プロフィール
中村彰憲

立命館大学映像学部 教授 ・学術博士。名古屋大学国際開発研究科後期課程修了 早稲田大学アジア太平洋研究センター、立命館大学政策科学部を経て現職。 日本デジタルゲーム学会(DiGRAJapan)会長、太秦戦国祭り実行委員長 東京ゲームショウ2010アジアビジネスフォーラムアドバイザー。 主な著作に『中国ゲームビジネス徹底研究』『グローバルゲームビジネス徹底研究』『テンセントVS. Facebook世界SNS市場最新レポート』。エンターブレインの ゲームマーケティング総合サイトf-ismにも海外ゲーム情報を中心に連載中。

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中国は世界で有数のSNS大国?!

前々回、GREEとTencentとの連携について話しましたが、実は中国が世界で有数のSNS大国であることは御存知ですか?先日、映画「ソーシャルネットワーク」でアメリカハーバード大学の一学生だった、マーク・ザッカーバーグ氏がネットの荒波の中にもまれながらアグレッシブに富の道へと邁進する姿に圧倒された筆者ですが、中国においても同様の現象が起きていたのです。そこでここでは、数多くのSNSの中でも特に際立っている五大サービスを紹介しましょう。


・51.com(http://www.51.com/)


中国国内においてSNSが普及する上での原動力となったのは、なんと言っても51.comでしょう。同社は05年8月の立ち上げから急速に発展し、08年1月には登録アカウント数が1億を突破。ひと月に2500万アカウントの登録が行われた事もあったと言われています。09年には、登録アカウント数が1億7800万人 、個別アカウント数も4000万とのこと。その流れの中で、米国SEQUOIA CAPITAL中国支社から600万米ドルの、 中国オンラインゲーム企業大手の巨人ネットワークからは5000万米ドルの出資を受けました。Facebookやmixiなどと同様にオープンプラットフォーム化も早期にすすめ、カジュアルゲームも数多く展開しています。企業との連携にも積極的で、サムソンや、KFC、ヒューレット・パッカード、キヤノンといったグローバル企業主催のスペシャルイベントなどを開催し、ユーザーから高い評価を得ました。08年には51.comに存在する企業の公式アカウントが200社を突破。現在中国国内で人気の男女のマッチングをする番組『非誠勿擾』のカジュアルゲーム版も展開するなど、今でも勢いは衰えません。


・中国版Facebook、人人網(校内網)http://www.renren.com/

一方、校内網は51.comより若干遅れた05年12月から展開が開始。その成り立ちや、展開手法までもがFacebookをそのまま模倣している点が同社の特徴です。創業者は王興氏 。97年に清華大学電子工学学部無線通信科を卒業後、米国デラウェア大学に修学しました。03年帰国後、当時アメリカで盛況だったFriendsterに着目。SNS市場がほぼ皆無な中国でいくつかのソーシャルネットワーキングサイトをリリースしました。その後Facebookの成功を研究し、大学にターゲットを絞り込んで展開したのが校内網です。Archive.orgを調べると、校内網は清華大学、北京大学、中国人民大学の3校での展開を皮切りに、徐々にサービス地域を拡大しました。清華大学、北京大学は日本で言えば東京大学クラスのエリート校ですが、中国人民大学は中国国内において文系ではトップクラス。ここもFacebookの黎明期を想起させますね。


1年後には台湾、香港も含め中国全土に展開。07年末には「ホワイトカラープラットフォーム」を立ち上げ、校内網というサイト名はそのままに社会人への開放を進めました。また、卒業記念プラットフォームイベントを実施。校内網の卒業生が自由に卒業写真を添付し互いに閲覧するといったイベントを行い大いに盛り上がりました。このようなイベント展開はオンラインゲームのそれを彷彿とさせます。08年4月には4億3000万ドルもの融資を千橡互相(オークパシフィックインタラクティブ)から受け 、そして09年8月には、サイト名を校内網から、人人網へと変更。一般ユーザーへの開放を進めていっています。現在、人人網は1億5000万人 ほどが登録された巨大サイトとなっています。

・開心網―(http://www.kaixin001.com/)

後発ながら、51.comや人人網とともに、高いユーザー数を誇るのが開心網です。ソーシャルサービスを全面に押し出した51.com、実名制度と人との強いつながりを意識した人人網に対し、開心網は、「開心」(日本語で「楽しい」の意)が指すように、エンターテイメントを全面的に強調したソーシャルネットワークサービスとなっています。

08年3月よりサービスインされた開心網は、他のSNSゲームに先んじて『朋友売買』をサービスインしました。その後、開心網版の『Park Wars』である『争車位』、更に自宅デコレーション型ゲームに「庭園」、「種植」機能を実装するなど、矢継ぎ早にソーシャルゲームを充実させていきました。その後、09年6月には新華テレビのオフィシャルアカウントが開催され、7月には上海文広新聞メディアグループ傘下30社による正式アカウントが開心網に開設。その後も数多くの企業のオフィシャルコミュニティが立ち上がって現在に至っています。登録ユーザーは8000万人 と言われています。

・Qzone(http://qzone.qq.com/)

Qzoneは、GREEとの連携で日本でも話題となった中国最大のポータルサイトTencentが運営するSNSです。現在アクティブアカウント数は4億8120万(10年9月末時点) と言われていますが、これは、中国で最も巨大なユーザーベースを持つインスタントメッセンジャーサービス、QQアカウントをそのままQzoneにも移行出来るからです。

また、4億という数値は中国全体のインターネットユーザー数を超えているのですがこれは一人に対し、複数アカウントが認められていることからだと推測されます。Qzoneはもともとブログスペースを端緒に、現在はSNS、ブログ、マイクロブログなどあらゆるソーシャルサービスが統合されている、パーソナルスペース総合サイトとも言えるでしょう。QQアカウントがあればすぐにでもログイン出来ることもあり、手軽に新サービスを試しやすい環境が整っている点が強みです。


・新浪空間(http://space.sina.com.cn/)

一方、新浪空間は、Tencentと同様に中国総合ポータルサイト企業が立ち上げたSNS。以前からブログやBBSなどといったあらゆるコミュニティ系サービスを展開してきましたが、SNSである新浪空間をはじめたのは08年からでした。とは言いながらもポータルとしての総合力を基盤に素早く多くのユーザーを集めて現在に至っています。同社は登録者数に関するリリースをしていませんが、2009年のCNNICの調査では、QQ、校内につづきシェア第三位に位置づけられSNSユーザーの36.6%が新浪空間を使用しているとのこと。CNNICの最新の調査では2億3500万人程がSNSをネットにおける主要活動のひとつとして回答していることから、09年のシェアに変化がないと推測すると最低でも8600万人が使用していることになりますね


・中国版Twitter戦争勃発! 行き着く先は、携帯か?

中国において、自分の意見を自由に発言出来るようなデザインとなっているFacebookや、Twitterなどは使用することが出来ません。従って、現在日本で盛況を極めるTwitterのようなサービスも中国国内のウェブ企業が類似のサービスを提供する必要があります。中国ネットサービス大手もここに着目し成功を収め始めました。新浪は、新浪微博を09年から展開。10年11月の時点で5000万人ものユーザーが登録され、毎日平均して25万ものつぶやきが発せられていると言われています 。SNSでは後発だった新浪も、ここでは負けずとかなりアグレッシブに取り組んでいます。

Tencentも負けてはいません。2011年2月5日に登録者数が1億人を突破したと発表しました 。07年から、ミニリアルタイブログとして試験的に展開してから、10年4月に微博としてリニューアルして本格的に展開してから急速にユーザー数を増やし、現在の登録者数にまで登ったとのこと。フォロアーも、トップクラスだと陸上選手の劉翔氏や、著名作家、郭敬明氏などが1100万人を突破する勢い。本家Twitterで最もフォロアーが多いとされるLady Gagaですら、フォロアーは800万人ですから、やはり規模はケタ違いですね。

Twitterが本領を発揮するのはケータイや、スマートフォン。中国も09年に3G時代に突入したばかり。これからの戦場は正に手のひらの上にというところでしょうか。

2011年2月10日 14:34