プロフィール
佐野正弘

東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では携帯電話業界事情から、スマートフォン、モバイルマーケティング、若者のケータイ文化に至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。著書にXperia入門ガイド(翔泳社)、SEO対策のウソ・ホント(毎日コミュニケーションズ)など。

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どう変わった? 携帯電話・スマートフォンの日本語入力(3)

 前回まで、携帯電話の日本語文字入力方法と変化について触れてきた。携帯電話の進化、さらにはスマートフォンへの変化によって、日本語の入力もより高度で快適なものへと進化しているが、スマートフォンではさらに、従来の概念にはない新しい日本語の入力方法も現れている。

 その1つが声、つまり音声による入力だ。声で話すだけで日本語が入力できる機能が、最近のスマートフォンやタブレットデバイスに搭載される機会が増えているのである。スマートフォンに言葉で話しかけると、話しかけたキーワードを自動的に認識し、そのキーワードをもとにWebサイトを検索したり、さまざまな機能を呼び出したりする。こうした機能の紹介がCMなどでなされていることから、ご存じの人も多いのではないだろうか。

 しかしながら、スマートフォンやタブレットデバイスは、性能面ではパソコンに劣るため、端末単体で音声認識をして文字に変換するというのは、実用的に難しいように思える。にもかかわらず、スマートフォンでの音声認識は非常に高速で、しかも割と正確に認識してくれる。その理由は“クラウド”にある。

 仕組みはこうだ。まず、スマートフォンのマイクで本体に話しかけると、その音声をデジタルデータに変換し、インターネット経由でそれを解析するサーバーに送信。このサーバーは非常に性能が高く、一瞬で音声を解析して、文字に変換してくれるのである。後は文字に変換された情報を、再びインターネット経由で受信すればよい。インターネットに接続する回線が速く、サーバーにデータを瞬時に送ることができれば、本体の性能が低くても素早い音声認識、そして入力が可能という訳だ。

 

▲Androidに標準搭載されている、

Googleの音声検索機能。声で話したキーワードを文字にして、検索してくれる


 もう1つの入力方法が“手書き”である。スマートフォンはタッチ操作ができるのだから、指(あるいはペン)で文字を書いて、それを文字に変換することも、不可能ではない。

 タッチパネルで手書き入力というアプローチは古くからなされており、スマートフォンの前身の1つであるPDA(携帯情報端末)や電子手帳などでも、タッチパネルとペンを用いて手書き入力をする仕組みが用意されてきた。ただこの頃はハードの性能が低く、特に文字数が多く複雑な日本語の手書き入力を認識するのに時間がかかってしまうことから、実用性の面ではいまいちだった。そのため、「Palm」というPDAで採用されていた“Graffiti”のように、アルファベットを一筆書きで書ける簡素なジェスチャーにして、それをユーザーに覚えさせるなど、性能の低いハードでも快適に入力できるよう、試行錯誤がなされていた。

 だが現在のスマートフォンには、その当時と比べればハードがはるかに高性能となっている。そのため手書き入力の認識処理も高速になり、認識率も大幅に向上した。実際、mazec(MetaMoJi)のように、紙に文字を書くのと同じ感覚で文字を書いても、高い割合で文字認識してくれる、スマートフォン向けの日本語入力アプリも現れている。

 もっともスマートフォンは指での操作を主体としているため、指で手書きの文字を書くとどうしてもアクションが大きくなってしまい、画数の多い漢字などは書きづらい。

 

▲MetaMoJiの「7notes with mazec」。

手書き入力システム「mazec」では認識率の高い手書き入力が可能だ

 

 だがそうした問題も、NTTドコモの「GALAXY Note SC-05D」のように、ペンを標準搭載した端末が増えてくれば、将来的には解消されるかもしれない。

 

2012年5月16日 16:44