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『ワイルドアームズ ザ フィフスヴァンガード』金子彰史氏インタビュー!

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●新体制の形や作品へのこだわりを熱く語る!!

 

 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンより、2006年冬発売予定のプレイステーション2用ソフト『ワイルドアームズ ザ フィフスヴァンガード』。本作は、西部劇とファンタジーをミックスした独特の世界での冒険を描いた、RPGシリーズの最新作だ。週刊ファミ通7月21日号では、本作のプロデューサーを務める金子彰史氏のインタビューを掲載した。今回は、週刊ファミ通で掲載しきれなかった部分も含め、インタビューの全文を公開するぞ!

 

メディア・ビジョン エンタテインメント
プロデューサー
金子彰史 

シリーズのシナリオ執筆やまとめ役を務めてきたトータルゲームデザイナー。本作ではプロデューサーとして、作品の行く道を決めることに注力することになった。この新しい制作体制で、新たな『ワイルドアームズ』の誕生に挑む。

 

――タイトルにある『ヴァンガード』は、"軍"や"先駆者"といった意味があると思いますが……?
金子彰史(以下、金子) いくつか意味がある中で、"先駆け"という意味を強く意識しています。それは、シリーズ5作目にして、これまでの『ワイルドアームズ』とはまったく違うつくりかたをした、第1作目であるところが大きな理由です。もう少し具体的に説明しますと、本作から自分はプロデューサーという立場となって、少しだけ高い位置から全体を見渡すようになりました。『フォース』までの『ワイルドアームズ』はトータルゲームデザイナーとして現場に携わっていたのですが、そういった部分をほかのスタッフに任せるようになっています。こういった経緯がありますので、これまでのシリーズとはテイストの異なる、自分には作ることのできない新しい『ワイルドアームズ』を目指せるんじゃないかと考えています。『ヴァンガード』という言葉から『ワイルドアームズ』の新しい方向性を感じてもらえるとうれしいですね。
――具体的にはどのような?
金子 たとえば、これまでの『ワイルドアームズ』のシナリオは自分が書いてきたんですけど、今回は新しい試みとして小説家の黒崎薫さんにストーリーの原案をいただきました。さらにそれを社内のスタッフがゲームのシナリオに落とし込むという作業形式を取っています。そのおかげで、いままでのシリーズと雰囲気の違いが、ハッキリ出ていると思います。当り前なのですが、上がってきた物語に目をとおして「こうきたか!?」と驚いてみたり、自分ではやらないようなストーリーテリングの手法やオチのつけかたに新しい『ワイルドアームズ』を実感しています。じつは前作である『フォースデトネイター』が"起爆剤"という意味にかけて大きく変化することを目指したタイトルだったのですが、そこから正統進化しているはずの本作のほうが、もしかすると大きな変化を実現したタイトルなのかもしれません。自分の予定調和に収まらないので、僕自身、完成形を把握しきれているというわけではありません。そういった意味で、「どうなるんだろう?」といったワクワク感はシリーズいちばんですね。

――本作のコンセプトは?
金子 前作は1本道のストーリー進行となる構成だったので、今回はプレイヤーの選択肢や、考えて行動する……いわゆる"冒険"を大事にして開発しています。これはストーリーに分岐があるとか、エンディングが複数あるという意味ではありません。
――どのような部分が?
金子 たとえば成長システムなんですが、「このキャラクターはこう育てたい」とプレイヤーが考えたならば、その意志を反映できるようになっているとか……。こちらが手取り足取り、解法に向かって誘導してあげるというよりも、解法に至る過程をプレイヤーに考えてもらうといった流れにしたいんです。物語の中でキャラクターたちに"冒険"してもらうというよりも、ヒントを手がかりに試行錯誤しながら、プレイヤーが"冒険"してもらえれば願ったり叶ったりでしょうか。そういう意味では、本作は歯応えがあると思いますよ。敵がたんに強いというのではなく、自分で考えて行動しなければならないタイプのゲームを目指していますからね。
――前作同様、一度上げたパラメーターを、別のところに振り分けるようなシステムがある?
金子 タイプ的には近いと思いますが……。現時点ではまだ詳しくは言えませんが、戦士系のキャラクターなのに魔術士のように育てられるような自由度はあります。もちろん、そういうふうに育てるメリットがあるからです。たとえば、ボスの特性に合わせてキャラクターのタイプをチェンジしながら攻略していく、といった楽しみも味わえると思います。

――バトルは『フォース』からの進化系ですか?
金子 そうですね。『フォース』は、これまでとゲームシステムをガラっと変えようというコンセプトで開発したのですが、今回はシステム面は正統進化を果たしています。バトルだけに限りませんが、一見すると全体的には『フォース』からの延長に映るのかもしれませんね。もちろん、本作から導入している新しい部分もたくさんあります。その中にはチャレンジャブルな要素もあるんじゃないでしょうか。そういったところはこれから少しずつお伝えできればと考えています。
――キャラクターデザイナーも新しくなりましたが?
金子 本作でやりたかったことのひとつに、イラストのキャラクターをポリゴンモデルで、できる限り再現したいというのがありました。だからといって、『ワイルドアームズ』の世界設定とは異なるタッチのイラストに持っていくことはしたくなかったので、デザイナーの選出には力を注ぎました。ポリゴンモデルとして成立する絵が描けることと、ポリゴンモデルにして魅力を失わない絵が描けるという点に気をつけたつもりです。あとはもちろん、自分が好きになれるかどうかですが。そういった意味で、今回は、佐々木さんを起用して非常にいい結果が出せたんじゃないかと考えています。
――このグラフィックの技法は?
金子 トゥーンシェイドとか、特殊な技法を使っているわけではありません。技法でイラストっぽい画面を作るよりも、イラストが持っている"魅力"を再現することで、結果的にイラストのイメージに近づけたいという感じです。これは『フォース』のころから進めてきた表現方法です。なので、本作でもグラフィッカーが真面目に作ったっというか、ふつうにがんばって作ってくれました。
――特別なエンジンがあるわけではなく?
金子 そうですね。そういう意味では、頑固な職人さんがコツコツ作ったような感じですかね。あるとすればソフト的にではなくグラフィッカーの胸に搭載されたエンジンです。
――イベントシーンなどの見せかたも、かなり変化した?

金子 前作も顔や表情をがんばったんですけど、今回は新たに手の表現にも注力しました。手や指の動きだけでも感情を表すことはできますので、もうひとつの顔という気持ちで開発しています。バトルシーンやイベントで、手につけられた"表情"を見ていただければ、グラフィッカーのがんばりがわかるかと思います。
――バトルシステムについてもう少し聞かせてください。
金子 前作はバトルに参加する人数は4人だったんですけど、今回は3人になっています。参加人数が少なくなった分、それぞれの役割を強くすることで、より戦術的な要素を強めていくという方向です。
――前作のように、偶発的な要素はあまりない?
金子 バトルに入ったとき、遭遇したモンスターが前回と同じでもプレイヤーの置かれた状況が異なれば、対処も異なるというスタイルは今回も継承しています。同じようなコマンド選択を続けるばかりでは、バトルがおもしろくないですからね。ただ、偶発性の部分が理不尽な難しさにつながらないようには調整していきたいと考えています。
――よりユーザーフレンドリーになった?
金子 それが単純に難易度を下げるという意味でなければ、そうかもしれません。ユーザーが考えて、その考えをコマンドとしてゲームに反映できる間口の広さこそがユーザーフレンドリーだと考えているので……。そのようなシステムを目指して鋭意開発中です。ちなみにバトルで全滅したときのコンティニューは、今回も搭載する予定です。

――フィールドアクションについても聞かせてください。
金子 『フォース』は、ジャンプアクションを入れることで、すごくアクティブなフィールドになったと思います。ただし、楽しい反面、難しいという声があったのも事実です。個人的には難しいから簡単にするという軌道修正は好きではないのですが……。前作のフィールドは、アクションゲームに慣れたプレイヤーからは簡単すぎてしまい、あまりにサクサクと進むので、低レベルのままボスに挑むことになるなど、バランスを欠く要因にもなっていました。そこで、ジャンプによる楽しさは残しつつ、指先の器用さによって進行に大きな差異が生じるような作りにはしないよう心がけています。フィールドを飛んだり跳ねたりするアクションの楽しさは残しながら、思考パズルの部分をうまく融合させているというと、わかりやすいでしょうか?
――女性の方も簡単にクリアーできる?
金子 ダンジョンをクリアーする難易度そのものは下げているつもりはありません。アクション性に頼っていたところから、もうちょっと思考的なパズルに戻したイメージですね。自分はパズルとか苦手なので、むしろ難易度が上がった感じですけど(笑)。
――パズルが苦手な人のためのヒントも用意されている?
金子 自分もそうなので、苦手な人もちゃんと解けるように調整していきます。必須ですね。

――冒険の舞台は今回もファルガイアですか?
金子 今回も名前はファルガイアですが、シリーズとおして、すべてのファルガイアは別の世界となっています。共通しているのはアイテムやモンスターの名前くらいで、シリーズの話はすべて独立したものです。
――基本的な設定だけが共通している?
金子 あまり関連性はありません(笑)。過去のシリーズとは毎回関係ないので、シリーズをプレイしたことがない人も、ぜひ手に取ってもらいたいです。
――ウェスタン色の強さは、シリーズで交互になっているような気が?
金子 ウェスタン色は『サード』と『フィフス』が強くて、『セカンド』と『フォース』は、わざと薄くしいます。1作目からウェスタン色を強くしたかったけど、どこまでやるべきか加減がわからなかったから、中途半端な感じになったのは否めません。その分、作品カラーをつける際の基準になっていますね。
――ちなみに『ワイルドアームズ』シリーズは、なぜ女性ユーザーが多いと思いますか?
金子 わかりません。わかっていたらプライベートでモテてます(笑)。むしろ怪獣やロボットのような、小学生の男の子が好きなものを用意しているつもりなんですけどね。

――ディーン、アヴリル、レベッカの3人で物語は進行していく?
金子 いつもスターティングメンバーの構成には悩むところなんですが、本作では、主人公の男の子が両手に花状態という、いままでにはないパターンで始まります。このあたりも、これまでのように自分が物語を書いていれば思いつきもしなかったところではないでしょうか。小さなところかもしれませんが、密かにいままでと大きく変わったところだなぁと実感しています。
――両手に花とはうらやましい状態ですね。
金子 きれいどころが両脇を固めてはいるのですが、ディーンは恋愛よりも冒険したいタイプの主人公なので、鼻の下を伸ばしたりしませんね(笑)。序盤は女の子ふたりに振り回されつつ、自分も振り回しつつ……というような展開になってます。主人公は、自分が生まれ育った村を飛び出して、外の世界に冒険に行きたがっているんです。レベッカは幼なじみで、何でも言い合えるような間柄です。アヴリルは今回の冒険のきっかけになっているキャラクターで、幼なじみの対抗となる突然現れた年上の女性ですね。
――ほかのパーティーメンバーは?
金子 個人的にはもう少し年配のキャラクターが出てきてほしいですね。かわいくてきれいな女の子もいいけれど、頼りがいのあるおじさんとかが出てくると、物語にぐっと厚みが出てくると思うのですが……。このあたりは今後の情報をご期待ください。
――レベッカが持っている銃はARMですか?
金子 アヴリルが剣のような武器を持っていて、レベッカが銃っぽい武器、そして主人公は、なぜかショベルを持っている……。画面を見る限りでは、レベッカが手にしているのがいちばんARMっぽいですよね(笑)。まぁ、いまはいろいろありますとしか言えません。

――『ワイルドアームズ』シリーズの音楽と言えば口笛が連想されますが、今回は?
金子 全体的に口笛使用率は高いと思いますよ。今回はバトル中の曲も口笛が聞こえてきますね。BGMのウェスタンテイストも過去のシリーズと比較しても高くなっていると思います。だからといって、いままでの延長線にある曲というわけでもないですね……。言葉ではうまく伝えられませんが、自分自身、本作のBGMがすごく気に入っています。かっこいいんです。早く皆さんにも聞かせたいのですが、誌面だと難しいですね(笑)。
――テーマソングは?
金子 レベッカを演じていただいている、水樹奈々さんに歌もお願いしてます。レベッカは快活でかわいいタイプのキャラクターでして、水樹さんによる声の演技も、非常にかわいいのですが……。テーマソングの曲調は非常にパワフルで、聴いていると思わず力が入ってきます。自分もすごく気に入っています。声優さんの表現力はすごいなって、改めて思い知らされましたね。

――1作目を発売されてから、もう10年経ちますね。
金子 シリーズを10年もやっていると、開発スタッフにもいろいろと変化が出てきます。とくに、かつて『ワイルドアームズ』をプレイした人間がスタッフの中にいるというのがすごく驚きですね。10年まえの開発現場では想像すらできませんでした。プロデューサーというポジションに立って非常に興味深いのは、そんなスタッフの"ワイルドアームズ観"ですね。自分では思いつかないようなこと、思いついても自分で勝手に作ったルールに縛られて、実行できないこともどんどん形にしてくれてくれるのがすごく頼もしいです。最前線に立って作っていると気づかないようなことも、少し離れたところから見直すことで再確認するなんてこともよくあります。今回、プロデューサーとしていちばん大事な仕事は、スタッフのアイデアやこだわりを可能な限りバックアップしてやることだと考えています。中には「それは"らしく"ないんじゃないか」と思うこともあるけれど、そこにスタッフの熱意や情熱があればどんどん肯定してあげたいです。そうしないと新しい『ワイルドアームズ』はいつまでたっても誕生しないし、"ヴァンガード"の名をつけた意味もありません。『フィフスヴァンガード』開発スタッフからは毎日刺激を受けています。そして、受けた刺激は自分にしか作れない『ワイルドアームズ』のために使わせてもらっています。
――シリーズ10周年ということで、何か特別なことは企画されていますか?
金子 すでに1作目のBGMを完全収録したコンプリートトラックが発売していたり、モバイルサイトの運営がスタートしたりしているのですが、まだまだいろいろありそうです。
――1作目に続き、『セカンド』はリメイクされないんですか?
金子 自分としてもやりたいという意志はありますし、ユーザーさんからの声も届いています。でも『セカンド』の移植をやるとすれば、自分の手でやりたいんですよ。しかし、なかなかタイミングが合わなくて……。オレもやりたいんだよー!(笑)
――10周年ということで、このタイミングで出すのかと思っていましたが……。

金子 まわりからも、よくそう言われています。自分の体が空くまで待ってください(笑)。

――最後にファンにひと言お願いします。
金子 まずはお詫びですね。今年の1月にタイトルを発表してから、今回の正式な情報公開まで半年くらいかかってしまいましたので……。本当にごめんなさい! じらした分だけ開発は進んでいますので、今後の情報に期待してください。本作は、いったいどんな作品になるのか自分自身、本当に楽しみです。シリーズでいちばん、完成が待ち遠しいタイトルになってます。いっしょに完成までを指折り数えていきましょう!

 

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