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今井麻美:大好きな歌が仕事になるとはうれしい誤算【エンジェル・ボイス アゲイン】

インタビュー VOICE アニメ
ファミ通Xbox(毎月30日発売)の人気連載コーナー“エンジェル・ボイス アゲイン”がファミ通.comに出張。誌面の都合で、本誌では泣く泣くカットせざるを得なかった声優さんの貴重なお話の数々を完全網羅。今回のゲストは、ファミ通.comのブログでもおなじみの今井麻美さん(不定期連載第28回)。

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ファミ通Xbox(毎月30日発売)の人気連載コーナー“エンジェル・ボイス アゲイン”がファミ通.comに出張。誌面の都合で、本誌では泣く泣くカットせざるを得なかった声優さんの貴重なお話の数々を完全網羅。旬の声優さんが語る“声のお仕事”に対する思いとは? あまりに久しぶりの掲載となるこのコーナーですが、本日のゲストは、ファミ通.comのブログでもおなじみの今井麻美さんです(不定期連載第28回)。

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本日のゲスト:今井麻美さん

『アイドルマスター』シリーズの如月千早役で、持ち前の歌唱力とともに有名に。Xbox 360用ソフト『シュタインズ・ゲート』の牧瀬紅莉栖でもおなじみ。2010年11月23日にはファーストアルバム『COLOR SANCTUARY』をリリース予定。

●運命により導かれた声優への道

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――まずは声優を目指すようになったきっかけを教えてください。

今井 子どものころからアニメやゲームが好きだったのもあってか、漠然と「声を出す仕事に就きたい」という憧れは持っていました。でも、“声優”という職業は知らなかったので、声を出す仕事イコールアナウンサーやテレフォンオペレーターくらいの認識でした。もともとしゃべるのは好きだったので、ラジオ番組のDJになれたらいいな……くらいの気持ちでしたね。それがうっかり大学の演劇学科に入ってしまいまして(笑)。

――うっかりですか?

今井 うっかり(笑)。私、母校は明治大学なのですが、社会学の勉強をしたいと思っていて、願書を申し込むときに、社会学の勉強ができる学科を選んでいたんですね。ただ、明治大学に社会学科がなかったので、(二浪はしたくなかったので)適当に演劇学科を選択していたみたいで、合格発表を聞いたら「あなたは文学部演劇学科に入学しました」と(笑)。文学科を受けたつもりだったんですけど。忘れもしない、渋谷の電話ボックスで聞きました。そこで母に相談したら、「おもしろそうだから入ってみれば?」ということで入学したんです。

――運命のいたずらですね。

今井 サークルを選ぶときは、アナウンス研究会か、放送研究会かで悩んだんですよ。たまたま同じクラスの女の子が放送研究会に興味を示していたし、私ももともと映像に興味があったので、両方できるほうがいいな、ということで放送研究会を選んだんです。その時点でも“声優”という仕事は知らなかったのですが、サークルの先輩に、声優やナレーター、舞台俳優としても有名な矢島正明さんがいらっしゃったんです。

――いわば声優さんの老舗的な感じだったのですね。

今井 それで、入学して1〜2年後に、サークル創設50周年記念の舞台があって、先輩後輩みんなで集まって何かをやろうということになりました。そのときに、50年前に放送研究会を創設した方々が演じられたラジオドラマを、現役の子たちで再現してほしい……ということになりまして、私がヒロイン役を演じさせていただくことになったんです。その練習をするなかで、矢島さんのお宅にお邪魔する機会があって、雑談をしていた折に、「キミ、声優をやってみたら?」って言われたんです。そのことがずっと心に残っていました。

――“声優”というものを意識しだしたのですね。

今井 それはそれとして、もともとアナウンサー志望だったので、大学3年生になったらアナウンス学校に通おうと思っていたんです。地元のテレビ局のアナウンサーになりたかったんですよ。で、地元のアナウンサーさんって何でもできないといけないんですね。ナレーションや動画編集から、ディレクターみたいなことまで、マルチな仕事が求められる。それでちょっとでもスキルを得ようと思って、まずはナレーションの勉強をしようって思ったんです。それで何の気なしに受けたのが声優の学校だった(笑)。

――あら(笑)。

今井 それが日本ナレーション演技研究所でした。“ナレーション”しか見ていなくて、“演技研究所”って付いているのに気付かなかった(笑)。受験で面接のときに将来の目標を聞かれて、「アナウンサーです」って答えたときは、ポカンとされました。集団面接だったのですが、おかしな空気になりました(笑)。そのあとで、実技テストがあったのですが、渡された原稿は全部セリフで(笑)。それで、後日合格通知が来たのですが、“合格”と見たら行かなくっちゃと思ってしまったんです。いま思えば養成所なので、みんな受かるんですけどね。それで通い始めたら、声優の学校だということがわかったという感じです。

――だんだん運命が声優に近づいてきた(笑)。

今井 で、1年間学ぶうちに、「なるほど声優とはこういうものか」というものがわかり始めたのですが、それでも大学3年生になったら別の学校に入り直そうって思っていたんですよ。授業料も馬鹿にならないですし。でも、せっかくだし何かの縁だから、1回くらい声優のオーディションを受けておこうかな、って思ったんです。友だちが「オーディションってたいへんらしいよ」と話しているのを聞いて、何となく受けてみたくなってしまったんですね。それでたまたま最寄り駅の近くにある本屋さんに、“声優オーディション開催中”っていう張り紙が貼ってあるのを見てしまって(笑)。

――それもすごい偶然ですねえ。

今井 それが、エニックスさん(当時)の“エニックスアニメ大賞”でした。たしか応募の締切が12月31日で、当時実家のあった岩手に帰省しているときにオーディションテープを録ってギリギリで送りました。しばらくしてから二次審査の案内が届いたので審査会場に出かけたのですが、行ったら声優になりたい子がたくさんいて、みんな実技とかも経験しているんですね。私は当時まだ声優の技術とかを学んでいたわけではなかったので、「これはきびしそうだ」と思いました。オーディション自体は、いろいろなアニメのセリフが抜粋されていて、その中から好きなものを選んで演技するというものでした。私が選んだセリフが「博士はここにいてください。私が外の様子をみてきます」というセリフで、扉を出ようとするとそこに悪い人が現れてハッとなるというシーンだったのですが、舞台演技じゃあるまいし、全部動きながら芝居したんですよね。それでしばらく日が経ってから「大賞に選ばれました」という電話がかかってきて、「ああ、冗談かな」って思いました。あとで養成所に合格の報告をしたら、「勝手に受けたんですか!?」って怒られました(笑)。

――あはは。何も言わずに応募していたんですか(笑)。

今井 じつはそのときの審査委員長が野沢雅子さんで、あとから野沢雅子さんが私のことを推してくださったと聞いたときはうれしかったです。私、『ドラゴンボール』の大ファンで、野沢さんが悟空と悟飯をひとり二役で演じられたときはびっくりしました。同じ方が違う役を同じ作品内で演じていらっしゃることがわりと多いということも知りませんでした。当時、ある日突然家に電話がかかってきて、「今井さんに孫悟飯の声をお願いします」と言われるという夢を見たことがあるんです。「なんでこんな夢を見たんだろう?」ってずっと思っていたのですが、フタを開けてみたら私のいまを導いてくださったのが野沢雅子さんだったという(笑)。

――どんな夢なんだか(笑)。
今井 将来の夢に“声優”と書くような子でもなかったし、最終的に声優という職業に邁進したわけでもないのですが、気づいたら声優への道を進んでいたのは、結果として必然だったのかなと思っています。

――初めてのお仕事は何になりますか?

今井 エニックスさんから出たCDドラマの『刻の大地』です。“妖精の少女A”といった役でした。そのとき大谷育江さんと共演させていただいたのですが、当時大谷さんが出演されていた『フルハウス』という海外ドラマを私が大好きで、あまりに好き過ぎて、英語の辞書に切り抜きを入れていたくらいなんですね。だから、初めて大谷さんにお会いしたときは、「うわー、ステフだ!」ってとても感動しました。

――収録時は緊張とかはしなかったのですか?

今井 ぶっちゃけぜんぜんしませんでした(笑)。声優というお仕事に対して無知だったせいもありますが。マイクワークとかもぜんぜん知らなかったのですが、そのへんの勘はいいほうなので、現場を見て、先輩たちの動きを見て習いました。

――肝っ玉が座っているなあ(笑)。

今井 主役を演じていた緒方恵美さんが、私が現場を初めてということで気を遣っていただいたのか、ずっとお話をしてくださったんですね。当時私は声優の知識もあまりなかったので、緒方さんのすごさもわからずに何の気もなしにしゃべっていたのですが、「大物だね」って言っていただきました(笑)。このときに出演料を封筒に入れていただいたのですが、何となく感動しました。それが、声優としての初のお給料かな。

●千早は最初、自分のタイプではなかったんです

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――印象に残っている役柄は何になりますか?

今井 私にとって、やはり『アイドルマスター』は切っても切れない作品です。それまでいろいろな役をやらせていただいていたのですが、自分が表に出る仕事というのは少なかったんです。“作品の顔”としてラジオのパーソナリティーを担当することもなかった。『アイドルマスター』で如月千早役を演じさせていただくことになって、仕事の幅が広がりました。

――ご自身がステージで歌ったりされるわけですものね。

今井 もともと声優のお仕事というのは“一期一会”という印象が強いんです。ゲームだと、どんなに思い入れが強くても、基本1回の収録でおしまいなので、だんだんと過去のものになっていってしまう。アニメにしても、収録中はその役が身近に感じられるのですが、いざ収録が終わってしまえば、その役とはそれまでになってしまう。目の前の役を一生懸命演じているあいだに通り過ぎていく……という感じなんです。それが『アイドルマスター』の場合は、収録されてから世に出るまでが長かったし、途中でセリフの追加収録が入ったりと、長期に関わらせてもらったので、より愛着が強くなりました。つねに現在進行形というタイトルは少ないから新鮮ですし、毎回やり甲斐も感じられました。

――たしかに、ここまで長期にわたるタイトルは、そうそうないですね。

今井 家庭用でXbox 360で出た……ということも大きかったかもしれませんね。アーケードのユーザーさんもそうなんですけど、Xbox 360のユーザーさんはひとつの作品に深く愛情を注ぐ方が多い気がして、(『アイドルマスター』は)そういう方たちに支えられているんだな……という実感はあります。よくファンの方から「Xbox 360の宣伝をしてくださってありがとうございます!」って言われたりするんですよ。でも、私のほうこそ「ありがとう!」って思うんですけどね。

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▲今井さんにとっても忘れられない出会いとなった『アイドルマスター』の如月千早。

――今井さんにとって千早とはどんなキャラですか?

今井 千早みたいな女の子って、自分の中ではタイプじゃなかったんです。千早さんはちょっと変わった子で(笑)、どちらかというと頑固で扱いづらい人なので、最初は「こんな子を好きだと言ってくれる人はいるんだろうか?」って思っていました。やはり、明るくて、かわいらしくて、乙女らしい女の子のほうが世の中の人に好かれるだろうって。ただ、それが「今井さんにすごく似ている」って言われて、すごく複雑な心境だったんですけど(笑)。

――とても個性的なキャラではありますね。

今井 ただ、彼女のパワーがすごくて。本来であれば自分が担当することで生まれてくる“キャラクター性”を実感しながら演技したりするのですが、千早に限っては彼女の吸引力がすごくて、どこか根こそぎ自分が持っていかれる感覚がたまにあったんです。彼女のほうが引力が強くて、自分のほうが吸い寄せられていく感覚ですね。ここまで自我の強いキャラに出会ったことがなかったので、始めのうちはそれがうまくコントロールできなかったんですね。それで最初は、それを「うまく乗りこなせるんだろうか?」という不安もありました。それが時が経つごとに、次第に彼女とうまくやっていけるようになったのですが、不思議な役作りでした。もともと私がオーディションに受かってから、千早というキャラの肉付けがされたこともあって、どこからが自分でどこからが千早か、切り分けづらいんです。ぜんぜん違うキャラなら作り込めるのですが、最初から妙にシンクロしていたので、始めのうちは棲み分けに苦労しました。

――ああ、『アイドルマスター』のオーディションは、まずはキャラを選んで受けたんですね?

今井 人によって違いました。声優さんによってはキャラを指定されていた人もいたみたいですが、私はとくにありませんでした。最初はただ、「女の子がたくさん出るゲームです」って聞かされていて、キャラも見せてもらっていなかったです。オーディションに行ったらキャラ表みたいなものがあったのですが、白黒で見えにくかった(笑)。ぱっと見て気に入ったのはやよいでした。初期のやよいは振り返っているような絵柄なんですけど、それでやよいのポニーテールがちょうどグラマラスな影に見えて、「私、これがいいな」って(笑)。オーディションのときは相当緊張していたと思うのですが、とにかく気もそぞろでした。

――それが千早役に?

今井 2次審査を通ったときに、「あなたはこの子の候補です」って言われたのが千早でした。当時マネージャーさんから「このまま行ったら受かるよ」って言われて、「そういうことを言われるとなおさら緊張するからやめてください」って思ったのをよく覚えています(笑)。それで千早のことを意識しだしたのですが、初期の千早は衣装が地味で「かわいくないな〜」って思っていました(笑)。当時は茶色のネルシャツに緑色のズボン、それでトイレで履くようなサンダルで、しかも無愛想(笑)。あまり身なりを気にしないという設定だとしても、このまま世に出るんだろうか……とそれだけが心配でしたね。女の子にも遊んでほしいゲームなのに、女の子はこの格好に憧れないだろうなあと……。その後変わってほっとしました(笑)。

――まるで親みたいな心配ぶりだなあ。

今井 歌も大好きだからうれしかったです。私は小さいころから歌を歌っているだけでよい子にしていられる……というくらい歌が好きで、子どものころは、近所迷惑なくらいずーっと歌を歌っていましたね。声優になるまでは、声優さんが歌を歌うとは知らなかった(笑)。ゲームをきっかけにたくさんの楽曲を歌わせてもらいましたし、それまではただ好きで歌っていたものが、(CDとして)形に残るという凄さを改めて実感しました。お仕事の一環として歌えるのはうれしい誤算で、それはいまでも楽しいなと思います。だんだん歌メインのみの仕事も増えてきているので、仕事目線で見なければいけないこともあり、それはそれでたいへんなんですけどね。

――今井さんの歌好きがあったからこそ、千早のソロデビューにつながった……という一面はあるかもしれませんね。

今井 そうですねー。もともと千早は歌がうまいという設定ではなかったんですよ。当初は“人嫌いで孤高の人”という設定だったように思います。当時の記憶がおぼろげなのですが、ある程度歌録りが進んでから、「千早は歌がうまいという設定にしましょう」とディレクターさんに言われた記憶があります(笑)。キャラが肉付けされる前に「歌がうまい」という設定ができた。だから、初期のころはわざとあまりうまく歌っていないんです。むしろうまく歌うとNGを出されていました(笑)。“Here We Go!!”なんてとてもかわいい曲なのですが、かわいく歌っても「千早は心を開かない人だからもっと冷たく歌ってください」とかダメ出しされてすごいショックでした(笑)。たぶん、初期の曲は全員そうだと思うのですが、あんまりうまく歌いこなすというわけではなくて、キャラ色が強かったですね。それで、“おはよう!! 朝ご飯”のときもけっこうもめました。

――ああ! “おはよう!! 朝ご飯”は千早の歌いかたが話題を呼びましたね。

今井 はい。“おはよう!! 朝ご飯”は、明るいシチュエーションで使用される曲だし、やよいが歌うときは、見るからに明るそうで元気な曲なので、千早が歌うときも「元気に歌おう!」と思って練習していったんですね。そうしたら、「楽しそうすぎる」とか、「もっと切れながら歌ってください」とか「一音一音をスタッカートで切ってください」とか言われて……。「でも、そんなにおもしろくなさそうに歌ってもいいんですか?」って心配になって聞くと、「それでいいです」って。「みんなにも言っているから、もっと切ってください」と言うんです。そうしたら、だんだん私も意地になってきてしまって(笑)。さらには、上を向いて歌うと声が楽しそうに聞こえるからということで、下を向いて歌ったんですよ。収録当時は、「これで歌として成立するのかなあ……」と、とても不安でした。あとで、みんなの歌を聞いてみたら、そこまで切っていなかったですし。そのあとで、千早の歌いかたがおもしろいということで話題になったので、それはそれで歌いかたは間違っていなかったと思うのですが、いまだったらやらないかなと(笑)。当時はスタッフの方も含め、試行錯誤の連続だったんです。みんな経験が浅くて、ゼロから作り上げた感じですね。いま現在の『アイドルマスター』は、どちらかと言うと曲にあわせて歌うというほうを重視している傾向にあるので、その転換期はキャラ重視と曲調重視との狭間で苦労しました。

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▲左端と左から2番目は『アイドルマスター』、右端は『アイドルマスターライブフォーユー!』より。2011年2月24日には待望の最新作である『アイドルマスター2』が発売される。

――キャラクターを演じる醍醐味って何でしょう?

今井 ぜんぜん違う役を演じるときは、不思議な感覚がありますよね。自分ではない、違う生き物になるときって、得も言われぬ解放感みたいなものを感じます。もっと生き生きとさせてあげたいなって思います。とはいえ、私の場合は、どちらかと言うと等身大に近い役を振られることも多いので、最近はそちらを演じるのも楽しくなってきました。以前は、自分とそんなに差がない役だとキャラ作りが難しかったりしたんですけどね。「それって、キミでしょ?」って言われることもある。でも、いまは微妙な差しかないからこそ、「どこで差をつけようかな」という気持ちになれる。たいへんですけど、うまくハマると気持ちいいです。

――ちなみに、ゲームは遊ばれたりします?

今井 好きなのはRPGですね。もちろんRPGの世界ではすったもんだがあるわけですが、比較的平和なRPGが好きです(笑)。ことにいちばん好きなのがレベル上げ。レベル上げさえしていれば文句は言いません(笑)。逆に言うと、着実にやっていればレベルが上がるゲームじゃないと、正直しんどいです。レベルが上がったときに能力値がちょっとずつ上がる感覚に勝る喜びはないです。

――レベルアップをしないゲームはどうですか?

今井 ほかに喜びを見つけないといけないので、そういった意味では好きなものと苦手なものが、わりと分かれちゃうかもしれません。運動オンチなので、基本反射能力を求められるゲームは得意じゃないんです。子どものころはとんでもなくへたくそでした。それでも大人になると、「このゲームはこう遊べばいいんだ」という勘所が付きはじめたようで、昔ほどひどいありさまにはならないんですけどね。ただ、作り手の意志が感じられるゲームは好きです。作り手がポリシーを持って、「自分たちが見せたいのはこういう作品なんだ!」っていうパワーが感じられる作品は、すごく刺激を受けます。気がつくと、引き込まれている感覚がありますね。

――そういう作品で印象的なものは何になりますか?

今井 そうだなあ、『ゼルダの伝説』シリーズかなあ。『ゼルダの伝説』に関しては、いかにプレイヤーを不快に感じさせないように努力しているかというのを要所で感じるんですよ。難易度のバランス調整がよくできている。ふつうのゲームって、立て続けにミッションをクリアーしていくと、急に醒めちゃうことってありますよね? 『ゼルダの伝説』では、そうはならずにうまく引っ張ってくれる心遣いをすごく感じます。細部まで練り込まれていて、「遊び手のことを考えているんだな」って思います。最近だと、PSP(プレイステーション・ポータブル)用の『メタルギア ソリッド ピースウォーカー』もよかったです。もともと私は反射神経がないので、アクションは途中で諦めてしまうのですが、『メタルギア ソリッド ピースウォーカー』は細部まで作り込んでいるのが伝わってくるんです。操作が下手でもいいから先が観たいからがんばる! と思わせる作品はすごいなあと思います。

――今後の目標なんてあります?

今井 もっと好きなことを見つけたいです。ここ数年、仕事に一生懸命で、目の前にあることをやっていこうという傾向が強かったんですね。ありがたいことに、ここ数年はすごく忙しくさせてもらっているので、「いただいた仕事に応えなくっちゃ」という気持ちがすごく強かった。プライベートの時間もあまり上手に取れなくて、「趣味は何ですか?」って聞かれると、本当にないのが辛くて悲しかった。だから、今後はもっともっと自分が好きになれるものを増やしていきたいです。それが何かは、正直わかないんですが。ひいては、それが仕事にも活きてくるのかなって思っています。

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Photograph:小森大輔
(C)窪岡俊之 (C)NBGI

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