【星野光弘氏】5.アーケードなんかわかんない
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- 星野光弘氏
今回のゲスト:星野光弘氏
ランカース代表取締役。制作に関わったタイトルは『BUBBLE BOBBLE DOUBLE』(iPhone)、『ワイズマンズワールド』、『ジュエルペット』シリーズなど多数。
星野 この業界に入ると、「当時、これを作ってたよ」という人に会えてすごく嬉しいですよ。
酒缶 そういう情報ってどこからキャッチするんですか?
星野 比較的小さいころからゲーム雑誌をずっと買い続けているんです。初期のファミコン通信もずっと取ってあるんですね。ファミマガとかもずっと取ってあるし、スーパーファミコンマガジン(※1)やマル勝(※2)とかPCエンジンファン(※3)とか読んでいて、雑誌だけじゃ物足りなくなって、マニアックな宝島社から出ている本(※4)に手を出すようになると、もっともっとわかるようになるし、ユーゲー、ゲームサイド(※5)とかも読んでいれば、どんどんわかっちゃうじゃないですか!
(※1) スーパーファミコンマガジン 正式名称は「SUPERFAMICOM Magazine」。90年代に徳間書店インターメディアが発売したスーパーファミコン専門誌。
(※2) マル勝 角川書店が発売していたゲーム雑誌の通称。『マル勝ファミコン』『マル勝PCエンジン』など。
(※3) PCエンジンファン 正式名称は「PC Engine FAN」。徳間書店インターメディアが発売していたPCエンジン専門誌。
(※4) マニアックな宝島社から出ている本 『ファミコン必勝本』『必本スーパー!』のこと。当時の社名はJICC出版局。
(※5) ユーゲー、ゲームサイド マイクロマガジン社が発売していたゲーム雑誌。ユーゲー時代はレトロゲーム中心の雑誌だったが、ゲームサイドになってから最新タイトルも扱うようになった。2009年に休刊。酒缶はゲームサイドで「酒缶のゲームコレクター訪問」という連載をやっていた。
酒缶 やっぱり、星野さんにはコレクター属性もあったということですね。
星野 コレクター属性はずっとありますね。今でも雑誌を捨てないで取ってあるし、コレクターじゃなければ、ゲームショップで毎月50本もゲームを買わないですよ。
酒缶 ここからは一気に子ども時代にさかのぼって話を訊かせていただきます。星野さんが最初に遊んだゲームは何ですか?
星野 『オクトパス』(※6)です。ゲーム&ウォッチはいっぱいやってましたね。『ドンキーコング』(※7)もやったし、『オイルパニック』(※8)もやったし……4、5歳ぐらいの時です。
(※6) 『オクトパス』 任天堂がゲーム&ウォッチワイドスクリーンシリーズの1作として発売したアクションゲーム。タコの足に触れないように宝を取りに行く。1997年に任天堂がゲームボーイ向けに発売した『ゲームボーイギャラリー』にも収録されている。
(※7) 『ドンキーコング』 任天堂がゲーム&ウォッチマルチスクリーンシリーズの1作として発売したアクションゲーム。ドンキーコングにさらわれたレディを助けに行く。かつて、クラブニンテンドーのポイントで交換できたニンテンドーDS向けタイトル『GAME&WATCH COLLECTION』に収録されている。
(※8) 『オイルパニック』 任天堂がゲーム&ウォッチマルチスクリーンシリーズの1作として発売したアクションゲーム。パイプから漏れているオイルをバケツでキャッチして外に捨てる。かつて、クラブニンテンドーのポイントで交換できたニンテンドーDS向けタイトル『GAME&WATCH COLLECTION』に収録されている。
酒缶 当時はまだゲーセンに行く年齢ではないですよね。
星野 ないですね。さすがに恐くて行けないですよね。ゲーム&ウォッチや電子ゲームをやっていました。そして、ファミコンを買ったのは、小学校2年生の頃ですね。8歳の時に腕を骨折してしまって、左腕が使えない状態になったんです。そうしたら家にいるしかないじゃないですか。だから、親がファミコンを買ってくれたんです。ゲームショップの店員に片手で遊べるゲームはないか訊いたら「『エキサイトバイク』(※9)というゲームはボタンを押しているだけで進みます」って。
(※9) 『エキサイトバイク』 1984年に任天堂がファミリーコンピュータ向けに発売したレースゲーム。バーチャルコンソール http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_eb/
酒缶 いやいやいや(笑)。
星野 ウソですよね(笑)。でも言うんですよ。最初に買ったファミコンソフトは『エキサイトバイク』と当時発売したばっかりの『スパルタンX』(※10)の2本でした。『スパルタンX』は当時難しくて、1回もクリアできなかったんです。棒術使い(※11)に勝てなかったんですよ。懐に入るなんて当時わからなくて。「何こいつ!」って。
(※10) 『スパルタンX』 1985年に任天堂がファミリーコンピュータ向けに発売したアクションゲーム。トーマスは謎の組織Xにさらわれたシルビアを助けるために、建物の5階を目指す。元はアイレムがアーケード向けに発売したアクションゲーム。
(※11) 棒術使い 『スパルタンX』の1階のボス。飛び蹴りで間合いを詰めて、下段キック数発で倒せる。
酒缶 1階から上がれないと辛いですね。
星野 辛いですよ。今ならできますけど、当時はできなかったんです。
酒缶 あと、よく遊んでいたゲームは何ですか?
星野 『スターフォース』(※12)と『ゼビウス』(※13)は一緒に買って、めちゃくちゃやっていました。どっちもシューティングなんですけど、毎回、違うのをやって楽しんでいました。
(※12) 『スターフォース』 1985年にハドソンがファミリーコンピュータ向けに発売した縦スクロールシューティング。元は1984年にテーカン(現コーエーテクモゲームス)がアーケード向けに発売したゲームで、バーチャルコンソールアーケードで配信されている。バーチャルコンソールアーケード http://www.tecmo.co.jp/product/vca/starforce/
(※13) 『ゼビウス』 1984年にナムコ(現バンダイナムコゲームス)がファミリーコンピュータ向けに発売した縦スクロールシューティングゲーム。元は1983年にナムコがアーケード向けに発売したゲーム。バーチャルコンソール http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_xe/ バーチャルコンソールアーケード http://www.bandainamcogames.co.jp/cs/download/virtual_consolearcade/detail/detail32/32.html
酒缶 で、『スターフォース』から『スーパースターフォース』(※14)に行っちゃったんですか?
(※14) 『スーパースターフォース』 1986年にテクモ(現コーエーテクモゲームス)がファミリーコンピュータ向けに発売した縦スクロールシューティング+アクションRPG。
星野 これは……実はね。「『スターフォース』は好きなのに、『スーパースターフォース』は何でこうなったんだろう? これは違う」って。もちろん、『スターソルジャー』(※15)もやりましたよ。『スターソルジャー』は今でも正統派だと信じてます。でも、不思議なことに『スーパースターフォース』も結構遊んでいたんです。本当にこれは謎解きとかひどいんですよ。
(※15) 『スターソルジャー』 1986年にハドソンがファミリーコンピュータ向けに発売した縦スクロールシューティングゲーム。最初に発表された時は『スーパースターフォース』というタイトルだった。バーチャルコンソール http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_ss/
酒缶 でも、『スターフォース』のゴーデスもかなりひどい謎(※16)ですよね。
(※16) ゴーデスもかなりひどい謎 『スターフォース』に隠された謎で、マップの特定の場所に弾を撃ち込んで出現させて倒すと100万点が入った。
星野 あれは解かなくても成り立つじゃないですか。で、当時、わんぱっくコミック(※17)というゲームの雑誌があって、『スーパースターフォース』の攻略があったんですよ。その単行本(※18)を買ってやっとできるようになりましたね。
(※17) わんぱっくコミック 1980年代に徳間書店が発売していた少年漫画誌。
(※18) その単行本 わんぱっくコミックの連載タイトルを単行本化したわんぱっくコミックスのこと。
酒缶 じゃあ、「なんだこりゃ!」と思ったけど……。
星野 やってみたら面白かったんです。良くできてましたよ。『スターフォース』って付けない方がよかったんじゃないかな(笑)。当時は『スターフォース』がハドソンのモノだと信じていたんですけど、本当はテクモだったと後に知って「なるほどね」って。
酒缶 その一方で『魔界村』(※19)ですか?
(※19) 『魔界村』 1986年にカプコンがファミリーコンピュータ向けに発売したアクションゲーム。元はカプコンがアーケード向けに発売したゲーム。バーチャルコンソール http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_mm/ バーチャルコンソールアーケード http://dl.capcom-onlinegames.jp/details/game60.html
星野 そうですね。まさかファミコン版がアーケードよりも連射が少なくて難しいなんて知らなくって。アーケードの方が簡単でしたね。
酒缶 この時代はアーケードも遊んでいたんですか?
星野 いやいやいや。まさか。これもなんとなく雑誌で選んだのかな?いや、すごく難しかったですよ。頑張っても3面くらいまでしか行けなかったけど、相当やりましたね。妹が買った『うる星やつら』(※20)もよく遊んでいたんですけど、ゲーセンの『モモコ120%』(※21)だということは知らなかったですね。後に知って「なるほど」と思いました。
(※20) 『うる星やつら』 正式名称は『うる星やつら ラムのウエディングベル』。1986年にジャレコがファミリーコンピュータ向けに発売したアクションゲーム。
(※21) 『モモコ120%』 1986年にジャレコがアーケード向けに発売したアクションゲーム。火事になった建物の屋上を目指す。
酒缶 あと『ロックマン2』(※22)も挙げられていましたけど?
(※22) 『ロックマン2』 正式名称は『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』。1988年にカプコンがファミリーコンピュータ向けに発売したアクションゲーム。バーチャルコンソール http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_rm2/ ゲームアーカイブス http://www.jp.playstation.com/software/title/jp0102npjj00287_000000000000000001.html
星野 『ロックマン』シリーズはずっとやっていて、いまだに好きですけど、その中でもやっぱり『2』の完成度が高かったですね。
酒缶 『2』で初めてパスワードのコンティニューが採用されましたよね。
星野 E缶(※23)も初めて出ましたね。この頃は硬派なゲームばっかりやってますね。『スーパーマリオ』は持っていませんでしたし。
(※23) E缶 ロックマンの体力が全快になるアイテムで、最近はたくさんのグッズが発売されている。
酒缶 星野さんが遊んでいたタイトルはアーケードゲームの移植が多いですけど、当時はアーケードゲームに憧れていたんですか?
星野 当時はアーケードゲームなんて知らないですね。後にアーケードの移植が多いことを知ったので、やっぱアーケードゲームのゲーム性が好きだったんだと思います。
次回の更新は、10月14日(金)の予定です。
2011年10月11日 17:19