HOME> インタビュー> ゲームデザイナー・小谷浩之氏が語る『パタポン2(仮題)』
●『パタポン2(仮題)』のゲームデザイナー・小谷氏に直撃
リズムに合わせてボタンを押し、コマンドを入力。すると、目玉キャラクター”パタポン”が行進したり、敵を攻撃したりするシミュレーションゲーム『パタポン』。PSPで発売され、人気を博した同作の続編が早くも登場する。
シリーズ最新作となる『パタポン2(仮題)』は、前作同様、太鼓を叩いてパタポンたちに指示を出し、ゴールを目指すというゲーム内容。ただし、今回はヒーローパタポンという新キャラクターが登場するほか、最大4人でのマルチプレイにも対応しているのだ。さまざまな進化を遂げた『パタポン2(仮題)』。週刊ファミ通2008年7月25日号(2008年7月11日発売)では、同作のゲームデザインを務める小谷浩之氏にインタビューを敢行した。そのインタビューの全文を、今回、ファミ通.comで公開する。
ゲームデザイナー |
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ソニー・コンピュータエンタテインメント ジャパンスタジオに10年以上在籍。PSP用ソフト『パタポン』で独立する。代表作には『XI[sai]』シリーズや『ブラボーミュージック』などがある。 |
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――前作『パタポン』の反響は、いかがでしたか?
小谷浩之(以下、小谷) 「久しぶりにたっぷりゲームをした」という声がいろんな形で聞こえてきました。自分たちとしては新しいゲームを作ったつもりだったんですけれど、ユーザーの皆さんがどういった感想を抱くかはわからないじゃないですか。そういった意味では自分たちの作ったものがイメージどおりにプレイヤーのみんなに伝わったんだな、という実感を持ちましたね。また、そういった声と合わせて我々的にもやり切れなかった部分や、自分たちで気づけなかった部分というものを、ユーザーさんのブログや巨大掲示板から見えてきまして、それらをいろいろな形で反映させよう、というのが当面の課題になりましたね。
――前作を発売されてから、すぐに続編の開発に取り掛かっているのでしょうか?
小谷 前作の発売後はすぐに海外版の開発をしていました。『パタポン』はある意味、浪花節的な日本っぽいゲームだなと思って作っていたんですけれども、意外にも海外の方の琴線に触れたようでしたね。ただ単に上っ面に惹かれただけではなくて、やったうえで「これはおもしろい」と感じていただけたようです。あちらの方からも、”ゲーム”としてとてもおもしろい、という反響が返ってきていたので、ゲームとしておもしろいものを作れば、世界の共通言語になるのかな、という実感はありました。続編は、まさにその海外版を作っているころに考えていたんです。僕も続編は作りたいと思っていて、いろいろと考えていたんです。そんな中、吉澤さん(※ソニー・コンピュータエンタテインメントのプロデューサー、吉澤純一氏)から「『パタポン』でマルチプレイを作ってください」というオーダーがあったんです(笑)。
――では、マルチプレイありきで制作されているわけですか。
小谷 大前提でしたね。『パタポン』は、いっぱいキャラクターを扱うのでマルチプレイは難しいと思っていたんですよ。自分がどのキャラクターなのかわからなくなってしまいますから。その中で出てきたのが、ヒーローパタポンです。ヒーローパタポンは、『パタポン』の世界において神様に時々毒づいたりするような個性を持ったやんちゃなキャラクターで、マルチプレイでは、各プレイヤーがそれぞれにヒーローパタポンを操ることになります。
――いま、この画面では4人のプレイヤーが参加しているようですが。
小谷 はい。4人でのマルチプレイです。ストーリーで語られますが、神様がたくさんいてパタポンの世界もたくさんあるんです。それぞれの世界のクロスするところが、マルチプレイのフィールドになります。4人の神様とそれぞれの世界のパタポンが集結して、お互いの世界で活躍するヒーローに不可欠なアイテムを獲得するために、協力し合ってミッションに挑みます。
――マルチプレイでのプレイヤーの目的は?
小谷 まず、シングルプレイで”卵”を手に入れるんです。その卵の中に大事なアイテムが入っているんですけれども、これを孵化させるには異世界のフィールドに用意されている、卵を捧げる台の前で儀式をしなくちゃいけない。この儀式を行うために、ほかのプレイヤーと協力して進んでいく、というのが目的になります。卵が大きいので4人が進むときには卵を一旦持ち上げて「パタ・パタ・パタ・ポン♪」とコマンドを入力して移動して、敵が来たら卵をどーんと置いて戦う。それで敵を倒したら、また卵のところに集まって持ち上げて「パタ・パタ……」と進んでいくわけです。そしてゴールにたどり着いたらみんなで心をひとつにしてドラムのセッションを行って、卵を孵化させるんです。卵の中からはアイテムや、また卵が出てくることもあります。「卵が手に入っちゃったから、もう1回やろう!」という、終わらないループができあがるわけですね(笑)。
――ではもう、みんなで大いにマルチプレイを楽しんでほしいということですね。
小谷 『パタポン』の不思議なところって、すごくゆるいゲーム性なのに、リズムに合わせてボタンを押していくことに気持ちよさがあるんです。それをみんなでやると妙におもしろい(笑)。みんなで「パタ・パタ……」ってやって、ちょっと進むだけでおもしろく感じてもらえると思います。ふつうだったら、「そんなことでマルチプレイ成立するんスか?」と思うところですけれど。
――4人集まることでより楽しいリズムになっていくわけですね。しかも、友だちを手伝うことで、自分にもいいことがあって。
小谷 手伝うといいことが起こりますし、あとは失敗して「あああーッ!!」ってなるのも楽しいと思いますよ。
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ヒーローパタポンにはバリエーションがたくさんある |
――さきほどのお話にもありましたように、新キャラクターとしてヒーローパタポンというキャラクターが出てきましたが、これはどんなキャラクターなんでしょう?
小谷 ヒーローと言えばやっぱり仮面というイメージじゃないですか(笑)。なので、仮面をつけています。今回、カーメン族というキャラクターも登場するんですが、ヒーローパタポンもカーメン族も仮面をつけているから、その下がどうなっているのかわからないんです。なぜ、彼らが仮面をつけているのか、というのがひとつのキーワードになっていますね。本作はストーリーがおもしろいですよ(笑)。
――言い切りましたね(笑)。
小谷 前作のときから、セカイの果てに何があるのか、何も語られていなかったのですが、そのあたりの話が明かされます。
――では、今回もセカイの果てを目指すと?
小谷 それは前作とぜんぜん変わらないです。
――ヒーローパタポンの武器というのは、どんなものになるのでしょう?
小谷 ヒーローパタポンは何にでもなれるんです。ヒーローパタポンにはバリエーションがたくさんあって、カスタマイズすることでいろいろと能力が変わります。マルチプレイでいいアイテムをゲットすれば、シングルプレイで一騎当千の活躍をしてくれますよ。
――ちなみにヒーローパタポンは強いですか?
小谷 強いです。でも、その分敵も強いです(笑)。前作以上にボスキャラクターが増えていたり、中ボス的なキャラクターも増えているんです。前作は、ボリュームよりもゲームとしてのトライアルな部分にプロジェクトとしての大部分を使ってしまっていたので、「ボリュームも十分でしょ?」と胸を張って言えるものではなかったな、と思っていまして。でも今回はボリュームを倍以上用意していますし、これは単純にステージ数だけを数えて倍以上ということで、そこにカスタマイズの要素なども加えると正直遊び切れないんじゃないか、というところまで作り込んでいます。
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今回の『パタポン』は、とにかくすごいッス |
――前作はシンプルな操作性ながら、すごくストイックな部分を持ったゲーム性でしたが、今回は?
小谷 やっていて手に汗握る感じというのは残したいですね。ただ、前作をプレイしたユーザーの中から「せっかく楽しく盛り上がってきたのに、一度のコマンドミスでやる気がなくなっちゃう」という声が聞こえてきたんです。もちろん、そのことをバネにもっとやってやろう、と思う人たちもいるんですけれども、広い視野で見ると、「ガッカリだな」という声のほうが圧倒的に多かった。
――では、今回は1回ミスしてもガクンと下がらない?
小谷 ワンクッション入ります。ワンクッション入るがゆえに、そこで「やべぇ!」と思ってくれれば楽しくなるんじゃないかな、と。1回危険信号が出る感じですね。何がなんだかわからないうちにテンションが落ちちゃうようなことがなくなっているので、もっと気持ちよく楽しんでもらえるようなシステムになっているんじゃないかな、と思っています。以前、ゲームリパブリックの岡本さん(※ゲームリパブリック代表取締役、岡本吉起氏)とお会いしたときに「ひと言だけ言いたいことがあるんだ!」って言われまして、「”FEVER!”って言って俺の邪魔をするな」と(笑)。ああ、やっぱりそこは気になるんだ、と思いましたね。
――開発状況的にはどのぐらい進んでいるんですか?
小谷 僕の満足度的にはまだまだですね。30パーセントぐらいという感じです。ゲームの全貌が見えくるたあたりで、いままで想定していなかった楽しさがどんどん出てくるんですよ。頭の中で企画としてはまとまっているんですが、動かしてみると想定外のおもしろさを見せる部分というのが。それを残された期間の中でどこまでまとめられるか、というのが勝負だと思っています。ですから、これから佳境ですね。
――前作の発売日が、2007年12月20日だったのですが、発売からちょうど1周年になるぐらいには遊べますか?
小谷 なるべく早い時期に遊んでもらいたいとは思っています。1年というのはいい期間だと思いますね。”パタポン”という言葉には、”子供”という意味があるんです。だから『パタポン』の成長を1年ごとに見守れるようなゲームになるといいなって、勝手に思っているんですけど……、そうすると毎年出さなきゃならなくなっちゃいますね(笑)。とりあえず鋭意開発中ということで、発売日については続報をお待ちください。
――最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。
小谷 今回の『パタポン』は、とにかくすごいッスよ(笑)。今回も「遊んでいて気がついたらこんな時間!」というゲームになっていると思います。お楽しみに!
パタポン2(仮題) |
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発売日 |
2008年冬発売予定 |
価格 |
価格未定 |
テイスト/ジャンル |
音楽/シミュレーション |
備考 |
無線LAN機能(アドホックモード)対応、ゲームデザイナー:小谷浩之、開発:ピラミッド |
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