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『ザ・サード バースデイ』開発者インタビュー【その2】――スペックの高いハードでアヤを描く機会を……
ゲーム PSP※『ザ・サード バースデイ』開発者インタビュー【その1】はこちら
●記憶喪失のアヤの描きかた
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▲画面左からプロデューサーの北瀬佳範氏、ディレクター田畑端氏、アートディクレター上国料勇氏。 |
――『パラサイト・イヴ』シリーズと比べて、アヤの描きかたは変わりましたか?
田畑端(以下、田畑) 基本的には『パラサイト・イヴ』シリーズの延長線上にあるアヤを描いています。ただ、今回はアヤが記憶を失っているなど物語上に仕掛けがあるので、その影響で見えかたが違うかもしれません。
北瀬佳範(以下、北瀬) 僕は本作のアヤを見てもそんなに違和感はありませんでした。10年前の前作では表情もボイスもなく、微妙な感情表現が難しかった故に極端なキャラ付けをしていたのですが、現在の技術でリアルに表現すればこうなるだろうなと自然に感じましたね。
上国料勇(以下、上国料) リアリティーを追求した結果、アヤを通じて生身の人間が感じる恐怖感を演出したいと思っていました。そこで『パラサイト・イヴ』シリーズをベースに、アヤはこういうキャラなんじゃないかとスタッフ間でアヤを再構築して、そのうえでアヤの挙動やセリフを作っています。
●アチーブメントとケースファイル
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――アチーブメントはどういう要素ですか?
田畑 あれはやり込み要素ですね。周回プレイに刺激を与えるものとして、達成を目指してもらえるといいなと。ちなみに、シャワーシーンはこの要素に関わってきます。
――えっ! 必ず見られるものではない!?
田畑 はい(笑)。ですが、条件は難しくないですよ。
――ケースファイルについてはいかがですか?
田畑 ゲーム上で語られるストーリーだけで、今回の事件のすべてを語ることはできません。そこで、初期の段階で読みものとして楽しめるものを入れようと思っていました。また本作全体のコンセプトは“リアル”でしたので、物語や設定も、ケースファイルで事件を補間し、より厚みと説得力を向上させる意図もありました。
――本作にはスクウェア・エニックスの会員サイト、“スクウェア・エニックスメンバーズ”との連動もあるようですね。
北瀬 ゲーム内からセーブデータをアップロードすると、サイト上で敵を何体倒したか、どこまで進んでいるのかを報告できます。ひとりで遊んでいながら、みんなと遊んでいるように楽しめればいいなと。会員でない方は、これを機に入っていただければと思います。
●存続の危機を乗り越えて
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――本作の開発でいちばん苦労した点は?
上国料 現実をベースにしつつも、『ファイナルファンタジー』のようなオリジナリティーのあるグラフィック作りに腐心しました。技術的には直前に『FFXIII』を作っていたので、PSPで最高峰の作品になるよう、そこで得たノウハウを活かすために試行錯誤しました。また、世界観的なイメージも最初は方向性が固まらず、こちらでも試行錯誤をくり返していました。全員のキーワードとして掘り下げられるものがなく、いろいろなアイデアを出して模索していたんですが、田畑に依頼されてバベルを描いてから方向性が見えて、それからはスムーズにでき上がっていきましたね。
田畑 リアルなニューヨークにどこまでファンタジー要素を入れるか悩んでいたんです。ですが、ある日、バベルができあがって、そこから派生するファンタジー要素を産み出すようにしてからは一気にできあがった感じですね。
――バベルのイメージは?
田畑 最初にツイステッドの“巣”を作ってほしいと頼みました。しかも、巣はすごいものにしてくれと(笑)。
上国料 開発当初は『FFXIII』の作業が終わっていなかったので、僕自身が手を動かして絵を描くと言うことはしてなかったんです。ですが、それだと「イメージが固まらない」ということで、描いたのがバベルだったんです。バベルも当初の予定にあったものではなく、それがあったほうが世界観のイメージがより色濃く出せるということで。象徴的なイメージで、ハードのスペック的な問題もあるんですが、そこは度外視して、開き直って描きました。そのバベルのイメージボードが突破口になって、そこからはスムーズに流れるようにいきました。
田畑 “徐々に浸食されていく世界へ向かっていく”というイメージができあがって、うまくいきましたね。ちなみに、最終的な画質は上国料がひとりでねちねちと仕上げています(笑)。
上国料 ふだんは指針になるサンプルを作って、あとはスタッフに任せることが多いんですが、「今回はひとりでやらせてくれ」と。映画などは、画面の色味や質感などが作品ごとに統一されていますよね。本作も映画的なゲームだという特徴があるので、責任者がひとりでそこを調整すると、すごく個性が出せると思ったんです。クリエイターしてのわがままを通させてもらって、統一感のあるものに仕上げられたと思います。
――さきほどお話に出た『FFXIII』のノウハウで活かされたものとは?
上国料 ケータイ電話向けからPSP用ソフトとなって、最初に浮かんだのが『FFX』と『FFXII』なんです。その2作品では、テクスチャーなどを手描きで写実的に描いたり、写真素材を使ったりしたのですが、それだといくらがんばってもなかなかリアルにならないんです。ちょうど『FFXIII』が開発が終わって、リーダークラスが合流してくれたので、HDレベルのデータを作ったものをレンダリングして落とし込んで貼っていく、というのをスタッフが検証し始めて、それがかなりよかったんです。その手法は、PSPでは難しいという話もあったんですが、それを使うと一気に雰囲気が変わるので、スタッフには「何とかやってほしい」と。そのがんばりが活きたクオリティーになっていると思います。
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――田畑さんが苦労された部分は?
田畑 じつはこのプロジェクトは何度も存続の危機がありました。プロトタイプを作ったときに、絶賛してくれた人よりも難度が高い、ガンアクションが作れるわけがないというネガティブ意見の人たちの方が多かったんですね。たとえば、後者の人の中には、オーバーダイブを敵を倒すための解法とした、パズル的なストラテジゲームにしなきゃダメだ、と要求してくる人もいました。その人たちに「いえ、これでいいんです」と説明し、納得してもらうのに、もっとも苦労しました。あとは、共同開発相手の会社がなかなか見つからなったというのも、実務的な苦労としてありました。
北瀬 僕も当初、オーバーダイブの有効性についてはパズル的なものを想像していました。オーバーダイブの形が見えてきてからようやく、「すごいな田畑」と(笑)。ここまでおもしろく仕上がったのは、プランナー陣や共同開発のパートナーであるヘキサドライブさんが、オーバーダイブを田畑と同じ認識で考え、仕上げてくれたことが大きかったと思います。
――最後にユーザーへメッセージを。
北瀬 アクションが苦手な人は不安に思うかもしれませんが、防御力を高めたりとRPGらしいアプローチでもクリアーできるようになるので、ぜひ多くの人に遊んでほしいですね。
上国料 10年くらいゲームを作っていますが、今回のイベントシーンには本当にプロ意識、職人魂が出ていて、そこだけでも見応えがあると思います。ぜひ実際に観てください。
田畑 PSPで出せるアヤの魅力はすべて引き出しましたし、そこにふさわしいストーリー、グラフィック、サウンド、システムを用意できたと思います。さらにスペックの高いハードでアヤ・ブレアを描く機会を作るために、ぜひ応援してもらえればうれしいです。
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●さらに『アギトXIII』の状況を聞いてみた
――田畑さんは『ファイナルファンタジー アギトXIII』(以下、『アギトXIII』)についてツイッターで発言されていましたが?
田畑 ああ、あのツイートは『アギトXIII』の企画書から抜粋したコンセプトです。開発も順調で、コンセプト通り、ファイアでのガンシューティングのような激しいものになっていますよ。
――マルチプレイがメインに?
田畑 マルチプレイもメインの要素ですが、一般的なマルチプレイのように、皆で集まって一緒にゲームをするスタイルではありません。本作ならではのマルチプレイシステムになっています。詳しくは2011年1月18日に開催する“SQUARE ENIX 1st Production Department Premiere”以降、順次情報公開されますので、続報をお待ちください。
メーカー | スクウェア・エニックス |
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対応機種 |
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発売日 | 2010年12月22日 |
価格 | 6,090円[税込] |
ジャンル | アクションRPG / ガンアクション |
備考 | PlayStation Storeダウンロード版は4980円[税込] |
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