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複数の作品からなる『FF XIII』について、5人のキーマンに語ってもらった!!

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●"ファブラ ノヴァ クリスタリス FF XIII"のキーマンが語る!

 パークハイアット ロサンゼルス。このホテルは全米有数の高級住宅街、ビバリーヒルズの南西に広がるセンチュリーシティーの一角にある。街の名は、映画会社20世紀フォックスが、かつて撮影地として使っていたことに由来するという。下記のインタビューは、ロサンゼルスを代表するこのホテルのテラスで、カンファレンス(※アメリカのハリウッドで行われたスクウェア・エニックスのプレスカンファレンス。ここで"ファブラ ノヴァ クリスタリス FF XIII"というプロジェクトを発表。映像も公開された)の興奮も冷めやらぬうちに行われた。動き始めたビッグプロジェクト、"ファブラ ノヴァ クリスタリス FFXIII"。その全体像、そして発表された3つの作品それぞれについて、5人のクリエーターが語り出す。

 

FFXIII

北瀬佳範

田畑端

鳥山求

野村哲也

橋本真司


●『ファイナルファンタジーXIII』
 

◆PS3で発売される理由

 

──発表会でそれぞれの作品のコンセプトが発表されました。『FFXIII』は"クリスタルが導く未来"ということですが、具体的には?
鳥山求(以下、鳥山) クリスタルが、何らかの形で人々の生活を便利にし、発展している世界が舞台です。
──それを"導く"という言葉で表現した?
鳥山 そうですね。クリスタルは当然『FF』シリーズ伝統のまま、魔法の源であったりします。ただし魔法そのものは、たとえばいままでだったらグラビデという魔法だった要素が、未来の人間が使うものとして"重力爆弾"という形で登場します。魔法とテクノロジーの要素を融合させた形の世界を作っているんですね。
──PS2で作りかけていた『FFXIII』を破棄して作り直したということですが……。
鳥山 作るからには新しいハードで、というのは、クリエーターにとってうれしいことです。それにPS2版の時点から蓄積している部分、たとえば世界観を示すイメージアートや、シナリオなど、そうした部分まですべて捨てているわけではありません。『FFXIII』はプリプロダクションといわれる制作準備期間に圧倒的に時間を割いているんですよ。たとえば街を構成する1本の柱や看板類、そういうものにもすべて意味があるように世界を作っています。単純にビジュアルをリアルにしただけではないんです。未来世界を描くための説得力を作り出すためには、1度捨てることも必要だったのかなと思います。
──昨年のE3に向けて『FFVII』のテクニカルデモを作り、PS3の描画力ならそれが実現できると踏んでハードを変えたんですか?
鳥山 たとえば人間の気持ちを微妙な表情に込めるといった、僕らがやりたいと考えている『FFX』の路線を突き詰めたドラマ性を表現するためには、もうPS2に戻れなかったというのが正直なところですね。キャラクターのリアリティーや街の再現度など、テクニカルデモを作ってしまったことで、いま現行機で作る動機が保てなくなったんです。
 

◆ヒロイン起用の秘密


FF XIII

──公開された映像はイメージではなく、物語中のシーンの一部なのでしょうか?
鳥山 そうです。製品では演出などが変わる可能性もありますが。『FFX』のとき、最初に見せたナギ平原のテクニカルデモが、かなりショボかったんです(笑)。それと同じだと思ってくれれば。いまはまだ、初期段階のものです。
──戦闘画面も公開されていますが、コマンド類は仮のものが入っているのですか?
北瀬佳範(以下、北瀬) 現在考えているものを、一部お見せしている状態です。デザインは検討するかもしれませんね。機能も今後進化する可能性があります。
──ATB(アクティブタイムバトル)やオーバークロックなど、気になる表示もありますが。
鳥山 『FFXIII』は、『FF』の正統な進化形ということで、ATBを活かしたバトルをさらにスピードアップしてみせる予定です。それに加えて時間軸と、3D空間の縦軸を使います。
──映像には時間の流れを遅くしたり、敵を打ち上げたりするシーンがありましたね。カメラもだいぶ活発に動いている印象でした。
鳥山 実際にはもっと戦闘状況がわかるように調整しないといけませんが、バトルのキメ技などには表情をつけてキッチリ見せたいですね。
──主人公の女性は、いままでにないクールなキャラクターですが、だからこそ何か秘密があるような。女性を主人公に据えた意図は?
鳥山 女性が元気な世の中を反映した、新しい挑戦の意味もあります。いわゆる女の子というよりは、自立した強い女性、しかも実際戦っても強い(笑)。そういうイメージで(野村哲也氏に)描いてもらいました。
──画面写真で、彼女の指先に何かついているのが見えるのですが……?
鳥山 さきほど話に出た重力装置を起動するギミックです。指先をパチンと鳴らして使います。未来ということで、ちょっとSFチックで、一歩間違うとリアリティーがなくなるところを、何とかリアルに再現しようかと努力しています。
 

◆発売時期について


──3つのタイトルでは、いちばん紹介された画面や映像が多く、開発が進んでいるようですが、いまは何パーセント程度完成してますか?
北瀬 何パーセントだろうねぇ(笑)。
鳥山 まだまだです。
橋本真司(以下、橋本) ノーコメントです(笑)。
北瀬 今回は『FFXIII』のゲームプログラムのチームとはべつに、基本的なエンジンや環境ライブラリーを作っているテクニカルチームがあって、現在は『FFXIII』チームに加え、そのテクニカルチームで先行して基礎部分を作っている状態です。その基礎は、のちほど発売される『ヴェルサスXIII』にも活かされることになります。
──発表会でおっしゃっていた"ホワイトエンジン"ですね?
北瀬 そうです。
鳥山 それがスクウェア・エニックスの全社的な、PS3の基礎開発環境になるように進めているところですね。
──期待が持てますね。楽しみにしている読者の皆さんへ、ひと言いただけますでしょうか?
北瀬 『FF』イコールクリスタルというイメージがあると思いますが、今回のプロジェクトは"ファブラ ノヴァ クリスタリス"。題名どおり"新しいクリスタルの物語"です。原点回帰するのではなくて、新しい世界観やストーリーをいくつかの作品を通じてしっかり作っていきます。ぜひご期待ください。
鳥山 『FFXIII』は、プレイステーション3の初めての『FF』になるように、なるべく早い時期にお届けしたい、とは思うのですが(笑)。……まだちょっとお待たせすることになると思うので、続報をお待ちください。
──つぎのお話はいつごろ……。
橋本 来年のE3でまたお会いしましょう(笑)。
――え! それまで情報はないんですか!?
鳥山 小出しにはしていきたいですね(笑)。


FF XIII


●『ファイナルファンタジー ヴェルサス XIII』
 

◆クリスタルと主人公の関係

 

ヴェルサスXIII

──クリスタルはどういう位置づけなのでしょうか?
野村哲也(以下、野村) 主人公がいる王国が、代々クリスタルを守護しています。主人公はごくふつうの、現代風の恰好をしているのですが、マシンガンをかまえていた人々は全員中世の鎧を着ている。あれは外世界の者たちで、彼らからクリスタルを守っているわけです。ふつうクリスタルという非現実的なものは中世風の側が持っていそうですが、これはあえて逆転させています。
──主人公はその王国の王なのでしょうか。
野村 王ではありません。王族の人間です。
──夜景のシーンの中央に象徴的な建物が見えますが、あそこが主人公がいる建物?
野村 そうです。どこか見覚えがあるかもしれませんね。いまの文明で"城"に当たるのは何なのか、と考えたら、あの形になりました。『ヴェルサスXIII』は現代というか……自分たちの住む世界に似せたかった。だからその夜景も見たような場所だったり、看板にこの世界にあるような文字が書かれていたりするんです。
──漢字っぽい看板などありますね。なぜ現代的なものにしようとしたのですか?
野村 いままでの『FF』に、現代を舞台にしたものがなかったんですよ。物語にも関わる部分ですが、映像の冒頭でシェイクスピアの"物事には善悪はなく、それを区別しているのは人の考えかた次第である"(※ハムレット第2幕第2場のセリフ)という言葉を引用したのも、実際にある、この世界の要素を使いたかったからです。ここは地球というわけではないのですが、実際の世界にあるもので構成された世界です。
──この世界の外には設定の違う世界が?
野村 そうです。現代をモチーフにしたのは主人公の世界だけで、外にはほかの世界があります。ただ、それらがすべて実際の世界にあるものをモチーフにしているわけではありません。
 

◆『ヴェルサスXIII』のテーマ


──絆というテーマを発表されていますが、映像を見ていると主人公が孤独に見えます。
野村 映像自体がダークで、登場したのがひとりだけなのでそう見えるかもしれません。実際は暗い人物というわけでもないですし、孤独でもないですよ(笑)。話は重いものになりそうですが、登場人物たちの力で暗くならないようにしようと思っています。
──カンファレンスでの"痛みを感じるキャラクター"という発言は、そういう物語の部分を指しているのですか?
野村 そうですね。ただ、現状のままだと悲惨とも言える話になりそうで悩んでいます。最初に考えたプロットを北瀬に話したところ、もっと悲しい方向にと言われ……。
北瀬 悲しい涙がしばらく止まらなくて、1週間くらい引きずるぐらいのものを(笑)。
野村 ひどいでしょう?(笑) ですが、何十時間も遊んで嫌な気分で終わるのは問題なので、いまは着地点を考えています。
──そこまで極端なものでもいいと。プロジェクト全体の均衡が取れればオーケーということですか?
北瀬 『ヴェルサスXIII』単独だったら難しいでしょうね。『FFXIII』が『FF』として安心して楽しめるものになっているので、『ヴェルサスXIII』は冒険的なことをしてもいいと思っているんです。だからもう少し悲しい話にしてもいいんじゃないかな?(笑)
──アクション要素が高いものになるというのも、その冒険の部分なのでしょうか。
野村 そうです。ゲーム部分を作るのは『キングダム ハーツ』のチームなので、そのノウハウで作ります。もちろん、『キングダム』の発展形になるわけではなく、新しいものになります。アクション要素のあるゲームを作ってきたスタッフたちが作った『FF』の姿を。ぜひ想像してみてください。


◆制作現場


──今回の映像や、『FFVII アドベントチルドレン』の楽曲などでラテン語を使われていますよね。多用する理由を教えてください。
野村 ラテン語は、現存するのに誰も日常的に使っていない不思議な言語です。この言葉ならどの国の人にもわからない。その意味で平等だからです。
──楽曲に使われていた歌詞はどんな内容ですか?
野村 あまり具体的なことは言っていないのですが、あの曲には『眠り』というタイトルがついています。ラテン語では……何て言ったかな?(笑)(※注:somnus)ロゴと同様、"眠り"を象徴しています。
──制作はこれから佳境に入るのですか?
野村 早いうちに実機画面をお見せしたいところですが、現在『キングダム ハーツ II』のヨーロッパ版を作っているので、そちらが仕上がってからですね。いまはアートワークやプリプロダクションを行っている状態。いままでにない『FF』を作りたいので、いままでやらなかった禁じ手をいろいろと出していこうかと思っています。

FF XIII


●『ファイナルファンタジー アギトXIII』
 

◆日常と非日常の狭間の主人公たち


──キャラクターの恰好や、校門のようなイラストから、舞台は学園になりそうですが?
田畑端(以下、田畑) そうです。ペリシティリウムという名の魔導院に集まった生徒たちが、13クラスに分かれ、日常をともに過ごします。
──カンファレンスではクリスタルと契約をする、という内容の字幕も流れていましたが、どういう意味なのでしょう?
田畑 クリスタルと結ぶ"血の契約"というものがあります。それ以上は(笑)。
──絵にある建物がその魔導院で、そこを基地にしてミッションを受け、外に戦いに出ていくようになるのですか?
田畑 魔導院では日常生活も営むので、基地ともまた違います。魔導院の中を舞台にして物語が広がり、ある段階になると外の世界との関わりが出てくるんです。外界からの侵略などいろいろなことが絡み、だんだん舞台が広がっていきます。もう1枚の荒野の絵が、きびしい世界がまわりにあることを示しているんですよ。
──公開されたキャラクターが魔導院の生徒ですね。彼らが主人公ですか?
野村 そうです。プレイヤーは彼らの中からひとりを選び、そのキャラクターを育てます。名前は『ビフォア クライシス -FFVII-』のように、自分でつけられます。
──見た瞬間、その『ビフォア クライシス -FFVII-』に近い印象を受けました。
野村 『ビフォア クライシス -FFVII-』のノウハウを使いますが、内容は違います。
田畑 ユーザーがキャラクターと接する部分というのは、近いといえば近いかな。


◆お気に入り


アギトXIII

──たくさんキャラクターがいますが、スタッフ間では誰が人気ですか?
田畑 いま圧倒的に人気があるのが、眼鏡をかけた委員長のような子。中央の縦のラインにいるキャラは人気がありますね。
野村 短髪で武器を持っていない子は、ちょっと人気がないかも……?
──それとここにいるモーグリも主人公のひとりと考えていいんですか?
野村 ……みんな反応しますね。じつはイラストを描いたときに、この位置が少し淋しいなと思って入れただけなんです。イラストを発注されるときは、オーダーにもいなかった(笑)。
──13クラスあるという設定で、主人公たちが12人いる。そこにモーグリがいるからてっきり主人公の一員かと(笑)。
野村 そこが自分でもおもしろくて描いたところなんです。何で仲間に入っているのかと(笑)。主人公は12人です。13人目は謎。モーグリではありませんよ。


◆『アギトXIII』のテーマ


──『アギトXIII』は"行動を起こす"ことがテーマと発表されました。具体的には?
田畑 まず『FFXIII』として携帯電話というハードを選ぶというのはチャレンジですよね。これは開発側として"行動を起こす"という意味です。それから、日常と非日常の融合した物語の世界に登場するキャラクターたちが、非日常である周囲に対してどう"行動を起こす"か。こういった物語からきている意味もあります。
──ふつうのハードとは違う仕掛けとして、5月配信の『ビフォア クライシス -FFVII-』のイベントのようなものは?
田畑 そうしたいろいろな仕掛けは入れるつもりです。携帯電話でしかできないことを柱として立てていく予定です。
──キャリア(通信会社)については?
田畑 検討中です。携帯電話の場合、実際に配信できるタイミングまではどんな端末があるかわからないので、現状ではPC上で端末を仮想して開発しています。
──『アギトXIII』では見知らぬ人とパーティーを組むということですが、メンバーと行動をともにして、ミッションをクリアーするのですか?
田畑 携帯電話は基本的に個人の持ち物なので、ひとりで行動する形になります。必要に応じて瞬時にパーティーを組めるようなシステムですね。たとえばいま敵が襲ってきたら、たとえ周囲が知らない人ばかりでもたぶんいっしょになって戦いますよね。いわゆるMMO(大人数参加型)RPG のように、まず仲間が集まって、パーティーを組んで出かける形ではない。

野村 『アギトXIII』では、どこまで身近にオンラインゲームの楽しさを味わってもらえるか。その形が見せられればと考えています。オンラインゲームは敷居が高くなりがちですが、携帯電話なら簡単に遊べるのではないでしょうか。
──早い時期に遊べそうですか?
田畑 ところがまだ、……プラットフォームも決まっていないわけで(笑)。実機の画面をお見せできるのはいつの話なのかな。ともあれ現在は"ファブラ ノヴァ クリスタリス"の1タイトルとして、いろいろなことを積み上げている段階。もっとも身近な『FF XIII』をキッチリ作りますよ。
 

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