「プレイステーション9」の発売日は2030年? イノベーションの変化の意味を考える:前編


■「プレイステーション9」の発売日は2078年
「プレイステーション3」が2006年11月に発売されてから、5年目に入った。据え置き型ゲーム機の寿命は5年前後というジンクスがあるため、そろそろ次世代機の噂が出てきてもよさそうなものだが、まだ、具体的な話は聞こえてこない。
ところで、もう少し先の話「プレイステーション9(PS9)」の計画について知っているだろうか。透明な球形のカプセルに入っており、それを開くと粉末状のナノマシンが放出される。ユーザーはそれを鼻から吸引し、脳の中に形成され、人体の視覚や感覚に対して直接を影響を与えるシステムとなっている。現実の空間で、バーチャルリアリティを表示することができ、実際の空間に重ね合わさるように、ホログラフ映像が表示される。格闘ゲームから、レースゲームといったものまで、現実に体感できる。まさに映画「マトリックス」の世界が出現する。


Youtubeに転載されているプレイステーション9の動画


ちなみに発売時期は、2078年の登場が予定されているが、これは、2000年にソニー・コンピュータエンタテインメントが、「プレイステーション2」のローンチに合わせて作り、北米向けに放映したCMだ。こうした未来体験が出来る、未来ステップの「最初のハード」という触れ込みで流したものだ。この映像は、各種動画サイトに転載され、現在でも見ることができる。
今から68年先ということで、だいぶ気の遠い話のようにも思えるし、今の時点でこういう未来は冗談で笑い飛ばしてしまうレベルと感じる人も多いことだろう。
ただ、実際のところはどうなのだろうか?


■PS9は2030年に登場?
PS9が提示する未来がどれぐらいの時期に来るのかと言うことは、真剣に議論されている。そして、その予測の一つは、2078年と、遠い未来の話ではない。
アメリカの発明家であり、未来学者として知られるレイ・カーツワイルは、2005年の『ポストヒューマン誕生』(NHK出版)のなかで、PS9のようなハードウェアが、2010年代には現実的な技術として現れ、2030年代には実際に登場すると予測している。


「2010年代が始まるころには、コンピュータは基本的にその姿を隠すようになっているだろう。(中略)ディスプレイは眼鏡やコンタクトレンズに組み込まれ、画像は網膜に直接投影されるようになる。(中略)(新しいデバイスシステムは)解像度の高い完全没入型の視覚的・聴覚的ヴァーチャル・リアリティを常時提供してくれることだろう。また、現実世界と重なりあうディスプレイを備え、リアルタイムで案内や説明をする拡張現実(AR)も登場するだろう」(『ポストヒューマン誕生』、P.403)


言うまでもなく、2010年代のことは、今リアルタイムで起きていることであり、網膜に表示する技術は製品として登場する兆しを見せており、AR技術はスマートフォンの登場によって一気に普及が始まろうとしているのはご存じの通りである。しかし、それはまだ始まりに過ぎない。



Game Developers Conference 2008で講演するレイ・カーツワイル氏


2030年代になると、カーツワイルはさらに極端な予測をしている。2020年代から30年代にかけて登場する、ナノテクノロジーによって作られた極小のコンピュータを搭載し、人間の感覚に影響を与える技術「ナノボット」の登場が世界を大きく変えるからだ。


「ナノボット・テクノロジーは、現実そのもの、完全に見る者を取り込むヴァーチャル・リアリティ空間を作り出す。ナノボットは人間の感覚から生じるあらゆるシナプス間結合と物理的に近接した場所に陣取るだろう。(中略)ウェブ上には探検するにはうってつけのヴァーチャル環境が勢揃いするだろう。実在する場所を再現するものもあれば、空想的な環境もある。中には、物理の法則を無視した、現実にはありえない世界さえ生まれるだろう。そのようなヴァーチャル環境を訪れ、シミュレートされた人間ばかりでなく、本物の人間を相手に、ビジネスの交渉から官能的な出会いまで、様々な関わりを持つことができる。『ヴァーチャル・リアリティ環境デザイナー』という新しい職種が生まれ、新しい芸術の形となるだろう」(P.404-5)


カーツワイルはナノボットによって、人間の脳の能力を数十億倍以上にまで引き上げると述べ、これを「人体バージョン3.0」と呼んでいる。
「2020年代までに、完全没入型の視聴覚バーチャル環境の中で身体をすばやく変化させられるようになるだろう。そして2020年代にはあらゆる感覚と結びついた完全没入型のヴァーチャル・リアリティ環境の中で返信できるようになる。そして2040年代には現実世界でそれが可能になる」(P.409)
カーツワイルによると、PS9で予告されているスペックは2030年代には可能ということになる。


今回、「プレイステーション9」から近未来技術の可能性について話をしてみた。次回は、現代から未来へのイノベーションの変化について掘り下げてみたい。

2010年12月17日 19:04