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超革新的FPS『Dust 514』とは何か――CCP Games独占インタビュー【E3 2011】

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SCEカンファレンスでプレイステーション3独占タイトルとして発表された、CCP GamesのFPS『Dust 514』。その非常にユニークな仕組みを、独占インタビューで解き明かす。

●オンラインゲームと世界を共有したFPS

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 2011年6月7日〜9日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスにて開催中の世界最大のゲーム見本市E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2011。開催前日の2011年6月6日に行われたSCEカンファレンスで独占タイトルとして発表されたCCP Gamesの新作FPS(一人称視点シューティング)『Dust 514』は、ある画期的な取り組みを行なっている。

 ファミ通.comですでに何度か紹介しているが、『Dust 514』は、巨大な戦場で、たくさんのSFスタイルの武器や乗り物を使って大人数のマルチプレイ対戦が楽しめる。「ああ、新しい『バトルフィールド 2142』のようなものね」と思うかもしれないが、それは『Dust 514』の本質からは外れている。本作のキャッチフレーズは「One Universe, One War(ひとつの宇宙、ひとつの戦争)」とあるが、我々がここに「そしてふたつのゲーム」と付け加えよう。

 『Dust 514』は、CCPが運営する世界有数の課金プレイヤー数を誇るオンラインゲーム『EVE Online』と世界を共有しているのだ。これは単にストーリーや設定に留まらない。本作でプレイヤーは、『EVE Online』のコーポレーション(ギルドのようなもの)に雇われて、惑星での戦いに雇われるのだ。実際EVEプレイヤー(PCで遊んでいる)が、あなたやあなたのクラン(本作をプレイステーション3で遊んでいる)と契約しようと直接コンタクトする。Corporationに所属することも可能だ。もしあなたが勝てば、あなたに仕事を頼んだEVEプレイヤーたちは、EVE宇宙のどこかにある惑星の支配を進めることができ、あなたはゲーム中のお金や経験値、そして次の契約で強力な戦闘部隊としてもっとお金を稼げる可能性を得る。そう、本作でプレイヤーは、EVE宇宙の傭兵になるのだ!

 これはとてもユニークだ。『EVE Online』では、あらゆるものをプレイヤーの自主性に任せてコントロールをしない主義を取っている。コーポレーションは、惑星を所有し、資源を売買し、あるいは宇宙戦争を仕掛けて、銀河の大帝国を築くことだってできる。プレイヤーがシステムに強要されるのではなく、自分の意志で行う壮大な宇宙の勢力争い、そこに『Dust 514』という新たな要素が加わるのだ。『Dust 514』の日本での発売は決まったわけではない(海外では2012年夏の発売を予定)が、その戦略をCCPのヒルマー・ヴァイガー・パターソンCEOと、クリエィティブ・ディレクターのアトリ・マル・スヴェンソン氏に聞いた。

●ともにルールを変えて再定義してくれるパートナー

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――ついにCCPがこの契約にこぎつけて、今の気分を聞かせてください。

ヒルマー・ヴァイガー・パターソン(以下、パターソン) 我々はコンソール(家庭用ゲーム機)でアクションシューティングのタイトルを出そうとして、『Dust 514』を何年も開発してきました。今日ついにパートナーとなる、我々に革新のための自由を与えてくれたプラットフォームを発表できたのは本当にいいことです。SCEがその過程で我々と熱意を共有してくれたおかげで、ここまで辿り着けました。EVEコミュニティーとプレイステーション3の夢を実現する作業がここから始まります。

――なぜコンソールで展開することにしたのですか?
パターソン 数年前から『EVE Online』のストーリーやゲームプレイ、ドラマに興味を持っているが、現在のEVE Onlineのスタイルではないものを求めるという人たちの声は聞いていたんです。「EVEのアイディアが気に入っているがEVE Onlineは自分のタイプのゲームプレイではない、他のことは考えているのか」と聞かれました。EVE体験を強化出来るようなゲームは何がいいだろうか? RTS(リアルタイムストラテジー)などを含めて、今までと違うものを模索していました。最終的に『EVE Online』と繋がるFPSにしました。オンラインRPGだけでは遊んでもらえない、コンソールのゲーマーにも楽しんでもらうことができます。

――いつどのように、彼らと話し始めたのですか?
パターソン 企画当初から、我々はコンソールの世界の皆様と話をしてきました。これは我々が選ぶべきプラットフォームを選ぶにあたり、今後の展開について理解を深めたかったというのもあります。我々が今回やらなくてはならなかった挑戦のひとつは、我々を喜んで迎えてくれ、ルールを変えて再定義してくれるパートナーを持つことでしたから。

――ルールを変えて再定義するとは?
アトリ・マル・スヴェンソン(以下、スヴェンソン) シューティング・ゲームは決まりきった形ものが多く、同じようなゲームがたくさんあります。本作が違うところは、PCのゲームと繋がっているだけでなく、アクションについても、ひとりのプレイヤーが帝国を倒す可能性があるインパクトの強さがあることです。FPSを好きなプレイヤーにプレイしてもらった反応もよく、新しいゲームへの期待を感じてもらっています。

パターソン CCPでは、ゲーム内経済もゲームプレイも、プレイヤー中心のゲームであるようにしています。多くのシューティングゲームがやっているようにゲーム経験をこちらが操作するのではなく、ツールを提供してプレイヤーに独自のゲーム経験を作り出してもらうのです。ですので、出来るだけ自由な部分を多くしています。もちろん公正さやバランスはある程度こちらで管理しますが、それ以上の部分、何をするかはプレイヤーが決めるのです。『Eve Online』のプレイヤーを取り巻く環境は巨大で、太陽系のようなものが7000個くらい、惑星は何万個もあり、地球のようなプレイヤーが所有出来る惑星は3〜4000個あります。プレイヤーが製造したり生産したりするもの、装備や武器、乗物の数も膨大にあります。すべての惑星上で戦うわけではありませんが、どの銀河系でどのような抗争が起きるかはプレイヤー次第です。

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――ソニーをパートナーとする優位点は?

パターソン PCとコンソールゲームを繋ぐことについてオープンな姿勢を示してくれたことが大きいですね。他のプラットフォームは、より閉鎖的でした。また、ビジネス・モデルとして課金システムなどに対してもオープンでした。また対応してくれたソニーの人たちの中にはEVE Onlineをプレイしている人たちもいて、このゲームに対して期待が高く、このようなゲームをプレイステーション・プラットフォームに持ち込みたいという意思表示があったことも大きく影響しています。

――DustのパブリッシャーはCCPとSCEどちらですか?
パターソン CCPがパブリッシャーとなります。

――EVE OnlineとDust 514の接続をSCEはどのようにサポートしますか? どちらのサーバーもCCPが運営するのですか?

パターソン 『EVE Online』のプレイヤーと『Dust 514』のプレイヤーはともに共有のスパコンに収められます。『Dust 514』の戦闘は、世界共有の戦闘用サーバーで行われます。これらのサーバーのインフラはCCPのオペレーションチームによって構築されています。

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――PCとコンソールの連携はあまりないと思いますが、ふたつを繋ぐにあたって苦労した点は?

パターソン まず、技術的にゲームをいかにどう繋げるかという問題は、比較的容易に解決出来ました。より難しいのは、ふたつのゲームのバランスをうまく取り、両方とも楽しめるゲームにすることです。過去8年間で、『EVE Online』の世界は、政治的・社会的・経済的要素を持つ堅固な生態系を構築してきましあが、ここに『Dust 514』と繋がるために地上の様々な行動や惑星のコントロールなども加わるわけで、ゲームプレイのバランスがとても難しい。

スヴェンソン また、EVE Onlineのゲームプレイはペースがゆっくりですが、コンソールゲームはアクションが早いので、両方のプレイヤーが一緒にプレイ出来るようにするのもチャレンジでしたね。

●『Dust 514』によって広がるEVE宇宙

――ひとつの宇宙にふたつのゲーム。これは非常にユニークです。このプロジェクトのCCPとしての戦略を話してください。

パターソン CCPでは、製品による生態系を構築したいと思っています。さまざまなありようの異なる製品から入ることができる、ひとつの没入感ある宇宙を形成したいと考えているのです。これには、書籍、ボードゲーム、カードゲーム、PCゲーム、コンソールゲーム、 Webやモバイルのアプリケーションを含みます。『Eve Online』プレイヤーのSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)である『Eve Gate』と、大型アップデートの『Incarna』、そして『Dust 514』は一体となって、EVEの宇宙を広げ、既存/新規のプレイヤーいずれにも新たなレイヤーを加えます。10年以上まえ、それはまだ将来のビジョンでしかありませんでしたが、我々はついにそれを実現しようとしています。

――『Dust 514』のプレイヤーを雇う『Eve Online』のコーポレーションは、現在アクティブなものでどれぐらいいるか教えてもらえますか?

パターソン おおよそ40万人がコーポレーションに参加しています。しかしながら、コーポレーションはさまざまな活動を行っておりますので、彼らのうちどれぐらいが惑星戦争を望んでいるのかは予測しにくい。ですが、すべてでないにせよ、多くのコーポレーションは『Dust 514』の戦争によって直接的・間接的な影響を受けます。あなたの一発が巨大な宇宙帝国をぐらつかせるかもしれません。

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――実際、どう繋がるのでしょう?

スヴェンソン 両方のゲームのプレイヤーは同じコーポレーションに属し、メールやチャット、ボイス・チャットで交流しお互いを知ることが出来ます。そしてEVEのプレイヤーが『Dust 514』のプレイヤーと契約し、この惑星が欲しいので入手してほしいと指示するわけです。契約を受けたプレイヤーは他のプレイヤーを集めて攻撃します。コーポレーション同士の契約もありえます。「この惑星のこの部分が欲しい。これだけ払うので戦って欲しい」というオーダーを出し、他のコーポレーションと契約するのです。アライアンス(同盟)が出来ていて協力する場合もあります。逆に、傭兵が敵対するコーポレーションと手を組んでいて裏切られる可能性もあります。交流して信頼関係を作ることが大事ですね。傭兵を使ってコーポレーションそのものを倒すことはできないのですが、『Dust 514』が発売されると、コーポレーションが持つ惑星上の資産が攻撃対象となるので注意しなくてはなりません。そして重要なのは、ある惑星を完全制覇するには、必ず『Dust 514』の傭兵を使わなければならないということです。

パターソン これが我々のやりかたのよい例です。我々はツールや場を提供して、プレイヤーがやりたいことをやる。我々はプレイヤーが最も賢いやり方でプレイし、ゲームを面白くしてくれると信じています。これは『EVE Online』で我々が体験したことですが、自然に序列が出来ていくんですね。初心者は資源的にはあまり意味がなくても楽しければ戦いますが、上級者は経済的に得るものが大きい激戦地に出向くようになります。これによってバランスが取れるので、実際は上級者同士のマッチメーキングなどはそれほど必要なかったりします。

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――『Eve Online』は最近大型アップデートの『Incursion』を実装しました。『Incarna』や『Walking in Stations』も予告されています。これらのアップデートで何を目指すのか、そしてこれらのアップデートとDustの発表がどのように関係しているか教えてください。

パターソン 我々はここ数年、『Eve Online』にもっと人の顔が出てくるように準備してきました。我々が取り組んでいるソーシャルで政治的な取り組みがすべて効果を発揮することで、EVE宇宙がより大きなインパクトを持つものになります。プレイヤーがキャラクターとして宇宙ステーションで活動出来るようになるアップデート『Incarna』はビジュアル面の取り組みです。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の『Eve Gate』では、『EVE Online』のプレイヤーと『Dust 514』のプレイヤーが交流できます。いわばEVE宇宙のFacebookですね。そして『Dust 514』のアクション性が、より直感的で素早いものをEVEの世界に付け加えます。『Dust 514』のリリースには間に合いませんが、今後は両方のゲームのプレイヤーがスペースステーションで会って交流できるようになりますよ。

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――現在の『Dust 514』の開発の進行状況はどう表現できますか(たとえば%で)。

パターソン 本質的に、『Dust 514』のようなオンライン体験を持つゲームはこれまでにありません。さて、CCPとしましてはゲームのサービス開始はスタート地点であって、終わりではありません。ですから我々のようなオンラインゲームのデベロッパーにとって、出荷できるかということは考えますが、%で評価する文化はないのですよ。しかしながらコンソールゲームの世界はこういったモデルに慣れていませんから、我々はその中間に自分たちを持っていかないといけないでしょう。今年の終わりに予定しているプライベートなβテストが、我々がどこに立っているのかを示してくれると思います。我々が完成を決める全権を持っているわけではなく、プレイヤーの皆さんとの関係で決まるものです。彼らが我々とともに商業的なスタート地点を決めるのです。

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――『EVE Online』のローカライズはいかがでしょう?
パターソン チュートリアルは日本語になっています。それと日本のプレイヤーの皆さんがユーザーコミュニティーを形成していて、プレイ方法やマテリアルについて翻訳が提供されていますよ。

――日本のゲーマーとEVEプレイヤーにメッセージを残してください。
パターソン 『EVE Online』がスタートしてから、我々は小さいながらも成長しつづける日本のユーザーコミュニティーと関係を持ってきました。十分なプロモーションやローカライズがないにも関わらず、日本の方が自然に興味を持ってくれたということは、私たちをいつも元気づけてきました。さて我々は、日本からの反応にいま、『Dust 514』をローカライズして日本に投入すること、そして日本の皆さんに向けて近い将来、EVE宇宙をどう開拓していくかお話することでお応えしようと思っています。

"PlayStation" and the "PS" Family logo are registered trademarks and "PS3" is a trademark of Sony Computer Entertainment Inc.
DUST 514 (R) 2009-2011 CCP hf. All rights reserved. "DUST 514" and "CCP" logo are registered trademarks of CCP hf.

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