プロフィール
佐野正弘

東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では携帯電話業界事情から、スマートフォン、モバイルマーケティング、若者のケータイ文化に至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。著書にXperia入門ガイド(翔泳社)、SEO対策のウソ・ホント(毎日コミュニケーションズ)など。

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“フィーチャーフォン”と“ガラケー”(2)

 前回は、従来型の携帯電話を示す言葉の1つである“ガラケー”の由来と広まった要因について触れてきた。今回は、同じく従来型の携帯電話を示すもう1つのワード、“フィーチャーフォン”が使われるようになった背景について触れていこう。

 

 フィーチャーフォンの由来は、ガラケーと異なり国内ではなく海外にある。海外において、あるジャンルの携帯電話を指し示す“feature phone”という言葉が、日本で使われるようになったのだ。

 

 携帯電話にインターネット接続やカメラ、ワンセグ、おサイフ機能などが当たり前のように搭載されている日本ではイメージしづらいかもしれないが、多くの国において携帯電話は従来、音声通話とSMS機能のみを備えたシンプルな携帯電話(最近のウィルコムのPHS端末を想像してもらえば分かりやすいだろうか)と、日本の携帯電話のように、カメラ機能や音楽再生など、さまざまな機能を備える機能が豊富な携帯電話の2種類が存在した。

 

 そこで基本機能のみ搭載したシンプルな携帯電話をベーシックフォン(basic phone)、特色を持った高機能な携帯電話のことを“feature phone”と呼んでいたのだ。ちなみにフィーチャーフォンをフューチャーフォン(future phone)と読み間違えるケースも多く見られるが、そうすると意味が全く異なってしまうので注意されたい。

 

 先にも触れた通り、日本の多くの携帯電話は非常に高機能であり、ベーシックフォンとなる端末が非常に少ないことから、わざわざフィーチャーフォンという呼称を用いる必要はなかったのだが、これを用いるようになったのには、やはりスマートフォンの広まりが大きく影響している。日本でスマートフォンの数が少なく特別な存在であった頃は、従来の携帯電話が主流を占めていることから、ベーシックフォン同様わざわざ呼び分けをする必要がなかった。だがスマートフォンが大きな注目を集めるようになり、モデル数が従来の携帯電話に匹敵する数に増えると、商品を販売するキャリアやメーカーの側にとっても、従来型の携帯電話とスマートフォンを明示的に呼び分ける必要が出てくる。

 

 従来型の携帯電話の呼び方としては、前回紹介した“ガラパゴス携帯”“ガラケー”という言葉も存在する。だがこれらは既に説明した通り、製品に対するネガティブな呼称として用いられてきたものであり、商品を販売する側の人間が用いる訳にはいかない。そのためキャリアやメーカーなどが、海外で用いられていたフィーチャーフォンという言葉を、従来型の携帯電話を分類する呼称として用いるようになり、それが商品のプレスリリースや発表会、ニュース記事などを通じて用いられるようになったといえる。

 

 こうした経緯があることから、フィーチャーフォンとガラケー、それぞれの名称を使う人や場面は大きく異なっている。例えばニュース記事などでは、ネガティブなワードとなるガラケーという名称を基本的に用いることはないし、筆者もこうした用語解説の場でない限り、ガラケーという言葉を用いることはない。だが最近、そうした背景を知らないと思われる一般メディアなどでガラケーという言葉が用いられてしまうケースが増えており、違和感を抱いてしまうことが多いというのが、正直な所だ。

 

 次回はフィーチャーフォンとスマートフォンの違いがそもそもどこにあるのか、その“定義”について解説しよう。

 

 

▲海外では通話とSMSのみ可能な

“ベーシックフォン”というジャンルも存在する。

写真は旧式の米国向けベーシックフォン

2012年8月15日 11:03