携帯電話の方はファミ通MAXをご覧ください。

HOME> ケータイ・スマートフォン> 記事

初心者、現役プレイヤーもハマる! iPhone版『ストリートファイターIV』誕生秘話
【iPhoneアプリの開発現場から】

2010/4/26

  • はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をつぶやく

●カプコンの発明“ヴィジュアルパッド”が「iPhoneで格闘ゲームを!」を可能に

 
sf40001

▲カプコンのケータイアプリ、iPhoneアプリなどを統括する手塚武氏。

 カプコンから配信中のiPhone/iPod touch向けアプリ『ストリートファイターIV』。既報のとおり、iPhone/iPod touch版独自のインターフェースを採用し、ゲームシステムを同端末用に最適化。初心者から『ストリートファイターIV』の現役プレイヤーまで幅広い層のユーザーに支持され、配信直後からAppStoreのランキング上位に君臨している。しかも、辛口なことで知られるレビュー欄においても、5つ星中4つ星(2010年4月20日現在)と非常に評価も高い。格闘ゲームという一見すると携帯デバイスにはあまり向いていないと思われがちなジャンルで、大きな成功を収めた秘訣とは? カプコンのケータイアプリやiPhoneアプリを統括するMC開発部長兼プロジェクト企画室長の手塚武氏に直撃した。
 

週刊ファミ通『ストリートファイターIV』、『スーパーストリートファイターIV』攻略班

豊泉三兄弟のプレイインプレッションはこちら
 

【ストリートファイターIV】
■カプコン ■900円[税込]
ダウンロードはこちらから
(App Storeにつながります)

sf40009
sf40008
sf40010
sf40007
sf40005
sf40004
sf40003
sf40002

▲2008年に発売された『ストリートファイターIV』が、iPhone/iPod touchで配信。上級者も納得の操作性を実現しているほか、初めて今作を遊ぶ人用に道場という練習用のモードが用意されている。『ストII』世代の筆者も『ストIV』熱がすごいです!

 

−−『ストリートファイター』シリーズの最新作ナンバリングタイトル『ストリートファイターIV』がiPhoneで配信されると初めて聞いたとき、かなり驚きました。ユーザーもそうだったと思うのですが、配信後の反応はいかがですか?

 

手塚 今回のiPhone版は、『ストリートファイターII』以降シリーズから離れてしまった人にも遊べて、『ストリートファイターIV』を現役でプレイしている人にも認めてもらえるものにするというふたつの課題がありました。App Storeのレビューを見ていると、どちらのユーザー層のかたからも評価していただけているようでうれしいですね。

 

−−『ストII』世代と現役『ストIV』プレイヤーの両方に楽しんでもらえる、というのはかなり難しいことですよね。

 

手塚 チューニングとしては、どちらかというと『ストII』を昔遊んでいたような方たちに向けたものを目指しました。そういう意味で、現役プレイヤーにどう評価されるのがすごく心配だったんです。ただ、現役プレイヤーの方たちは格闘ゲームに成熟しているだけに、iPhone向けのチューニングもある意味納得してもらえるだろうし、しっかり遊べるものを作れば評価していただけるだろうなと。実際現役プレイヤーの方らしい人のレビューで、「iPhoneならこういう形がベスト」というコメントを見たときはうれしかったですね。

 

−−実際に編集部の『ストIV』攻略班の人間と、僕のような『ストII』世代が遊んでも、十分に楽しめるのはちょっとビックリしました。対等に遊べるまではなかなか難しいですが(笑)。

 

手塚 (笑)。そういう風に遊んでもらえることをけっこう意識していました。『ストII』世代の人からすると『ストIV』の現役プレイヤーとそこそこ遊べるというのはうれしいはずですし、『ストIV』の現役プレイヤーからすると対戦で遊べる人が増えてうれしいはず。どちらの側にとってもうれしいことだと思うんです。そこのチューニング部分に関しては、開発内でもけっこう議論しました。僕自身アーケードゲームの『ストII』のデバックなどに携わって、どんな意図で作られたゲームなのを知っていました。しかし、『ストIV』はそれほどやり込んでいないので、現役プレイヤーたちがどのように楽しんでいるのかを詳しく知らない。iPhone版『ストIV』を作ったスタッフにはアーケード版『ストIV』を好きな人間ももちろんいて、そういう人間とかなり時間をかけて議論を重ねてバランス調整をしてきまいした。

 

−−細かいバランス調整はたいへんな作業でしょうね。

 

手塚 最初はリュウ対リュウでバランスを調整して、それである程度答えが見つかってからは、キャラクターごとにそのバランスに合わせていったので……制作自体は1年ちょっとくらいかかっています。『ストリートファイター』シリーズをiPhoneで出すというのは、けっこう前から決めていたんですが、『IV』を出すことに決めたのはけっこうあとのことだったんです。

 

−−ほほう。僕も最初はケータイアプリのように『ストII』が出るのかと思っていましたが、なぜあえて『IV』を出そうと思われたのでしょう?

 

手塚 最初はコントローラーの問題もあって、『ストリートファイターII』のような1レバー、6ボタンのゲームがiPhoneに向いているのか、そもそも作れるのかというところから議論していました。出すからには意味があるものを作らないといけない。中途半端に作ってしまうと、シリーズのブランドイメージを損なってしまう可能性もありますから。その後iPhoneで『バイオハザード4』を出して、コントローラーの考えかたは『バイオ4』のものを発展させていけば、何とかなるんじゃないかなと。それでコントローラーの革新的な部分を理解してもらうために、『ストIV』くらいインパクトのある作品のほうがいいんじゃないかなと判断して、『ストII』でも『ストIII』でもなく、最新作に決めました。

 

−−ヴィジュアルパッドはカプコンさんが生み出した独自のインターフェース。見た目はバーチャルパッドと同じような架空のレバーでありながら、違和感なく操作できるのは驚きました。

 

手塚 じつはヴィジュアルパッドができるまえまで、『ストリートファイター』シリーズをiPhoneで出すと言うことにいちばん懐疑的だったのは僕だったんですよ(笑)。このシリーズはカプコンを代表するブランドで、下手なものを出すとイメージを傷つけてしまう。せっかく高いポテンシャルを持つコンテンツのイメージをみすみす損なうようなことはしたくなかったんです。そこから真剣に従来のバーチャルパッドというものを研究し始めたんです。

 

−−一見するとバーチャルパッドとヴィジュアルパッドでは大きな違いはないように見えますが、操作してみるとまったく違う感覚です。

 

手塚 ありがとうございます。そもそもバーチャルパッドでゲームを遊ぶと、なぜか入力した方向を感知してくれなかったり、入力していない方向を感知したり、とてもイライラすることが多かった。そこで、社内で徹底的にディスカッションをして、ひとつの方向性が見えてきたんです。その方向性というのが、操作の本質というのはAボタンを押したからAボタンが押されたと感知することだけでなく、Aボタンは押されているけど押しかたが弱いからもしかしたら偶然押されてしまっただけで押したくなかったかもしれないということを関知することも必要だということなんです。極端に言うと、Bボタンを押してから上ボタンを入力するとジャンプと判断するけど、Aボタンを押してから上ボタンを入力するとジャンプじゃないと判断するような感じ。ゲームによって重要視する方向というのがあって、『魔界村騎士列伝』だと左右の二方向が重要で、『バイオハザード4』だと全方位矛盾なく動くほうがいい。バーチャルパッドとは違い、そういったいろいろな計算をバックグランドでやっていて、それでストレスなく思ったように動くゲームがプレイできるようになっているというわけです。

 

−−コントローラーだけ取ってもすごいこだわり。ユーザーからの評価が非常に高いだけに、今後のプレッシャーも高そうですね。

 

手塚 下手なものは出せませんよね(笑)。iPhoneのゲームはユーザーの声がダイレクトに僕たちが目にすることができるので、すごく刺激的。昔僕はアーケードゲームのロケテストなどをやっていたんですが、その当時に近い感覚ですよね。ユーザーの反応を見たり、意見を聞いたりしながら作っていくアーケードゲームに近い世界がようやくまた出てきたかという感じがしています。

 

−−最新のモバイルデバイスがアーケードゲームの感覚に近いというのは、カプコンさんならではの考えかたかもしれませんね。

 

手塚 そうですね。いまは良くも悪くもゲームが成熟しすぎている部分があると思うんです。昔はアーケードゲームが主流で、手軽に1回だけゲームを遊ぼうというニーズにも応えられていた。だけど、家庭用ゲーム機が主流になってからはハードを持っている人しかゲームが遊べなくなってしまった。もちろん、これが悪いわけではないんですが、ハードが必要になると、昔アーケードで1回だけ遊ぼうかと思っていたようなライトな人たちはゲームを遊ばなくなってしまったと思うんです。

 

−−なるほど。

 

sf40000

手塚 だから、ケータイアプリやiPhoneアプリ、ソーシャルゲームなどで遊んでいる人たちが増えているというのは、家庭用ゲーム機が全盛のゲーム業界への警鐘というかアンチテーゼというか。我々が考えている以上に「ゲームを遊びたい」と思っている人は多いんだという市場の声なんだと思います。任天堂さんが「ゲーム人口の拡大」を目指してらっしゃるのは、まさにそういうことなんだと思うんですね。ゲーム文化の裾野が広がれば、もっとゲームが文化として豊かになる。まさにいまはそういう変化のときだと思います。だから、そういう裾野にいる「ちょっとだけゲームを遊びたい」と思っている人たちに向けて、いかに真剣に取り組むかが重要ですよね。iPhoneを持っている人がゲームに対してどのように考えていて、どのような遊ばれかたが好まれるのかを考えて作らないとダメ。家庭用ゲーム機のタイトルをそのまま移植したって受け入れられるはずはないんです。そういう意味で、我々はしっかり調査をしてiPhoneユーザーに違和感なく『ストIV』を遊んでもらえるかということを真剣に考えてきた結果が出たのかなという想いはあります。
 

−−確かにこれまで配信されてきた『バイオハザード ディジェネレーション』や『バイオハザード4』、『魔界村騎士列伝』といったタイトルも単なる移植とは違いましたね。しかしよく「iPhoneアプリは儲からない」という話を耳にします。iPhoneアプリ市場は、そこまで真剣に取り組む価値がある、ビジネスになり得る市場だと考えられているということでしょうか? ぶっちゃけ儲かりますか? 

 

手塚 (笑)。儲からなかったらビジネスとしてやっていけませんから、もちろん儲かっています。1タイトルあたりの金額が家庭用ゲーム機に比べて低いので、ものすごく儲かっているわけではありませんが、ビジネスとして展開するだけの価値がある市場だと考えています。

 

−−心強い言葉! ちなみに先日『ストIV』のキャラクターが無料で追加されることが発表されました。今後もこういったバージョンアップはあるのでしょうか?

 

手塚 『ストIV』に関してはキャラクター、システムの追加などを定期的にやりたいと最初から考えていました。

 

−−キャラクター追加以外にも?

 

手塚 まだ詳しいことは話せませんが、いろいろなことは考えていて、かなり長期的なスパンでバージョンアップをしていこうと思っています。これも皆さんに実際に評価して『ストIV』を購入して頂いているからなんですけどね。売れていなければそんな話もできませんし、本当に感謝しています。

 

−−アプリ内課金という選択肢は?

 

手塚 アプリ内課金は思いつきでやれるほど、あまくはないと考えています。オンラインやソーシャルゲームでアイテム課金が流行っているからという理由だけでアプリ内課金を導入しているようなケースも見受けられますが、どのようなアイテムを購入してもらうかに関しては極めて慎重に検討しなければならないと思います。そういったアイテム課金をやると必ずユーザーの方たちの反感を買ってしまい、逆にブランドイメージを悪くしてしまう。よくまわりからは「アプリ内課金でアイテム売れば儲かるのに」って言われますが、そんなにあまくはないです。これもさきほど話したいかに市場に対して真剣に向き合って、アプリ内課金をしてユーザーに喜んでもらえるかということを考えて展開しないとダメだと思います。

 

−−そういったことも踏まえ、今後はiPhone市場に向けてどのようなタイトルを提供していかれるのでしょう?

 

手塚 まずはカプコンのブランドを世界に広めるという意味で、人気シリーズのタイトルをiPhoneアプリに最適化していくことは続けていこうと思います。これまでカプコンのタイトルを遊んだことがない人に触れてもらうチャンスですから。そのうえでオリジナルタイトルも展開したいと思いますが、家庭用ゲーム機と同じような文法では売れないと思っています。オリジナルゲームをユーザーの皆さんに伝達する手段があまりにも少なすぎるんですよ。もちろんファミ通さんに取り上げていただくというのもひとつの方法ですが、ファミ通さんのようなゲームメディアを読まない人への訴求が重要な市場。だからこそ、その伝達手段、いかに口コミを作っていくかというのも企画のひとつとして考えていかなければならないと思います。

 

−−iPhone市場に真剣に取り組まれているカプコンさんの今後の展開も楽しみにしています。

 

手塚 ありがとうございます。カプコンの社風でもあるのですが、どんなゲームに対してもスタッフ全員が真剣に取り組む。それは技術的なことだけでなく、市場に対しても変わりません。これからもいい意味でユーザーの方たちの期待を裏切れるようなものを提供していきたいと思っているので、楽しみにしていてください。

 

※カプコンのiPhone/iPod touch向けアプリの情報は“CAPCOM iPhone/iPod Touch games

※iPhone版『ストリートファイターIV』に追加キャラクターの参戦が決定!【動画あり】

 

【iPhoneアプリの開発現場から】の関連記事

この記事の個別URL

ソーシャルブックマーク

  • はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をつぶやく

その他のニュース

相棒アフィンも大わらわ!? 『PSO2』でホワイトデーイベント開始!【2019年2月20日アップデート】

2019年2月20日に実施される『ファンタシースターオンライン2』の新春記念アップデート第4弾の内容を紹介!

『APEX LEGENDS』がTwitch Primeメンバー特典に登場。パスファインダーのレジェンダリースキンとAPEXパック5個が貰える!

ゲーム映像ストリーミングサービスTwitchの有料サービスTwitch Primeのメンバー特典に『Apex Legends』が登場。パスファインダーのレジェンダリースキンなどを貰える。

1980年代の台湾を舞台にしたホラーゲーム『還願 Devotion』が本日(2月19日)Steamにて配信開始、『返校 Detention』の開発チームによる意欲作

Steamにて『還願 Devotion』が配信を開始した。なんか気になる文字の並びだな……と思ったあなたは正解! 日本でも人気を博したあのホラーゲムの開発チームの第二作目です。

召喚獣に関するシステムが大幅にリフレッシュ! “【2019.2.19】DFFアーケード&NT合同公式生放送”まとめ

AC版では召喚ゲージに関するシステムが変更され、召喚獣ごとに召喚ゲージの溜まる速度と、攻撃力が変化するように。そのほかのさまざまな情報も。

『星と翼のパラドクス』新機体“スクラッパー”が追加! “スクラッパーミッション”&“ダブルコンティニューキャンペーン”も開催

『星と翼のパラドクス』2019年2月20日のアップデートにて、新機体“スクラッパー”の追加とダブルコンティニューキャンペーンを開催!

『夢現Re:Master』発売日が6月13日に決定! ディレクター・みやざー氏からのコメントも

2019年早春発売予定だった『夢現Re:Master』の正式な発売日が2019年6月13日に決定した。

『Days Gone』の魅力が詰まった巻頭特集!崩壊した世界でくり広げられる極限のサバイバルとは!?【先出し週刊ファミ通】

週刊ファミ通2019年3月7日号(2019年2月21日発売)では、2019年4月26日発売予定のプレイステーショ ン4用ソフト『Days Gone(デイズ・ゴーン)』の巻頭特集をお届け!

PS4が国内発売から5周年! 関係者へのインタビューやニュース、データで振り返る【先出し週刊ファミ通】

2019年2月22日に国内での発売5周年を迎えるプレイステーション4。その足跡を振り返る。

『ルルアのアトリエ』どこよりも早く遊べる体験版(Switch/PS4)が付属&表紙は岸田メル氏描き下ろし! 22ページ総力特集【先出し週刊ファミ通】

2019年2月21日発売の週刊ファミ通には、『ルルアのアトリエ 〜アーランドの錬金術士4〜』のファミ通独占先行体験版のDLコードが付属。表紙を飾るのは、岸田メル氏による描き下ろしイラスト!

Tokyo RPG Factoryの新作アクションRPG『鬼ノ哭ク邦』の魅力に迫る! 開発者インタビューも掲載【先出しファミ通】

『いけにえと雪のセツナ』、『LOST SPHEAR(ロストスフィア)』を手掛けた、“普遍的なRPGの面白さ”を追求するゲームスタジオTokyo RPG Factoryが贈る新作RPGが、Nintendo Switch、プレイステーション4、PCで、2019年夏に発売されることが発表された。