酒缶さん
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【和田俊輔氏】7.人と遊ぶのは面白い

 今回のゲスト:和田俊輔氏 

アスミック・エース エンタテインメント 新機能開発本部GM。「裏ワザ」を通して過去の名作ゲームを紹介するDVD『ザ・裏ワザ』シリーズのプロデューサー。

 

酒缶 ネットワークだと、『ファイナルファンタジーXI』(※1)も相当やっていたようですけど。

 

(※1) 『ファイナルファンタジーXI』 2002年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)が発売したMMORPG。プレイステーション2、Xbox 360、Windowsパソコンの3つの環境用にサービスが提供されている

 

和田 はい、『FF』は1作目からやってきていたのでナンバリングタイトルは押さえとかないと、と思いHDDユニット購入しプロバイダ契約もしました。それにしても『FF XI』は衝撃でしたね。さすがに廃人とまではいかなかったですけど、一時はかなりハマってました。なにしろ仕事が終わってから友達と電話でやりとりして、夜の12時過ぎから3時4時までプレイするという生活を繰り返していましたから。ただ深夜にやるからどうしても眠くなる。どっちかがプレイ中に寝てしまった場合、相手のキャラの近くに行って、クラップというコマンドでパンパンとゲームのキャラに拍手させて起こすんです。「起きろー!」と画面前で叫びながら(笑)。

 

 

酒缶 オンラインゲームには、やめ時ってあるんですか?

 

和田 うーん、やめ時はないんじゃないですか? 当時、4、5人くらいの友人で一緒に狩りに行くことが多かったんですけど、ハードの故障で1人やめ、節約のため1人やめ、と集まる人数が少なくなったところで自分も仕事が忙しくなって離れざるを得ず、やめられた感じでしたね。煙草の禁煙みたいなもので外的要因がないとなかなかやめられないんじゃないかな、と思いました。

 

 

酒缶 昔のゲームって、やめ時がゲームの方で提示されていて、自然と自分でやめられましたけど、やめ時がないものをどこでやめるのかがオンラインゲームのポイントなのかな? と思いました。

 

和田 ゲーム仲間がいると抜けたら周りに迷惑がかかるということで抜けにくいのもありますしね。またオンラインゲームは終わりがなく、次から次へとイベントが追加されていくじゃないですか。また、なにしろレベルを上げるのがすごく大変なんですよ。敵を倒しても倒してもなかなかレベルは上がらないんですけど、敵にやられてしまうとすごい勢いで経験値を奪われて、レベルダウンしてしまうという。2?3日かけて上げたものが1回倒されただけで落ちる世界なわけですよ。だからある程度レベルがあがると途中でやめるのがもったいないと感じるんですよね。

 

 

酒缶 『ドラクエ』(※2)も死ぬとお金が半分になりましたよ。

 

(※2) 『ドラクエ』 正式名称は『ドラゴンクエスト』。1986年にエニックス(現スクウェア・エニックス)がファミリーコンピュータで発売したRPG。言わずと知れた国民的RPG。

 

和田 通常のオフラインゲームだと、セーブしておけばやり直し可能で大丈夫ですけど、それが効かないのでちょっと違いますね。なので『FF XI』のプレイ中、初めてかないそうもないヤツに遭遇して、街にたどり着くまでずっと殴られながら追いかけまわされたときの恐怖感はスゴいものがありました。その恐ろしさは衝撃でしたね。あとMMORPGならではの感動もあるんですよ。森の奥の誰もいないところで、明らかに自分より強い敵と出会ったときに、悲壮な決意で戦っていると、「あれ? 体の周りが白く光ってる?」と思ったら通りすがりの誰かが回復してくれていたりとか。

 

 

酒缶 誰かが助けてくれたんですね。

 

和田 また、とある海岸には夕方になると、初級者の恐怖の敵ともいえるボギーという強敵が出るんですけど、ある日知り合いのいない寄せ集めの6人パーティーで狩りをしていて、そろそろ危ないし帰ろうかと話していたらパーティーのど真ん中にボギーが湧いて出てきたんです。みんなびっくりしながらも街まで戻れば大丈夫なので「逃げろー!」と一同一目散に街に向かって走って逃げる訳ですよ。逃げながら画面を見ると一番後ろのヤツがダメージを食らって体力がドンドン減っていくのが見えるんです。実はほとんどみんなボギーの攻撃範囲に入っているので倒されるのはもう決まっていて、単純に順番の問題なんですよ。ボギーとの距離が近い順に襲われるのを待つだけなんです。もう恐怖ですよね。

 

 

酒缶 このままだと確実に死にますよね。

 

和田 それで1人がやられ、2人目がやられ、3人目の体力がガクンと減り、これは全滅かな……とパーティー全員が絶望しかけた時に、前を走っていた戦士が急にきびすを返したんですよ。戦士には敵の目を自分に向けさせる“挑発”というアビリティがあって、その戦士がボギーに挑発をかまして街と逆方向に走っていくと、ボギーは目標を戦士に変えて追っていくんです。その時の「みんな生きろ!」とばかりにあえて犠牲になった戦士の姿を見てちょっと鳥肌立ちましたね。映画やドラマのワンシーンのようで感動したというか……まさに「映画化決定!」みたいな(笑)。

 

 

酒缶 用意されていないストーリーですよね。

 

和田 まあ、その戦士はレベル1つ落ちて帰ってきましたけど(笑)。

 

 

 

酒缶 そういうゲームをやっていた流れで『Fallout 3』(※3)に行ったんですか?

 

(※3) 『Fallout 3』 ベセスダ・ソフトワークスがプレイステーション3とXbox 360向けに発売したRPG。核戦争後の荒廃した世界が舞台で、自由度の高さが魅力。公式サイト http://www.bethsoft.com/jpn/fallout3/

 

和田 『Fallout 3』はオンラインゲームではないんですが、自由度が非常に高いということと、内容がダークで日本ではなかなか見られない犯罪的なことがアリな世界が衝撃で、こんなゲームもあるのだなって。核戦争後というある程度極限の状況ではありますけど、その中で人間らしく生きることも殺人鬼のように生きることもできれば、派閥の間を立ち回って裏切りに次ぐ裏切りで相手を騙していくようなこともできて、今までのゲームにはない深さを感じたんですよ。不具合がもうちょい少ないと嬉しいんですけどそれすらも味に感じるほどハマりました。作品の中では水を飲んでも食べ物を食べても体内の放射能濃度があがるという設定で、今の日本にとってはある意味リアルな作品ですね。本気でRADアウェイ(※4)が欲しくなります。

 

(※4) RADアウェイ 『Fallout 3』に登場する放射能によるダメージを回復するアイテム。

 

 

酒缶 和田さんが好んで遊んでいるゲームは、リアルな方向のモノが増えていますよね。プライベートで遊んでいるゲームに影響を受けて、その反動が「ザ・裏ワザ」の形になっていませんか?

 

和田 そうですかね? そんなに意識したことはなかったなぁ。ただ「ザ・裏ワザ」の関係でレトロゲームばっかりやっていたこともあってか、はたまた年のせいなのか、サクッと遊べるものを選ぶ傾向がある気がしますね。面倒くさそうなゲームはちょっと……、みたいな。リアル・非リアルとは関係ないですが。

 

酒缶 『FF XI』も『Fallout 3』も面倒くさいゲームですよね。

 

和田 うーん、確かにとっつきは大変そうに見えるかもしれませんね。さきほど面倒くさそうなゲームはちょっと……と言いましたが、とはいえ新作ほとんどを拒否する訳にもいきませんので(笑)。そんな中でも強く魅かれる要素があるものはプレイしますね。逆に言うと、とっつきが面倒そうでもプレイしているうちにそんな気分を吹き飛ばす面白さが必要ということですかね。そう言われてみれば最近は途中で他のゲームに切り替えた場合、まず元のゲームに戻ることはないですね。

 

酒缶 うちもゲームの山ができているので、他人事とは思えません(笑)。

 

和田 話変わりますが、ゲームってある時期からパッケージ化にあたり、ある程度のボリュームがないとゲームとして流通できないというところがあるじゃないですか。ただ自分の中にはゲーム初期の頃のようなアイディア勝負のシンプルなものもやりたいなーという気持ちもあるんですよね。ボリュームアップはメーカーとしては中古対策も含め、ユーザーができるだけ長く遊べるようにと頑張ってくれているところなんでしょうけど、それが逆に自分にとっては新作を始めるにあたっての精神的な負担になっている感がありますね。ひとつはやるからには全てを遊びつくしたいけどその時間が取れないので不完全燃焼がいやだと思う部分と、もうひとつは新しいものに対応できない単なるおじさん化が原因だと思います(笑)。今そのあたりのシンプルなゲームはケータイのアプリなどが担っている感じなんでしょうかね?

 

酒缶 うーん、どうなんでしょうか……。あと、和田さんと言えば『モトローダー』(※5)のイメージがあるんですけど。

 

(※5) 『モトローダー』 1989年に日本コンピュータシステムがPCエンジン向けに発売したレースゲーム。バーチャルコンソール http://vc-pce.com/jpn/j/title/motoroader.html

 

和田 『モトローダー』は複数対戦プレイの面白さというものを認識させてくれましたよね。それよりも前にゲームセンターで『ガントレット』や『カルテット』(※6)をみんなでワイワイやったこともありましたけど、家で腰を落ち着けて遊べたのもよかったです。この頃は受験生にもかかわらず友達の家で『モトローダー』で徹夜してました。そりゃ、落ちるよね(笑)。一緒にやっている連中もみんな毎日のようにやっているから、最後の方では一面では装備がみんな同じという完成系のパターンができあがり、ドット単位のズレが勝敗を分けるようにまでなってました(笑)。これのおかげで浪人しました(笑)。浪人のもう一つの理由といえば『ストII』(※7)ですね。

 

(※6) 『カルテット』 1986年にセガ・エンタープライゼス(現セガ)がアーケード向けに発売したサイドビューアクションゲーム。4人までの同時プレイが楽しめた。
(※7) 『ストII』 正式名称は『ストリートファイターII』。1991年にカプコンがアーケード向けに発売した対戦格闘ゲーム。

 

酒缶 2つもハマるゲームがあったら、浪人しますよね。『ストII』はゲーセンのですか?

 

 

和田 はい、アーケードの『ストII』です。その頃はまだ2つのコントローラが並んでいるタイプ(※8)で、誰かがプレイしていたら、横から「対戦いいですか?」と言って、「いいですよ」と言われたらお金を入れる、みたいなことを普通にやっていたんですよね。

 

(※8) 2つのコントローラが並んでいるタイプ 現在は対戦格闘ゲームというと対戦台がメインだが、当時はコントロールパネルに2人分のレバーやボタンが配置されていて、並んで対戦するのが普通だった。

 

酒缶 2人で対戦するのに横にいるとやりにくいですよね。

 

和田 今から考えるとそうですけど、当時はそれが普通でしたからね。でも、あの頃はよく怖れずに「対戦いいですか?」なんて言ってましたね。「ダメです」と断られることはなかったですけど、イヤだった人もいたと思うんですよね。すでに当時キャラ毎の相性みたいなものがあって有利とされるキャラ使う際には「ガイル……いいですか?」みたいな微笑ましいコミュニケーション取ってましたね。関係ないけど当初みんな春麗のことを「しゅんれい」って呼んでましたね(笑)。そんな感じでその頃は家に帰って風呂でも布団でも、「あそこで大パンチ昇竜だったよなー」と試合を反芻するような感じでした。

 

酒缶 普通は勉強で反芻するところじゃないですか。

 

和田 浪人生のくせに寝ても覚めて『ストII』でしたね(笑)。でも、そこまで思いつめたゲームはそのくらいしかないかな、と。

 

酒缶 流れとして対人モノが大事になっていますね。

 

和田 それはあると思います。やっぱり、人と遊ぶのは面白いというのが基本ですね。

 

酒缶 『ストII』から『バーチャ』(※9)には流れなかったんですか?

 

(※9) 『バーチャ』 正式名称は『バーチャファイター』。1993年にセガ・エンタープライゼス(現セガ)がアーケード向けに発売した3D対戦格闘ゲーム。

 

和田 そちらには行かなかったですね。実はここで小6以来の第二のゲームから遠ざかる時期がやってきてまして。というのも92?93年あたりは『モトローダー』『ストII』の呪縛を解き、なんとか無事に大学生活を送っていた時期でして、それまでのゲーム仲間とも離れてしまった上に勉強やサークル活動、アルバイトなどで一気に忙しくなりましたからね。もちろん大学内でもゲーム友達はいて時々ゲームセンターには行ってましたけど。ただ『バーチャ』に関しては当時まだ2D格闘にハマっていて、3Dを敬遠してたところもあったと思いますね。

 

酒缶 でも、『ソウルエッジ』(※10)にはかなり影響を受けたんでしょ?

 

(※10) 『ソウルエッジ』 1996年にナムコ(現バンダイナムコゲームス)がアーケード向けに発売した武器で闘うタイプの3D対戦格闘ゲーム。同年にプレイステーション版が発売されている。

 

和田 『ソウルエッジ』は社会人になってからですね。しかも影響というのもゲームの中身ではないんですよ。当時、会社に入って営業一年目だったんですけど、取引先のソフマップさんの店頭でオープニングムービーが流れているのを目にして、クオリティーがすごく高くて魅入ったんですよね。当時はオープニングムービーが普通に入り始め、徐々に豪華になっていった時期で、ポリゴン数少なめなキャラが動いているレベルのものも多かったですけど、『ソウルエッジ』は綺麗な上にストーリー性を感じさせ、その映像の見せ方に、「すごいことになってきたな」と思いましたね。それと同時に、「こういうゲームを出せるのが羨ましい」とナムコさんに嫉妬しました(笑)。

 

 

酒缶 あぁ、ここはユーザー目線からメーカー目線になっていたんですね。

 

和田 そうですね。営業マン一年目として、ああいうのを作れると売れるんだろうなー、と素人っぽく思ってましたね(笑)。

 

次回の更新は、6月24日(金)の予定です。

 

 

2011年6月21日 12:54