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【CEDEC 2010】スクウェア・エニックス、世界と戦うための新ゲームエンジン“ルミナス”が開発進行中

ゲーム
スクウェア・エニックスが、傘下に収めた旧アイドス系のスタジオで使用されているゲームエンジンを使った開発手法を解説。さらに新世代ゲームエンジン“ルミナス”の開発が進行中であることを明かした。

2010-09-02

●こりゃ記者にもできるかも? と勘違いしてしまうほどの強力なツール群

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▲CEDEC会場でも大きめの部屋が割かれていたが、前方から最後尾までぎっしりの盛況。

 CEDEC(CESAデベロッパーズカンファレンス)2010が、2010年8月31日〜9月2日の3日間にわたって、神奈川県のパシフィコ横浜・国際会議センターにて開催中だ。社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)主催によるCEDECは、ゲーム開発者の技術交流などを目的に開催されている講演会で、今年で12年目。ゲームの知が集結するCEDEC 2010の模様をリポートする。

 スクウェア・エニックスといえば『ドラゴンクエスト』、『ファイナルファンタジー』といったメガヒットシリーズを擁することで、日本的なメーカーと認識している人が多いかもしれない。だが、実際には2009年に『トゥームレイダー』シリーズなどで知られる海外のトップメーカー、アイドスを傘下に収めるなど、グループ全体としては世界各地に開発拠点を持つ国際企業というのが正しいだろう。既報のとおり、アメリカでも新規タイトルの開発が進行中だ。CEDEC最終日となる9月2日に行われたセッション“「Eidosの最新ゲーム詳解」〜Deus Ex, Hitman, Tomb Raider, Kane and Lynchの裏側を覗く〜”では、スクウェア・エニックス ヨーロッパ(旧アイドスグループ)が持つ最新のゲームエンジンG2エンジンとCDCエンジンの紹介のほか、ラストにはサプライズとしてまったく新しいゲームエンジン“ルミナス”が開発進行中であることが明かされた。

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 前半は、IOインタラクティブ(『ケイン アンド リンチ』シリーズなどを開発)で使われているG2エンジンでの“Live Editing”が披露された。スクウェア・エニックスのワールドワイドテクノロジーディレクターを務めるJulien Merceron氏いわく、Live Editingとはデータを可視化して、リアルタイムでシーンやレベル(マップ)を作りこんでいく方法。ツールをきわめて重要視しており、デザイナー(この場合は単なるデザインではなく、ゲームデザインを含む)とコンテンツ制作者が使いやすく、かつ効率的に制作を行えることを目的にしているとのこと。

 次世代ゲームエンジン開発プロジェクトのリードプログラマーを務める岩崎浩氏によって実際のツールの画面を出しながらデモが行われたのだが、「え、これでもう動くの?」というわかりやすさ。各種オブジェクトや設定などが、GUI画面上で一目瞭然。

 オブジェクトや条件などがブロックのようにわかれており、各ブロックを接続していくことで複雑な表現も簡単に作りだすことができる。ものすごくおおざっぱに言ってしまうと、仕組みとしてはマイクロソフトの簡易プログラミングツール『KODU』などと同様。もちろんこれはあらかじめ各ブロックがちゃんと定義されて用意されている必要があるのだが、作業がかなり簡略化され、作り込みに専念できるのは間違いないだろう。記者はまったく専門的なプログラミング知識はなく、ちょこっと3DCGツールと使ったこととBASICの基礎レベルのプログラムならなんとなくわかる程度だが、それでも十分なにをやっているかは理解することができた。

 最終的にできあがったのは、「ドアをあけるとティーポットが煙を吹き出しながらアニメーションし、動き終わるとドラム缶が順に爆発する」というシーン。これは以下のような定義によって成り立っている。

1.プレイヤーキャラクターがドアを開く
2.ティーポットが煙のエフェクトを発生させ、同時にパスに沿って動き出す
3.ティーポットのアニメーションが終わったのに合わせて、ドラム缶が爆発するまでのタイマーが動く
4.タイマーが0になり最初のドラム缶の爆発がオンになり、上方への力が加わる(吹っ飛んだように見える)
5.以下、順にドラム缶が爆発して吹っ飛ぶ

 まさに「風が吹けば桶屋がもうかる」式。ツールと各種アセット(素材)が適切に用意されていれば、このシーンを作るためだけなら、ティーポットのデータ構造や、爆発をプログラム的にどう表現するのかを必ずしも知らなくてもいいのだ。

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▲なにもない状態。

▲平面を置く。

▲箱を置く。

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▲プレイヤーキャラクターを置く。もう操作可能!

▲ドラム缶を呼び出して、パラメーターを設定するブロックとつなぐ。

▲オンにするとドラム缶が設定どおりに吹っ飛ぶ。

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▲ドラム缶オブジェクトにさまざまな属性が用意されている。

▲パラメーター、オブジェクト、条件などのブロックを接続していく。

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▲ドラム缶を爆発させるためのブロック。

▲条件付けなどをブロックをつないで行っていく。

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▲「風が吹けば桶屋がもうかる」ではないが、「ドアを開いたらドラム缶が爆発し吹っ飛ぶ」の図。

▲グループ化も可能。言ってしまえば「ドラム缶が吹っ飛ぶやつグループ」

▲タイムラインも設定できる。左から右に流れる時間軸で、何秒のときにどこにどの状態であるかを設定できる。

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▲さまざまな分野に応用可能。たとえば会話を視覚化してしまえば、ローカライズ(吹き替え・字幕)なども楽になる。

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 次に披露されたのは、CDCエンジンにおけるダイナミックライティングの例。多彩な光源が用意されており、すべてをリアルタイムに変更可能。『Deus Ex(デウスエクス)』では、たくさんの光源を使って、シーンを“塗る”ように演出を行っているそう。Xbox 360の実機を使って、実際にリアルタイムに光源を動かしたり、パラメーターを変更したりするデモを見ることができた。

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 こうしてシーンがリアルなグラフィックで構成されるようになると、次に問題となるのがキャラクターなどのリアルタイムのアニメーションだ。リアルなCGモデルなのに、アニメーションがそれに見合っていないことで起こるいわゆる“不気味の谷”を避けるべく、キャラクターが自然に動きまわれるように物理アニメーションの向上をつねに意識しているそうで、デモではかなりのスピードで動きまわりながらも、足がちゃんと接地して(少し宙に浮かせると、地面と関係に応じたキャラクターアニメーションを多少省略できる)おり、慣性に合わせてキャラクターの体が自然に傾いたりしていた。

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 そして今後の展望に入るところで、司会進行を務めていた橋本善久氏から、次世代を見据えたスクウェア・エニックスの新ゲームエンジン“ルミナス”が発表された。ここまで説明されてきたような旧アイドスが持つテクノロジーもすべて盛り込んで開発中で、「世界と本気で真っ向から戦えるゲームエンジン」(橋本氏)を目指しているとのこと。気になるのは実際のゲーム開発に投入される時期だが、エンジンの続報を「遅くても2年後にはお見せできる」とのことなので、そう遠くない未来、“ルミナス”によって開発されたゲームを見ることができそうだ。

 最後にMerceron氏は、スマートフォンやGaikaiやOnLiveといったクラウドゲーミングも含めたプラットフォームの多様化に対応していかなくてはいけない困難や、さらなるグラフィックの進化などに触れつつ、「未来はいまから始まっているのです」と語った。そして橋本氏がセッションを通じてもっとも伝えたかったこととして、「日本はもう(ゲームの技術競争に)負けた」ことを正しく認識することが重要で、そのうえで、欧米のゲーム開発手法から学ぶ姿勢を持って取り組んでいけばふたたび追いつくことができるはず、と締めくくった。

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