すぎやま氏「『DQX』の曲はかなりできあがりました」――恒例のコンサート前取材でコメント

2011年10月7日、すぎやまこういち氏によるコンサートが行われ、開演前には恒例となった楽屋での記者会見も実施された。

●すぎやま氏自身も納得の楽曲に

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 スクウェア・エニックスの『ドラゴンクエスト』シリーズの作曲家で知られるすぎやまこういち氏によるコンサート“すぎやまこういちと東京メトロポリタン・ブラス・クインテット”が、2011年10月17日に都内で開催された。これは、東京都交響楽団ブラスセクションの中心を担う5人“東京メトロポリタン・ブラス・クインテット”による金管五重奏でポップスの名曲および『ドラゴンクエスト』シリーズの楽曲を表現するというもので、ほぼ毎年のように行われている恒例の催し。

 コンサートの第1部はポップスの名曲からなり、今回は“クラシックの3大B”(ベートーヴェン、ブラームス、バッハ)に倣ってすぎやま氏が考案した“ポップスの3大B”(ビートルズ、バート・バカラック、ビージーズ)に、自身の代表曲『ザ・ヒットパレードのテーマ曲』、『亜麻色の髪の乙女』、『私は泣かない』を加えた全6曲を演奏。第2部の『ドラゴンクエスト』シリーズからの演奏では、ナンバリングタイトルの楽曲に加えて、『モンスターズ・ジョーカー』といった外伝的作品の曲もチョイスする、幅広いバリエーションの構成となっていた。

セットリスト
<第1部>すぎやまこういち ポップス&ソングス
■ザ・ヒットパレードのテーマ曲(すぎやまこういち 作曲/高橋敦 編曲)
■亜麻色の髪の乙女(すぎやまこういち 作曲/小田桐寛之 編曲)
■ヒア・ゼア・アンド・エブリホエア(P.マッカートニー&J.レノン 作曲/高橋敦 編曲)
■雨にぬれても(B.バカラック 作曲/高橋敦 編曲)
■ステイン・アライブ(ビージーズ 作曲/高橋敦 編曲)
■私は泣かない(すぎやまこういち 作曲/高橋敦 小田桐寛之 編曲)

<第2部>金管五重奏によるドラゴンクエスト 他
■大神殿<VII>
■ドラゴンクエスト・コンサート・セレクション(真島俊夫 元編曲/高橋敦 編曲)
■箱舟に乗って〜野を越え山を越え<IX>(小田桐寛之 編曲)
■エーゲ海に船出して<VI>(高橋敦 編曲)
■天空の世界(モンスターズ2)(高橋敦 編曲)
■Gピットにて(モンスターズ・ジョーカー)(小田桐寛之 編曲)
■時の子守唄<VI>(高橋敦 編曲)
 

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 すぎやま氏のコンサートと言えば、開演前にマスコミ向けに行われる記者会見が恒例行事のひとつ。今回の記者会見では、コンサートへの意気込み、2011年10月5日に発売された『交響組曲「ドラゴンクエスト」すぎやまこういち 場面別I〜IX(東京都交響楽団版)CD-BOX』の聴きどころに加えて、話題の『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』(Wii版は2012年発売予定、Wii U版は発売日未定)に言及するひと幕も。以下、すぎやま氏のお話を項目ごとにほぼノーカットでお届けしよう。


<コンサートについて>
いろいろなゲーム音楽が世の中にはありますが、『ドラゴンクエスト』はコンサートの回数がいちばん多いかもしれません。25年前に『ドラゴンクエスト』の第1作目が登場したときから始まり、『ドラゴンクエスト』とともに音楽も歩んできて、ゲームも音楽とともに歩んできた。その中でいろいろな編成のコンサートをやってきて、オーケストラコンサートと東京メトロポリタン・ブラス・クインテットのコンサートが、いまや2本柱となったわけです。今回行う東京メトロポリタン・ブラス・クインテットの演奏は5人ですから、言ってみれば室内楽。でも、室内楽はある種『ドラゴンクエスト』の音楽に向いていると思んです。と言うのも、ファミコンのころのゲーム音楽は、わずか3トラックから成る音楽だったから。いまはゲーム機が進化してトラック数が増えたとは言っても、僕は基本的に簡明直截な音楽をずっと目指しているから、骨組みは当時と変わらない。つまり、室内楽編成でも十分に表現できるんです。

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<CDボックスについて>
僕が『ドラゴンクエスト』の1作目から最新作『IX』までに手掛けた曲の数は、全267曲……まあ〜よう書いたわ(笑)。その集大成を作りたいと思い、『交響組曲「ドラゴンクエスト」すぎやまこういち 場面別I〜IX(東京都交響楽団版)CD-BOX』はできました。いままでに発売された交響組曲のCDの中身を並べただけではおもしろみがないので、場面別にまとめたセットを作ったわけです。これにどういう意味があるかと言うと、ある種これは『ドラゴンクエスト』および『ドラゴンクエスト』の音楽の歴史を物語るものになっている。1作目から遊んでいる人なんかはとくに懐かしいかもしれません。一気に聴くと、ゲームの変遷、『ドラゴンクエスト』の歴史を思い起こすことができるんでしょう。私がいつも言う「音楽は心のタイムマシーンです」という言葉通り、「『III』をやったときはあそこを苦労したなあ」とか、「『V』で結婚相手どうしようか悩んだなぁ」など、音楽をきっかけに当時の気持ちにスッと戻れる。ゲームの歴史であると同時に、聴く人の歴史を思い起こさせることもできると思います。というわけで、大オススメのCDボックスであります! 僕自身ね、これを聴いて楽しんでいますよ。そして、ずーっと聴いていると『ドラゴンクエストX』の音楽を作るうえでの刺激にもなったりする。「こういうパターンのお城の音楽があったなあ」と思い出して、『X』ではどれとも違う音楽を考えよう! と考えたり。いろいろ刺激されます。

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▲『X』にちなんで、10本の指で『X』を表現。

<『ドラゴンクエストX』について>
いま『ドラゴンクエストX』の作曲をやっている真っ最中であります。ゲームに載せる音楽はかなりできあがりました。スクウェア・エニックスのスタッフの方にもよろこんでいただけていると思います。(ここですぎやま氏が、取材に立ち合ったスクウェア・エニックスのスタッフに感想を求め、「種族に合った曲を作っていただきました」と回答を得る)そうなんですよ! 『DQX』にはいろいろな種族が出てきます。エルフ、ウェディ、プクリポ、オーガ、ドワーフ、あともうひとつが人間。今回は『ドラゴンクエストIV』のときのようにそれぞれのキャラクターの曲を色わけして作っています。オーガの曲は強そうなものができましたし、プクリポはかわいらしくてお茶目な曲になっている。キャラクターによっては高貴な雰囲気の曲もありますし、僕自身とても納得できるものができました。

<質疑応答>
――『DQX』はオンラインゲームですが、その点に関してオンライン向けの楽曲にしてほしいといった指示はあったのでしょうか?
すぎやま それはありませんでした。むしろ堀井雄二さんは「すぎやまさんの音楽を貫いていただくのがいちばんです」とおっしゃってくださっています。本当にありがたいことです。

――『DQX』はシリーズ初のオンラインゲームですが、『DQ』を毎作かなりやり込むすぎやま先生として、今回はどんな風に遊ぼうと考えていますか。
すぎやま じつはまだ環境整備ができていなくて(笑)。まずはそこからやらなければいけないのですが、僕が使っているコンピューターには楽曲の譜面やスコアが入っており、もし流失したらたいへん……なので、ネットワークのセキュリティーをガチガチにしているんです。それをゲームで遊ぶネットワークだけ開放するようにしなきゃいけないので、とても僕の知識と技術ではできない。そこで、スクウェア・エニックスさんの超一流スタッフの方が我が家まで環境作りに来てくれるそうです(笑)。

――ちなみに、いろいろな種族がいますが、どれを使ってみたいですか。
すぎやま すべてのキャラクターに魅力がありますね。でも、やっぱり……遊んでみるまではわからないね(笑)。