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iPhoneの新たな可能性を開く、CRI・ミドルウェアら3社がコラボしてのマジックアプリの“秘密”
【iPhoneアプリの開発現場から】

2009/12/28

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CRI・ミドルウェア×テンヨー×ヴァルアップテクノロジの3社が魔法のコラボ

 iPhone/iPod touch関連のプロジェクトを積極的に推し進めているCRI・ミドルウェアと、テンヨーおよびヴァルアップテクノロジがコラボしてふたつのアプリをリリースした。『Magic Shuffle (マジックシャッフル)』と『Magic Hat (マジックハット)』だ。

 テンヨーは、ジグソーパズルや手品、サイエンストイなどの企画製造販売を業務とする会社で1960年創業の老舗。ゲームファンにはニンテンドーDS用ソフト『マジック大全』のマジック監修・考案としてもおなじみ。一方のヴァルアップテクノロジは、iPhone/iPod touch向けアプリの開発を積極的に手がけており、不愉快な音を集めた『自虐サウンズ』は世界的に人気の高いアプリである。それぞれ異なる強みを持つ3社のコラボにより生まれたアプリとは? ここでは、CRI・ミドルウェアのiPhone & SmartPhoneチャンネル iPhone & SmartPhone 推進室長、幅朝徳氏と、テンヨーの開発部、小宮賢一氏、そしてヴァルアップテクノロジの取締役副社長、根岸淳一氏に聞いた。

 インタビューのまえに、まずは『Magic Shuffle(マジックシャッフル)』と『Magic Hat(マジックハット)』の紹介をしておこう。このふたつは、iPhone/iPod touchの直感的なインターフェースを駆使した、iPhone/iPod touchだからこそ実現できるマジックを楽しめるアプリ。百聞は一見にしかず、ということで、ふたつのアプリの実演映像を実際に見ていただこう。なお、この映像はアプリ内に収録された実演ビデオ映像だ。

『Magic Shuffle (マジックシャッフル)』


『Magic Hat (マジックハット)』


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■左からCRI・ミドルウェアのiPhone & SmartPhoneチャンネル iPhone & SmartPhone 推進室長、幅朝徳氏と、テンヨーの開発部、小宮賢一氏、そしてヴァルアップテクノロジの取締役副社長、根岸淳一氏。


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――まずは、今回のプロジェクトが立ち上がった経緯から教えてください。

小宮 弊社はもともとマジック関係のグッズを取り扱っているのですが、近年はマジックのデジタルコンテンツ化にも積極的に取り組んでいます。’98年には、PCを使ってマジックができる『サイバーマジック』をリリースしました。ただ、PCだと持ち歩けないので手軽にマジックを披露するには敷居が高い。そこで持ち歩けるものはなにか……ということで、つぎに携帯電話に着目しました。2001年からは、iモード公式コンテンツの運営を行っています。最近だとニンテンドーDS用ソフト『マジック大全』のマジック考案と監修を行いました。

――今回のプロジェクトはその延長線上にあるもの?

小宮 そうです。iPhoneが発売されたときは、その機能に注目していち早く購入したのですが、「これをマジックの道具としてどういうふうに使えるか?」ということをずっと考えていて、アプリの開発会社を捜しているところだったんですね。そのとき、ちょうど幅さんからお話をいただいたんですよ。

 じつは私は小さいころからマジックが大好きで、古くからのテンヨーさんのファンでした。私のテンヨーデビューは小学校5年生なんです。子供のころは、お年玉をもらうと全額テンヨーさんの商品を買うというくらいの熱烈ファンでした。で、私は私でiPhoneのマジックアプリ用の企画を考えていたんですね。そして、「これはぜひともテンヨーさんと組んでやらせていただきたい」ということでラブレターを送らせていただいたところ、タイミングが合致していっしょにやらせてもらえることになったんです。

小宮 私どもも数ある開発会社の中で、幅さんと組むことがいちばんいい形になると確信して、今回お願いしました。そのいちばん大きな理由は、幅さんが弊社の商品の大ファンでいらしたということです。幅さんのように、私どものマジックを古くから理解してくださっている方にお願いするのが、いちばんいい形になるだろうって思ったんです。

――コラボすることになって具体的な作業はどのような感じで進めたのですか?

小宮 まずマジックを考えるうえでいちばん気をつけたのは、“iPhoneでしかできないこと”でした。とりあえずiPhoneの機能を全部書き出して、その機能をどうマジックに活かせるかということで、アイデアを出していきました。その中から、それらを実現するためのさらに詳しい情報を幅さんからお聞きして、アイデアを絞っていったんです。

 打ち合せはむちゃくちゃ回数を重ねましたね。おもしろかったのは、小宮さんのほうで毎回会議のたびに何十個というアイデアを出してくれて、つぎの会議のときにはそこから絞ってくるのかと思いきや、逆にまた新しい提案が増えているという(笑)。

――アイデアが溢れてきたんですね

小宮 いいえ。弊社内でも相当苦労しました。でも、iPhone向けにおもしろいアプリを作りたいというモチベーションは高かったですね。

幅 そして何回も話し合いを重ねるうえで、だんだんネタが収斂されていった感じです。

小宮 いちばんおもしろそうで、とにかく“iPhoneでしかできないこと”を突き詰めていくと、最終的に今回リリースしたふたつのアイデアが残ったんです。

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――そこで、ヴァルアップテクノロジさんが開発に加わることになるわけですね?

 はい。今回のアプリはマジックの演出があったりと、わりとゲームっぽい、アプリではない部分のノウハウが必要だったんですね。それでどんな開発会社さんにお願いしたらいいか悩んだのですが、ヴァルアップテクノロジさんだったら、ちょっと変わっているというか、くすぐりの効いたiPhoneアプリを複数リリースされていたので、いちばんの適任かなと判断したんです。

根岸 私どものほうも、小宮さんの企画書を見せていただいてひと目ぼれしまして(笑)。「ぜひやらせてください!」ということになりました。実際のところ小宮さんの企画は企画書の段階で完成の域に達していて、ひと目みたときに「これはでき上がっているソフトのマニュアルでは?」と思ったくらいです(笑)。ただ、当然のことですが、企画書にはタネが明かされていなくて、私たちも技術屋なので「こうやったら当てられるんじゃないか?」ということで智恵を絞ったんです。ところが社内の誰もわからなくて、実際に答えを聞いたときは、「ああ、なるほど!」ということで脱帽しました。

小宮 iPhoneでマジックアプリはたくさん出ていますが、本格的で本当に不思議なものはほとんどなかった。“誰でも簡単に実演できて、かつマジックの専門家やアプリのプログラマーも不思議に感じるものを作ろう”というのが最大の目標でした。実際のところ、『Magic Shuffle(マジックシャッフル)』と『Magic Hat(マジックハット)』を、この夏に北京で行われたマジックの世界大会で何度が披露したのですが、タネがわかったマジシャンはひとりもいなかったと思います。

――それはすごいですねえ!

小宮 ちなみに“iPhoneでしかできないこと”という点で言えば、マジックを通して目に見える部分だけでなく、見えない仕掛けの部分でも“iPhoneでしかできないこと”を使っています。マジックの仕掛けを知ると、「ああ、このことか!」とわかると思いますよ。

――では、実際の開発にあたって苦労した点などはありますか?

根岸 じつは我々は最初に大きな間違いをしていたんですよ。小宮さんの企画書があまりにすばらしかったので、それを実現しようと思って、「いかにお客さんに滑らかに見えるか」という点を最重要視してしまったんです。カードが滑らかに動いているように見せようとして、マジシャンのほうがiPhoneに合わせて指を動かしているような感じになってしまったんですね。客観的にはとてもいい動きに見えるのですが、実演するほうは「自分はiPhoneに演じさせられているのか?」ということになってしまう。その点は、何よりも小宮さんに指摘された点でした。小宮さんの要求はきびしくて、「使っていて指先が楽しくて、何よりも演じているマジシャンがいちばんうれしくなるような状態にしてほしい」というものでした。

小宮 実際のトランプを広げるような感覚を目指したんですね。

根岸 最初は、指でちょっと触るとさらさらと自動的に滑らかに動く感じにしていたのですが、小宮さんからは「それは演じている人の意志ではないので、指が離れたらトランプもちゃんと止まるようにしてほしい」って言われたんです。ちょっとだけ動かしたらトランプが止まるというのは、微妙な動きが要求されて、じつは相当たいへんなんです。トランプの動きのチューニングには相当時間を費やしましたね。

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――開発期間も長くなった?

根岸 はい。当初は1ヵ月くらいを見込んでいたのですが、かなり長期化してしまいました。実作業は足掛け4ヵ月くらいかな。

小宮 それは私のせいです(笑)。でも、今回ヴァルアップテクノロジさんにがんばっていただきました。実際のところ、触ってもらうと本物と同じ手触りであることがわかっていただけると思います。演じているほうの気持ちのよさが、見ている方にも伝わるでしょうし、“マジックを披露する”という立場から見ても、手触りのよさは必須だったわけです。

 私自身がテンヨーさんに企画を持っていった理由というのはひとつしかなくて、いまiPhoneの中に1〜2ヵ月にわたって居続けられるアプリってすごく少ないんです。ゲーム系のアプリだったらクリアーしたらそれでおしまいだし、ジョーク系のアプリだったら1発ネタでおしまいになる。実用系だと末永く使われるのですが……。私のなかでは、アンインストールされずにつねにiPhoneの中に残っているようなアプリが作りたいという気持ちがあって、その答えがコミュニケーションツールとして使えるマジックアプリだったんです。マジックアプリだったらいつ活用されるかわからないので、つねにiPhoneの中に入れておく必要がある。たとえば宴会で使ったり、デートで活用したり、お父さん方であれば、夜のお伴であったり(笑)。そういった意味では、今回の『Magic Shuffle(マジックシャッフル)』と『Magic Hat(マジックハット)』は大成功だったのではないかと思っています。ちなみに、ちょっと蛇足なのですが、トランプの擦れる音や実演ビデオ映像は、CRI・ミドルウェアのテクノロジーが使われているんですよ。

小宮 マジックとの兼ね合いでいうと、魅力的な端末であることは間違いないですよね。あと、やはり携帯していつでも持ち運びができるというのは、マジックにとって大きいです。さりげなく相手を喜ばせることができるし、バーカウンターで懐から出しても少しも不自然ではないでしょう。

――結果として納得のいくものができた?

 餅は餅屋じゃないですけど、マジックに詳しいテンヨーさんとiPhoneのアプリ開発に通じているヴァルアップテクノロジさん、そして微力ながらCRI・ミドルウェアの持つテクノロジーという、3社がそれぞれの強みを活かしたコラボの結果が今回のアプリに結びつきました。本作は日本だけではなくてワールドワイドで展開しますので、世界中の方に楽しんでいただきたいですね。「iPhoneってこういう可能性があるんだ!」ということを感じていただけたら……と。それがダウンロード数としてひとつの結果となって、つぎの展開につながっていくのかなと期待しています。

小宮 まだまだアイデアはたくさんありますので、今後も順次形にしていきたいと思っています。iPhoneもまだまだこれから進化していくでしょうし、新しい機能が追加される可能性もある。そういった新しい要素もいち早く盛り込みながら、いろいろなマジックアプリをリリースしていきたいです。まずは、『Magic Shuffle (マジックシャッフル)』と『Magic Hat (マジックハット)』を楽しんでいただければ……と。

根岸 とにかくiPhoneのユーザー数がぐんと増えていただきたいですね(笑)。そうして、マジックアプリをどんどんリリースしていければ……と思っています。

 なお、『Magic Shuffle (マジックシャッフル)』と『Magic Hat (マジックハット)』の提供価格はそれぞれ115円[税込]! これは、「やはりできるだけたくさんの人に遊んでほしいという、その1点につきます」(小宮)との理由によるものだ。3社のコラボによる気合いの入ったアプリにご注目あれ!

※テンヨーの公式サイトはこちら
※CRI・ミドルウェアの公式サイトはこちら
※ヴァルアップテクノロジの公式サイトはこちら
※[関連記事]種も仕掛けもあります! iPhone/iPod touch向けマジックアプリがテンヨーとCRI・ミドルウェアのコラボで登場 
 

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