HOME> ニュース> 『ザ・サード バースデイ』開発者インタビュー【その2】――スペックの高いハードでアヤを描く機会を……

『ザ・サード バースデイ』開発者インタビュー【その2】――スペックの高いハードでアヤを描く機会を……

ゲーム PSP
ついに発売されたスクウェア・エニックスのPSP用ソフト『ザ・サード バースデイ』。ここでは、週刊ファミ通2010年12月30日/2011年1月6・13日合併号に掲載したプロデューサー北瀬佳範氏、ディレクター田畑端氏、アートディレクター上国料勇氏のインタビューに、誌面では割愛した部分を加えたノーカット版でお届け。

 ※『ザ・サード バースデイ』開発者インタビュー【その1】はこちら

●記憶喪失のアヤの描きかた

movie2_RGB
KN1_2871

▲画面左からプロデューサーの北瀬佳範氏、ディレクター田畑端氏、アートディクレター上国料勇氏。

――『パラサイト・イヴ』シリーズと比べて、アヤの描きかたは変わりましたか?

田畑端(以下、田畑) 基本的には『パラサイト・イヴ』シリーズの延長線上にあるアヤを描いています。ただ、今回はアヤが記憶を失っているなど物語上に仕掛けがあるので、その影響で見えかたが違うかもしれません。

北瀬佳範(以下、北瀬) 僕は本作のアヤを見てもそんなに違和感はありませんでした。10年前の前作では表情もボイスもなく、微妙な感情表現が難しかった故に極端なキャラ付けをしていたのですが、現在の技術でリアルに表現すればこうなるだろうなと自然に感じましたね。

上国料勇(以下、上国料) リアリティーを追求した結果、アヤを通じて生身の人間が感じる恐怖感を演出したいと思っていました。そこで『パラサイト・イヴ』シリーズをベースに、アヤはこういうキャラなんじゃないかとスタッフ間でアヤを再構築して、そのうえでアヤの挙動やセリフを作っています。

●アチーブメントとケースファイル

ab01_RGB

――アチーブメントはどういう要素ですか?

田畑 あれはやり込み要素ですね。周回プレイに刺激を与えるものとして、達成を目指してもらえるといいなと。ちなみに、シャワーシーンはこの要素に関わってきます。

――えっ! 必ず見られるものではない!?

田畑 はい(笑)。ですが、条件は難しくないですよ。

――ケースファイルについてはいかがですか?

田畑 ゲーム上で語られるストーリーだけで、今回の事件のすべてを語ることはできません。そこで、初期の段階で読みものとして楽しめるものを入れようと思っていました。また本作全体のコンセプトは“リアル”でしたので、物語や設定も、ケースファイルで事件を補間し、より厚みと説得力を向上させる意図もありました。

――本作にはスクウェア・エニックスの会員サイト、“スクウェア・エニックスメンバーズ”との連動もあるようですね。

北瀬 ゲーム内からセーブデータをアップロードすると、サイト上で敵を何体倒したか、どこまで進んでいるのかを報告できます。ひとりで遊んでいながら、みんなと遊んでいるように楽しめればいいなと。会員でない方は、これを機に入っていただければと思います。

●存続の危機を乗り越えて

imageCGfix_rgb

――本作の開発でいちばん苦労した点は?

上国料 現実をベースにしつつも、『ファイナルファンタジー』のようなオリジナリティーのあるグラフィック作りに腐心しました。技術的には直前に『FFXIII』を作っていたので、PSPで最高峰の作品になるよう、そこで得たノウハウを活かすために試行錯誤しました。また、世界観的なイメージも最初は方向性が固まらず、こちらでも試行錯誤をくり返していました。全員のキーワードとして掘り下げられるものがなく、いろいろなアイデアを出して模索していたんですが、田畑に依頼されてバベルを描いてから方向性が見えて、それからはスムーズにでき上がっていきましたね。

田畑 リアルなニューヨークにどこまでファンタジー要素を入れるか悩んでいたんです。ですが、ある日、バベルができあがって、そこから派生するファンタジー要素を産み出すようにしてからは一気にできあがった感じですね。

――バベルのイメージは?

田畑 最初にツイステッドの“巣”を作ってほしいと頼みました。しかも、巣はすごいものにしてくれと(笑)。

上国料 開発当初は『FFXIII』の作業が終わっていなかったので、僕自身が手を動かして絵を描くと言うことはしてなかったんです。ですが、それだと「イメージが固まらない」ということで、描いたのがバベルだったんです。バベルも当初の予定にあったものではなく、それがあったほうが世界観のイメージがより色濃く出せるということで。象徴的なイメージで、ハードのスペック的な問題もあるんですが、そこは度外視して、開き直って描きました。そのバベルのイメージボードが突破口になって、そこからはスムーズに流れるようにいきました。

田畑 “徐々に浸食されていく世界へ向かっていく”というイメージができあがって、うまくいきましたね。ちなみに、最終的な画質は上国料がひとりでねちねちと仕上げています(笑)。

上国料 ふだんは指針になるサンプルを作って、あとはスタッフに任せることが多いんですが、「今回はひとりでやらせてくれ」と。映画などは、画面の色味や質感などが作品ごとに統一されていますよね。本作も映画的なゲームだという特徴があるので、責任者がひとりでそこを調整すると、すごく個性が出せると思ったんです。クリエイターしてのわがままを通させてもらって、統一感のあるものに仕上げられたと思います。

――さきほどお話に出た『FFXIII』のノウハウで活かされたものとは?

上国料 ケータイ電話向けからPSP用ソフトとなって、最初に浮かんだのが『FFX』と『FFXII』なんです。その2作品では、テクスチャーなどを手描きで写実的に描いたり、写真素材を使ったりしたのですが、それだといくらがんばってもなかなかリアルにならないんです。ちょうど『FFXIII』が開発が終わって、リーダークラスが合流してくれたので、HDレベルのデータを作ったものをレンダリングして落とし込んで貼っていく、というのをスタッフが検証し始めて、それがかなりよかったんです。その手法は、PSPでは難しいという話もあったんですが、それを使うと一気に雰囲気が変わるので、スタッフには「何とかやってほしい」と。そのがんばりが活きたクオリティーになっていると思います。

ab02_RGB

――田畑さんが苦労された部分は?

田畑 じつはこのプロジェクトは何度も存続の危機がありました。プロトタイプを作ったときに、絶賛してくれた人よりも難度が高い、ガンアクションが作れるわけがないというネガティブ意見の人たちの方が多かったんですね。たとえば、後者の人の中には、オーバーダイブを敵を倒すための解法とした、パズル的なストラテジゲームにしなきゃダメだ、と要求してくる人もいました。その人たちに「いえ、これでいいんです」と説明し、納得してもらうのに、もっとも苦労しました。あとは、共同開発相手の会社がなかなか見つからなったというのも、実務的な苦労としてありました。

北瀬 僕も当初、オーバーダイブの有効性についてはパズル的なものを想像していました。オーバーダイブの形が見えてきてからようやく、「すごいな田畑」と(笑)。ここまでおもしろく仕上がったのは、プランナー陣や共同開発のパートナーであるヘキサドライブさんが、オーバーダイブを田畑と同じ認識で考え、仕上げてくれたことが大きかったと思います。

――最後にユーザーへメッセージを。

北瀬 アクションが苦手な人は不安に思うかもしれませんが、防御力を高めたりとRPGらしいアプローチでもクリアーできるようになるので、ぜひ多くの人に遊んでほしいですね。

上国料 10年くらいゲームを作っていますが、今回のイベントシーンには本当にプロ意識、職人魂が出ていて、そこだけでも見応えがあると思います。ぜひ実際に観てください。

田畑 PSPで出せるアヤの魅力はすべて引き出しましたし、そこにふさわしいストーリー、グラフィック、サウンド、システムを用意できたと思います。さらにスペックの高いハードでアヤ・ブレアを描く機会を作るために、ぜひ応援してもらえればうれしいです。

aya01_CMYK

●さらに『アギトXIII』の状況を聞いてみた

――田畑さんは『ファイナルファンタジー アギトXIII』(以下、『アギトXIII』)についてツイッターで発言されていましたが?

田畑 ああ、あのツイートは『アギトXIII』の企画書から抜粋したコンセプトです。開発も順調で、コンセプト通り、ファイアでのガンシューティングのような激しいものになっていますよ。

――マルチプレイがメインに?

田畑 マルチプレイもメインの要素ですが、一般的なマルチプレイのように、皆で集まって一緒にゲームをするスタイルではありません。本作ならではのマルチプレイシステムになっています。詳しくは2011年1月18日に開催する“SQUARE ENIX 1st Production Department Premiere”以降、順次情報公開されますので、続報をお待ちください。

ザ・サード バースデイ
メーカー スクウェア・エニックス
対応機種 PSP(プレイステーション・ポータブル)
発売日 2010年12月22日
価格 6,090円[税込]
ジャンル アクションRPG / ガンアクション
備考 PlayStation Storeダウンロード版は4980円[税込]
(C)2010 SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved. CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA

ソーシャルブックマーク

  • Yahoo!ブックマークに登録

評価の高いゲームソフト(みんなのクロスレビュー

※ ブログ・レビューの投稿はこちら!ブログの使い方

この記事の関連URL

この記事の個別URL

その他のニュース

『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』発売目前、ストーリーの一部を公開

スクウェア・エニックスは、2017年7月29日発売予定のニンテンドー3DS、プレイステーション4用ソフト『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』について、ストーリーの一部を公開した。

『アイドルマスターシンデレラガールズ ビューイングレボリューション』 無料DLC“第7回アイドル追加”が7月25日に配信

バンダイナムコエンターテインメントは、配信中のプレイステーション VR専用ソフト『アイドルマスター シンデレラガールズ ビューイングレボリューション』について、無料ダウンロードコンテンツ“EDIT LIVEモード”の“第7回アイドル追加”を2017年7月25日に配信を開始する。

『グラナド・エスパダ』新たなる船出! 数々のアップデートが発表された11周年イベントの模様をリポート

2017年7月22日、『グラナド・エスパダ』の11周年記念オフラインパーティーが開催された。“消え行く……最後の開拓へ”と銘打たれた、意味深なキャッチコピーの真相とは? 驚きの発表の連続となったイベントの詳細をお届けする。

次回の『原由実の○○放送局 大盛』は20時30分スタート ゲームは『鉄拳7』!

声優・歌手として活躍する原由実さんのニコ生番組『原由実の○○放送局 大盛』。次回は2017年7月26日(水)20時30分より配信開始。

『ONE PIECE』連載20周年&“ワンピースの日”制定を記念した“ONE PIECE 20th ゲーム祭”を7月21日より開催

バンダイナムコエンターテインメントは、『ONE PIECE』連載20周年&“ワンピースの日”制定を記念し、“ONE PIECE 20th ゲーム祭”を、2017年7月21日〜8月9日の期間限定で開催する。

3DS『ロックマン クラシックス コレクション Best Price!』お求めやすくなって9月14日に発売決定

カプコンは、発売中のニンテンドー3DS用ソフト『ロックマン クラシックス コレクション』のBest Price!版を、2017年9月14日より発売することを発表した。

『FIRE PRO WRESTLING WORLD』PCアーリーアクセス版のゲーム紹介トレーラーが公開

スパイク・チュンソフトは、プレイステーション4、PC対応ゲーム『FIRE PRO WRESTLING WORLD』について、PC(Steam)版アーリーアクセスのゲーム紹介トレーラーを公開した。

発売日をチェック! 今週発売されるゲームソフト一覧【2017年7月24日〜2017年7月30日】

2017年7月24日(月)〜2017年7月30日(日)発売予定のゲームソフトをまとめて紹介。

『閃乱カグラ PEACH BEACH SPLASH』秘立蛇女子学園や巫神楽のキャラクターが中心の“Twitterアイコン”第3弾が配信

マーベラスより発売中のプレイステーション4用ソフト『閃乱カグラ PEACH BEACH SPLASH』について、Twitterアイコンを無料でもらえる“にゅうにゅうキット PBS”を締めくくる第3弾を開始開始した。

『たまごっちのプチプチおみせっち 〜にんきのおみせあつめました〜』が11月16日に発売決定

バンダイナムコエンターテインメントは、たまごっちの20周年を記念して、ニンテンドー3DS用ソフト『たまごっちのプチプチおみせっち〜にんきのおみせあつめました〜』を2017年11月16日に発売することを発表した。