プロフィール
佐野正弘

東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では携帯電話業界事情から、スマートフォン、モバイルマーケティング、若者のケータイ文化に至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。著書にXperia入門ガイド(翔泳社)、SEO対策のウソ・ホント(毎日コミュニケーションズ)など。

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盛り上がっているけど盛り上がっていない、スマートフォンの“アプリ”

 今回は、「スマートフォンが安い理由」の続きについて触れる予定で
あったが、こちらについては春商戦の話も絡め、後日改めて触れたい
と思う。
そこで今回は、スマートフォンの“アプリ”について触れてみたい。
スマートフォンの中で注目を集めている要素の1つに“アプリ”がある。
従来の携帯電話では、セキュリティ面への配慮などから開発できる
アプリケーションに多くの制約が設けられていた。
 だがスマートフォンは元々パソコンに近い存在であり、そうした制約が
少ないことから、さまざまなアプリケーションが開発・提供され人気を
博している。
最近では、テレビ番組などでもスマートフォンのアプリケーションが取り
上げられるようになっており、その認知度は急速に高まっているといえよう。

  世界的なスマートフォンの人気により、アプリケーションの数自体も急速に増加している。例えば「iPhone 4」などアップル製品向けのアプリケーション・マーケット「AppStore」で提供されているアプリケーション数は既に30万を超えているし、「IS03」や「GALAXY S」などAndroidを搭載した機種に向けた「Androidマーケット」でも、累計で22万を超えるアプリケーションが提供されている(2011年1月時点、Androidマーケットのアプリケーション検索サービス「AndroLib」での値)。



▲Androidマーケットの登録アプリケーション数推移(AndroLibより)


同時に、アプリケーションのダウンロードも活発になされているようだ。AppStoreのダウンロード数が全世界で近く100億に達することから、アップルは1月6日にそのカウントダウンページを開設。執筆時点では99億を超えているので、記事が公開される頃には100億ダウンロードを達成しているかもしれない。

 

 


▲iPhoneなどに提供されている「AppStore」。ダウンロード数が間もなく100億に達しようとしている



このように、スマートフォン向けアプリケーション・マーケットは、アプリケーション数、利用者数共に大きな盛り上がりを見せている。だがそうした一方で、盛り上がりに欠けているのが“ビジネス”である。スマートフォンにアプリケーションを配信して収益を上げるというビジネスは、個人やごく小規模な企業であれば成功を収めたという事例はあるものの、例えば大手ゲーム会社が、スマートフォン向けゲームで満足した収益を上げられる状況には至っていないのが現状だ。

それを表す例として、NTTドコモが「iモード」を開始した1999年の状況を振り返ってみよう。この時も、iモード向けに有料コンテンツを提供する企業が多数現れ、待ち受け画像や着信メロディの配信が大きな話題となるなど、現在のスマートフォン向けアプリケーションと同様の盛り上がりを見せていた。

だが違うのはそこから先である。iモードの時は、サービス開始後から有料コンテンツ配信で高い収益を上げる企業が多く現れ、サービス開始から2年後にはサイバード(現サイバード・ホールディングス。現在は上場廃止)やインデックス(現インデックス・ホールディングス)などが次々と上場を果たしている。一方、現在のスマートフォン向けアプリケーションの市場を見ると、日本でも「iPhone 3G」が発売されておよそ2年半が経過しているにも関わらず、大きな収益を上げた企業が話題に上がることもなく、このビジネスで上場を果たしたという企業もない。

10年前と今とでは市況が異なるということは考慮する必要があるだろうが、スマートフォンブームの真っただ中で、アプリ人気が高まる一方なのに、それを配信する企業が収益化に苦しんでいることに変わりはない。これだけ状況が異なるのにはどのような理由があるのだろうか。そしてビジネス環境が大きく改善する道筋はあるのだろうか。

 

次回説明しよう。

2011年1月22日 17:56