……とにかく楽しい夜にしようぜといった趣旨。そのクラブのフロアに高橋慶太氏の新作ゲーム『Tenya Wanya Teens』があるというわけだ。
さっそくクラブ内をズンズン進んで、2階に上がると一番奥のスペースに独特のビジュアルが目に飛び込んできた。この個性的なキャラクター、雰囲気は間違いなく高橋慶太氏の作品だ。このゲームのタイトルは『Tenya Wanya Teens』。ちょっと大きめのコントローラが2台並んでいるだけで、とくに説明は見つからない。どうやら2人で対戦するゲームらしいが……。
だが、マニュアルが必要ないことは、遊んでみればすぐに納得できる。
とにかく操作方法もルールもシンプル。そして楽しくなってくるのは、いくつかのステージをクリアーしてからだ。何種類ものオブジェクトが登場するステージでは、どの色のボタンがどのアクションだったのか覚えていないと、間違ったアクションを連発! しかもコントローラのボタンの色がコロコロ変わるので、さっき押したボタンが同じアクションだとは限らないのだ!
もうなんというか「テキストで紹介しても半分も伝わらないだろうなぁ」とあきらめたくなるほど、ゲームをプレイしている人、それを見ている人がHAPPYになる作品なのだ。シンプルがゆえに勝ったら思わずガッツポーズが出るし、あまりのバカバカしさに自然に吹き出してしまう。ほのぼのとしたビジュアルに加えて、脱力系の効果音も輪をかけてHAPPYな雰囲気を演出しているが、これこそテキストでは伝わらないのが残念。じょぼじょぼじょぼ、シャカシャカシャカ、タッタラー、ベアー、キィーック……ひとつひとつを詳しくは説明しないが、効果音はこんな感じ。いい意味でユルすぎ!
と、ここで当然気になるのが『Tenya Wanya Teens』はリリースされるのか? そこでパーティー会場でくつろいでいた高橋慶太氏に不躾ながらインタビューを申し込んでみた。
――『Tenya Wanya Teens』は今回のパーティーのために作られたゲームなんですか?
高橋 そうです。パーティーで出すゲームを作ってくれと言われまして。でも、最初に提案したゲームは却下されたんですよ。
――え、それは一体どういったゲームですか?
高橋 クリスマスツリーに飾る光る紐みたいなモールってありますよね。あれみたいに豆電球をたくさん並べたものを置いて、光を無線コントローラで操作してレースをしたら、パーティー会場がキレイだし、走り回っておもしろいかなと思ったんですよ。
――それはパーティー向きで盛り上がりますね!
高橋 そうしたら、コストが高いから止めてくれって。LEDを使おうと主張したからなんですけど。その代わりに考えたのが、このゲーム(『Tenya Wanya Teens』)なんです。
――それでは正式にリリースされる予定はないのですか?
高橋 リリース!? リリースですか……そのつもりはあるらしいですよ。
――本当ですか!
高橋 Xbox 360とかでやるとは言っていましたけどね。
――あのう、それは誰が?
高橋 このパーティーを主催しているVenus Patrol(ウェブサイト運営)の Brandonです。
――でもボタンが16個あるので、そのままってわけにはいかないですよね?
高橋 そのあたりはなんとかするのかな。もしくはiPadとか? どうやら彼はやる気らしいですよ。
――「らしいですよ」と言われましたが、リリースに関しては完全に任せているのですか?
高橋 いや、このゲームの仕組みはおもしろいので、いろいろと広げられるとは思うんですけども。ただ、こっちの人ってわりと口が達者なので、そうは言っているけど、本当にやるのかどうかはあまり信じていない感じですよ。
――(笑)。それでは高橋さんとしては?
高橋 どっちでもいいですね。リリースしてもいいし、しなくてもいいし。これでRPGも作れそうですね。実際、ちょっとはRPGでもあって、操作している人が覚えることで成長するところとか。
――このゲームのアイデアはどこから思いついたのですか?
高橋 最初に「フィジカルなゲームがほしいんだ」と言われていて、その方向で考えることにしたんですよ。……でも、どこから出たんだろう(笑)。ちょっと出来すぎかもしれないけど、2歳の子どもを見ているとボタンを押すのが好きなんですよ。とくにエレベーターのボタンとか。それで、ボタンを押すこと自体が楽しいゲームを考えればいいのかなと。結局、いまはみんながゲームしているから、どのボタンを押すとどうなるのかわかってるけど、わからなくてもいいんじゃないか。わからないことが楽しくなれば、それがゲームになるのかなと、それだけですよ。
――パーティーの最中にお時間をいただき、ありがとうございました!
高橋 いえいえ。最後はわりと真面目に答えちゃいましたね(笑)。