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PS3版『鉄拳5DR』開発スタッフに緊急インタビュー

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●いまだから言える裏話が続出!?

 

 2006年12月27日に、プレイステーション3のダウンロード専用コンテンツとして発売された『鉄拳5 ダーク・リザレクション』。本作はアーケードで好評稼働中の、人気対戦格闘ゲームの最新作だ。これまで、数々の家庭用ゲーム機で発売されてきた『鉄拳』シリーズだが、もちろん今回のような販売形式は初めて。さらに、正確な発売日の告知が直前までなく、突然販売が開始されたことで、ユーザーからしてみたら衝撃を感じたはずだ。そこで、『鉄拳5 ダーク・リザレクション』発売までの経緯など、いまだからこそ言える裏話を開発スタッフ4人にインタビューしてきたぞ! 

 

桐山 忍
Shinobu Kiriyama

渡辺一誠
Kazushige Watanabe

プログラマー。おもに、スタートからキャラクターが戦うまでの、ゲームの基本的な部分の移植を担当。『鉄拳』シリーズに携わったのは、PSP版の『鉄拳 ダーク・リザレクション』から。ほかに『テイルズ オブ』シリーズなどを担当していた。

プロジェクトマネージャー。過去に『鉄拳5 ダーク・リザレクション』のPSPへの移植や、プレイステーション2版『鉄拳5』の"デビルウィズイン"モードを担当したチームのリーダーを務めた。

好きなキャラクター
エディ・ゴルド

好きなキャラクター
リリ

須崎春樹
Haruki Suzaki

松丸友和
Tomokazu Matsumaru

本作の企画を担当。ほかのスタッフと同様、PSP版『鉄拳 ダーク・リザレクション』やプレイステーション2版『鉄拳5』の開発に携わる。

プログラマー。本作では、ゲームシステムの部分や流れの部分などを担当。PSP版『鉄拳 ダーク・リザレクション』や、プレイステーション2版『鉄拳5』の"デビルウィズイン"モードの開発にも参加。

好きなキャラクター
ポール・フェニックス

好きなキャラクター
デビル仁

 

――『鉄拳5 ダーク・リザレクション』は、プレイステーション3のロンチに近いタイミングでリリースされましたが、発売までの経緯は?
渡辺一誠(以下、渡辺) ひと言で言えば、鶴のひと声があっただけの話です(笑)。
――上の人から「やりなさい」みたいな?
渡辺 僕らがPSP版『鉄拳 ダーク・リザレクション』の移植をしたのですが、上の人からすればPSPに移植できたんだから、より性能のいいプレイステーション3なら簡単にできるだろう、という話だったんです。PSP版だって簡単に作ったわけではないんですけどね。ただ、開発期間や発売日などの、時期的なものは意見させてもらいましたよ。ユーザー的にも会社的にも、いちばんいい時期はどこか話し合って発売に至ったんです。
――開発期間はどれくらい?
渡辺 開発期間はかなり短く、当初はちょっと難しいかなと思いました。そこで、移植の内容を限定させてもらったんです。開発と上の人で意識の違いはあるのかもしれませんが、開発としてはプレイステーション3という新しいハードにアプローチしたいということや、プロジェクトとしても新たな可能性を模索したのだと思います。
――ちなみに、PSP版はどれくらいの期間で作られたのですか?
渡辺 1年半くらいはかかってるんじゃないですかね。
――なるほど。そのノウハウを活かしたわけですね。
桐山忍(以下、桐山) それはもちろんありました。
――『鉄拳5 ダーク・リザレクション』を、プレイステーション2で発売するという話は出なかったんですか?
渡辺 意見としてはあったかもしれませんけれど、実際はなかったですね。
――御社のプレイステーション3のロンチタイトルとして『リッジレーサー7』がありましたが、『鉄拳5 ダーク・リザレクション』もロンチでという話はなかったのですか?
松丸友和(以下、松丸) 当初は「ロンチに間に合わないのか?」みたいなことは言われましたけれど。さすがにそれは無理です、と。
――ちなみにプレイステーション3版のプロジェクトが動いたのは、いつごろからだったのですか?
渡辺 2006年の10月ごろからです。
――10月ですか!? これは衝撃的な早さですね?
渡辺 そうですね。かなり短いと思いますね。けっきょく細かい要素をつけることになったので、開発に2ヵ月半くらいかかりましたね。
――もともとはベタ移植の予定だった?
松丸 そうですね。最初はアーケード版そのままの移植だって言われていたのですが、家庭用ならこれも入れてくれ、あれも入れてくれというようになって……。
須崎春樹(以下、須崎) 企画側としても、ゲームモードは絞り込んだ感じはあります。僕は、もともとは『鉄拳』を作っていた側ではなくて遊んでいた側なんですけれど、家庭用になったらやはり対戦専用モードは最低限必要だとか……。そんな感じで決めていきましたね。
渡辺 ただの完全移植では、絶対にダメなんですよね。家庭用だとセーブモードが必要だとか、細かいところもいっぱいありますし。最初は気づかなかった部分も、開発を進めていくと出てきますから。それに、アーケード版は当社のルールで開発ができるのですが、家庭用にするということは、そのハードメーカーのルールに従わなくてはならない部分がありまして……。むしろ、そういう細かい部分のほうが時間がかかるんですよ。正直、年内の発売は無理だと言っていたのですが、いろいろな方の助けもあって発売に至りました。
――事前に正確な発売日の発表はなく、いきなり12月27日に発売となりましたが、かなりギリギリまで調整していたのですか? 具体的には12月のいつぐらいまで開発をしていたのですか?
渡辺 ギリギリですよ。
――ギリギリまで作業をしていたという点で、どこがいちばん苦労しましたか?
松丸 作業をギリギリまでやらなくてはいけないので、直前にバグとかが出ちゃうときびしいんですよ。それいちばんつらかったですね。
――具体的に、どのような作業をしていたのですか?
松丸 ちょっと覚えてないですね(笑)。
――あまりのことに忘れてしまった?
渡辺 最後のほうの何日かは、作るというよりは調整や直す作業ですね。あとは"シェーダー(3Dモデルに陰影をつける"シェーディング"を行うために必要なアプリケーション)"であるとか、そういった見た目の部分ですね。そのあたりを最後まで作業していたような気がします。あとは、ギャラリーモードにアップするイラストを選んでたかな?
――では、本当に作業が終わった瞬間に発売という流れだった?
渡辺 はい。じつは、これでも予定より遅れていたんですよ。本当はクリスマスに間に合わせたかったんです。それでもなるべく早く、年内にということで12月27日に発売となりました。

――今回、プレイステーション3で発売となりましたが、開発のしやすさは?
桐山 アーケード版は"システム256"という、プレイステーション2を強化した基盤を使っているんですよ。この基盤は、プレイステーション2より強力なのですが、プレイステーション3に比べればずっと能力的には下になります。ですから、そういった意味で苦労はなかったですね。
松丸 PSP版のときは、すごく苦労したんですけどね(笑)。
――ちなみに、驚いたのは価格設定なのですが、2000円という設定はバンダイナムコゲームスさん的にはどうなんですか?
渡辺 逆にどうですか?
――いや〜、安いですよね。
須崎 いまの言葉がすべてを物語っていますよ。価格設定に基準がなかったので、どうしていいのかわからなかったんです。
――前例がないですからね。
渡辺 ですから開発からは、ユーザーさんが納得できて買いやすい価格ということを、いちばんに考えましたね。
――ちなみに、ダウンロード専売になっていますが、それは最初から決まっていた?
渡辺 そうですね。
松丸 値段的にもダウンロードのほうが、多くの人に遊んでもらえるかと思いまして。
――『鉄拳』シリーズにおいても、ユーザーさんにも驚きのニュースだと思いまね。実際ダウンロード数は、どのくらいの数までいってるのですか?
渡辺 正確な数を知らないので何とも言えないのですが、その数が多いのか少ないのかというのが判断できないんですよ。ふつうにパッケージで発売した場合、50万本で成功とか100万で大ヒットというような基準があると思うんです。しかし、開発費も違ってきますし、会社に入ってくるお金の流れも違いますので、同じ本数が売れても儲けが違うんですよ。ですから、どこまで売れれば成功かというのが、まだわからないんです。プレイステーション3でネットワークにつなげている人数も正確にはわかりませんので、全体の何パーセントくらいがダウンロードしているのかもわからないんですよね。100パーセントのユーザーさんがダウンロードしていただいてるのであればうれしいことですが(笑)。
――プロジェクト的には成功だったという実感はありますか?
渡辺 商売的にはもうしばらく経ってみないとわからないですし、今後の世の中の動向も見ないとわかりませんが、プロジェクトとしては成功だったと思います。開発期間が短い中で、いいものができたと思っていますし、『鉄拳』自体もプレイステーション3でちゃんとできることがわかりましたので。
――アーケード版からの移植の再現度は、プログラマーとしてはどのくらいだと言えますか?
松丸 100パーセントと言って問題ないと思いますよ。ゲーム部分は、アーケードをそのままを移植していますので。
桐山 PSP版の移植のときは、正直すべては入らなかったのでいろいろと削っていたのですが、プレイステーション3版は何も削っていないんですよ。本当にアーケードそのままです! 過去の『鉄拳』シリーズで、ハードごとの演算のしかたにより、ごくわずかな数値に違い出て、ゲームの動作がわずかに違ってしまうということがあったんですよ。ですが今回の場合、アーケード版を開発する段階で、そのような現象が起きないような設計をしましたので大丈夫です。
――フレーム数も、まったく同じに再現されている?
桐山 そうですね。
――動きに関しては完全再現しているということですが、グラフィックのデータはアーケード版のものをそのまま使っているのですか?
松丸 はい。丸々アーケード版のものを使っています。
――新たに一から描き起こすという作業は今回はされていない?
須崎 していません。
松丸 アーケードの基盤は、プレイステーション2版よりもテクスチャーのデータが大きいので、そのまま持ってきてもわりと見られるレベルでした。ですが、プレイステーション3は、逆にアーケードよりも性能がいい。そこで、どうしても気になる部分だけを直してもらったという感じですね。たとえば、40インチのモニターで見たときに、「これは粗が目立つな」というようなところを、ピックアップしてお願いしたんです。
須崎 背景の星がボヤけてしまうとか、見ていくと気になる部分とか……。そういうところを直してもらいました。
――修正したのは、全部で何ヵ所くらいに?
須崎 最初は数点みたいな感じだったのですが、最終的には数点ではきかないくらいになっていたかもしれませんね(笑)。
――各キャラクターにつき、1ヵ所くらい修正はあるのですか?
須崎 いや、キャラクターは修正していません。修正したのは背景ですね。
――キャラクターにはまったく手を加えていない?
須崎 変えていないですね。アーケード版が、もともと大きい解像度で作っていますので。
――もともとプレイステーション3で出るということを前提に作っていたわけでは?
松丸 まったくないですね。プレイステーション3のスペックからすると、もっと綺麗なものができると思いますが、フルHDでも十分見られるものを提供できたかと思っています。
――さらに綺麗なものも提供できると?
松丸 そうですね。今回のシェーダーは、プレイステーション2のときと同じようなレベルのものになっているのですが、そういう部分はまだ、次世代クオリティーには至っていないですね。プレイステーション2版にはなかった、"セルフシャドウ(3Dモデル自身の影が、そのモデル自身に投影される影)"を使ったりはしていますが。
――キャラクターのモデルで、若干角ばった部分が見えますが、そのへんは時間をかければ見えなくなる?
松丸 開発スタッフの中に、デザイナーさんがいなかったので……。データに手をつけることができなかったんですよね。
――では、つぎプレイステーション3で『鉄拳』をリリースするときはスゴイものが?
松丸 ものスゴイものができると思いますよ。今回は、まだまだ序の口だと思います。もともと本作は、ゲーム自体が非常におもしろいので、対戦を存分に楽しんでもらえればと思います。

――ゲームモードを、"アーケードバトル"、"ゴーストバトル"、"バーサスバトル"、"ギャラリー"に絞った経緯は?
須崎 時間的な問題がいちばん大きかったのですが……。さきほども言いましたが、最初はアーケードのベタ移植から始まったんです。ですから、ゲームを始めるとアーケードモードが始まって、対戦も乱入のみだったんですよ。しかし、そうしてしまうと、ハンディキャップの設定ができないとか毎回乱入しないと対戦できない、という仕様になってしまうんです。そこで、バーサスバトルが増えたり、ゴーストと戦って段位を上げる要素も必要だし……。というように増えていったんです。このようなモードがあれば、長く遊んでもらえると思いますし。
――ひとりでプレイする際に、ゴーストバトルがないと飽きが早くなってしまいますよね。
須崎 ゴーストバトルですが、プレイヤーの段位が上がるにつれて敵が強くなっていき、なかなか勝つことができなくなったときにどうしようかな、と考えたんです。PSP版には"鉄拳道場(トーナメント戦やリーグ戦で順位を上げていき、"鉄拳王"を目指すモード。各道場で最下位の順位からスタートして、道場での順位が1位になるとつぎの道場に進める)"があったのですが、本作では作っている余裕がない。そこで、ゴーストバトルの対戦相手を、開発当初は自分の段位を基準にしていたのですが、まえに戦った相手を基準にするように変えたんです。つぎの対戦相手の段位が、いま倒した相手の上か下か同じくらいかを選べるようにしました。
――ちなみに、コスチュームもそのままアーケードのものを?
須崎 そうですね。同じコスチュームになります。
――コマンド練習ができる、プラクティスモードを搭載しなかった理由は?
須崎 もちろん「プラクティスモードは?」という声もありました。しかし、作るのもたいへんですが、確認がもっとたいへんなんですよ。たとえば、技をデモ再生したときにちゃんと相手に当たるのかとか、技のダメージの数値の確認だとか……。とにかく時間がかかってしまうのでカットしました。それの代わりというわけではないのですが、ゲーム本体と関係のないところで作れるギャラリーを入れたんですよ。
――試行錯誤の末に、いまの形に落ち着いたんですね。
松丸 それでも、前日まで作業をしていたんですけどね(笑)。

――プレイステーション3版のウリのひとつとして、ボスキャラクターの仁八が使えるという要素がありますよね?
須崎 ウリになるものを考えていたときに、「仁八って使えませんかね?」って聞いたら、「そんなに苦労しなくてもできるんじゃないの?」って言ってもらえたので入れてもらいました。
――仁八の部分について、開発は問題なく進みましたか?
松丸 じつは、仁八は開発段階では使用できていたんですよ。ですから、途中までコマンドの割り当てなどができていたんです。おかげで、それほど苦労はなかったですね。
――技の調整なども?
須崎 そうですね。強いままでいいだろうと。せっかく使えるようになったのに、弱いというのは嫌なので(笑)。
松丸 簡単操作で強くても、いいのではないかと。
――発売直後は、プレイステーション3用のスティックがなかったのでプレイがきびしかったのですが、今後『鉄拳』モデルのスティックを出す予定は?
須崎 弊社で出そうという動きは、いまのところ未定です。USBのコンバーターを使えば、プレイステーション2用のスティックが動くものがありますが、こちらから公式で発表はできません。ネットに書かれているものでだいたい合っていると思いますので、参考にしてもらうといいかもしれませんね。
松丸 ただし、コンバーターを使うと、若干入力に遅延が出てしまうことがありますけれど。

――本作はオンラインで販売されていますが、今後コンテンツの追加などの予定は?
須崎 ギャラリーモードのデータは、もともと最初にダウンロードした中には含まれていなくて、獲得したらダウンロードするような仕様になっているんです。ですから、そのデータを追加するということは、すぐにできますね。
松丸 システムをバージョンアップすることも可能ではあります。
――では、バージョンアップをするといった、具体的なお話は?
渡辺 現段階では、話せるものは何もないですね。ただ、そういった機能がありますので、今後オンラインのよさを活かしたことができればいいなとは考えています。
――コスチュームやゲームモードの追加は、ユーザーも期待していると思いますので、ぜひ!
渡辺 なるほど。意見として参考にしておきます。
――ちなみに、オンラインでの対戦は?
須崎 『鉄拳』というゲーム自体が非常にシビアなゲームですので、現在の"インフラ(インフラストラクチャーの略。ここでは、ネットワークを有効に機能させるために必要な、基盤や設備のこと指す)"ではきびしいですよね。以前からやりたいとは思っているのですが、現状では、ゲーム性を変えなくては難しいと思います。いちばんいい方法は、オンライン対戦とアーケードでシステムを変えて、住み分けができれば……。
松丸 『鉄拳』シリーズは、入力したコマンドに対して、すぐにキャラクターが反応するというのが特徴なんですよ。ですから、我々がどうするかというより、インフラの整備のほうが問題だと思います。
――『鉄拳』のゲーム性を考えると、現状では難しいと?
須崎 そうですね。

――最後に、今後の『鉄拳』シリーズについて、プレイステーション3版も含めてコメントをいただければ。
渡辺 もちろん現在、プレイステーション3で作っていますよ。『鉄拳』シリーズですから、爽快なゲームシステムは当然継承しているだろうし、グラフィックにも相当力の入ったものができていると思います。僕も早く見てみたいところですよ。
――そうですね(笑)。
渡辺 さきほど言いましたが、本作をバージョンアップできる仕様にしたのは、何かしらそういった思いがあるからです。どこまでできるかはわかりませんが、努力していますので期待して待っていただければと思います。
――ありがとうございました。

 

 

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