FFインタビュー2 『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタルベアラー』
●『ファイナルファンタジー』の世界をWiiリモコンで体感!
『ファイナルファンタジー』の世界に、Wiiリモコンを帯びたヒーローが現れる! 『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタルベアラー』は、ヒーロー活劇の気持ちよさが味わえるRPGだ。"スクウェア・エニックス パーティ2007"で実機映像によるプロモーションビデオが公開されたが、ゲームシステムなど、詳細は不明のままだ。そこで気になるゲームの内容を、河津氏、板鼻氏のおふたりに聞いてきたぞ。
エグゼクティブ |
ディレクター |
『ファイナルファンタジー』シリーズの創成期に制作の中核を成し、のちに『サガ』シリーズを生み出したゲーム業界の偉人のひとり。 |
『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル 』に流れる、独特の空気をビジュアル化したデザイナー。本作では、ディレクターを務めている。 |
Wiiリモコンとヌンチャクでキミは最強のヒーローになる |
――『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』のテーマは?
板鼻利幸(以下、板鼻) 『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』は、『ファイナルファンタジー』シリーズのナンバリングタイトルとは別の視点で……。つまり、『ファイナルファンタジー』の世界をアクションで遊んでもらおうというコンセプトがあります。
――サブタイトル『クリスタルベアラー』に込められた意味は?
河津秋敏(以下、河津) クリスタルベアラーは、"クリスタルを帯びた者"という意味になります。"スクウェア・エニックス パーティ2007"で公開した映像に主人公が出てきますが、彼がその帯びた者になります。
――主人公は何かを背負っていくことになる?
河津 彼が何者かというのはゲームで見ていただくとして。彼は通常の『ファイナルファンタジー』の主人公とは違って、最初からヒーロー的な存在なんです。ヒーローが活躍する物語を楽しんでもらうというのが、本作のメインのコンセプトとなります。
――河津さんは『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』のWii版、DS版、それぞれどのような立場で関わっているのでしょうか?
河津 立場的にはエグゼクティブプロデューサーになります。DS版は、前作GC版のマルチプレイの部分を継承しました。もちろんストーリー性も、十分強化されています。DS版のほうは正統進化となりますので、現場の人間に任せています。
――板鼻さんは、Wii版にはディレクターという形で参加されていますよね?
板鼻 コンセプトや、どういった形で物語を展開させていくのかなど、河津が考えたことをどうゲームに落とし込んでいくか。僕のほうで現場を直接見ています。
――公開されたWii版の映像は、実際のゲーム画面のものですか?
河津 はい。実機上のものです。実際に操作している映像を、撮って編集したものになります。本当はパーティで実際に遊んでもらいたかったのですが、触ってもらうにはもうちょっと時間がかかりそうです。ゲーム的にも、触ってもらったほうがわかりやすいと思いますので。
Wiiリモコンを使った操作システムは? |
――Wii版とDS版、それぞれ操作に特徴は?
河津 DS版は、GC版を正統進化させたアクションRPGですので、オーソドックスな操作がメインになっています。一方Wii版は、あのコントローラーですから。基本的にWiiリモコンを使って、アクションをしていくことになります。ゲーム性もいままでの『ファイナルファンタジー』シリーズにはない、Wiiらしい体感できるRPGにしていきたいと思っています。
――具体的に操作の仕様は決まっていますか?
河津 だいたいは決まっているのですが、細かい部分は詰めている段階ですね。
――ヌンチャクも使うのでしょうか?
河津 もちろん、シーンによってはWiiリモコンだけを使うことはありますが、基本的にヌンチャクはセットで使用します。
板鼻 操作はメリハリをつけたいと思っていますね。どのシーンでも操作が同じということにはなっていないです。かといって操作が複雑ということではなくて……。とにかくシンプルに、ヒーロー譚を描きたかったんです。一般的なRPGだと、序盤はものすごく弱い主人公から始まって、強くなってからいちばん気持ちのいいところがクライマックスだったりするじゃないですか。しかし、アクション性の高いRPGだと、序盤からいきなり気持ちいいこともできると思うんです。そういったところに、わかりやすい形でWiiリモコンが活かされるよう調整しています。
――具体的にWiiリモコンはどのような使いかたになりますか?
板鼻 基本操作はある程度固定されているのですが、シーンごとに適した操作形態で遊んでもらうことになります。
河津 いままでのRPGと違って、見ているだけだったイベントシーンを、本作では遊んでもらいたいんです。そういったイベントシーンでは、ちょっと大胆な使いかたになると思います。
――主人公はどんな武器で戦うのですか?
河津 主人公はおもに、自分が持っている"能力"を使って戦います。もちろん、通常の武器を使うこともあります。
――剣とか?
河津 そうですね。シーンによって、その場に応じたものを使う形になりますね。
板鼻 ただし、たとえば同じ銃を持ってるシーンでも、毎回違う操作になってもいいとは思うんですよ。そういったところでWiiの特性を活かして、主人公の活躍を体感できたらいいなと思っています。
――主人公の基本的なアクションは?
板鼻 小気味よく状況に応じた動きが取れており、攻撃アクションも移動しながら簡単で気持ちのいい動きが出せるように、いまも調整中です。
シングルプレイの楽しさを追求 |
――Wii版は、マルチプレイは楽しめますか?
河津 Wii版は、シングルプレイの楽しさを強調したいと考えています。伝統的な『ファイナルファンタジー』シリーズを、新しいゲームシステムで遊ぶという発想となっていますので、ひとりでプレイしていくことになります。
――アクションだけでなく、ストーリーにも自信があると?
板鼻 そこはもう、河津が相当こだわっていますので。いまはキャラクターの見せかたとか細かな部分を突き詰めている最中です。
――どのようなストーリーが展開されるのでしょう?
河津 従来の『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』シリーズと同様、4つの種族がいる世界が舞台となります。その世界で、新しい物語が展開していくのですが……。
――事件の発端となるようなことが起こるんですね?
河津 事件の発端は、映像にも出ていた飛空艇が、ちょっとした事件に巻き込まれるんです。そこに、主人公が助けにやってくるところから始まります。この事件がなぜ起きたのか、それを仕組んだ者たちは何者なのか。そういったことに主人公が巻き込まれていって、謎を解き明かしていく。そんな感じのストーリーですね。
――映像では手から気のようなものが出ていましたが、それが主人公の能力なのですか?
板鼻 はい。クリスタルに関係する、何かしらの能力が備わっています。
――それは最初から備わっている?
板鼻 そうですね。ですから、ストーリーも成長物語というわけではなく、ヒーローがあるひとつのシチュエーションに対して、どういった活躍を見せるかということを描いています。爽快でスカッとするようなものにしたいと思っています。
――もちろんボス戦もありますよね?
板鼻 もちろんあります。相当スケールの大きな敵と戦うことになります。ボス戦以外にも基本的に、かなりでかい敵と戦っていくことになると思います。小さな敵とちまちま戦闘することはあまりありません。通常のRPGとは違って、敵の動きにも注目してほしいですね。
河津 『ファイナルファンタジー』的な見せ場は、できる限り盛り込んでいきたいと思ってます。
シームレスマップを冒険! |
――プレイ中は主人公を見下ろすような視点に?
河津 シーンによって視点が変わってくるところもありますが、基本は後方から見たビハインドビューになりますね。
――GC版はワールドマップ画面でエリアを移動していましたが、Wii版は?
板鼻 基本は画面切り替えのない、"シームレス"なマップを考えています。フィールド上に特徴のあるエリアがいくつかあって、その中を主人公が冒険していくことになります。
河津 ワールドマップ上を移動してエリアに入るという形ではなく、基本的には全部つながっているんです。
板鼻 フィールドではかなり自由度が高くなっていると思います。ヒーローたる能力を持ったキャラクターを操作して、フィールドで何をするのかというのは、かなり懐を広くしようと思っています。
――フィールドには、いろいろな仕掛けが用意されているのですか?
河津 どこでどんな操作をしていただいてもかまわないような、そういうゲームを目指しています。
――マップはどれくらいの大きさになるのでしょうか?
板鼻 広くというよりは密度を高く。さまざまなエリアが、ギュっと集まってるような感じになっています。
河津 3Dのシームレスな世界を作ろうとすると、すごく広くなって間延びしがちになりやすいので。そこはあえて表現をデフォルメして、密度を上げています。
板鼻 エリアごとにテーマが決まっていて、各エリアがうまく立体的に構築されていれば、同じ場所でもけっこう楽しめるのではないかと思います。ただ、目的地に行くために歩くだけの場所にはならないようにしています。
――最初からいろいろなエリアに行くことはできますか?
河津 いきなり全部行けてしまうとユーザーさんが混乱してしまうと思いますので。ストーリーに沿って行けるエリアを増やしていく形になりますね。
――ストーリーは、ある程度決められたものに沿って進んでいく感じでしょうか?
河津 基本的にはメインとなるストーリーを追いかけていく形となります。もちろん寄り道もできますので、好きなように遊んでもらってかまわないと思います。自由度は高く設定していますので。
クリスタルの存在 |
――クリスタルは、この世界ではどういう存在なのでしょうか?
河津 力を持った存在、といったところですね。ちょっと特殊なクリスタルが出てくるのですが、それを巡って物語が展開していきます。伝統的な『ファイナルファンタジー』のストーリーに近いですね。
――主人公には仲間がいるのでしょうか?
河津 仲間は最初からいますね。
――操作するのは同時にひとりだと思うのですが、キャラクターを切り替えることはできますか?
河津 いや、切り替え操作は考えていないです。
――最初からパーティーを組んで冒険をしていく?
河津 そうですね。ただし、ふつうのアクションRPGの仲間とは違う存在です。仲間が横で魔法かけてくれたり攻撃したりするような感じにはなりません。ちょっと変わった仲間の使いかたをすることになると思います。
板鼻 主人公ひとりのときと仲間といっしょに冒険しているときは、別の遊びになると思います。ただ回復だけしてくれる人とか、横で斬ってくれてるだけの人だと、あまり仲間という意識が湧いてこないですよね。何か別の力というか、特技がある仲間がいたら、それは遊び自体がちょっと違ってくると思いますので、その場合は別の遊びを用意する形になります。
DS版とWii版のつながりは……? |
――DS版とWii版には、作品的なつながりはあるのでしょうか?
板鼻 歴史的な流れや世界的には、つながりはありますが、ただ、それをゲーム中に明示するかは現時点では未定です。
河津 DS版をプレイするとWii版でいいことが、というような連繋は考えていません。それぞれのゲームを、キッチリおもしろく作ることを念頭に置いていますので。
――体力など、画面の表示物は、まだ?
河津 今回の映像を公開するにあたって、じつはそのへんはずしてあるんですよ。中途半端なものは見せたくありませんので。そのせいで、ゲームっぽく見えなくなると思いますが、すべて実機で動いている映像になります。
――映像に飛空艇が出ていましたが、これは主人公の飛空艇ですか?
板鼻 ではないですね、これは。いちばん技術力が高い国があるのですが、飛空艇はその国の所有物となります。
――『ファイナルファンタジー』シリーズの定番として飛空艇が登場するのですね。
河津 そうですね。飛空艇だったり、チョコボだったり。魔法やモンスターなども、伝統的な『ファイナルファンタジー』のものになります。
――プレイヤーが飛空艇を操作することはできますか?
河津 本作はアクションRPGなので、「ここは動かしたいよね」というところは当たり前のように動かせます。
板鼻 いちばん活躍するシーンを、ただムービーで見ていてもつまらないじゃないですか。そこはぜひ、実際に操作して遊んでもらいたいんです。
河津 イベント的なシーンは別にして、派手なところはそこで遊ばせないといけませんよね。動かしていて気持ちいい、カッコイイって思ってほしいです。実際に動かしていると、派手なシーンだって気づかないで進んじゃったりするんですけどね。本人はそれどころじゃないでしょうから(笑)。
――映像で出てきた赤毛のキャラクターは仲間ですか?
河津 はい。主人公の相棒になります。
――ユーザーがゲームを体験できるのは、いつくらいのタイミングになりそうですか?
河津 ゲームショーで触ってもらえればいちばんいいと思います。
――話を聞いてみて、操作は複雑そうにも感じましたが、実際触ってみると……。
河津 直感的にプレイできると思います。
――発売はいつを目指しているのでしょうか?
板鼻 きっちりと物語を作って発売したいという思いがありますので。現在はまだ調整をしている段階です。
河津 まぁ、まだちょっと、あいだは開きそうな感じですね。
注目のゲームシステム |
――これまでの『ファイナルファンタジー』シリーズのような要素は?
河津 アイテムのカスタマイズとか、そういった要素は当然のように用意しています。
――経験値といった要素はありますか?
河津 もちろんRPGなので成長要素は用意されているのですが、ボスに勝てなかったらザコを倒して経験値を稼ぐ、というような感じにはならないと思います。もちろん、そういったプレイも可能ですが、アクションだけで何とかできるような作りにしています。
――成長システムはどのようなものに?
板鼻 フィールドでアクションしていくことで、力が得られるようなものになっています。
――主人公のレベルは存在する?
板鼻 強化していくステータスは数値で見えるようになっていますが、それがレベルという表現になるかはまだ未定です。ただ、主人公はある程度の経験をしていて場数も踏んでいますので、経験値という表現は使わないと思いますね。プレイの結果で得られるものは、別の形になると思います。
河津 最初から主人公はすごく強いので、ふつうのRPGの文法とはちょっと違う。ゲームシステムもストーリーも、これまでの常識から外れたものができると思っています。
――難易度の調整が重要になりそうですね?
河津 そうですね。そこがいちばん難しい部分だと思います。
――最後にユーザーに向けてメッセージを。
板鼻 とにかく遊んでもらうのがいちばんわかりやすいと思います。なるべく早い段階でプレイできる機会を作りますので、ぜひ楽しみにしていてください。
河津 GC版やDS版は、みんなでわいわいと遊ぶ『ファイナルファンタジー』だったのですが、今回はヒーローを体感してもらうという、またちょっと違った『ファイナルファンタジー』を提示していきたいと思っています。どうぞ、ご期待ください。
※本インタビューは、週刊ファミ通6月1日号に掲載されたインタビューを再構成したものです。
ソーシャルブックマーク
この記事の個別URL
TVゲーム関連最新ニュース
- PSP用ソフト『ポップンミュージック ポータブル』の発売日が2010年2月4日に決定(18日 12:00)
- 『龍が如く4 伝説を継ぐもの』表情を変える街“神室町”(18日 10:45)
- 『ドラゴンクエストIX』の有名プレイヤー、“まさゆき”インタビュー完全版をお届け!(17日 22:25)
- 『ファンタシースター』シリーズ歴代のサントラがiTunesにて配信開始(17日 19:20)
- WiiのバーチャルコンソールにMSXの名作ゲーム3タイトルが追加(17日 17:25)
- 未来のゲームクリエーターを発掘する“マイクロソフト XNA ゲームソフトウェア コンテスト 2010”が開催(17日 16:50)
- Xbox LIVE パークで“Forza Motorsport 3 ナイト”が開催決定(17日 16:50)
- 予約特典の詳細判明『オペレーション フラッシュポイント:ドラゴン ライジング』(17日 16:05)
- 『アサシン クリードII』の初回限定特典は、大ボリュームのリファレンスガイドに(17日 16:05)
- フルフルが抱き枕になった!(17日 16:05)
- 『光と闇の姫君と世界征服の塔』の体験版が配信開始(17日 16:05)
- 『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』とPSP-3000がセットになった限定版が発売(17日 16:05)
- 世界200万人がハマった『Diner Dash』がXbox LIVEアーケードで配信(17日 12:30)
- 『モンハン』初の検定試験“音楽編”が実施された(17日 12:30)
- 『リトルバスターズ! コンバーティッド エディション』が発売延期(16日 17:15)