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ニンテンドー3DS開発のスローガンは“Playing is Believing”【GDC 2011】

ゲーム ビジネス
ニンテンドー3DSのプロジェクト全体を統括する紺野秀樹氏によるセッションでは、その開発プロセスが最初期段階から順を追って説明された。

●言葉では説明できないことが、体験で変化する瞬間

 2011年2月28日〜3月4日、アメリカ、サンフランシスコのモスコーニセンターにて、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2011が開催。世界中のゲームクリエイターによる、世界最大規模の技術交流カンファレンスの模様を、ファミ通.comでは総力リポートでお届けする。

 日本では2011年2月26日に発売され、北米では3月27日に発売が予定されている任天堂の新型携帯ゲーム機、ニンテンドー3DS。同ハードのプロジェクト全体を統括する紺野秀樹氏によるセッション“Development Process of Nintendo 3DS”が、会期3日目の3月2日に実施された。

 紺野氏は25年前に任天堂へ入社し、以来現在まで宮本茂氏が率いる情報開発本部に所属している。入社後最初に手掛けた作品はファミコンの『ICE HOCKEY』で、開発チームには宮本氏も参加。当時紺野氏はゲーム開発のノウハウがまったくなかったが、素人ながらに宮本氏の操作感などへのこだわりは強く印象に残ったそうだ。その後、『スーパーマリオブラザーズ3』、『マリオカート』シリーズ、『ルイージマンション』、『nintendogs(ニンテンドッグス)』など数多くのタイトルを担当。そして今回初めて、ニンテンドー3DSでハードの開発に携わることになったのだ。セッションでは、その開発プロセスが最初期段階から順を追って説明された。

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▲紺野氏は、ニンテンドー3DSで自動生成したMiiを使って最初に自己紹介。

 それまでソフトだけを手掛けてきた紺野氏が、ニンテンドー3DSプロジェクトを統括することになったきっかけは、宮本氏からの直々の依頼。これに対して「なによりもデジタルガジェットが大好きだったので、あまり悩むことなくイエス」と回答する。そしてハードの開発チームに紺野氏が合流して、プロジェクトは本格的に動き始めた。ところで、ニンテンドー3DSの機能を聞かれたら、まず何を思い浮かべるだろうか? 恐らく、ほとんどの人が裸眼立体視を挙げるはずだ。しかし紺野氏によれば、目玉とも言えるその機能は当初影も形もなく、“すれちがい通信”の強化や“いつの間にか通信”といったネットワーク機能の強化や各種本体機能のアイデアが先にまとまっている状態だった。裸眼立体視のアイデアは、紺野氏がソフト開発者の視点から提案し、実現したものだったのである。

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 ニンテンドー3DSの裸眼立体視という機能は、間違いなく同ハードの目玉であり、ユーザーからの引きがもっとも強いポイントだ。しかし上記のような背景を踏まえたうえで、改めてソコ以外に目を向けてみると、盛りだくさんな本体機能に気付かされるだろう。紺野氏も、裸眼立体視以外にさまざまなフューチャーを持つのがニンテンドー3DSであると強調。ネットワークの強化は「ニンテンドー3DSをもっと外に持ち歩いてもらうことで、新しい体験」を提供し、豊富な本体機能は「本体があればいつでもそこが遊び場になって、人と人のつながり」を生むと語り、「これもひとつのソーシャルではないでしょうか?」と来場者に問いかけた。

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 紺野氏はニンテンドー3DSの開発を「引き出し整理のくり返しから、全体像を徐々に浮かび上がらせた」と振り返る。引き出しとは当然、頭の中にある引き出しで、その中にあるさまざまなアイデアを並べたり分解したりくっつけるという意味だ。また同氏は、物事をよい方向へ運ぶ推進力は“Playing is Believing(百聞は一見に如かず)”であると語る。この言葉は任天堂の経営方針説明会などでも登場しており、同社のスローガンに近いとも言えるだろう。ニンテンドー3DS開発におけるPlaying is Believingの具体例として紺野氏が挙げたのは、裸眼立体視の搭載をいかにして納得させたかという点。

 任天堂は過去に“バーチャルボーイ”という3D立体視が楽しめるハードを発売したが、確かな成果を残せないまま撤退している。そのため、ハード開発に携わる者たちにとって立体視は一種の鬼門であり、紺野氏が最初提案したときも反応はあまりいいものではなかった。そこで同氏が取った行動がまさにPlaying is Believingだ。Wiiと裸眼立体視パネルを組み合わせたサンプルを開発し、裸眼立体視の『マリオカートWii』を披露し一気にスタッフの心を惹きつける。「言葉では説明できないことが、体験で変化した瞬間」と紺野氏はそのときの気持ちを語った。

 その後も紺野氏はPlaying is Believingを徹底してニンテンドー3DSの開発を進めていく。3Dボリュームの必要性についても、Wiiリモコンを使ったサンプルを使い言葉ではなく体験で説明した。このやり方はハードウェアチームにもいい刺激となったようで、ボタン配置を決める際には簡単に各種ボタンの位置が入れ替えられるモックをみずから作ってきたそうだ。ちなみに余談になるが、本体の傾きなどを測る“ジャイロセンサー”は紺野氏いわく「宮本のこだわりが大爆発した」もの。ほぼ本体仕様が確定した状態から、「これを入れると入れないではまったく違ってくる」という宮本氏の主張を受けて急遽取り入れたそうだ。

 ソフトとハードの両チームががっちりとタッグを組んで完成させたニンテンドー3DS。そして、その礎となったPlaying is Believing。紺野氏はそのスローガンを「一瞬で人の心をつかむ道具である」と結論づけた。

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 なお、紺野氏はニンテンドー3DS関連の仕事として、『nintendogs+cats』のプロデューサーも務めている。セッションの終盤では同作の見どころにも触れされ、よりリアルになった目や毛並みなどの仕組みを紹介。「ニンテンドー3DSで、エキサイティングかつ楽しく開発できました」とソフト開発の感想も述べていた。

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