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日本のセルアニメは世界一! サイバーコネクトツーの松山氏が“超アニメ表現”の制作手法を伝授【GDC 2011】

ゲーム プレイステーション3 Xbox 360 ビジネス
サイバーコネクトツーの代表取締役・松山洋氏とリードアーティスト・竹下勲氏による講演の模様をお届けしよう。「日本のセルアニメは世界一!」と明言する松山氏にとって、『NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルティメットストーム2』の開発は、アニメへのリスペクトと愛が溢れるものだった。

●『NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルティメットストーム2』の開発事例を紹介

 2011年2月28日〜3月4日、アメリカ、サンフランシスコのモスコーニセンターにて、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2011が開催。世界中のゲームクリエイターによる、世界最大規模の技術交流カンファレンスの模様を、ファミ通.comでは総力リポートでお届けする。

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▲サイバーコネクトツーの松山洋代表取締役社長。GDCでの講演は、2009年に次いでのこととなる。

 GDC 2011開催4日目の3月3日に、サイバーコネクトツーの代表取締役・松山洋氏とリードアーティスト・竹下勲氏による講演、“PS3&Xbox 360 NARUTO SHIPPUDEN: ULTIMATE NINJA STORM 2 Exploring the the ‘Other Side’ of Super Anime-like Visual Elements”が行われた。この講演は、サイバーコネクトツーが『NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルティメットストーム2』を開発するにあたり、いかに“超アニメ表現”を実現したかを講義するというもの。結論を先取りしてしまうと、松山氏いわく「この講演で言いたいことはただひとつ、“日本のセルアニメーションは世界一だ!!”ということです」とのことで、つまり、日本のアニメに対するリスペクトと愛が、『NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルティメットストーム2』の開発を突き動かしたというわけだ。順を追ってリポートしよう。

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 2010年10月にリリースされ、世界累計販売本数が100万本を超えるヒットを記録している『NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルティメットストーム2』。「世界中が驚いてくれる作品を!」との熱き思いを胸にスタートした同作の開発コンセプトはふたつ。(1)超アニメ表現と、(2)ドラマ体験だ。

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▲松山氏によると、『NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルティメットストーム2』の開発期間は2008年11月〜2010年9月までの23ヵ月間で、時期に応じて人数は変動したという。ちなみにバンダイナムコゲームスとの契約は21ヵ月だったとのことなので、2ヵ月延びたようだ。

 『1』の成功を受けて開発がスタートした『2』だが、念頭にあったのは開発の効率化だ。効率化の一例として松山氏が挙げたのが、“キャラクターモデルの作成”。キャラのモデルは、距離に応じて作り込みを分けるのが常識。遠くにいるキャラであれば、作り込みが少ない“ローモデル”で済むし、近くにいるキャラであればしっかりと作りこんだ“ハイモデル”が必要になる。このキャラのモデルを『1』では、“ローモデル”、“ミドルモデル”、“ハイモデル”の3段階で切り替えていたものを、『2』では“ローモデル”をばっさりと止めたのだという。それは、「ゲームの性格上なかなかキャラどうしが離れる機会が少なく、“ローモデル”に切り替わるケースが少ない」(松山氏)との判断からだ。

 影の表現も改善事項のひとつ。『1』では影のモデルもしっかりと作っていたので手間がかかり「これはどうかな」(松山氏)と思っていたのだという。そのころ、『NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルティメットストーム2』はバンダイナムコゲームスとの共同開発で行い、同社独自のエンジンである“NUライブラリ”を使うことがわかっていた。そこで、松山氏はバンダイナムコゲームスのスタッフに、スキンモデルから影を生成できるように技術拡張をお願いしたのだという。そのため精度の高い影の表現が実現できるようになった。

 と、以上の例からもわかる通り、『1』の開発経験を踏まえた上で、効率化のプランは生まれたのだ。効率化を図るための専用ツールの開発も、『1』での反省を受けてのものだ。『2』では専用ツールも積極的に開発されたという。まずは、“スキルエディター”。これは、アーティストの側で忍術の制作をできるツールで、『1』では忍術を制作するのはプログラマーの仕事だった。ところが、素材をアーティストが作って、それをプログラマーが実装するとなると、素材待ち、実装待ちの状態ができて、どうしてもタイムラグが生じてしまう。“スキルエディター”では、ゲームのパラメータの挙動などをアーティストが自分でできるので、これにより、双方のタイムラグが解消されるというわけだ。

 さらに開発された専用ツールが“フローエディター”。こちらはカットシーンを効率よく制作するためのツール。『2』では、ドラマ体験を作り出すためにカットシーンが16時間ある。『1』では、字幕のひとつひとつをプログラマーが行うくらい効率が悪かった。それを16時間も……となると気の遠い話になる。そこで『2』では、誰でもイベントシーンが組めるようにしたのだ。サイバーコネクトツーでは“イベントチーム”を作って、デモシーンの制作はそこに任せたのだという。

 3つめは“リグ+フェイシャルツール”。顔の表情をつけるフェイシャルツールは、おそらくどこでも使用しているが、『NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルティメットストーム2』の特殊なところは、「通常のリアルな表現とは違う、アニメ表現であるということ。当然誇張した表現もあります」(松山氏)という点。そのために、アニメ調に特化したツールを制作した。

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▲ツールの充実化などにより、作業の効率化が図られることに。

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▲アートワークを取りまとめる竹下勲氏。

 「量産体制に入る前にツールを準備できました」と松山氏。ここまでが、いわば超アニメ表現を実現するための“土台作り”。講演では引き続き、松山氏より「ただすごいグラフィックを作るだけの男」と紹介された竹下勲氏が登壇し、具体的なアートワークの説明に入った。竹下氏のテーマは、「神作画をどう3Dで表現したか?」というもの。“神作画”とは少し補足説明が必要かもしれないが、要はアニメのすぐれた動きの作画を指す言葉のようで、会場ではその一例として、スタジオぴえろ制作によるアニメ『NARUTO‐ナルト‐疾風伝』の1シーンが上映された。つまり、“神作画”をいかにゲームで再現するかが、竹下氏の課題だったことになる。その実現例を2〜3紹介しよう。

 たとえば、アニメのアクションシーンでは、よく体の一部が伸びるような表現がある。躍動感がある、まさにアニメならではの表現だが、通常のゲームだと再現は不可能だ。ところが『NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルティメットストーム2』では、それをしっかりと再現している。こちら、じつは1枚のポリゴンにアニメ調のモーションブラー(残像表現)を貼っているだけなのだという。これでセルアニメのような体の一部が伸びるような表現が可能になったのだ。「視認できるかできないかくらいでいれることが大事です。見ている人が勝手にアニメを補完し、なめらかに感じてくれるんです」と竹下氏。あえてシンプルな描写にするのもキモで、複雑だとディテールが気になって動きに目がいかなくなってしまうのだという。こうなると、ゲーム開発というよりは心理学に近いような……。

 戦闘シーンで背景を動かすのも超アニメ表現らしさを醸しだす。めまぐるしく動くので、動きがよりダイナミックに見えるのだ。こちらは単純に背景を回転させているだけとのこと。コロンブスの卵的なあまりに簡単な答えに、会場からは笑いが漏れたほどだ。

 さらには“板野サーカス”。「海外で板野サーカスは知名度があるのか?」と、記者などは思ってしまったが、板野サーカスとは、アニメーターの板野一郎氏による、めまぐるしいアクロバティックな動きが特徴のスピード感溢れる手法のこと。『NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルティメットストーム2』では、なんとこの板野サーカスを再現しており、これは素材にボーンを仕込んでパスに沿わせているだけだという。それだけだと3DCGは固く見えてしまうので、パスをうねらせることで板野サーカスを再現したのだとか。さらには、背景も動かすことで、よりダイナミックな動きを実現しているのだという。

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 そのほか、超アニメ的表現を実現した効果や背景などの説明がなされたが、以上の例を見ればおわかりいただける通り、必要なのは技術ではない、ということ。「重要なのは、何を作りたいか。何を表現したいかです。それを実現させるためのアイデアが大事なんです。サイバーコネクトツーのアートワークはアイデアの塊です」と竹下氏は言い切る。

 最後に再び登壇した松山氏は、「ファンの方から『NARUTO-ナルト-疾風伝 ナルティメットストーム2』でアニメの表現を超えたとよく言われますが、私たちはそう思っていません」と断言。「日本のアニメを超えたとは思っていない。日本のセルアニメの表現に対する飽くなき追求は本当にすごい。私たちもさらなる“神作画”を研究して、さらなるアニメ表現を突き詰めていきたいです」(松山氏)と目指すところはさらに高い。

 世界的にも人気が高い日本のアニメ。そのアニメ表現に魅せられて「世界で勝負できるコンテンツを出していきたい」という松山氏率いるサイバーコネクトツーの挑戦は、まだまだ続きそうだ。

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▲会社の模様も紹介。ご存じの通り、サイバーコネクトツーはワンフロアで作業。机には3台のモニターを完備するなど、開発環境にもこだわりを見せる。

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▲ありとあらゆる『NARUTO‐ナルト‐』関連商品を揃えているとのこと。コミックは1巻につき15冊も購入するのだとか。そこにあるのは、紛うかたなき『NARUTO‐ナルト‐』への愛!

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