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ドイツの名門クラシックレーベルから植松伸夫サウンドでデビューした天才ピアニスト、ベンヤミン・ヌス氏インタビュー!

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数々のピアノコンクール受賞歴を誇る超実力派のピアニスト、ベンヤミン・ヌス氏。2010年11月6、7日に東京国際フォーラムで行われるオーケストラコンサート、“Distant Worlds music from FINAL FANTASY RETURNING HOME”での演奏を控える氏を直撃。植松伸夫氏も交えお話を伺ってきました。

●新鋭のドイツ人ピアニストがなぜ、みずからのデビュー作にゲーム音楽を選んだのか?

 去る2010年10月30日に東京・渋谷で行なわれた、作曲家の植松伸夫氏が代表を務めるDog Ear Recordsのイベント“犬耳家 親族会議 vol.5”にて会場に訪れたファンを魅了し、来る2010年11月6、7日に東京国際フォーラムで行われるオーケストラコンサート、“Distant Worlds music from FINAL FANTASY RETURNING HOME”での演奏を控えるドイツ人ピアニスト、ベンヤミン・ヌス氏。

 彼は、数々のピアノコンクール受賞歴を誇り、クラシック界で歴史のある名門レーベル、“ドイツ・グラモフォン”からCDデビューを果たした超実力派のピアニスト。たとえグラモフォンという名前にピンとこなくても、CDジャケットについた黄色いマークには少なからず見覚えがあるはずだ。そして、ここで声を大にして伝えたいのが、そのデビュー作が『植松伸夫作品集 ファイナルファンタジー/ロストオデッセイ/ブルードラゴン』(ドイツ盤は『BENYAMIN NUSS PLAYS UEMATSU』)というタイトルで、植松伸夫氏の楽曲だということ。クラシック界では前例のない試みに出たベンヤミン氏と、自身も驚きを隠せないという植松氏に、アルバムに込めた思いについて語ってもらった。いやあ、すごい時代がきたものです!

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――おふたりはどんないきさつで知り合ったんですか? 

ベンヤミン 僕が初めて植松さんにお会いしたのは、2009年にドイツで行なわれたゲーム音楽のコンサート、“Symphonic Fantasies - music from SQUARE ENIX”でした。10歳のときからゲームを遊んでいて、ずっと植松さんのファンだったので、お会いできたときは本当にうれしかったなあ! 

植松 そのリハーサルで僕は、ベンヤミンさんがオーケストラといっしょにピアノを弾いているのを見て、「すごいヤツがいるな。世の中は広いなあ」なんて思ってました。そうしたら後日、彼と彼のマネージャーさんに呼ばれて、「これからCDデビューするかもしれないんですが、できれば植松さんの曲でデビューしたいんです」と相談を受けて……。それが名門、ドイツのグラモフォンからだと言うので、そんなことありえるのかな? なんて。そのときは半信半疑で、「まあ、いいんじゃない?」ってお返事をしたんです(笑)。でもそれがこういう形で現実になってしまったから、心底驚きました。

ベンヤミン ずっと昔から、植松さんの音楽で僕のピアノのアルバムを作りたいと思ってたんです。

植松 ありがたいですねー。何と言うか、いまはそういう時代になったんでしょうね。ゲーム文化が生活に根付いた現代では、子供のころからクラシックを勉強している人が、好きなゲームの音楽を演奏するというのは自然なことだからね。これが10年前だったら、グラモフォンにとっても、ゲーム音楽でクラシックのアルバムを作るなんてありえないことだったと思いますよ。

ベンヤミン ゲームは、大人になったいまでも大好きです。もちろん、あまり遊ぶ時間は取れないけど、時間を見つけては遊んでます。

植松 ゲームとピアノの練習時間、どっちが長いの?

ベンヤミン いつも4時間ほど練習して……ゲームは2時間くらい(笑)。じつは、今回の旅にもPSPを持ってきたんですよ。

――何をプレイしているんですか?

ベンヤミン いまハマってるのは『 ファイナルファンタジー』です。

――本当に『FF』好きなんですね(笑)。ちなみに、最初に遊んだ『FF』は何作目でしたか?

ベンヤミンFFX』です。それから『FFIX』、『FFVIII』、『FFVII』と、さかのぼってプレイしました。ドイツでプレイステーション2が発売されたときに父が買ってくれたのが、『FF』と出会ったきっかけなんです。

植松 えっ、お父さんもゲーム好きなの? 

ベンヤミン そうなんです。小さいころ、父がゲームボーイで『テトリス』を遊んでいるのを見ながら育ったぐらい(笑)。僕のゲーム好きは父の影響ですね。任天堂のハードも何台もありますよ。

――ベンヤミンさんはさきほど植松さんのファンだと公言されましたが、植松さんの音楽のどんなところに魅力を感じたんですか?

ベンヤミン とにかく、植松さんの音楽ほどメロディーが美しいものはないと思っています! ゲームの情景にも、登場キャラクターの感情にもピッタリ合っているし、本当にすばらしいです。

植松 ……いくらお小遣い欲しい(笑)?

ベンヤミン (笑)。

――アルバムの選曲はベンヤミンさんご自身でなさったんですか? 

ベンヤミン もちろんそうです。でも、植松さん側から提案があって決めたものもあります。実際に遊べていないゲームの音楽は、サントラを送ってもらったりもしました。

植松 「この曲をやって欲しい」というお願いのしかたはしていないんですが、いろいろ聴いてもらいましたね。

ベンヤミン アレンジは、僕や僕の知人、ジャズミュージシャンである父づてに、5人の方にお願いしました。

――お父さんもミュージシャンなんですか。じゃあ、家族でゲーム音楽セッションができますね!

ベンヤミン 父とはまだセッションしたことはないんですけど、友だちとならありますよ。僕が『FFVII』を遊んでいたころ、お遊びで曲を耳コピしたりして(笑)。植松さんの曲でCDを出したいと思うようになったのは、その時からなんです。

――アルバム収録ではどの曲がお気に入りですか? できたら解説つきで教えてください。

ベンヤミン 「ティナのテーマ 『FFVI』より」ですね。植松さんの曲の中でも、いちばん美しい曲なんじゃないかな? いや、僕が知っているメロディーの中でいちばんかな! それから、「私の涙と空 『ブルードラゴン』より」。この曲は本当に感情的で、悲しみが込められていると思います。聴いていると僕が泣いてしまいそうです。そして、「希望の徴 『ロストオデッセイ』より」。個人的な話になってしまうんですけど、僕にはおばあちゃんがいるんですね。でも、じつは最近倒れて体の左半分が動かなくなってしまって……。この曲を演奏すると、ついおばあちゃんのことを思い出して、「希望は失くしちゃダメだよ」って励ましたくなるんです。

――植松さんはアルバムを聴いてどう思いましたか?

植松 そりゃもう完璧ですよ(笑)。彼の演奏は文句のつけどころがない。アレンジャーも僕が知ってる人ばかりだし。……日本でアレンジアルバムを作ると、ファンの思い入れを第一に考えて原曲寄りのアレンジを施すのだろうけれど、このアルバムは本当に自由な発想でアレンジされているんですよね。だから、ゲーム音楽からは少し離れて、いわゆるソロピアノという形態に徹した、ひとつの完成した音楽になっていると思います。

ベンヤミン ありがとうございます! 

――ゲームの楽曲に加えて、お互いに1曲ずつオリジナル曲を提供していますね。

ベンヤミン 本当に名誉なことです。だって、植松さんは僕の最大のアイドルだから。そのアイドルが、自分のためにこんなにも美しい曲を書いてくれただなんて……! 

植松 僕もうれしいですよ。僕らがゲーム作りを始めた25年くらいまえって、映画やテレビの仕事がやりたくても就職できなかったり、小説家になりたくてもうまくいかなかったり、音楽業界で働きたくても働けなかったりして、仕方なしにゲームを作っていたところもあったのに……。長いことを同じ物事を続けていると、こんないいこともあるんだなって。ゲームがこんなにビッグビジネスに、ましてやワールドワイドになるなんて誰も考えもしなかったからね。最近は悲しいニュースが多いけど、音楽やゲームでみんなが笑顔でひとつのところに集まれるのはすばらしいことだと思うし、そこに参加できて本当にうれしい。ベンヤミンさんに捧げた「イヤーズ&イヤーズ」という曲は、そういう意味を込めて作曲しました。

――では、最後にベンヤミンさんからひと言お願いします。

ベンヤミン 今回のアルバムにはふたつの思いが込められています。ひとつは、ヨーロッパではまだまだ過小評価されがちなゲーム音楽を高めていきたいという思いです。とくに、ゲームは悪いものだと思っている人たちに、ゲーム音楽というすばらしい一面があることを伝えたい。ゲーム音楽は、現代に存在している音楽の中でも最高にステキなものなんです。もうひとつは、ヨーロッパの若い人たちに、もっとクラシックのコンサートへ足を運んでもらいたいという思いです。“Distant Worlds music from FINAL FANTASY RETURNING HOME”のようなゲーム音楽のシンフォニックコンサートと同じように、クラシックにも親しみを持ってもらいたいんです。また今回、ゲーム文化の発祥の地である日本で演奏できることにとても興奮しています。どんなお客さんが、どんな反応をしてくれるのか、とても楽しみです!

植松伸夫作品集 ファイナルファンタジー/ロストオデッセイ/ブルードラゴン

発売日:2010年10月27日発売
発売元:ユニバーサル ミュージック
ASIN:B0041UOQ32

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▲クラシックの渋いオーラが出ているジャケットだが、帯の裏面の紹介文にはなんと“ノビヨ師匠”の文字が! 同封されたライナーノーツは植松さんによるもので、じつは親しみやすい。渋いと言えば、選曲も。「蛇の道 『FFVI』より」などは、かなりマニアックなのでは!? この曲は、繊細かつ怒涛のような早弾きテクニックが聴きどころ。そのほかのラインアップは以下のようになっている。

収録曲

1. 序章 (ロストオデッセイ)
2. 希望の徴 (ロストオデッセイ)
3. 強敵出現! (ロストオデッセイ)
4. ティナのテーマ (FFVI)
5. Liberi Fatali (FFVIII)
6. Where I Belong (FFVIII)
7. 蛇の道 (FFVI)
8. ノブオのテーマ ―植松伸夫に捧ぐ
9. いつか帰るところ (FFIX)
10. ファイナルファンタジーVIIのテーマによる幻想曲(プレリュード〜J-E-N-O-V-A〜エアリスのテーマ〜オープニング爆破ミッション〜ファイナルファンタジーVIIメインテーマ)
11. メインテーマ (ブルードラゴン)
12. 水辺 (ブルードラゴン)
13. 私の涙と空 (ブルードラゴン)
14. 封印解放 (ブルードラゴン)
15. イヤーズ&イヤーズ ―ベンヤミン・ヌスに捧ぐ

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