桜井政博
1970年8月3日生まれ。有限会社ソラ代表。独立したゲームディレクター。代表作は『星のカービィ』シリーズ、『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズ。最新作はニンテンドー3DSの『新・光神話パルテナの鏡』。さまざまなジャンルのゲームを日々研究しつつ、ユーザーに新たな楽しさをもたらすゲーム開発に注力している。

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06 『ドラゴンバスター』と『モンスターハンター』

週刊ファミ通2006年6月16日発売号掲載
VOL.158

収録巻はこちら!

桜井政博のゲームについて思うことDX


 

06 『ドラゴンバスター』と『モンスターハンター』

 

 E3帰りの空港で、PSPをプレイしている人を発見。思わずチラ見すると……『モンスターハンター ポータブル』ですか。で、ちょっと歩いていると、今度は『ナムコミュージアムVol.2』で『ドラゴンバスター』をプレイする人が。あんまり意識していなかった。だけど思えばこの2作品はけっこう似ているのかも……。
『ドラゴンバスター』は、ファミコンが発売された翌年、1985年1月にナムコ(※編註・現、バンダイナムコゲームス)が出したアーケードゲーム。ゲームは横から見たアクションゲームで、当時としては多彩な剣術やテクニック、魅力的なキャラクターや音楽、世界観で、大人気でした。『モンスターハンター』は、じつにその20年後となる2004年にカプコンから出た、モンスターを"狩る"ことに主眼を置いたゲーム。これはご存じでしょう?
 それぞれ、巨大な竜退治が目的で、アイテムを駆使したりドラゴンに弱点部位があったり。フィールドを探索するあたりも、間接的に共通点アリかなぁ。
 名称も似てますね。『ドラゴンハンター』でも、『モンスターバスター』でも、なんとなく意味が通ってしまう。お、『モンスターバスター』って名前、カッコイイですな。……って、今回のテーマは"ここが似ている"ということではないのですが。
 やっぱ、時代が違いますよ。いまプレイするなら、『モンスターハンター』のほうが圧倒的にたくさん遊べるでしょう。だけど、ゲーム制作者のわたしに多くのことを教えてくれたのは、『ドラゴンバスター』だったりするんですよね。
 『ドラゴンバスター』は、当時としては恐ろしいほどよくできていました。説明は長くなるので割愛しますけど、とにかく、ゲームの駆け引きがわかりやすかった。敵との"間合い"をほどよく保つために慎重に一歩踏み出したり、しゃがみの体勢で剣の攻撃範囲を変えたり、有効なジャンプ攻撃をすることの重要さ。かぶと割りがキレイに決まったときの快感ったらもう!
 プレイステーションやセガサターンが出て、3D表現で剣を振るアクションゲームがぼちぼち揃ってきたとき、"3Dゲームの敵とプレイヤーの間合い"について感じたことがありました。スピードによるけど、実際の剣の長さよりも当たり判定をうんと大きくしてやったほうがよいのだろうなぁと。短い剣を振るようなときも、身の丈の倍ぐらいまで届くインチキをしてあげる。テレビ画面の表現は実際には平面だから、奥行がつかみにくいわけだし、そのハンデを埋めるためにも。こういうところは、ゲームとしての筋をつかんで誇張することが必要で、ただ"剣で斬るからこのぐらいのリーチにしよう"では成り立たないことです。
 実際には『真・三國無双』のように、持っている剣はふつうサイズで、当たり判定を大きくしてやるのが主流。が、『モンスターハンター』は、実際にでっかい武器を扱う! が、プレイした人にならおわかりのとおり、"間合い"がかなり重要なんですよね。プレイヤーの足の速度も、もっとも効率的にダメージを与えられる打点も、ホントによく計算されています。
 もしわたしがゲーム業界を目指したとき遊んでいたのが、『モンスターハンター』だったら、間合いや攻撃効果についてちゃんと解釈できていたかどうか。ほかの要素に目を奪われっぱなしだったかも?
 だから昔のソフトも、あなどれない。

 

※転載にあたり、コラム本文に付随していた写真や解説、スーパーヘルプ、ふり返って思うことは割愛しております。あらかじめご了承ください。

 

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2012年4月2日 12:00