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『グランツーリスモ 5 プロローグ』プロデューサー・山内一典インタビュー

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●レースゲームのソーシャルネットワーキングを目指す!

 

 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンより発売予定のプレイステーション3用ソフト『グランツーリスモ 5 プロローグ』。本作のプロデューサーを務めるのは、シリーズ1作目から開発を手掛ける山内一典氏だ。そんな山内氏に、2007年7月17日に六本木で開催された"プレイステーション プレミア2007"で同氏が登壇した直後、週刊ファミ通の毛利名人がインタビューを敢行! その場で語られた『グランツーリスモ 5 プロローグ』の内容は、いままでのレースゲームの概念を超越する、すごいものだった!!
 

山内一典
Kazunori Yamauti

1967年8月5日生まれ。千葉県出身。最初に憧れたクルマは、ランボルギーニ カウンタックという、バリバリのスーパーカー世代!!

 

毛利名人(以下、毛利) 今回『グランツーリスモ 5 プロローグ』が発売されることになった経緯について聞かせてください。
山内一典(以下、山内) 昨年末に、『グランツーリスモHDコンセプト』が登場した当時にも、「もうひとつぐらいコンセプトバージョンを作る可能性があります」という話をしました。それで、どのタイミングで発売しようかなと考えた際、2007年10月24日から幕張メッセで開催される東京モーターショーに合わせようと思いました。今年開催される東京モーターショーは、日本のスポーツカーにとって18年振りの"革命の年"なのですよ。グランツーリスモ -Rや、三菱、ホンダ、スバル、レクサスといったメーカーからも、新しいスポーツカーが出てくるじゃないですか。日本の自動車史上的にも大事な年なので、そこに合わせて『グランツーリスモ 5 プロローグ』を出そうと決心しました。
毛利 ひとつのモデルでショーバージョンと市販車バージョンが違うクルマは、2種類作っているのでしょうか?
山内 まずは2年まえの東京モーターショーで登場した"スカイラインGT-R PROTO"を収録することができましたが、市販車のスカイラインGT-Rはまだ未定なんです。

 

8月ライプツィヒの
GC2007でプレイアブル出展

 

毛利 このあと世界各地で開催されるゲームショーには、どのような形で出展されますか。
山内 2007年8月にライプツィヒで開催されるゲームコンベンションからプレイアブル出展するだけでなく、登壇して大きな発表をする予定です。『グランツーリスモ 5 プロローグ』はオンラインを使ったタイトルなので、さまざまなオンラインの機能に関することをライプツィヒで発表できればいいなと思っています。9月の東京ゲームショウはもちろんのこと、モーターショーの直前にロサンゼルスで開催されるエンターテインメント・フォー・オール・エキスポにもプレイアブル出展します。
毛利 『グランツーリスモHDコンセプト』のダウンロード終了時期はいつごろになりますか?
山内 『グランツーリスモ 5 プロローグ』が発売される直前あたりを想定しています。

 

"HOME"との連動もある!!

 

毛利 "HOME"(3Dの仮想空間でプレイステーション3のネットワークサービスの核となるもの。バーチャルな集会所で知り合った仲間と、チャットやオンラインゲームが楽しめる)のアイコンがトップメニュー画面の中にありますが、HOMEとの連動はあるのですか?
山内 連動しようと思っています。基本的には、HOMEという宇宙の中に、"グランツーリスモワールド"という銀河があるというイメージです。HOMEの世界から入っていくと『グランツーリスモ 5 プロローグ』のトップメニュー画面に行くし、HOMEアイコンを選択すれば『グランツーリスモ 5 プロローグ』から抜け出して、HOME側の世界に戻ることができます。

 

ゲームタイトル画面から
斬新な体験ができる!!

 

毛利 新しくマイページの、メニュー画面を作った理由について聞かせていただけませんか。
山内 『グランツーリスモ 5 プロローグ』からオンライン対応になることで、ふつうのレースゲームにありがちな画面とは、まったく構造が変わるはずだと思いました。「オンラインのレースゲームとは何か」ということを真剣に考えて制作しています。ネットを使って日本だけでなく世界中にいるユーザーのマイページ画面にも行くことができ、行った相手先の時刻も表示されます。「昼間なのに仕事せず遊んでいるぜ」みたいなことがわかるのって、けっこう楽しいでしょ(笑)。

 

世界中の『グランツーリスモ』ファン
と交流できます!!

 

山内 いままでのレースゲームはアーケードゲームから派生しています。ゲームを始めたときにタイトル画面があり、レース、タイムアタックなどのモードを選び、つぎにコースとクルマを選ぶスタイルでしたよね。でも、『グランツーリスモ 5 プロローグ』は、オンラインでのプレイを意識したタイトルなので、いままでのレースゲームのスタイルを根本的に変えました。"My Space"や"ミクシィ"に代表されるソーシャルネットワーキングサイトのようなコミュニティーを作っていくものって、起動すると必ずマイページからスタートするんですよ。それってすごく自然な姿です。『グランツーリスモ 5 プロローグ』もユーザーどうしのコミュニティーを作っていくタイトルなので、ソフトを立ち上げた直後はマイページ画面が表示されます。完成バージョンではフレンドリスト機能もつけたいので、友だちが友だちを作るというソーシャルネットワーキング的なこともできます。『グランツーリスモ 5 プロローグ』と言いながらも、アーケードスタイルというよりは、シンプルな"グランツーリスモ モード"(レースに出場して稼いだ賞金で、クルマやパーツを購入していくモード)のような雰囲気になりました。大勢のユーザーが交流する『グランツーリスモ』ワールドですね。完成バージョンでは、人が行き交うようにしようと思っています。街の背景やクルマの内装など、細かい部分にまでこだわって制作しましたので、ユーザーの皆さんにはじっくりと見てほしいですね。
毛利 トップメニュー画面の背景は、どのぐらい用意するのですか?
山内 東京や、そのほかの都市を用意しようと思っています。街の背景だけでなく、自然や屋内なども用意する予定です。
毛利 天気データを入れたのは?

山内 単にロビーで知り合った仲間の名前だけでなく、世界のどこにいるのか、いま相手の天気が悪くて肌寒いのか……みたいなことがわかるのって楽しいじゃないですか(笑)。
毛利 チャット機能もついているのですか?
山内 もちろんです。『グランツーリスモ 5 プロローグ』のオンラインレースは2種類あり、チャット機能があるモードと、チャット機能を省略した完全な"アーケードモード"的なオンラインレースもあります。チャットで会話を入力するのが面倒くさいユーザーもいるんですよ。そういった人向けに、匿名的な感じでオンラインレースができるモードも作ります。

 

世界最高水準のコンピューター
グラフィックを披露します!!

 

毛利 解像度は1080プログレッシブ(デジタル画像の解像度を示す単位)ですか?
山内 画像に関しては、1080プログレッシブの解像度ですよ。1080プログレッシブはかなりたいへんなので720プログレッシブの解像度に走りがちなのですが、『グランツーリスモ 5 プロローグ』は1080プログレッシブの解像度を死守しようと、がんばっています。
毛利 ピットメニュー画面は車体に映りこんでいる蛍光灯の表現力が、際立っていますね。
山内 "ハイダイナミックレンジライティング"という技法で表現しています。明るいところから暗いところまで、実際の光と同じような光量のライティングをしています。他機種には絶対真似のできない、プレイステーション3ならではの表現技法なんですよ。このピット風景は、『グランツーリスモ4』のオープニング映像の進化形なんです。あのオープニング映像では、フォードグランツーリスモ で春夏秋冬の背景が終わったあと、ピット風景になりますよね。『グランツーリスモ4』ではプリレンダリングムービーで表示しましたが、『グランツーリスモ 5 プロローグ』ではリアルタイム、かつ1080プログレッシブのフルHDクオリティーで動かしています。

 

新コースも収録します!!

 

毛利 どのぐらいのコースと車種を収録しますか?
山内 クルマに関しては、かなり悩み中なのですが、おそらく40台前後になりそうです。コースに関しては、4コース8レイアウトあたりでしょうか。
毛利 『グランツーリスモ』シリーズ初登場のサーキットも入るのですか?
山内 ありますよ(笑)。いずれお見せします。エレクトロニクス・エンターテインメント・エキスポや、『グランツーリスモ・ドットコム』で僕たちが公開した映像の中に「ここはどこ?」みたいな場所があったでしょ。
毛利 そう言えば、そんな場所がありましたよね!!

 

クルマやコースがネットを介し
て追加される可能性も……


毛利 2006年の夏、『グランツーリスモHDコンセプト』のインタビューをした際、「クルマとコースを別売りでダウンロードできる」という構想がありましたね。『グランツーリスモ 5 プロローグ』で、この構想を取り入れるのですか?
山内 今回はしないと思います。ネットを介して、クルマやコースがあとから追加される可能性はあると思います。
毛利 2006年10月にラスベガスで行われた北米のカスタムカーとパーツの見本市"SEMAショー"でグランツーリスモアワードを受賞した1960年型コルベットと、2007年1月に日本のチューンドカーとパーツの見本市"東京オートサロン"でグランツーリスモアワードを取った"HKS CT230R"は、『グランツーリスモ 5 プロローグ』に入りますか?
山内 どちらかが入ると思います。

 

コックピット視点はインテリアの
質感を重視しました


毛利 コックピット視点を導入したきっかけを教えてください。
山内 このコックピット視点は、いつかは当然やるべきことだと思っていました。クルマの魅力の半分は、車内に乗り込んだときに感じられるインテリアの魅力だったりするわけです。これまでは、コックピット視点を十分に表現できないからといって遠慮していたのです。『グランツーリスモ 5 プロローグ』では、エクステリア(外観のこと)、そしてなんとかインテリアもいけそうだったので、当然コックピット視点も必須になると思い、導入しました。ウインドー越しにセンターコンソールがあって、ステアリングとピラーが見えている状態で遊びたいという要望が強かったんです。そうした声に応えたいという理由もあるのです。
毛利 コックピット視点でプレイした場合、エンジン音の聞こえかたは違ってくるのですか?
山内 もちろん違ってきます。じつは以前から室内での音を録ってはいたんですよ。
毛利 コックピット視点の状態で、横や斜め後方を見ることはできるのですか?
山内 ステアリングコントローラであればできるようになる予定です。ステアリングについている+ボタンで、左右を見ることができます。
毛利 コックピット視点を制作するにあたり、どのような点に気を使いましたか?
山内 ざっくり作るのは簡単なのですが、内装は、ちゃんと作れば作るほどエクステリアとは違った質感の難しさがあるんですよ。たとえばフェラーリF430の場合、カーボンのツルツルした部分と、黒の牛皮に覆われている部分は、同じ黒でも質感の違いがあるんです。その部分をちゃんと作っていかないとそれっぽく見えないので、制限のある中で質感にはかなり気を配りました。
毛利 インテリアの内装色は、選択できるのですか?
山内 ボディーカラーに合わせて変わるクルマもありますね。『グランツーリスモ5』では、フルカスタマイズできるようにしたいですね。
毛利 ドライバーの衣装は変えることができるのですか?
山内 乗るクルマによって服装が変わります。フェラーリの場合は赤、ロータスの場合は緑といった具合です。服装だけでなく、ヘルメットのデザインも変わります。各メーカーの許諾もとっています。
毛利 フェラーリ599のように、タコメーターの周辺に液晶パネルがあるクルマがありますが、液晶パネルに写る情報も再現されるのですか?
山内 完全というわけにはいかないと思うのですが、一部のクルマは何かしら表示されると思います。

 

レースでお金を稼ぎ
クルマを購入する要素が入る!!


毛利 オフラインで遊ぶ場合、『グランツーリスモ4"プロローグ"版』のように、ライセンステストがたくさん入った内容になると思っているのですが、『グランツーリスモ 5 プロローグ』は、どんな感じになるのでしょうか?
山内 2003年に発売された『グランツーリスモ4"プロローグ"版』とは、まったく別物になります。『グランツーリスモ5』へとつながるオンラインの第一歩、オンラインワールドの"プロローグ"という位置づけですから。いままでのシリーズにたとえると、"グランツーリスモ モード"と"アーケードモード"の中間的なゲームデザインになっています。本作ではカーディーラーがゲームの中にあります。実際にレースをしてお金を貯め、クルマを購入するという要素があります。
毛利 『プロローグ』とは言え、経済的な要素があるんですか?
山内 そのとおりです。チューニングショップはありませんが、"グランツーリスモ モード"的な遊びかたができます。レースごとに賞金が設定されていますよ。
毛利 ライセンスがなくても、すべてのレースに出られるのでしょうか?
山内 最初から全部のレースに出られるわけではないです。やさしいレースから難しいレースへと、徐々にステップアップしていくことになります。
毛利 『グランツーリスモHDコンセプト』では、ひとつのクルマでノーマルカーとチューンドカーの2タイプありましたが、『グランツーリスモ 5 プロローグ』でも、2タイプあるのですか?
山内 チューニングバージョンがあるクルマもある、と言うべきでしょうね。
毛利 ドリフトトライアルモードは、すべてのサーキットで可能ですか。
山内 そうですね。

 

オフラインレースでは
最大16台で走行か!?


毛利 どのぐらいの台数でレースが行われますのですか?
山内 フルグリッドで16台なので、オフラインでレースをしている場合は条件を問わず16台をキープしようと考えていますが、まだ確定ではありません。オンラインの場合、各ユーザーの回線状態の関係もあるので12台になったりするかもしれません。現在のバージョンでは8位からローリングスタートしますが、これも暫定的なものです。16位からスタートしてみたのですが前にクルマが多すぎてレースが荒れてしまう。大半のユーザーは、どんどん前のクルマに突っ込んでいくでしょ。そのあたりをどうするのか、現在考えているところなんです。

 

上級者向けの
プロフェッショナルモードを搭載!


毛利 『グランツーリスモHDコンセプト』の店頭試遊台にあった"プロフェッショナルモード"は搭載するのですか。
山内 鋭いですね(笑)。今回の自動車挙動シミュレーション・エンジンは、"ノーマルモード"と、クルマの挙動をリアルに再現した"プロフェッショナルモード"の2種類が存在します。
毛利 『グランツーリスモ 5 プロローグ』に搭載される自動車挙動シミュレーション・エンジンは、『グランツーリスモHDコンセプト』とは別物になるのですか?
山内 『グランツーリスモHDコンセプト』がベースになっています。ドリフト走行もきちんとできるようになっています。
毛利 『グランツーリスモ 5 プロローグ』では、自分が監督になって、AIドライバーに指示を与える"Bスペックモード"が入りますか?
山内 Bスペックモードはですね、じつは『グランツーリスモ 5 プロローグ』に入れたいとは思っているんです。僕は、あのゲームモードが大好きなんですよ。開発環境で敵車のチューニングをしているときは、Bスペックモードみたいなことをやっているので作ってはいますが、『グランツーリスモ 5 プロローグ』からBスペックモード入るかどうかは現時点では未決定です。

 

『プロローグ』で稼いだお金は
『グランツーリスモ5』に引き継げる!!


毛利 『グランツーリスモ 5 プロローグ』のデータを『グランツーリスモ5』で活用できるようにしますか?
山内 できます。それもあって、クルマを購入できたりガレージに入れられたりしようと思ったんですよ。『グランツーリスモ 5 プロローグ』は『グランツーリスモ5』につながる作品なので、データ活用の構想は必然だと考えています。まだ構想段階ではありますが、少なくとも『グランツーリスモ 5 プロローグ』で稼いだお金は、『グランツーリスモ5』に引き継ぐことができるようにするつもりで制作しています。

 

レースゲームの革命を
起こします!!


毛利 最後に読者の皆さんへのメッセージを。
山内 最近、『グランツーリスモ』のようなゲームはけっこう出てきているけれど、僕らのクルマへの愛情の深さとか、クルマへのこだわりかたは、ぜんぜん違うと思います。『グランツーリスモ 5 プロローグ』で、レースゲームの基本を底上げしたいと思っているんです。「あれが入った」とか「これが入った」というスペック競争的な作りかたではなく、クルマの表現、レースゲームの基本的な部分を底上げしているという点をお見せしたいですね。そして、『グランツーリスモ 5 プロローグ』でレースゲームの新スタンダードを確立したいと思っていますので、読者の皆さん、期待してください。

※本インタビューは、週刊ファミ通8月10日号に掲載されたインタビューを再構成したものです。

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