『ファイナルファンタジーXIII』プレイインプレッション
ゲーム Xbox 360●ボイス以外にも細かい変更点が!
プレイステーション3で『ファイナルファンタジーXIII』(以下、『FFXIII』)が発売されたのは、ほぼ1年前の2009年12月13日。それから1年後。『FFXIII』は、英語ボイスといった新たな仕様を携えて、今度はXbox 360にやってきた。1年前にプレイステーション3版をクリアーしている筆者だが、今回改めてXbox 360版の『FFXIII』について感想を記させていただこうと思う。
Xbox 360版『FFXIII』は、プレイステーション3版と比べて大きな特徴がふたつある。ひとつは、収録されているボイスが英語になったこと。これには、じつはXbox 360版『FFXIII』が単に日本語ボイスを英語にしただけではなく、海外で発売されたものをベースに文章を日本語化したものだという意味も含まれている。その2種類がどう違うのかと言うと、じつはAIなどの細かい部分に差異があるのだ。『FFXIII』は、2009年12月に日本で発売されたあと、北米、欧州、アジアと、海外をぐるりと回るように各国で発売されてきた。それぞれ発売日が異なるため、じつは日本語版で出たユーザーの評判などを受けて、一部データを変更しながら、各国で発売していたのだ。プレイヤーがとくに感じる違いは、おそらく仲間キャラクターのAI。『FFXIII』ではリーダーキャラだけをプレイヤーが操作するため、ほかのパーティーメンバーは、ロール(役割)に応じた行動を取っていく。そのAIは基本的に賢く困ることはないのだが、プレイステーション3版では、ときに“ヘイスト”などの魔法を早めに使ってほしいと思うこともあった。改善されているAIというのがまさにここで、プレイステーション3版を遊んだ人に向かって詳しく解説すれば、“Xbox 360版のホープ(ロールはエンハンサー)は優先してヘイストを使ってくれる!” ってことであり、意味がわからない人にとっては、“さらにAIが賢くなった!”と思ってもらえれば幸いである。
そして、特徴を挙げたままだった英語ボイスだが、聞いてビックリ。驚くほど違和感がない。もともと坂本真綾演じるライトニングに慣れ親しんでいたはずなのだが、英語ボイスのライトニングさんもとても自然に聞こえるのだ。ましてや、PSICOMといったフルフェイスのマスクをかぶった兵士など、じつはもともと英語でしゃべっていたのではないかと思うほどのなじみっぷり。声への印象は人によって違うだろうが、違和感を感じないことに筆者自身が驚いたほどだ。ちなみに、英語になったのはボイスだけでなく、本作の主題歌やボーカルが入った一部BGMが英語になっているのも変更点のひとつである。
●魅力を損なわないイージーモード
もうひとつの大きな特徴が、バトルの難度を下げた“イージーモード”の追加だ。『FFXIII』は、近年のRPGにしては非常に歯応えのあるバトルになっている。コマンドタイプのRPGでありながら、目まぐるしく戦況が変わり、戦況に応じてオプティマ(作戦)を変えていくのが『FFXIII』の大きな魅力なのだが、難度が高くて途中で断念してしまった人もいるという。そこで追加された“イージーモード”は、敵に大ダメージを与えられる“ブレイク状態”にとてもしやすくなっている。とくに頻繁に登場するザコ敵などは、ボタンを連打しているだけでブレイク状態になるほどだ。しかし、ボタン連打だけで進むというのは、アクセントがなくておもしろくないと思う人もいるだろう。ご安心いただきたい。非常に遊びやすいイージーモードだが、ボス敵、そして一部のザコ敵に戦略を考えないボタン連打だけで挑もうとすると、ゲームオーバーになってしまう。というか、筆者がなった。
遊びやすいバランスにしつつも、ボス敵などの要所要所ではオプティマを切り替える『FFXIII』らしいバトルの楽しさが味わえるようになっているため、難しいゲームが苦手な方も適度な歯応えを感じつつ楽しめるはずだ。
●特典の小説には……
本作に興味を持っている人が、どれだけプレイステーション3版を遊んだかはわからない。だが、正直に言えば、Xbox 360版はプレイステーション3版と比べて、どうしても画質で落ちる部分がある。たとえば、イベントシーンでキャラクターがアップになった際に、“ジャギー”状態になってしまう。また、DVDの容量の都合か、ムービーのビットレートが若干落ちている気もする。しかし、これらの違いは、プレイステーション3版と比べてのもの。次第に目が慣れてくるうえ、激しく動くバトルシーンにいたっては大きな違いはわからなかった。ましてや、Xbox 360版で初めて本作を遊ぶ人には当然ながら気にならないので、安心してプレイしてほしい。
そして、最後にXbox 360版最大の特徴を紹介しよう。Xbox 360版の初回生産分には、本作の未公開イベントシーンや台本、キービジュアルなどを収録した特製ブックレットが特典として付いてくるのだ。未公開イベントシーンなども必見だが、何より注目なのは『FFXIII』のエンディング後の物語を描いた書き下ろし小説。詳しい内容は実際に手に取って確認してほしいが、読んだあとには『FFX』のユウナがカモメ団になって歌い踊ったような展開を、ライトニングさんにも期待したくなるはずだ(筆者注:ライトニングさんに歌い踊ってほしいわけではない。……が、それもいい)。
『FFXIII』を初めてプレイする人はもちろん、すでに『FFXIII』をクリアーした人もイージーモード、英語ボイス、特典のブックレットなど注目すべきポイントはたくさんある内容になっている。ぜひチェックしていただきたい。なお、特典ブックレットは前述のとおり、数に限りのある初回購入特典となっている。ブックレットに興味を持った方は、お早めに、もしくはブックレットが付いているかを販売店に確認していただければ幸いだ。
text by 世界三大三代川
■著者紹介 世界三大三代川
週刊ファミ通編集部出身のフリーライターであり、『FFXIII』の記事担当を務める。ライトニングを呼ぶときは、つねに“さん”付け。プレイステーション3版の発売から1年経っても、やっぱり“さん”付け。
メーカー | スクウェア・エニックス |
---|---|
対応機種 |
![]() |
発売日 | 2010年12月16日発売 |
価格 | 4980円[税込] |
ジャンル | RPG / ファンタジー |
備考 | ディレクター:鳥山求、キャラクターデザイナー:野村哲也、アートディレクター:上国料勇、ムービーディレクター:野末武志、メインプログラマー:柏谷佳樹、コンポーザー:浜渦正志、プロデューサー:北瀬佳範 |
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