“EVE Fanfest 2012”会期中に行った、CCP GamesのCEO(最高経営責任者)を務めるHilmar Veiger Petursson氏へのインタビューをお届けする。

●2012年の抱負、そしてビジネスモデルへの考え……

 アイスランドのゲームメーカー、CCP Games。オンラインゲーム『EVE Online』で世界的に約40万の月額課金ユーザーを持ち、今年はプレイステーション3で基本プレイ無料のFPS(一人称視点シューティング)『DUST 514』をリリースしようとしている。
 『EVE Online』が10周年を控え、『DUST 514』のリリースも近づいている節目の2012年、CCP Gamesは未来をどう見ているのか? オフラインイベント“EVE Fanfest 2012”会期中に行った、CCP GamesのCEO(最高経営責任者)を務めるHilmar Veiger Petursson氏へのインタビューをお届けする。

――今回のFanfestではいろいろ発表しましたが、反応はどうですか?
Hilmar まず、多数の『EVE Online』のプレイヤーに来場していただき、『EVE Online』だけでなく、『DUST 514』にも興味を持ち、なおかつ実際に熱心にプレイしていただけたことをありがたく思っています。このふたつのゲームを連動させるために、多くのスタッフが努力してきましたので、本当に繋がっていることをお見せできたのもうれしいですね。
 また基調講演では、昨年『EVE Online』に何が起こり、これから何をするのか、非常にセンシティブな内容も隠さずお話しました。いまのところの反応では、ファンが今後のビジョンに興味を持ち、期待していただけているようで、これはまさに我々が今年フォーカスしていたことですので、こちらも大変ありがたいと考えています。

――2012年、10周年を控えた『EVE Online』、リリース予定の『DUST 514』、そして開発中の『World of Darkness』をどのように位置づけていますか?
Hilmar まず『EVE Online』の今の正しい方向を維持し、宇宙の経験を豊かにしていきたいと思います。そして『DUST 514』をちゃんとリリースする。このふたつを最重要視しています。『World of Darkness』は、まだ小さなチームですので、これからですね。

――『EVE Online』から『DUST 514』に軌道爆撃を行ったプレゼンテーションは非常に印象的でした。ふたつのゲームは、ジャンル、プラットフォーム、ビジネスモデルとあらゆることが異なりますが、ひとつの宇宙を軸にしたゲームです。これからは、マルチプラットフォームでこの宇宙を広げていくということでしょうか?
Hilmar CRESTテクノロジーでは、PS Vitaやスマートフォンからのデータアクセスもサポート可能です。しかしながら、現状の重要な使命としては、先ほどお話しましたように、まずは『EVE Online』を正しい方向に戻すことと『DUST 514』を無事にリリースすることだと考えています。現在お話ししている以外のさらなるマルチプラットフォーム戦略は、技術的には検討を進めていますが、来年以降の課題ですね。

――『DUST 514』をFree to Play(基本プレイ無料)にするのは大きな決断だったと思いますが、経営的にどう決断されたのですか?
Hilmar 『EVE Online』をサービスした当時は、西側にはFree to Playモデルはなく、月額課金を念頭にゲームをデザインすることになりました。ですので、『EVE Online』はこれからも月額サービスで続いていきますが、これからのゲームにはFree to Playは重要な選択肢で、当然検討していくべきものだと思っています。

――家庭用ゲーム機でトップクラスのゲームを基本無料でサービスするというのは、非常に新しいことだと思います。しかしながら日本でも、ガンダムという非常に強力なIPのゲームが発表されたり、徐々に増えて行きそうな印象があります。西側の大きなオンラインゲームの会社のCEOとして、この流れをどう見ていますか?
Hilmar ゲームには3つのモデルがあると思います。パッケージと月額課金とFree to Play。この中で、パッケージで売るというのは、一番よくないと思います。10億ドルとか巨額な開発費を投入して、出荷したらおしまいというのは、ファンにとってもどんなゲームか買ってみないと実際わからないし、よくないことです。月額課金はいま我々が行なっていることですね。随時メンテナンスして、積極的に拡張していくことができる。Free to Playはだんだんビジネスモデルとして理解されるようになり、クオリティーもあがってきています。プレイヤーにとっては、ゲームをプレイする前にお金を払うか決断する必要がなく、プレイしてプレイヤー本人が決断できるという点で、プレイヤーにとっては一番いいモデルと言うこともできるのではないでしょうか?

――Free to Playモデルですと『World of Tanks』の成功が大きいと思うのですが、影響されるようなことはありましたか?
Hilmar Wargaming.netのVictor社長は昔からよく知っています。彼らは『World of Tanks』を作る際に『EVE Online』を参考にしたそうですが、いま彼らの成功に影響を受けて我々が『DUST 514』をFree to Playにしているのですから、お互いに影響を受けていますね(笑)。

――『EVE Online』では、デベロッパーライセンスを無料で提供することを発表しました。以前にサードデベロッパー絡みでいろいろ問題もあったと思うのですが、今回の発表は以前受けたフィードバックを参考にしてのことなのでしょうか?
Hilmar 去年、準備不足で発表してしまったことで反発を受けました。ライセンスの法的処理を行うにあたって法務部と調整しました。非商用のものについては無料でやっていこうというわけですが、商用ライセンスは今後プレイヤーの反応と希望などを見ながら考えていきたいと思います。

――今年は『EVE Online』の日本語サービスが始まり、『DUST 514』も日本でのリリースが計画としてあると聞いています。最後に日本にメッセージをお願いします。
Hilmar (『DUST 514』の日本リリース計画はブランドン(エグゼクティブ・プロデューサー)が言ったのか、と確認してから)日本市場については、まずは『EVE Online』をちゃんと日本で提供するというのが最大のテーマで、その反応を見ながら、『DUST 514』の計画も進めていきたいと思います。それと(『EVE Online』の)日本のプレイヤーの皆さん、辛抱強くお待ちいただきありがとうございました。皆さんのサポートと、ネクソンの協力、そして弊社の日本チームの努力で、ついにここまでやってきました。それではゲームをお楽しみください。(日本語で)アリガトウゴザイマシタ。