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原画展を開催中の新川洋司氏に直撃インタビュー!

ゲーム インタビュー
2011年1月15日より東京・六本木にあるコナミスタイル東京ミッドタウン店にて、新川洋司氏の原画展“新川洋司展- THE ART OF YOJI SHINKAWA‐”が開催されている。本原画展や自身の作品について新川氏にお話をお聞きすることができた。

●原画展開催の秘密を聞いた

 こちらの記事でお伝えしたとおり、2011年1月15日より東京・六本木にあるコナミスタイル東京ミッドタウン店にて『メタルギア』シリーズのキャラクター&メカニックデザイン、アートディレクターを務める新川洋司氏の原画展“新川洋司展- THE ART OF YOJI SHINKAWA‐”が開催中で、それを記念してのオープニングイベントが行われた。ここでは、オープニングイベントを終えた新川氏へのインタビューをお届けしよう。

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――原画展を開催することになったのは、どんないきさつがあったのでしょうか?

新川 もともと、去年『メタルギア ソリッド ピースウォーカー』(以下、『PW』(※1))の発売に合わせて、同じような原画展をパリで開催していただいたのですが、それがなかなか評判がよかったようで、「ぜひ日本でも」という声をいただきまして……。『PW』の発売からだいぶ経って落ち着いた、ということもありましたので、このタイミングで開催させていただきました。最初は「どうしようかな」と思っていたのですが、実際にセッティングを前日の夜ギリギリまでやっていたら、だんだん自分の中でもおもしろくなってきました。

――出展する作品は、どうやって決めているのですか?

新川 ギリギリまでバタバタしていまして、じつは前日になってようやく並べる絵も決めたんですよ。実際に絵は大まかなカテゴリに分けて揃えて、「こんなレイアウトで」とメモを入れて持ち込みました。海外だと立体の作品は破損などの恐れもあって、あまり出せなかったのですが、今回は場所が会社の真下ということもあって、運ぶのもすぐだし直すこともできるので、立体の制作物もいろいろ出品できたのはよかったですね。でも、じつは昨日もひとつ壊れて慌てて直したりしていたのですが(笑)。

――立体物も、市販されているフィギュアなどではなく、新川さんが粘土をこねて作った、イメージ用の作品なんですよね?

新川 そうですね。『メタルギア ソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット(以下、『MGS4』(※2))のビースト部隊などは、ラフを引いた後に粘土をこねて立体のモデルを作って、それをモデラーに渡してCGを起こしています。実際は、その後もいろいろ指示を入れて微調整したりはしているのですが、展示しているモデルはゲーム中に登場したものとほぼ同じものになっていますよ。立体で設定するメリットは、平面ラフでは伝えにくい曲線のつながりだとか、表面の凹凸などが伝えやすくなる、というところですね。

――立体物制作は、いつ頃から始めたのですか?

新川 プラモデルを作るのと同じような感覚で、昔からやっています。

――子どものころから?

新川 そうですね。絵を描くより、ブロックや粘土遊びのほうが先でしたね。

――ご実家に、まだ当時の作品が取ってあったりするんですか?

新川 この前、実家に帰ったらありましたね。ゴジラとか。小学生の時に作ったものなので、いま見ると、ゴジラなのか立っているワニなのかわからないくらいのデキなんですが(笑)。

――パリでの原画展と比べて、日本での反応はいかがでしたか?

新川 場所の関係もあって、入場制限などもかけさせていただいたので、寒い中お越しくださった皆さんにはご迷惑をおかけしたところもあったのですが、感覚としては予想以上に盛況でしたね。熱心に観ていただいて、日本のほうが盛り上がっていたかもしれません。

――ちなみに、フランス人の方々はどんな感じで作品を鑑賞するのでしょうか?

新川 みんな黙々と「じーっ」と観ていましたね。

――まさに“美術館”に来たような感じなのでしょうか。

新川 あぁ、そんな感じかもしれませんね。パリでの会場は、量販店のイベントスペースではあったのですが、パリで画廊を経営しているジャン=ジャックJean-Jacque Launierという方がキュレーター(※3)として企画をして、絵の額装からライティングなどもしてくださったので、雰囲気もかなり本格的でした。ジャン=ジャックJean-Jacque Launierという方は、サブカルチャーをアートとして発信していきたい、という考えを持っている方で、自分の画廊もパリの漫画家だとか、『崖の上のポニョ』などの企画展なども開催されていて、「いつかはルーブルでやりたい」とおっしゃってましたね。おもしろい方でしたよ。

――今回、“ライブアート”という試みをされましたが、いかがでしたか?

新川 正直なところ、ちょっと失敗したかな、と(笑)。いつも小さいサイズの紙に描いているので、あの大きさは久しぶりだったんですよね。学生のとき以来かな? 当初はアクリルで描こうかな、と思っていたのですが、あまり絵の具が伸びないので墨で描くことにしたら、本番で垂れすぎちゃいまして……。そのあたりも含めて“ライブ感”なのかな、ということで(笑)。描いていてしんどくなるかな、と思っていたのですが、意外に楽しかったです。「どうしようかな」と悩んで、前の日は眠れなかったんですけどね(笑)。

――練習はされたのですか?

新川 予行演習はしてみたんですよ。1回試し描きをして、それをペンキで塗り直してからもう1回……という感じで。

(ここで小島プロダクションの今泉プロデューサーが参加)

今泉 すごかったんですよ。まわりのスタッフが集まってきてパシャパシャと写真を撮りだしたりして。練習のはずなのに、ほとんど本番のような状態になっていましたね。

新川 そのときのほうが成功していたような気がします。今日みたいに、「上手く描こう!」と意識しだしたらダメですね。

今泉 でも、“生”で描いているところを観られる機会なんてなかなかないから、ああいったイベントを提供できたのは、われわれとしてもよかったと思います。

――あの絵はこれから仕上げて、コナミスタイルショップに飾られるんですよね?

新川 そうですね。本当はあそこでバシっと描き上げるつもりだったんですけど(笑)。

――ちなみに、練習のときは描き上げるのにどのくらいの時間がかかっていたのですか?

新川 計ってはいないんですが、今回と同じ時間(20分)くらいだったと思います。

――立って描かなければならない、ということもあったんじゃないですか?

新川 いや、それはあまり影響ないですね。最近はしていないのですが、電車通勤していたころは立って絵を描いていましたし。

――電車の中で!? 揺れたりしたらどうしていたんですか?

新川 揺れがまたいい具合なんですよ。むしろ揺れがないほうが描けないくらいで。

――声を掛けられたりはしませんでしたか?

新川 関西にいたころは、ときどき「お、兄ちゃん絵うまいな!」なんて、声を掛けられることもありましたね。東京に来てからはあまりないのですが。

――そんな東京にあって、今回のサイン会などは、ファンの生の声を聞けるいい機会だったんじゃないですか?

新川 そうですね。今回は、ひとり1分くらい時間があったので、絵も描けました。ひとりひとり「誰の絵がいいですか?」なんて、聞いたりして。中に「ゼロ少佐を描いてほしい」という人がいて、「どんな顔だったっけ?」とすぐに思い出せなくて、固まっちゃったこともありましたが(笑)。

――新川ファンにとって、『メタルギア ソリッド』シリーズと同じくらい重要な作品が『Z.O.E』シリーズ(※4)と言われていますが、新川さんにとって『Z.O.E』での仕事はいかがでしたか?

新川 僕の中では、『Z.O.E』は趣味に近い感覚でやっていた作品でしたね。『メタル』は描いていてプレッシャーがなくはない作品だし、世界観的にリアルな部分が外せないところもあったのですが、『Z.O.E』は本当に好きにやらせていただきました。『Z.O.E』で盛り込めなかった部分も、続編の『ANUBIS』で実現したりしていました。僕にとっては、仕事ではなくて趣味と言い切っていいかもしれませんね。

――小島監督もいつとは言わないまでも「続編を作る」とおっしゃっておられましたが、海洋堂のリボルテックシリーズでも発売が決まったとのことですね。

新川 あの話は、何の前触れもなく急にいただいたんですよ。昔、同じ海洋堂さんから一度出したことがあって、それを焼き直して出すのかな、と思っていたんです。ただ、その時のモデルが『Z.O.E』のもので若干頭身が低かったので、『ANUBIS』っぽくするために「脚のバランスを変えてほしい」などの要望を送ったら、全身が作り直されて出てきて……。原型師は山口勝久さんという方だったんですが、かなり優秀な方でしたね。こちらの要望を伝えたら、すぐその通りに作り直してくれて。とくに手がすごいことになっていますよ。

――週刊ファミ通で“続編を作ってほしいランキング”という企画をすると、必ず上位に顔を出す『Z.O.E』シリーズですが、続編が出るとしたら、どんなイラストを描いてみたいですか?

新川 最近はあまり描いていないのですが、昔描いたものを引っ張り出してきたら、「これは使えるな」というものがたくさんあったので、ストックは充分にあるんですよ。

――ストックと言えば、今回の原画展で出し切れなかったイラストもかなりあると思うのですが、次回開催のご予定はないんですか?

新川 あれ、準備がけっこうたいへんなので、しばらくはやらないつもりです(笑)。要望があれば、開催させていただくということで。

――では、最後にファンの方に向けてひと言お願いします。

新川 ゲームや本だと、どうしても伝え切れない部分もありますが、直に観ていただけるとどういう気持ちでゲームを作っているかを理解していただけると思います。1月31日までやっているので、ぜひ足を運んでください。よろしくお願いします。

※1 プレイステーション・ポータブル用ソフト『メタルギア ソリッド ピースウォーカー』のこと。日本では2010年4月29日に、海外では6月に発売された。
※2 プレイステーション3用ソフト『メタルギア ソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』のこと。
※3 博物館・美術館などで、展覧会の企画・構成・運営・管理などを行う専門職のこと。
※4 プレイステーション2用ソフト『ZONE OF THE ENDERS 』およびその続編『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS 』のこと。

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新川洋司(しんかわ ようじ)
小島プロダクション所属。
『メタルギア ソリッド』シリーズのキャラクター&メカニックデザイン、 アートディレクターを務め、筆を駆使した独特のタッチの画風は国内外で注目を集めている。

【新川洋司展 - THE ART OF YOJI SHINKAWA-概要】
■開催期間:2011年1月15日〜1月31日予定
■開催場所:コナミスタイル 東京ミッドタウン店
■概要:新川洋司氏による原画および立体物の展示、オリジナルグッズの販売
※店舗のオープン時間は午前10時〜午後9時となります。

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