PS Vita本格始動――実機デモも行われた“SCEJカンファレンス”詳報

ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCEJ)は2011年9月14日、都内でプレスカンファレンスを開催。PlayStation Vitaの日本市場における導入計画などを発表した。

●PS Vitaの発売は2011年12月17日!

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 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCEJ)は2011年9月14日、都内でプレスカンファレンスを開催。次世代携帯型エンタテインメントシステムPlayStation Vita(プレイステーション・ヴィータ)(以下、PS Vita)の日本市場における導入計画などを発表した。

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▲アンドリュー・ハウス氏。

 SCEJプレジデントの河野弘氏は開幕に先立ち、2011年9月1日付けでSCE代表取締役社長兼グループCEOに就任したアンドリュー・ハウス氏を紹介。ハウス氏は「PS Vitaの発売を控えた大事な時期に社長へ就任し、身が引き締まる思いです」と挨拶し、「これまでPSPおよびプレイステーション3で実現してきた、最先端のエンタテインメント体験を進化させていきます」とPS Vitaへかける強い意気込みを示した。

 河野氏はPS Vitaの具体的な話へ入る前に、ここ1年でのプレイステーションハードの躍進ぶりに言及した。昨年の東京ゲームショウから現在までの1年で、プレイステーション3の業界における販売シェアがハードは49%、ソフトが46%(いずれもエンターブレイン調べ)とともに最大のシェアを誇っているというデータとともに、この勢いをさらに拡大させる戦略も提示。年末に向けて『テイルズ オブ エクシリア』(発売中)、『二ノ国 白き聖灰の女王』(2011年11月17日発売予定)、『ファイナルファンタジーXIII-2』(2011年12月発売予定)という充実のタイトルラインアップに加えて、新たな本体カラー“スプラッシュ・ブルー”と“スカーレット・ブルー”を2011年11月17日に数量限定で発売することを発表したのだ。またPSP(プレイステーション・ポータブル)に関しても、ツートンカラーの“レッド/ブラック”を2011年11月17日に発売することを明らかにした。

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▲SCEJプレジデントの河野氏。

 一方で「すべてが順調だったわけではない」と、今年発生したサイバー攻撃によるPlayStation Networkの障害にも触れた河野氏。同事件がきっかけとなり、SCEではセキュリティー管理の重要性を改めて再認識したと語り、現在は「閉鎖前の水準を取り戻すほど活況」であると話した。

 そして、この1年のプレイステーションビジネスが「おおむね順調だった」と総括するとともに、課題は「これからの成長戦略をどう描くか? 導入するか?」であると話を展開。「その一旦を担うのは、PS Vitaだと考えている」とカンファレンスの本題であるPS Vitaの話題へと移った。

 河野氏は、昨今スマートフォンやソーシャルゲームが登場でゲームユーザーの裾野は広がった一方、ゲームの進化を引っ張っているのは依然従来のコンシューマゲームたちである、と業界を取り巻く状況を俯瞰し、これは「ゲーム業界そのものが発展する大きなチャンスである」と断言。これを踏まえたうえで、PS Vitaはカジュアルもコアも「すべてのプレイスタイルを満たすエンタテインメントのプラットフォーム」であると胸を張った。そして、2011年12月17日に発売することを発表。「できる限り多くの台数を用意して、少しでも多くの人に体験してもらえるよう全力で準備をしていきます」と発売への準備が着々と進んでいることをアピールした。

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▲NTTドコモ代表取締役副社長の辻村氏。

 今回のカンファレンスは、この発売日決定も含め、“PlayStation Vita コミュニティサイト”へ届いたユーザーからの質問で、とくに多かった項目に回答していくというスタイルで進行した。発売日に続くテーマは、PS Vita最大の特徴とも言える3G回線について。3Gとは“第3世代(3G)携帯電話の通信ネットワーク”というもので、使用するにはキャリアパートナーが必要だ。そして今回、PS Vitaの3G回線キャリアとしてNTTドコモと提携することが発表となった。河野氏は「安定、信頼性、新しいことにいっしょにチャレンジしていけるパートナーシップが組めるかどうかを検討した結果」NTTドコモを選択したと提携の経緯を説明。壇上にはNTTドコモ代表取締役副社長の辻村清行氏も登場し、「3G通信をつなげることで生まれる新しい価値に大きな可能性を感じている」と期待感を示した。

 また、料金についても新たな形態を用意すると発表。「ゲームに適したプラン、料金を気にせずに遊べるプラン」(辻村)としてプリペイド式のデータプランを設けることを明らかにしたのだ。データプランは980円[税込]で20時間まで利用できる“プリペイドデータプラン20h”(受信時最大128kb/sec、送信時最大64Kb/sec)と、4980円[税込]で100時間利用できる“プリペイドデータプラン100h”(受信時最大128kb/sec、送信時最大64Kb/sec。また、受信14Mb/sec、送信5.7Mb/secのFOMAハイスピードモードが使用可能。ハイスピードモードを使えるのは、通信利用可能時間103時間のうち3時間)の2種類。これ以外に、既存の定額プランもPS Vitaで使用が可能だという。

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 プリペイド方式は、使い過ぎを避けられるという点以外にも、ネットワークの開通が極めて手軽であるという利点がある。それを示すために河野氏は、本体の初回起動から3G回線の開通までを実機を使って紹介した。本体左上にある電源ボタンを長押しして起動後、言語、タイムゾーン、日付を選択したら、3G回線を検索。検索時間は10〜15秒で、回線が見つかった後にPSNの各種設定を行えば、もうこれだけでPS Vitaはネットワークにつながる。起動からここまでは数分。「私たちがやりたかったことは、いとも簡単に設定ができるユーザーエクスペリエンス」という河野氏の言葉に深くうなずける手軽さだ。

 実機を使ったデモではほかにも、本体に搭載されている各種アプリがお披露目。こちらはSCE開発サポート部課長の秋山賢成氏が行い、ビデオ再生、ミュージックプレイヤー、フォトビューワー、操作のチュートリアルが学べる“ウェルカムパーク”などを紹介した。いずれもPS Vitaのタッチパネルを利用したフリック操作、タップに対応しており、レスポンスも軽快な印象。また、アプリを終了するときの操作が特徴的だ。アプリ使用中に画面右上に指を置き、指を左下へスライドすると、紙がめくれるようにアプリの画面が消えるのだ。会場スクリーンでも各種アプリの機能をお披露目。ウェブブラウザーがゲームプレイ中に裏でも立ち上げられることや、PCとの連動が可能なコンテンツ管理、Facebook、Twitter、foursquare、Skypeといった大手ソーシャルサービスとの連携などが明かされた。

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 カンファレンス3つ目のテーマはPS Vitaのタイトルラインアップ。河野氏は「未来を広げてくれるのはクリエイターの皆さんのイマジネーションと創造性」とPS Vitaの主役がゲームであることを強調し、「彼らのチャレンジ魂に火をつけたい。PS Vitaは各クリエイターへの挑戦状です」とコメント。著名クリエイターたちを順番に壇上へ招いた。

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 最初に登壇したクリエイターは、カプコンの小野義徳氏。同氏は完全新規の情報として、プレイステーション3とXbox 360で開発中の『アルティメット マーヴル VS. カプコン3』のPS Vita版を、本体と同時に発売すると発表。開発状況はすでに実機で動く状態で、プレイステーション3版と同様のコンテンツ、中身を搭載する。加えてPS Vitaのタッチパッドを活かした新しいプレイスタイル、位置情報サービス“near”を利用した特典も用意されるとのことだ。小野氏はこの発表と併せて、“PS Vitaとともに描く対戦格闘ゲームの未来”にも言及した。ゲームプレイの面だけを見れば、携帯ゲーム機は据え置き機での満足度には及ばないと断言する一方で、「僕たちは違った面を考えている」と主張。本体を持ち歩けることに加えて3G回線も搭載したPS Vitaでは「いかにコミュニティーを広げていくか」がキーになると話し、「つながることに焦点を当てた展開を目指していきます」と展望を述べた。

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 小野氏からもうひとつサプライズが。『ストリートファイター ×(クロス) 鉄拳』に、SCEJの『どこでもいっしょ』シリーズから“トロ”と“クロ”の参戦が決定したのだ。トロははちまきを巻いた『ストリートファイター』シリーズのリュウを彷彿とさせる衣装で、クロは特徴的なデザインのズボンを履いた『鉄拳』シリーズのカズヤを連想させる姿。とは言え、スタイルはどちらも独特で、トロはハリセン、クロはバットを使用するというヤンチャぶりとなっていた。

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 スクウェア・エニックスの橋本真司氏はPS Vitaで開発中の新規2タイトルを発表。『ロード オブ アポカリプス』はアルカナストーンをめぐるアクションRPG『ロード オブ アルカナ』の続編で、ダークな世界観やアニメ調のグラフィック、4人でのマルチプレイがウリとなっている。『地獄の軍団』は100体のゴブリン軍団を率いて強力な魔人たちを倒していく軍団アクション。地獄を表現したグラフィック、自由度の高い編成を楽しむことができるという。これら2タイトルはどちらもPS Vitaと同時発売とのことだ。

 さらに、『ファイナルファンタジーX』をPS Vitaおよびプレイステーション3でHDリメイクされることが決定。橋本氏いわく、同作のリメイクを希望する声は日本だけでなく海外からも多く届いており、それに応えるため、プレイステーション2のオリジナル版発売から10周年を迎える今年、HDリメイク化を発表したのだという。ゲームの詳細および発売日については触れられなかったが、橋本氏は「あの感動をさらに美しく、さらにきれいにお届けしようと思います」と意気込みを語っていた

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 KONAMIの小島秀夫監督は、ひとつのゲームを据え置きと携帯ゲーム機で交互に遊ぶという提案“トランスファリング”の展開と併せて、PS Vitaの新作タイトルもお披露目した。小島監督の考えではトランスファリングには3つのステップがあり、第1のステップではPSPクオリティーのタイトルをトランスファリングするというもので、これは11月に発売を予定している『メタルギア ソリッド ピースウォーカー HD エディション』で実現する。第2のステップは、プレイステーション2クオリティーのタイトルをトランスファリングだ。こちらは『メタルギア ソリッド HD エディション』で実現するのだが、小島監督はここで同作のPS Vita版を発売することも発表。さらに、『Z.O.E』と『ANUBIS』を収録した『ゾーン オブ エンダーズ HD エディション』をプレイステーション3およびPS Vitaの発売することも明らかにした。そして最後の第3ステップ。ここで行われるのは、プレイステーション3とPS Vitaで同時に新規タイトルを展開し、トランスファリングすること。これを実現するために小島プロダクションでは“FOX ENGINE”と呼ばれるツールを開発し、すでにオリジナルタイトルの制作にも入っているとのこと。タイトル名は明かされなかったが「情報は早めにお出ししたい」(小島)とのことで、そう遠くない時期に概要を見ることができそうだ。

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 サードパーティーの発表が続いたが、もちろんSCEJでもさまざまなタイトル開発が進んでいる。河野氏が主張したのは“遊びの定義を変える、ユニークなアプローチ”。それを説明するために登場したSCEジャパンスタジオの山本正美氏から『勇者のきろく。(仮)』が発表された。タイトルからわかる人も多いと思うが、本作は『勇者のくせになまいきだ。』シリーズの関連作で、『勇者のくせになまいきだ。』がRPGというジャンルをメタ化したように、『勇者のきろく。(仮)』ではふだんの生活をメタ化するのだという。スケジュールを組んで、それを実行できればゲームが進行していくというもので、ゲームではなくアプリケーション寄りの内容だが、“遊びの定義を変える、ユニークなアプローチ”であることには違いないだろう。山本氏からはもうひとつ、『みんなといっしょ』を紹介。『どこでもいっしょ』の世界観にネットワークの要素を持ち込んだもので、スローガンは“フレンド100人できるかな”。ユーザーどうしのつながりが作品の拡大にもつながっていくというもので、PS Vitaのコミュニティーを象徴するタイトルになりそうだ。

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 ゲームではないが、PS Vitaの普及において確実に追い風となるであろう取り組みとして“ニコニコ動画”がPS Vitaに対応することも決定。同コンテンツを運営するニワンゴ代表取締役の杉本誠司氏は今回の提携について、「ニコニコ動画とプレイステーションにはゲームという共通点において、非常に親和性が高い」とその背景を語り、なかでもPS Vitaは3G回線/Wi-Fiネットワーク、カメラ、タッチパネルを搭載しているという点で、とくに相性がいいと説明した。杉本氏は導入スケジュールもは発表。2011年12月にリリースしてその段階では閲覧およびコメント投稿機能のみを用意し、配信については2012年の春に搭載予定であるとのこと。さらに注目の機能として、ゲームをプレイしながら実況放送できるシステムを検討中であることが明らかに。公開されたイメージ画像では、ゲーム画面の右下にワイプのような形で実況主が表示されており、PS Vitaの内側カメラを利用するものであることがわかった。こちらは“協力するメーカーがいれば”という条件付きで、2012年の夏に搭載を予定している。

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 なお、PS Vitaは2011年12月17日の本体発売に併せて26作品が同時に登場。今後発売予定のものも含めれば100タイトル以上の発売が決定している。「量を揃えるだけでなく、新しいユーザーインターフェースや通信機能をいかした作品が揃っています」と、河野氏は量、質ともに充実していることアピールした。

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▲100タイトルの中には、『テイルズ オブ イノセンスR』、『ニンジャガイデンΣ』といった新情報も。

 4つ目のテーマは“PSPタイトルのサポート”について。PS VitaではPSPタイトルのダウンロード版もプレイすることができる。その数は約600タイトルとのことで、PS Vitaは発売当初からその資産のほとんどを活かせるというわけだ。また、UMDでソフトを所有している人向けに特別なプログラムも検討中。詳細は決まり次第発表されるとのことだ。

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 最後に河野氏は、PS Vita発売に向けた具体的な取り組みを紹介。まず9月15日〜9月18日まで開催される東京ゲームショウ2011では試遊を80台以上用意し、31タイトルを出展する。発売直前には「最大規模のローンチキャンペーン」(河野)を実施。11月中旬からは東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の全国5都市で出張体験会を行い、東京ゲームショウに来られなかった人にもPS Vitaを触る機会を提供する予定だ。そして、発売時には初回50万台限定で“プリペイドデータプラン100h”をバンドル。予約受け付けは、2011年10月15日より全国でスタートする予定だ。

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 ついに発売日が決定したPS Vitaだが、今回のカンファレンスではタイトルラインアップの詳細に関しては比較的あっさりとした紹介にとどまった。とは言え、記事内でも述べた通り、明日からスタートする東京ゲームショウ2011では31タイトルという大ボリュームでの出展が予定されており、続々と最新情報は明らかになってくる。もちろん、ファミ通.comではブース&プレイリポートを予定しているので、会場へ足を運べない人はぜひそちらのニュースもチェックしてほしい。