酒缶さん
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【和田俊輔氏】4.この子がクリアできるならクリアできる

 

 今回のゲスト:和田俊輔氏 

アスミック・エース エンタテインメント 新機能開発本部GM。「裏ワザ」を通して過去の名作ゲームを紹介するDVD『ザ・裏ワザ』シリーズのプロデューサー。


 

酒缶 『ドンキーコング』の頃ってカセットビジョン(※1)が出始めた頃ですよね。ファミコン以前のカセットタイプのゲーム機(※2)が続々出てくる感じで。

 

(※1) カセットビジョン 1981年7月にエポック社が発売したカセット式のテレビゲーム機。11種類のカセットが発売された。

(※2) ファミコン以前のカセットタイプのゲーム機 この時代のゲーム機は海外からの輸入品が多い。『Atari 2600』『インテレビジョン』『コレコビジョン』『アルカディア』など。

 

和田 その前に、カセット式でないゲーム機(※3) を3回くらい買ってもらったことがあるんですよ。『テレビベーダー』(※4) とか野球だけのヤツとか。

 

(※3) カセット式でないゲーム機 今ではゲーム機というと、ゲームソフトが別売りなのが当たり前だが、70年代のゲーム機はソフトが組み込まれていて、後から追加することはできなかった。エポック社の『テレビテニス』や任天堂の『テレビゲーム15』など。

(※4) 『テレビベーダー』 1980年にエポック社から発売された『スペースインベーダー』ライクなシューティングゲーム。

 

酒缶 『テレビ野球ゲーム』(※5)

 

(※5) 『テレビ野球ゲーム』 1978年にエポック社から発売された野球ゲーム。

 

和田 あ、それですかね。やっこさん(※6) みたいな選手をつまみで動かすヤツ。これは野球好きの父親セレクトでした(笑)。ただ、それらは一台一台が10,000 円を越えていたし、カセット式はさらに高額だったので親にもねだりにくくて……。だから、LSIゲームが出てそちらにシフトしたんですよね。テレビゲームをプレイする時のようなワクワク感はちょっと薄いけど、手軽にゲームができるのは嬉しかったですね。

 

(※6) やっこさん 野手も走者も単色7ドットの正面向きキャラクターで表現されていて、折り紙のやっこのように見える。

 

酒缶 あの頃っていうか、今もそうですけど、ゲームって子どもが買うには高いですからね。

 

和田 そうですね。高かったエピソードとして覚えているのは、小学校の低学年の時に『ギャラクシアン』(※7) 風のLSIゲームで『スーパーギャラクシアン』(※8) というのがあったんですけど、それをどうしても欲しくて、祖母に「クリスマスプレゼントに何が欲しい?」と聞かれた時に一も二もなく、「『スーパーギャラクシアン』!」って言ったんですよね。祖母はどんなものかも知らずに一緒に近所のスーパーのおもちゃ売り場まで行って買ってくれたんですけど、確か8,800 円とかしたんですよ。それで親に「なんて高いものを買ってもらうんだっ!」ってメチャクチャ怒られた記憶があります。祖母はニコニコして「いいのよ」ってかばってくれましたけど。それが自分にとっての“おばあちゃんの思い出”ですね(笑)。当時そのくらい高かったんですよね。でもすごく嬉しかったなぁ。

 

(※7) 『ギャラクシアン』 1979年にナムコ(現バンダイナムコゲームス)が発売したアーケードゲーム。上から次々と攻めてくるエイリアンを全滅させると次の面へと移るループタイプのシューティングゲーム。

(※8) 『スーパーギャラクシアン』 エポック社が発売したLSIゲーム。

 


 

酒缶 そりゃ、嬉しいですよね。

 

和田 でも、当時最高級のLSIゲームで楽しかったことは間違いないですが、やっぱり『ギャラクシアン』とは違うんですよね。あの当時のアーケードの上位機種ぶりはすごかったんですよ。画面のカラフルさとか、動きの滑らかさとか……。

 

酒缶 そりゃ、“スーパー”って付いたからって……。

 

和田 『スーパーギャラクシアン』は自機の上半分が分離し飛び出してのドッキングができるという、ちょっと『ムーンクレスタ』(※9) 風の要素が入っていたんですよ。

 

(※9) 『ムーンクレスタ』 1980年に日本物産が発売したアーケードゲーム。上から攻めてくる敵をやっつけていくシューティングゲームだが、仲間の機体とドッキングしてパワーアップできる要素が当時独特だった。

 

酒缶 もう別ゲームですね。

 

和田 そうですね。『ギャラクシアン』ではなかったですね(笑)。話はかわりますが、その後、ゲームをやらない時期がはっきりとあってですね。中学受験をしたので、小学校の6年から中1前半くらいの間はほとんどゲームをしてないんですよ。だから中学になってから後追いで1?2年前のゲームをプレイするような感じでしたね。

 

酒缶 その辺りからファミコンをやり始めたんですか?

 

和田 実はファミコンの前にぴゅう太Jr. (※10)の時代があったりするんですけどね。それはさておきファミコンの発売が小学6年生の頃だったと思うんですけど、買ったのは中学1年の頃でした。そこからはバリバリやってました。

 

(※10) ぴゅう太Jr. 1982年にトミー工業(現タカラトミー)が発売したゲーム機「ぴゅう太」の機能縮小バージョン。

 

酒缶 一番最初に買ったソフトは何でした?

 


 

和田 父親がスポンサーで2本いっぺんに買ってくれると言われて「2本も!」と喜んだんですけど、1本はまたも父親の意向で『ベースボール』(※11) と決められてました(笑)。もう一本は発売されたばかりの『エキサイトバイク』(※12)。1984 年の年末です。やっとナムコが参入してこれから盛り上がるぞ、という時代ですね。本当は『エキサイトバイク』と『ゼビウス』(※13) がいいなぁ、と思いながらもパパご指名の『ベースボール』……。でも、買ったは買ったで父親は全然ゲームやらないんですよね。なんだそりゃって(笑)。

 

(※11) 『ベースボール』 1983年に任天堂がファミリーコンピュータ向けに発売した野球ゲーム。

(※12) 『エキサイトバイク』 1984年に任天堂がファミリーコンピュータ向けに発売したアクションゲーム。

(※13) 『ゼビウス』 1984年にナムコ(現バンダイナムコゲームス)がファミリーコンピュータ向けに発売した縦スクロールシューティングゲーム。1983年にアーケード向けに発売されたタイトルの移植。

 

酒缶 で、『エキサイトバイク』の後で何本か買った後、『スーパーマリオブラザーズ』(※14)が発売されたんですね。

 

(※14) 『スーパーマリオブラザーズ』 1985年9月に任天堂がファミリーコンピュータ向けに発売した横スクロールアクションゲーム。

 

和田 当時、まだ中学生でお金がないので誕生日やクリスマス、あとお年玉を活用するなどしても、数えるくらいしかソフトは買えませんでしたけどね。

 

酒缶 でも、『スーパーマリオ』はちゃんと買ったんですね。

 

和田 そう! 買ってたんですよね。特に誕生日とかでもないのに。発売と同時に買ったので、売り切れて買えなかったということもなくて。もちろん抱き合わせ(※15) にもなってなくて。そういう意味ではゲームをずっとやってきたこともあって、多少良作を見分ける自信はありましたね。

 

(※15) 抱き合わせ 抱き合わせ販売のこと。最近はほとんどなくなったが、80年代は売れるゲームソフトやゲーム機に不良在庫をセットして販売する店が多数存在した。

 

酒缶 同じ時代にゲーセンでは『グラディウス』(※16)をやっていたんですね。

 

(※16) 『グラディウス』 1985年にコナミ(現コナミデジタルエンタテインメント)がアーケード向けに発売した横スクロールシューティングゲーム。ファミコン版は1986年発売。

 

和田 そうですね。やっぱり私の当時のメインはアーケードだったんですよ。家に帰ったらファミコンもバリバリやってましたけど。

 

酒缶 中学生だと毎日プレイできるほどお金がないですよね。

 

和田 毎日はできないですね。だから、友達3?4人くらいで遊びに行くと、友人のプレイを見てたり、できる限り長く遊べるゲームを選んだりしてました。

 

酒缶 長く遊べるゲームに『グラディウス』は入っているんですか?

 

和田 まぁ……、そうですね。といっても1周できるくらいですけど……。でも当初、『グラディウス』は得意ではなかったんですよ。今でも番組(※17) などでプレイすると失敗してますけどね(笑)。ファミコン版は余裕でしたけど、アーケード版は全然クリアできなかったんです。でも、突き詰めてクリアしたいというタイプでもなかったし、腕がいいわけでもないので、これは一般人にクリアはムリなゲームだなって感じで見てたんですけど、ある日友人と所沢のゲームセンターに行ったときに、ふと『グラディウス』を見たら最終面をプレイしているのが明らかに10才未満の小学生で。「えっ、こんな子がクリアできるの!?」「じゃあ…クリア目指してみよう!」とその時思ったんですよ。こんな小さな子がクリアできるならクリアできるんじゃないかなって。

 

(※17) 番組 ニコニコ動画「エンタジャムチャンネル」内の「アマチュアゲーマー・レトロ」などの生放送番組のこと。和田氏はよく無茶振りをされる。

 

酒缶 その子は和田さんにすごい影響力を与えたんですね。

 

和田 そうですよね。その子がいなかったらその後もアーケードゲームをクリアするまでやってやろうということにはならなかったと思います。だから、下手したら『ザ・裏ワザ』のDVDも成立しなかったかもしれませんね(笑)。

 


 

酒缶 でも、それって面白いですよね。まさに「ザ・裏ワザ」のDVDなんかも、プレイを見せることによって、今のユーザーの後押しになっていることになりますよ。その頃の少年を、和田さんがやっていることになりますよね。

 

和田 そうだと嬉しいですね。でも、よく番組に出てはゲームクリアして名人とか言われたりしてますけど、ホント腕なんて全然大したことないんですよ。学生の時に毎月「ゲーメスト」(※18) を買ってまして、全一(※19) レベルの完全に雲の上の方達を知っているので、今の状況がむずがゆい、というか居心地悪い感じがしますね。

 

(※18)「ゲーメスト」 かつて新声社が出していたアーケードゲーム専門誌。

(※19) 全一 全国のゲームセンターのハイスコア集計で一位になること。


次回の更新は、6月14日(火)の予定です。

 

 

2011年6月10日 12:05