『Bioshock Infinite』最新デモリポート+インタビュー 革新的にして圧倒的、コイツはスゴいゲームだぜ!

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『バイオショック』シリーズ最新作『Bioshock Infinite』の最新デモを見てきた! 開発ディレクターのTim Gerritsen氏に本作の真髄を聞いたロングインタビューとまとめてお届けする。

●2012年最高のゲームのひとつは間違いなくここにある

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 2K GamesとIrrational Gamesが、米時間の2011年5月20日、サンタモニカで『Bioshock Infinite』のプレスイベントを開催した。まだ日本での発売は未定だが、アジアのメディアとして唯一このプレスイベントを取材することに成功したので、その模様をお届けする。

 『Bioshock(バイオショック)』は、海底都市ラプチャーを舞台にしたFPS(一人称視点シューティング)。遺伝子工学が異様に発達したもうひとつの1960年代という舞台設定や、巧みなストーリーテリング、さまざまな政治思想を持った人々が暴走した狂気に満ちた世界など、高いオリジナリティーで絶賛されたタイトルだ。

 しかし、オリジナルクリエイターのケン・レビン氏と、彼が率いるデベロッパーIrrational Gamesは、『バイオショック』完成後、『Bioshock 2』の開発には直接関わらず、本作の開発へと注力することになる。それはなぜか? 端的に言ってしまうと、彼らにとって、そして『バイオショック』というタイトルにとって重要なのは、ただストーリーや設定を継承した続編を生み出すことではなかったからだ。結果として我々が最新デモで目撃したのは、革新的で、圧倒的な没入感を誇る世界によって彩られた、新たな伝説。一切の写真撮影と音声記録を禁じられたデモルームで、ケン・レビン氏は新たなおもちゃを自慢したくてワクワクしている子供のように、かつ、自信たっぷりに、「去年本作をお見せしてから時間が経っているので、まずはおさらいからはじめよう……」と切り出した……。

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●新たな“もうひとつの進化を経た世界”

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 すでに何度かお伝えしているように、本作の舞台はこれまでのシリーズで登場してきた海底都市ラプチャーではなく、空中都市コロンビアとなっている。異常発達した科学によって20世紀初頭にアメリカ政府により建設され、偉大なアメリカの象徴として君臨してきたコロンビア。「しかし、物事はそううまくいかない」とレビン氏。義和団事件後の中国の混乱に関わる国際事件に巻き込まれ、コロンビアはアメリカを離れて雲の中へと消えたのだ。

 時間がしばらく経過し、プレイヤーはピンカートン探偵社の元エージェントであるブッカー・デウィットとしてコロンビアに降り立つことになる。彼はタフな人物だが、それが災いしてピンカートンもクビになり、しまいにはギャンブルの借金も抱えて、お先は真っ暗。そして債務と引き換えにコロンビア内の監獄に幽閉されているという少女エリザベスをニューヨークに連れ戻すという仕事を引き受けることになる。エリザベスのそばには彼女を守り続ける怪物“SONGBIRD”がおり、エリザベスを連れだそうとするブッカーから彼女を取り戻そうとする……。

 『バイオショック』のこれまでのシリーズでは、人々が次第に狂気へと向かっていく様子や、市民戦争の部分はほとんど描かれず、『2』のマルチプレイ部分で触れられている程度だった。レビン氏は『バイオショック』でプレイヤーがラプチャーにやってきた状況を「パーティーがすでに終わってしまった感じ」だと表現し、「『Bioshock Infinite』では、プレイヤーを闘争・紛争の真っ最中に放り込みたかった」と語る。

 コロンビアはZ.H.コムストックなる重要人物が率いる超国家主義集団“THE FOUNDERS”と、アナーキストの派閥“VOX POPULI”による闘争のさなかにある。キーとなるのが、エリザベスなのは、容易に想像がつく。THE FOUNDERSはエリザベスをふたたび塔に幽閉しようと考えており、VOX POPULIはエリザベスの死とコロンビアの破壊を目論んでいる。これにくわえSONGBIRDの存在があり、ブッカーとエリザベスの逃避行は困難を極めることになる。

 この少女のどこがそんなに重要なのか? 少なくとも、エリザベスはコロンビアにとってかなり特殊な人物だ。コロンビアには“TEAR”と呼ばれる特殊なスポットがあり、エリザベスのみがこれを使えるのだ。しかしながら、その力を完全にコントロールできるわけではない。エリザベスはTEARをうまく使うにはコムストックが手掛かりになると信じているのだが、もちろん話がそううまく行くことはないだろう。明らかにトラブルとなりそうな匂いがプンプンする。

 「オーケー? じゃあ、始めようか」レビン氏が舞台設定をひと通り説明し終わるとデモがスタートした。ブッカーはエリザベスと合流し、コムストックのもとへと向かおうとしている……。

●魅力的なヒーロー&ヒロイン

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 ブッカーとエリザベスは、うち捨てられた商店へとやってきて、さまざまなアイテムやお金を回収しながらあれこれと会話を交わす。メインキャラクターの自我が強く押し出されるようになったのは、本作の特徴的な部分だ。『バイオショック』のジャックや『2』の実験体デルタが過去のない謎の人物として登場し、さまざまな人々の思惑により、あれをしろ、これをしろと指示されていたのとは異なる。ブッカーはシニカルに軽口を叩き、エリザベスは目を話した隙に落ちていた被りものを身につけてリンカーンのフリを披露して遊ぶ。お互いいまだ語られざる過去はあるが、生き生きとしているのが印象的だ。

 だからこそ、ふたりの逃避行が真に迫ってくる。エリザベスを捜しにきたSONGBIRDを商店に隠れてやり過ごし、「あいつに(捜すのを)やめさせる」と誓うブッカーと、それはできないだろうと思いながらも「私を連れ戻させないで。約束して?」と願うエリザベス。単なる借金のカタの仕事のはずが、まるで恋人のように見えてくるのだ。

 エリザベスは心優しい。傷つき、震えながらゆっくりと死のうとしている馬に遭遇し、そばで子守歌を歌って最期の時を少しでも落ち着けてやろうとする。しかし、ブッカーの考えは、トドメを刺してあの世に送ってやること(選択肢が表示され、ボタンを押して実行するかそのままにするかを問われる。デモではトドメを刺すことを選んだ)。引き金を引こうとしたとき、エリザベスはTEARを発見し、馬を回復しようと全力を振り絞ってTEARを発動させる。一瞬馬やしおれた草木が復活するも、途中で閉じてしまい失敗。もう一度……するとそこには、ラジオからポップスが鳴り響き、ネオンが光る現代の路地が! 夜道を爆走してくる救急車を前に、あわてて全力でTEARを閉じるエリザベス。ふたたび馬は崩れ落ち、大いなる謎と無力感だけが残る。エリザベスはいったい何を呼び出してしまったのか。TEARは4次元と繋がっているのか?

●ふたつの勢力と混乱するコロンビア

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 今回のデモでは、THE FOUNDERSとVOX POPULIの対立が中心に描かれていた。ブッカーとエリザベスは、「おまえの命も、お前の妻も俺たちのものだ!」と叫びながら暴れまわるVOX POPULIの面々を目撃する。極右のTHE FOUNDERSと極左のVOX POPULIの抗争。『バイオショック』で見られたような、ショッキングなことそのものを描かずに、間接的に何が起こったか伝えることでより印象的にするテクニックは健在だ。近隣のマンションの最上階から紙幣が大量に降ってくる様子は美しいが、恐らく部屋のなかではおぞましい略奪が行われているのだろう。別の建物には壁一面に真っ赤なプロパガンダ映像が投影され、巨大な女の顔が「鏡を見なさい。男の顔が見える? 自分に語りかけるのよ、それは男の目だと」と、謎めいた言葉をつぶやいている。

 そして広場にたどり着くと、ある男が公開処刑されようとしている。止めるか、そのままにするか? 開発スタッフは止めることを選んだ。そして大量のVOX POPULI構成員たちとの戦闘へ! ここで重要なのがTEARだ。TEARにはさまざまなものがまるで別次元にあるかのように“収納”されており、ブッカーはエリザベスに命令してTEARから物体を呼び出してもらうことができる。たとえば、大きな荷車を呼び出せば身を隠す障害物にできる。TEARのある場所には対象物がもやのようにうっすら浮かび上がっており、ボタンひとつで発動していた。

●より複雑かつ大規模な戦闘へ

 ブッカーが利用できるものには、手持ちの武器とエリザベスのTEAR以外にも、シリーズを象徴する特殊能力“プラスミド”と似た“ビガー(Vigor、活力剤)”もある。デモプレイでは、敵の集団を浮かせるビガーをブッカーが発動したところで、エリザベスが“スカイライン(SKY-LINE)”の貨車を呼び出して走らせ、軌道上の敵を一網打尽にするというコンボも見られた。

 スカイラインは本作にとって非常に重要な要素だ。メカニズムとしては、空中都市コロンビアの浮島どうしをつなぐレールで、輸送や移動手段として用いられており、プレイヤーや敵キャラクターは、手持ちのフックをかけてスカイラインに乗り、自由に降りることができる。

 これはじつに爽快だ。レールに飛び乗りジェットコースターばりの上下動をくり返し、飛び降りてショットガンを一閃、ふたたびレールに飛び乗ってつぎの島へ……。レールからレールに飛び移ることもできる。そして、これはじつに革新的だ。ある建物のあるエリアに侵入して、敵を倒し、つぎのエリアに……という、FPSのシングルプレイでよく見かけるリニア(直線的)なゲームプレイから解放されているのだ。概念的には浮島の一群が小さなオープンワールドを形成しているというのに近い。どうにも敵が多ければスカイラインに乗って飛び回って倒せそうなヤツから狙ったり、TEARで戦略的に戦えそうな場所を探せばいいのだ。

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 つぎつぎとスカイラインで集まり、カッ飛んでくるVOX POPULIの群れ。しまいには巨大な飛行船からバカスカとロケットが飛んでくる。デモではロケットランチャーのTEARSを呼びだそうとしたが、エリザベスの力が回復しておらずに断念。スカイラインをつぎつぎと乗り替えながら飛行船へと迫っていく。スリルは満点、落ちたら下には何もない! そうして最後に追いついてタラップに飛び込み、船員たちを倒して、船を破壊する。警報とともに崩壊する飛行船から一気に飛び降りると……そこにはスカイラインが! 無事に着地してエリザベスと再開し、今度こそコムストックのもとへと向かおうとすると、SONGBIRDの急襲を受けてブッカーが昏倒してしまう。ブッカーを殺そうとするSONGBIRDを「ごめんなさい!(I'm Sorry!)」と、泣きそうな声で止めるエリザベス。SONGBIRDはどうやら彼女の言葉を理解しているらしい。躊躇したSONGBIRDにエリザベスが「つれていってちょうだい(Take Me Home)」と諦めの声で告げ、SONGBIRDがエリザベスとともに飛び去る……というところで今回はおしまい。

 デモルームには自然と拍手が巻き起こった。本作が『バイオショック』と同様、もしくはそれ以上の衝撃をもたらす大作となるのは間違いないのではないだろうか。「どうだい? もう一度見せてもいいが」とレビン氏が続けると、何とその場にいた全員がもう一度デモを見ることを選択したのだから。同席したある記者の発言を借りれば「こりゃ何度でも見たいぜ」ってなもんである。

●『バイオショック』であるために真に必要なことは?

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 開発ディレクターのTim Gerritsen氏に話を聞く機会も得たので、インタビューをお届けする。

――すばらしいデモでした。まず気がついたのは、『バイオショック』にくらべてキャラクターの個性が凄く強いということです。
Tim そうですね、その通りです。今回は物事に変化をつけています。オリジナルの『バイオショック』では、プレイヤーは名無しで個性のない人間でしたが、今回は元ピンカートン社のエージェントだったブッカーという具体的なキャラクターの目を通して物語を語りたかったのです。
 そして、物語的にも『バイオショック』となにかまったく違うものをやりたかった。『バイオショック』では、プレイヤーは孤独な体験をしていました。もうすでに何か決定的なことが起こった後の場所を歩き回り、惨事の痕跡を見ていました。それはとても孤独な体験です。プレイヤーは、かつて記録されたいくつものメッセージを聞きます。けれども、すべては事後の体験でした。
 今回はプレイヤーに大きな出来事の中にいてもらいたいと思います。すべてのイベントはリアルタイムに、プレイヤーの周りで起こっています。パートナーであるエリザベスとともに、いまそこにある危機を体験するのです。

――開発チームで『バイオショック』を振り返って、よかったところと、改善すべきところはどこだと考えましたか?
Tim もちろん、改善したかったところは沢山ありました。私達は自分達にとても批判的です。たとえば、戦闘はそれほど優れていなかったと思います。結局は、ショットガンか強力なボルト(矢)でゴリゴリと進めていく感じでした。もっといろいろな戦略を混ぜなければいけないように作りたかったんです。
 だから今回は、プレイヤーに戦略的に戦ってもらえるように設定しています。プレイヤーは自分のまわりのさまざまな要素をすべて考慮しなければなりません。人間がもっといます、規模も大きくなっています。もう、「目の前のふたりはショットガンで片付けておくか」というように簡単にはいきません。なぜならプレイヤーの周りにはたくさん人がいるからです。どうやってこの群集を相手しながら、自分の目的を遂行するかを考えなければなりません。
 それと今回はリアルタイムで事件が進行していくことから、物語的にどのようなアプローチをするかという点も大きな挑戦です。先ほども言いましたように、『バイオショック』はとても孤独なものでした。そこで出来たことには満足していますが、私達はつねに自分たちにチャレンジし続け、次に続くものを構築していきたいんです。
 最初のデモでは皆さんにはまったく新しい世界、空中都市コロンビアをお見せしました。今回はこの世界がどのように機能しているか、エリザベスとブッカーの交流、そして最初にヒントを出していたふたつのメカニズム、スカイラインとTearを見せています。これだから楽しいんだ、これだから私達が興奮しているんだというのが伝わりましたでしょうか?

――はい、とても! これは何回も聞かれていると思いますが、ラプチャーのことは一度忘れたほうがいいんですね?
Tim そうですね、そうしてもらっても構いません。

――では逆に、初代『バイオショック』と共通すること、『バイオショック』というIPにとって重要なことは何でしょう?
Tim 本作の開発がスタートしたとき、『バイオショック』を形作っていたものすべてを投げ捨てました。“バイオショック体験の一部として受け継がれなければいけない項目のリスト”はまったくありませんでしたが、『バイオショック』特有のものがあることは感じていました。それは世界の構造です。現実感があり、存在する意味のある世界。あるいは思想の違う派閥と、そのお互いの関係。『バイオショック』を分析して、物語的に新たな挑戦をするには何ができるかを考えました。今回はどこを探検したいか、なにで遊んでみようか? そして、ゲームのメカニズムではストーリーと戦闘がうまく融合していなかったのも何とかしたい。今度は戦闘をより意味のあるものに創りたかった。
 スタジオとしては、歴史や文化、科学など、ゲーム中に描いてクリエイターが遊べるさまざまなテーマに興奮します。本作では、1893年に開催されたシカゴ博覧会のアイデアを盛り込んでいます。“ホワイトシティー”と呼ばれるパビリオン群で、世界中から最高の科学を取り入れた最新テクノロジーが発表されました。アメリカに世界の技術の粋が集結する。この時期はすばらしい活力とダイナズムがあり、まだ第一次世界大戦も起こっていません。人々はテクノロジーがすべてを改善すると考えていたのです。さぁ、どんなふうに世界を変えようか? 
 でも、その裏面は実感していなかったのです。幸福感に満ちた、古い王朝時代の終わりと言えるでしょう。史実ではその後、デモクラシーと(技術が悪い方向に働いた)誰も考えつかなかった社会がやってくるわけです。この事実にスタジオが興奮しました。
 最初のテーマは「シカゴ博覧会のアイデアを全部やろう!」ということです。もしあなたが行くのではなく、空中の博覧会があなたのところにやってくるのなら? そこで空中都市というアイデアが浮かび、すべてのアイデアがそこから出始めました。そして最初のデモができて、これこそが私達の作りたかったものだと確信しました。デモをやるたびに、自分たちで見直すんです。どうやってこのゲームを創っていくか、どの要素は楽しくて、注目するべきもので、何の要素がそうじゃなくて、いらないものか。本作はいまも進化しているゲームなんですよ。

――ゲーム中に勢力の思想背景として、ある種の政治思想、たとえば『バイオショック』だったらアイン・ランドの客観主義、今回だとアメリカの自国例外主義や、ナショナリズム、アナーキズムが入ってくるのはなぜですか?
Tim  ひとつのグループが立ち上がれば、敵対するグループが立ち上がり、そしてお互い反発していくうちに結局崩壊の道をたどってしまう。これは時代を超えたテーマですよね。本作には、ゲームの舞台である1912年ごろのテーマが沢山ゲームに盛り込まれています。たくさんの真新しい理想主義があり、コミュニズムもデモクラシーも新しかった。そういったアイデアがどろどろに溶けて混ざり合っている状況、これは私達がもっとも興味を持っているものです。それと、当時の科学や物理学も参考にしています。ハイゼンベルグやアインシュタインの研究。最初考えられていた物理学とは現実は異なり、世界も彼らが思っていたものとは違っていた。
 「わー、当時、世界で何が起こっていたんだろう?」ということに目をむけると、私達にとってとてもエキサイティングなすばらしい物語がたくさんあるんですよね。どうやってこれらのコンセプトをゲームに盛り込んでいけるか? どうやってプレイヤーのあなたに、この実現しなかった世界を現実的に見せることができるか? 私たちはそういったことを考えています。
 ある見解に縛られてしまうのは、むしろ避けたいことなんです。だから「これが我々の政治的思想なので、ゲームに盛り込みます」というアプローチはしていません。そうではなくて、プレイヤーはただの人間で、使命を果たそうとしているだけです。忘れて欲しくないのは、周囲ではクレイジーですばらしいものごとが起こっていますが、あくまで、ただ女の子を助けようとしているあなた自身がすべてなんです。

――『バイオショック』のすばらしく良かったこととして、住人のスプライサーたちが生態系を形成して生きていたことが挙げられます。デモではVOX POPULIと最初に遭遇したときは戦いませんでしたが、あそこで攻撃できたのでしょうか?
Tim もちろん。実際もしマーケットに出かけても人はあなたを殺そうとはしないし、あなたは反社会的でもないですよね。周囲の人をいきなり撃ったりしません。我々はプレイヤーに対して、ただ撃たずに様子を伺うほうがいいという機会を作り出したかったんです。確かに、ブッカーはただピストルを出して皆を撃つこともできます。そうすると、縮こまるひともいる、逃げ出す人もいる、撃ち返してくる人もいるでしょう。この世界では皆を殺してしまうような反社会的なプレイもできるんです。けれども、もしそうしなければ、もっと深い世界に出会える、そしてすべての行動には結果がともなうということを見ることができるでしょう。

――スカイラインを乗り換えて飛び回るのは最高でした。しかし、あまりに自由すぎて、本当にこんなことができるのかと疑問に思いました。デモで開発スタッフがとったルートと違う方法をとっても、問題なくゲームプレイが続いてクリアできるのでしょうか?
Tim もちろんです。私達が作ったスカイラインは遊園地です。上にいったりぐるっと回ったり、すべての場所にはりめぐされています。ですから違うルートも使えるし、違うアクションも可能です。プレイヤーとしてのあなたしだいなんです。たくさんのVOX POPULIとゼプラン(飛行船)を相手にしていたとき、もしエリザベスが力を使いきらずにロケットランチャーのTearを呼べたら、ブッカーのいた場所からゼプランを撃てたでしょう。でもあのシーンでは実際エリザベスはVOXと戦っているあいだに力を使い果たしていた。だからその代わりにスカイラインに乗って上へ上へと進み、内部からゼプランを爆破しようとしたわけです。どうゼプランに迫るかも自由です。私達は「プレイヤーには、あれをしてつぎはこれをして……という細かい指示はしないで、オプションを与えてプレイヤーがやりたいようにプレイさせよう」と考えたわけです。スカイラインを使って、出来る限りの可能性がつまったスペースを作り出すことができました。

――まとめとして、ブッカーは武器とビガー、Tear、そしてスカイラインを使って戦うということですよね。
Tim では、ひとつづつ答えさせてください。まず、ブッカーはスカイフックという、スカイラインに取り付けられるフックを持っています。これは結構がっちりしているので、近接武器にもなります。
 そしてビガーですね。『バイオショック』のプラスミドのようなものです。ビガーは昔の売薬からアイデアを得ました。世紀の変わり目にはいろんな種類の新しい薬がありました。時にはただの水だったり、時には害があるものだったり、時にはコカインのような麻薬でした。ビガーはありふれた目的がベースになっています。たとえば棚から何かを持ち上げる。そんなビガーが人を浮かせる能力になります。マーダーオブクロウといわれるものは、鳥のグループを集める能力があり、短時間人々を混乱させることができる。このようなアイデアはすべて当時の売薬がベースになっています。
 さて、Tearについて聞かれましたが、厳密にはブッカーのものではありません。エリザベスだけがそれを使いこなせるのです。彼女にとっては一度オンにしてしまうと、オフにすることが難しいのです。馬のシーンでは、大きくやりすぎ、全身の力を使ってぎりぎりで閉じていましたね。戦闘の最中、彼女はブッカーに「ねえ、いろいろ見えるわ、何が欲しい?」とききます。身を隠すものや、武器の入った箱、出入り口のTearが見えます。出入り口は逃げることができる。武器は戦闘に役に立つ。しかし、彼女は一度にひとつずつしか操れない。いくつものTearがまわりに見えますが、いつ何を使いたいか、そのときには使わないで何分後かに使うのかを決めなければなりません。彼女の能力はいずれ拡大し、ある程度まで伸びていけば、たぶん一度にひとつ以上のTearを操ることができるかもしれない。けれどそうなったころには、チャレンジももっと難しくなるでしょう。 さて、今お見せしてるのはそれだけです……。

――初代『バイオショック』は音声が日本語化されていて評判が良かったです。英語音声で日本語字幕という選択肢もありますが、こちらでアナウンスがあってあちらでキャラクターがしゃべっているときは、どちらか一つしか字幕がよめない。こういった世界観がすばらしいタイトルでは日本語吹き替えがハマることがありますが、あなたの意見としてはいかがですか?
Tim ということは、本作を日本で見たいということですよね。えぇと……このゲームは日本でもやがて発売されるでしょう。ただ、どうやって発売するかはまだ決めていません。字幕になるのか、日本語で吹き替えするのか? それは社内で話し合っているところです。残念ですがまだはっきりとはいえません。ただ、いまのフィードバックは考慮にいれなくてはなりませんね。

――もうひとつ、たぶん「まだ話す時期ではない」と言われると思いますが、初代『バイオショック』は、マルチプレイ対戦がなくても成功したゲームですね。これはすばらしいことだと思います。『バイオショック2』のマルチプレイはユニークでしたが、あまりベストではなかった。今回はどうでしょうか。
Tim 『バイオショック2』に私達は関わっていませんが、私達は、ケン(・レビン氏)も話しているように、いつもマルチプレイヤーに注目しています。コンセプトの実験はいつも行っています。ですが、やるとすれば、市場でも特にユニークものを表現できる場合だけです。ただのデスマッチや旗取りゲームのような単純なゲームでは考えません。それをやってしまうと私達ではなくなってしまうんです。はっきり言うと、そういうゲームをプレイしたい人は『コール オブ デューティー』とか、『Halo』とかをプレイするでしょう。
 くり返したいのは、だからといって、はい、やります。やりませんという話ではないということです。洗練された可能性を望むシングルプレイヤー体験と同様に、ユニークで史上最強のマルチプレイヤーだと感じられる時だけやるでしょうね。

――最後に、日本で本作の発売はまだ決まっていませんが、最初のデモ映像を見て「これは凄い」と期待しているファンにメッセージをお願いします。
Tim 日本は私達が強く興味を持っている市場です。日本の市場で私達の存在を育てたい。だからこのタイトルは必ず日本でリリースされます。世界の市場と同時に日本にリリースできればいいなと思っています。待っていてくださる人がいるのは嬉しいですね。会社としても、日本のファンとしても、日本のプレイヤーにすぐに届けたいですね。

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