【動画あり】『バイオ ハザード』シリーズ期待の2作品に迫る【CAPTIVATE 2011】

ゲーム プレイステーション3 Xbox 360 インタビュー ニンテンドー3DS
カプコンのプライベートイベント“CAPTIVATE 2011”で、カプコンの川田将央プロデューサーによる『バイオハザード ザ・マーセナリーズ 3D』と『バイオハザード オペレーションラクーンシティ』のプレゼンテーションが展開。

●『バイオ』の新たな方向性を示唆する2作品

 2011年4月6日〜7日、アメリカ有数のリゾート地・マイアミで、カプコンのプライベートイベント“CAPTIVATE 2011”が開催された。カプコンが毎年行っているこのイベントでは、欧米のメディア向けに数々の新作タイトルのプレゼンテーションが実施される。全世界をターゲットにタイトルを開発しているカプコンならではの本イベントに、ファミ通.comが日本のメディアとして単独取材を慣行! その模様をリポートする。

バイオハザード ザ・マーセナリーズ 3D』と『バイオハザード オペレーションラクーンシティ』は、川田将央プロデューサーによるプレゼンテーションが展開。『バイオハザード ザ・マーセナリーズ 3D』はまず、プロモーションムービーで登場キャラ、装備品、スキルなどを説明。「本作は『バイオ』の世界で、スコアアタックを狙う純粋なアクションゲーム。ニンテンドー3DSという新ハードで、新しい遊びを提供していきたい」と川田氏が語った後、動画や実機でのプレイを交えて、CO-OPプレイ(協力プレイ)やキャラのスキルについて解説されていった。実際にその映像を観たところ、移動しながらの攻撃などが可能になったため、従来の『バイオ』シリーズよりもスピーディーな印象。武器の交換やアイテムの使用なども、タッチパネルとの相性がよさそうだった。なお、本作の製品版には『バイオハザード リベレーションズ』の体験版が同梱されているとのこと。こちらと併せて、発売を楽しみにしたいところである。

バイオハザード オペレーションラクーンシティ』のほうは、「『バイオ』シリーズの中でも変わったタイトル。ホラーという醍醐味はあるけれど、いままでのシリーズになかったTPS(3人称視点シューティング)として仕上がっています」とコメント。アンブレラの視点に沿ってシナリオが描かれており、ダークなイメージが強いのが特徴とのことだ。キーワードもズバリ、“Kill Leon(レオンを殺せ)”と、じつに興味深い。実際、続けて公開されたプロモーションムービーの中で、シリーズの主人公であったレオンが絶体絶命の危機のシーンも垣間見ることができた。

 その後は実機プレイによる紹介で、プレイヤーはアンブレラ社の特殊部隊(U.S.S.)の4種類のキャラの中からひとりを選択。各キャラは異なるタイプの特殊能力を持つため、それぞれ違った戦いかたが楽しめるようだ。また、体術による攻撃や、ゾンビを盾にした戦術などが可能で、アクション要素も豊富。ダメージが蓄積すると、血に反応したゾンビが激しく襲い掛かってくるという仕様も確認できた。続いてさらに、マルチ(対戦)プレイを実演。敵対する相手チーム以外に、ゾンビやハンターなども登場し、混沌とした『バイオ』の世界を存分に満喫できそうな印象を受けた。なお、1度倒れるとキャラの種類やスキル、武器などを変更できるようだ。

 最後に川田氏は、『バイオ』というIPを活かし、TPSで新たな世界観のおもしろい作品を作ることを約束。メディアの熱気に包まれつつ、プレゼンは終了となった。

●それぞれの作品について、開発者にインタビュー!

▲竹中アシスタントプロデューサー(左)、井上ディレクター(中央)、川田プロデューサー(右)。

――まずは『バイオハザード ザ・マーセナリーズ 3D』(以下、『マーセ』)についてお聞きします。CAPTIVATEのような海外メディア向けの発表会で、反応はどうでしたか?
川田 思っていたよりも反応がいいなと。最近、Webとか見ても反応がよくなってきていると思いますし、風が吹いているのかなと。

井上和久ディレクター(以下、井上) “マーセナリーズ”はもともとボーナスコンテンツだったし、海外の反応がどうなるか気になっていたんですけど、プロモーションムービーを見せたらみんな「ヒャッホー!」みたいな反応があって(笑)。

――なるほど。日本より海外のほうが、手ごたえがあった感じですか?
川田 日本ではまだ実機体験会を行っていないのですが、海外ではすでに行っているからなんですけど。オランダやニューヨークでは『マーセ』の体験会をすでに行っていて、いい反応はいただいていたなあと思います。

――意見としては、具体的にどのようなものがあったのでしょう?
川田 映像の美麗さには賞賛をいただいてます。あと「シナリオはないんですか?」と聞かれることがありました。残念ながら、本作にシナリオの要素はないのですが、その分アクションゲームとしてたっぶり楽しめるように制作しています。アクション好きな方に、ぜひ遊んでほしいですね。

――今回は銃を撃ちながら走れるような、『バイオ』として大きい変化があったと思うんですけど、どういう経緯で仕様を変えたのでしょうか?
川田 『バイオ』はこういうものだ! という風に決めつけなかったんですよ、今回は。『マーセ』というゲームの適性を考えると、そういう仕様のほうがいいと考えたわけで。(隣りの井上氏を指しながら)彼は、あまりプレッシャーも感じずにシステムを変えてくれましたよ(笑)。

井上 いやいや(笑)。けっこうドキドキしましたよ。やっぱり、止まって撃つというシステムならではのよさもあるワケで。でも、もっとアクティブにと考えたら、殴られながらでも前に進めるようにしようと思ったのがきっかけです。

竹中司アシスタントプロデューサー(以下、竹中) 銃を構えたときに動けなければ、敵との間合いを恐怖感として演出できるのですが、本作はホラー作品じゃないですからね。あくまでサバイバルホラーではなく、サバイバルアクションという位置付けなんです。

井上 ただね、アクティブがゆえに、うっかり武器を構えた敵のマジニのすぐ近くにいることもあって、ビクッとさせられるんです。3Dなので、余計に驚くというか。そのときの様子を隣りのスタッフに見られて笑われたり(笑)。

――では、ニンテンドー3DSという携帯機のゲームであることに対して、海外の意見はどうですか? 海外のユーザーはスペックの高さを気にするから、据え置き機と比べられたりするのでは、と思いまして。
川田 いまってハードの表現能力が上がって、かなりリアルな描写が可能じゃないですか。他社のFPS(一人称視点シューティング)によっては、シミュレーターに近いような。そういうなかで、よくも悪くもある意味ゲームらしい、昔ながらの楽しいゲームを制作できているんじゃないかと。

井上 ニンテンドー3DSという新しい携帯機の中では、一歩先に進んだグラフィックになっている自信はあります。海外でも、据え置き機との比較はひとまず置いておいて、そこを好意的に捉えられている印象ですね。「けっこうクオリティーが高くね?」と言われてニヤニヤしちゃいました(笑)。

――最後になりますが、本作を楽しみにしている方々にひと言お願いします。
井上 今回、『マーセ』が単独で商品になるに際し、遊べる要素をふんだんに用意しました。スタッフも、全ステージ最高評価のクリアーになるまでやり込んで調整しています。ぜひ、皆さんにも遊び尽くしてほしいと思います。

川田 音楽をオーケストラ収録することがあったんですが、あまりにもそのデキがよかったので、「ゲーム中にもっと入れたい!」と井上が言い出したんです。本当はマスターアップまで時間がなかったけれど、いつもは手堅い仕事をする井上がそんな無茶を言うぐらいだから、心意気に打たれてふたつ返事でオーケーしました。

井上 嘘でしょ!(笑) 聞かなかったことにするって言ったじゃないですか!(笑)

川田 (笑)。まあ、彼なら間に合うと思ったんですけど、プロデューサーという立場上、そんな時間のない時期に「いいよ」とは簡単に言えなくて。「聞いてないことにするからいいよ」ってことにしました(笑)。

竹中 「なんか本当に(その音楽を)入れようとしていますけど、大丈夫ですか?」って聞きましたよ。そしたら(川田氏が)「ええんちゃう?」と答えて(笑)。

川田 まあ、それぐらいギリギリのところまでクオリティーアップを図っていたことを汲んでいただき、ぜひプレイしてもらいたいですね。

竹中 “マーセナリーズ”というゲームは、これまでずっと遊ばれてきたものなので、ゲーム性自体はお墨付きだと思っています。今回とくに実感していただきたいのは、携帯機であそこまでのクオリティーを出せるMTフレームワークエンジンの力です。本作を遊んでもらえれば、今後カプコンが出すニンテンドー3DSタイトルも期待していただけるでしょう。ぜひよろしくお願いします!

▲瀬戸ディレクター(左)と川田プロデューサー(右)。

――では、今度は『バイオハザード オペレーションラクーンシティ』についてお聞きします。こちらについては、海外メディアの方はどう受け止めていましたか?
川田 初リリースしたときは賛否両論だったので、ちょっと心配だったのですが、今回ちゃんとプレゼンさせてもらい、かなりいい反応をいただけたと思います。

瀬戸康洋ディレクター(以下、瀬戸) プレイされた方の声を聞くと「おもしろいよ!」と言ってくれまして。 日本と海外との合作ということもあり、ここアメリカで少しでもいい評判を聞けたのはうれしく思っています。

――実際、プレイされた方はどういうところを気にしていらっしゃいましたか?
川田 海外で質問されるパターンは決まっていました。「なぜ操作方法を変えたのか?」という点と、CO-OP(協力)プレイとマルチ(対戦)プレイとの違いなど、だいたいゲームシステムのことですね。悪者のアンブレラ社側を主役にしたことに対しては、すんなり受け入れられていたようで、「なぜレオンを殺すのか?」という意見はありませんでした。そういう意味では、すごく純粋にゲームとして見てもらえているかと。ゾンビをただ全滅させるだけでなく、彼らを利用して戦うゲーム性もポジティブに受け止められていました。

――アンブレラ社側の視点で描かれるストーリーというのが気になりますね。
川田 『バイオ2』のラクーンシティの世界を裏から見るために、アンブレラ社側の視点で組み立てていきましょう、というのが本作のメインテーマなんです。

瀬戸 正直、この世界の話は出し尽くしたと思っていたのですが、悪の側面から描くということになって、もうひと作品はできるなと。

川田 べつにラクーンシティをしゃぶり尽くそうと思っているわけではないんですけど、やはりユーザーの皆さんに愛されている街だと思うので。そういう意味では作品に利用させてもらっていますし、これを利用した新しい提案もできるのではないかと思います。

――裏側から見たラクーンシティをテーマにしつつも、これまでの『バイオ』とは異なり、CO-OP(協力)プレイとマルチ(対戦)プレイを中心にしたTPSにしていますが、これは海外を意識されたからですか?
川田 そうですね。マーケットが大きいということを意識しています。ゲーム作りというのはクリエイティブなことですけれども、ビジネスでもありますので、その部分を切り捨てて作ることはできません。でも、そのことで逆にクリエイティブにもなったかなと。と言うのも、これまでの作品とは異なる新しい『バイオ』を提案することになったわけですから。今回変更をかけた操作まわりに関しても、とても合理的に受け入れてもらっていますね。だから日本のユーザーもそう感じてもらえると思います。このタイトルを「なんでホラーじゃないの?」と思われるファンの方もいるかもしれません。でも、今回のタイトルに関しては、新しさを優先して制作していますし、遊んで楽しいゲームに仕上げることが大事ですし。あと、見た目も『バイオ』らしく仕上がっているので、シリーズのファンにも納得してもらえると思います。

――なるほど。確かに舞台背景やシステムなど、これまでの『バイオ』とは異なる要素がふんだんに盛り込まれている意欲作とは思いますが、どの要素がありきで制作がスタートしたのでしょうか?
川田 海外で『バイオ2』をリメイクしたらどうなるか? という話がまずあって、スラントシックスゲームズ社と制作するなら単にリメイクしてもしょうがないから、もっと積極的にいろいろチャレンジしてもいいのでは、となりまして。思い切って完全なシューティングの作品として開発しようよ、ということになったわけです。

瀬戸 ゲームをひとつのモノとして形にするとき、ひとりで作るわけではないですよね。『バイオ2』を作り直すという話がいつもあがっていた中で、マーケットの話や、海外からの新たな開発会社の話など、いろいろな要素が自然と複合していった経緯もあります。

――この作品もそうですし、『マーセ』もそうですけど、今後も『バイオ』というIPがいろいろなジャンルに派生していくのでしょうか?
川田 まあ、いきなり恋愛アドベンチャーになることはないでしょうけど(笑)、やはり魅力的な世界観のあるタイトルだと思いますので、今後派生的な作品が増える可能性はあると思います。でも、『バイオハザード リべレーションズ』は純粋なホラーのアドベンチャーを目指していますし、派生がどんどん増えるというイメージとはちょっと違うかもしれません。『バイオ』はあくまで『バイオ』であり、できる範囲でいろいろなチャレンジをしていきたいです。

――発売までまだ時間がありますが、どのような作品を目指していますか?
瀬戸 僕自身が『バイオ』をとても好きでして。なので、その世界観をキープしたまま、新しいおもしろさやみんなでプレイする楽しさなどを提案して、さらに『バイオ』の世界を広げる作品にしていきたいです。   

川田 本作はある意味、ナンバリングタイトルをアンチテーゼにするような作品にできればと。『バイオ4』や『バイオ5』でできなかったことができるような。基本的に『バイオ』好きな人、ラクーンシティやレオンのことが気になる人にはもちろんですが、ちょっとへそ曲がりな人にも楽しんでもらいたいですね(笑)。今回はクオリティーよりもチャレンジ重視で、いろいろな要素を集めた形を提案していきます。なるべく早くリリースできればと思っていますので、ぜひ楽しみにお待ちください!

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