グリーで再始動した元・家庭用ゲーム制作のトップクリエイター・土田俊郎氏に聞く!

GREE インタビュー ゲーム ソーシャルアプリ
日本を代表するソーシャル・ネットワーキング・サービス“GREE”を運営するグリー。この春、同社に日本の家庭用ゲーム制作におけるトップクリエイターのひとり、土田俊郎氏が入社した。その経緯やグリーへの印象、今後について土田氏に聞いた。

●家庭用ゲーム制作のトップクリエイターがソーシャルゲームの世界へ

 日本を代表するソーシャル・ネットワーキング・サービス“GREE(グリー)”。2500万人を超える会員数を誇り、コミュニティー、ブログを始めとした強力なコンテンツを背景に、いまもなお成長を続けている。そして、グリーが日本で先鞭をつけた"ソーシャルゲーム"は、昨年その市場を大きく広げ、いまやゲーム業界にとっても目の離せない存在になっている。そんな中、日本の家庭用ゲーム制作におけるトップクリエイターのひとり、土田俊郎氏のグリー入社、というニュースが飛び込んできた。これまで、家庭用ゲーム機の分野で20年以上にわたり、『フロントミッション』や『アーク ザ ラッド』といった大ヒット作品を手掛けてきた土田氏が、グリー入社へと至った理由や入社後の印象、そして今後の目標について、週刊ファミ通2011年5月26日号で掲載したインタビューからお届けする。

01

グリー株式会社
ソーシャルアプリケーション事業本部
エグゼグティブディレクター
土田俊郎(つちだ・としろう)氏

1964年生まれ。家庭用ゲーム機で数々の名作を世に送り出してきたゲームクリエイター。2011年3月、グリーに入社した。

●グリーの経営手法に興味を引かれた

――長年、家庭用ゲーム業界で活躍されていた土田さんがグリーに入社されたのは、どういった経緯があったからなのでしょうか?
土田 きっかけとなったのは、昨年のCEDEC 2010(※1)で、田中(※2)の講演を聞いたことです。グリーが、ファクトベース(※3)でゲームデザインやソーシャルゲーム運営をしているところに、興味を持ちました。

――具体的にどういったところに興味を引かれたのでしょう?
土田 僕はグリーに入る前から、人に勧められて『釣り★スタ』などのソーシャルゲームにハマっていました。プレイヤーどうしが協力する、ネットワークの仕組みに感心していたんです。お互いがメリットを感じながら協力をして、「ゲームを有利に進めるために課金しよう」と思わせる自然な流れができていると感じました。

――それでグリーの門を叩いたわけですね?
土田 僕のような人間に対してニーズがあるかわからなかったので、とりあえず面談だけでもしてもらおうと思いました。どんな風に仕事をしているのか、どういった人間が求められているのかをまず知りたかったんです。それで、Web応募したんですよ。

――えっ、一般応募で?
土田 そうなんですよ。実績のところだけ、アピールのためちょっと長めに書きましたが(笑)。

※1 日本最大のゲーム開発者向け講演会。2011年度は9月6日〜9月8日にパシフィコ横浜で開催予定。
※2 GREEを運営する、グリー株式会社の代表取締役社長、田中良和(たなかよしかず)氏。
※3 想像や憶測ではなく、事実に基づいて考えること。

●長年のゲーム制作でのノウハウを伝えたい

02

――土田さんの業界歴は、いつごろから始まったのでしょうか?
土田 PCエンジンが発売されたばかりのころですね。最初はメサイヤという会社で29歳まで働いて、独立してジークラフトという会社を作りました。そこで『アーク ザ ラッド』や『フロントミッション』などを制作し、その後スクウェア(現スクウェア・エニックス)に入りました。早いもので、家庭用ゲーム業界では20年以上過ごしていたことになりますね。

――その間、おもにどのような仕事をされてきたのですか?
土田 最初はプログラマーでしたが、すぐにディレクター兼プロデューサーのような形で、制作管理をするようになりました。

――当時は、ひとりで何でもこなしている方が多かったですよね。
土田 そうですね。そのあと、ジークラフトを作ってからは経営のほうにシフトしていったんですよ。どちらかというと、ゲームのおもしろさよりも納期通りに作れるのか、といったことばかり気にするようになっていました。でも、本当は制作を担当したかったということもあって、スクウェアには現場のディレクターという形で入ることになったんです。

――プログラマーから経営まで、さまざまな業務を経験して来られて、そのうえでグリーに入られた。それはやはり、ディレクターとしてゲームを作りたいということが大きかったのでしょうか?
土田 自分自身はもちろんですが、それだけではなく開発組織だとか、その組織が作るゲームをなるべくいいものにしたいと考えています。若いころはつぎからつぎへとゲームを作れと言われて、嫌というほど作らされたのですが、いま思うとあらゆる業務のノウハウを得られたことが宝になっているんですよね。家庭用ゲーム業界では、開発期間が長くなり、若い人が短期間にいろいろな経験を積めず、人材が育ちづらいという現状があります。その反省も込めて、ここでは組織全体も見ていきたいと考えているんですよ。

――作る側から、育てる側に回りたいということですか?
土田 そういう気持ちもあるということです。グリーは新しい仕組みで動いている会社ですが、そこに僕のノウハウをミックスして、いいコンテンツを作れる若い人をサポートしたいと思っています。

●情報のオープン化が思い切った施策を生む

――Web応募した後、面談ではどのような話をされましたか?
土田 応募したら、副社長と事業部長がいきなり出てきてくれて、腹を割って話をすることができました。とにかくフットワークが軽いのと、あらゆる物事がオープンなことに驚きましたね。

――面談をされた後で、グリーという会社へのイメージに変化はありましたか?
土田 会社に対しての印象は変わりませんが、やはり自分はお客さんとのあいだにずいぶんと距離ができてしまっていたんだなぁ、と感じました。ソーシャルゲームは開発期間も短くて、お客さんの反応もダイレクトに数字で出てくる。それだけ開発者とお客さんの距離感が近いならば、また開発の現場でがんばってみたいな、という気持ちになりました。

――実際に入社されて、その感覚は思った通りでしたか?
土田 想像以上にさまざまな物事が早く動いている、という印象です。また、社内では情報がオープンで度合も想像以上でした。現場の人間も、開発費やお客さんの反応などの数字が見られるようになっていて、そのおかげで全員が数字に対する意識が高いのです。どうすればお客さんに遊んでもらえるのか、毎日数字を見て考えながら仕事をしているんですよ。

――だからこそ、プロジェクトの途中でも方向修正がしやすいし、動きも早いのですね。
土田 「これは間違っていた」という判断をしても、「誰が悪い」ではなく、「だからつぎはこうすればうまくいくよね」という方向に話が進むんです。それで、結果が出ることに恐怖も感じず、思い切った施策ができるんだと思います。

――今後はどういった分野に携わっていかれるのでしょうか。
土田 ゆくゆくは、ゲーム的なサービスの企画や制作に、全般的に関わっていきたいと考えています。現在は『モンプラ』のプロジェクトに関わらせてもらっています。このプロジェクトを通して、グリーによるゲームやシステムの作りかた、ソーシャルゲームのノウハウを学んでいる最中です。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
土田 もし、家庭用ゲームとソーシャルゲームはちょっと違うから、ソーシャルゲームはあまり遊んでないという方がいらっしゃるとしたら、ぜひ体験してほしいですね。社会現象になるような“ビッグタイトル”に数えられるものは、やはりまだ家庭用ゲームのほうが多いと思うのですが、徐々にソーシャルゲームからも話題の作品が生まれています。ぜひ、そちらにも注目していただきたいですね。

――ご自身が手掛ける作品も登場するわけですよね?
土田 そうですね。若いクリエイターといっしょに、ぜひそういう作品を提供したいと思っています。

03

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