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マイクロソフトのフィル・スペンサ氏ーに聞く、Kinectには価格に見合った価値がある【TGS2010】
ゲーム Xbox 360 インタビュー●Kinectはすべてのゲームにマッチする
基調講演の興奮も醒めやらぬ東京ゲームショウ会場近くのホテルにて、マイクロソフト コーポレーション コーポレート バイスプレジデント マイクロソフトゲームスタジオ担当のフィル・スペンサー氏にインタビューを実施。Kinectを中心に、今後のXbox 360の戦略に迫る。
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――今日の基調講演で、5つの企業とパートナーシップを結んだことを発表しましたが、その経緯を教えてください。
フィル 私たちは今日、グラスホッパー・マニファクチュアさん、グランディングさん、スパイクさん、トレジャーさん、七音社さんの5社とXbox LIVE アーケード向けのタイトルをいっしょに開発していくというパートナーシップを結んだことを発表しました。いずれも発売元はマイクロソフトになります。日本には質の高いゲームを作るという歴史があります。新しいゲームプレイをもった新しいゲームを立ち上げることを考えたときに、日本のゲームファンの方が新しいプラットフォームを愛してくださるようなソフトを提供したいと思ったんです。今回パートナーシップを結んだメーカーさんですが、長いあいだクリエイティブな作品を提供して成功してきたという実績があります。私たちが新しいプラットフォームを紹介するときに、こういう実績のあるメーカーさんと協力するのは重要だと考えました。
――『Fire Pro Wrestling(仮題)』や『レイディアントシルバーガン』などはコアなファンの多いゲームですが、マイクロソフトブランドで発売するということは、ユーザーへのメッセージ的な意味合いが強いのですか?
フィル 私たちは、この惑星のすべての人に愛していただけるようなソフトを作りたいと思っています。『Fire Pro Wrestling(仮題)』にしても『レイディアントシルバーガン』にして、コアとなるシステムは世界中で愛されるものだと信じています。もちろん、両作のリリースにより、日本のXbox 360ファンを増やしていけるだろうとも考えていますよ。きちんと成功している会社とコラボしているので、成功はたしかなものだと信じています。
――Kinect専用のマイクロソフトタイトルも3本発表になりましたが、これもコアゲーマー向けですね。これはKinectがファミリー層だけに向けたものではないことをアピールするものですか?
フィル Kinectはすべての人に楽しんでいただくことを前提に開発したものです。今日アナウンスしたタイトルを見ていただけば、いろんな人に楽しんでいただける、幅広いタイトルを用意しているのだということがおわかりいただけたのではないかと思っています。
――ちなみに、Kinect向けの3タイトル、グラスホッパー・マニファクチュアの『codename D(仮題)』や、グランディングの『Project Draco(仮題)』、七音社の『Haunt(仮題)』はどのようなタイトルになるのでしょうか?
フィル 私たちの関係ははじまったばかりです。須田さんや二木さん、松浦さんというすばらしい開発者の方たちに、「もっともクリエイティブなアイデアを私たちにください」とお願いして生まれたのがこれらのタイトルです。ゲームの詳細に関しては、ファンの方たちの今後の楽しみにとっておきたいなと(笑)。ただ、今日はすばらしいパートナーシップが結ばれたということと、今後どんなクリエイティビティーをKinectにもたらすか……ということを発表したかったんです。
――なるほど、わかりました(笑)。では、北米では年内に15タイトルのKinect対応ゲームを予定しているとのことですが、2011年はどれくらいになりそうですか?
フィル いまKinectは非常に勢いづいています。といいますのも、どんどん開発者が手を挙げてきてくれているんですね。今日新たに5タイトルを発表しましたが、今後の数は決まっていませんが、2011年はどんどん増えることは間違いありません。ですので、15タイトルから始まって、今後も相当数のKinect対応タイトルが発売されることを期待していただいていいですよ。
――今後のKinectの流れとしては、新規の専用のタイトルが増えていくのでしょうか? それとも、既存の人気シリーズがKinect対応になっていく感じでしょうか?
フィル 両方です。たとえば『重鉄騎』のように既存のフランチャイズをKinect向けに開発することもありますし、グラスホッパー・マニファクチュアさんの『codename D(仮題)』のようにまったく新しいブランドを立ち上げることもあります。『フォルツア モータースポーツ』シリーズも既存のフランチャイズを生かす例ですね。強いていえば、幅広くKinectを使ってほしいというのが私たちの望みです。
――マイクロソフトゲームスタジオタイトルに限って言うと、やはりKinect対応が望ましい?
フィル それはクリエイター次第ですね。私たちがクリエイターに対して「Kinectに対応してください」と強制することはありません。もしも、ゲームがきちんとKinectにフィットするというのであれば、クリエイターのほうでそうするでしょうし。ただ、私個人の考えを言えば、Kinectはすべてのゲームにマッチしうるものだと思っています。Kinectは音声にも反応しますし、ゼスチャーにも反応します。Kinectではさまざまな楽しみかたでゲームが遊べます。そういった点で考えると、おそらくはほとんどのフランチャイズはKinectに対応していくことになるのではないかと思っています。
――Kinectの価格についてですが、日本のゲームファンはちょっと高いのでは……との声もありますが……。
フィル それはKinectをまだ使っていないからですよ(笑)。価格の重要性に関しては、私たちも認識していましたので、長いあいだ議論しました。基本にあるのは、お客さんに“バリュー”を提供しないといけないということです。そういった意味では、Kinectに関しては、価格に見合った“バリュー”を提供できると思いますし、愛していただけると信じています。そして大切なことは、Kinectはファミリー向けのエンターテインメントマシンであるということです。複数の人に楽しんでいただける。ひとりで遊んだ場合と、複数で遊んだ場合の価値は違ってくると思いますが、複数の人が遊ぶからといって、複数のKinectが必要ないというのは、非常に重要なバリューだと思います。
――そのへんが、ライバル陣営とは違うということですか?
フィル (笑)。いずれにせよ、Kinectを一度体験したら、けっして高い金額ではないと、自信を持って言えます。家で遊ぶのに価値のあるものだと理解していますし、みんなが家で楽しんでいただければ……と思っています。
――Kinectとは少し話が離れますが、今週『Halo(ヘイロー): Reach』が発売されました。開発会社のバンジーにとっては最後の『Halo(ヘイロー)』シリーズの作品となりますが、今後の『Halo(ヘイロー)』シリーズの展開はどうなるのですか?
フィル 私たちは『Halo(ヘイロー): Reach』を大成功のうちに立ち上げられたことを非常にうれしく思っていますし、ファンの皆さんには、今後もこのフランチャイズを愛していただきたいです。『Halo(ヘイロー)』シリーズの成功はバンジーなくしては語れないものです。シリーズの今後ですが、343インダストリーズを立ち上げておりまして、今後はこのチームが『Halo(ヘイロー)』シリーズを手がけていくことになります。343インダストリーズは『Halo 3(ヘイロー3):ODST』と『Halo(ヘイロー): Reach』でバンジーといっしょに開発していますし、Halo Waypointや、アニメ『Halo Legends』なども作っているので、『Halo(ヘイロー)』シリーズを安心して任せることができます。このチームには私が太鼓判を押せるような優秀なスタッフが多いですし。私の大いなる野望は、『Halo(ヘイロー)』をすべてのエンターテインメントでももっとも巨大なフランチャイズにするということです。今後どんどん成長・進化させていきたいと思っています。ゲームの枠を飛び出して、どんどん大きなものにしていきたい。
――最後にファンに向けてのメッセージをお願いします。
フィル 今日は日本のXbox 360ファンにとっては、記念すべき日になったと思います。新たにXbox 360向けに10タイトルが発表されたわけですから。しかも日本のクリエイターの手になるものを。そして私たちは、日本で作られたゲームを、今度はマイクロソフトが世界に向けて展開していく……という流れを誇りに思っています。日本のクリエイターにとって、これほどのサポート体制が敷かれたことはなかったのではないでしょうか。日本のクリエイターが作ったすばらしいコンテンツがもうすぐKinectで遊べますので、楽しみに待っていてください。
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