クロスレビュー
平均
2ユーザー
スコア
良かった点
個性的なキャラクターが一対一のストリートファイトをする、という分かりやすいゲームシステムと、奥深いゲームプレイが魅力。
ゲーム内容は至って簡単で、用意されたプレイアブルキャラクター8人の中から一人を選択し、他のストリートファイター7人(+α)を倒し世界の頂点に立つ、と言う単純極まりない分かりやすいもの。また、プレイ内容も移動とパンチ3ボタン、キック3ボタンを駆使して目の前のストリートファイターを倒すと言う、今作以前に製作された対戦格闘(ストリートファイター無印、イー・アル・カンフー、アーバンチャンピオン)を踏襲したものになっている。
だが、その中にいくつかの要素が盛り込まれており、これらがそのシンプルなゲームプレイを非常に奥深くさせている。
先ず第一に挙げられるのが「コマンド必殺技」の存在で、↓↘→+P(パンチ)による「波動拳(リュウ)」などの飛び道具や、→↓↘+Pによる「昇竜拳(リュウ)」などの前方ジャンプを使った飛び込みに対しての対空技がある。他にも←ため→+Pによる「スーパー頭突き(エドモンド本田)」「ローリングアタック(ブランカ)」や、移動キー一回転による「スクリューパイルドライバー(ザンギエフ)」などの強力な必殺技が多数ある。これにより、各キャラで特段変わり映えしない通常技以外にも特徴的な要素が盛り込まれ、これらを駆使する事で有利に試合を展開させることが出来るようになるほか、不利な形勢からでも逆転を狙うことができる。
次に「三すくみ」の存在で、今作では、”飛び道具” ”近距離攻撃” ”対空攻撃”からなっている。
間合い詰め警戒の波動拳やソニックブームといった飛び道具の出掛かりに合わせて相手の技後の硬直中に懐に飛び込み、強力な技を当てに行く。これに対して牽制(飛び道具)側は技を出される前に素早く昇竜拳やヨガフレイム、中・大キックなどを繰り出し、相手の飛び込みを潰していく。また、対空を意識して飛び道具を控える相手に付け入り、距離を詰めて打撃を狙っていく……と言った感じで、今作では飛び道具が少し強力過ぎる印象はあるものの、対空技は発生がどれも比較的遅く、飛び道具のタイミングさえ合えば、確実にチャンスが生まれる。
ただ漠然と強い技を狙うだけでなく、上手く相手の立ち回りを把握・予測し、いつ相手が飛び道具を出してくるか? いつ相手が飛び込んでくるか?を読むかで、攻撃を当てるチャンスの幅は大きく変化する。
最後が「技の勝ち負け」で、今一つパッとしない要素なものの、これを知っているかで、コマンド必殺技や三すくみなどの他要素をやり込めるかが大きく変わる。
一例を挙げるなら、エドモンド本田の必殺技「スーパー頭突き」が弱パンチ連打で止められるのがそれに当たる。スーパー頭突きは極めて強力で当たれば大ダメージは必至だが、極めて簡単な技で止められる。これを知っているか否かで、エドモンド本田の対策法は大きく変わるし、エドモンド本田に対して持つ精神的不安もまるで違う。
他にも、通常技でもそういった勝ち負けがあり、同じ大キックでも、キャラクターによって判定の強い技、弱い技がある。基本的な立ち回りは同じでも、やはり細かいキャラクター性能をちゃんと理解しておくかで、ちょっとした攻撃をきっちり当てて行けるかが変わる。(こうした要素はキャラクターの概念の無い「アーバンチャンピオン」ではほとんどなく、「イーアルカンフー」は技の勝ち負けはあっても、判定が曖昧で視覚情報も乏しかったため、ちゃんと把握することが難しかった)
こうしたそれまでの対戦格闘にはあまり見られなかった新しい要素を多分に盛り込むことで、読み合いや、必殺技入力の技術が生まれ、漠然と攻撃を繰り出すだけの今一歩奥深さに欠けたアクションから逸脱した、刺激的なゲームプレイを実現している。
そして、これに加えて魅力的なのが8人のキャラクター。現在見ると、明らかに人間のなりをしていないブラジル人(緑色人種)や、南アジア文化を歪に解釈したダルシム(ヨガは格闘技)など、その奇抜すぎる設定に苦笑せざるを得ないものもいるが、どのキャラクターもきわめて独特で視覚的に分かりやすく、プレイアブルキャラクターとしてもそれぞれ強い個性を放っている。中でもリュウ、春麗などは、その完成されたキャラクター性から国内外を問わず高い知名度があり、ゲームをプレイしない人間でも「波動拳」を知っているほど。
旧世代の8bitゲームコンソールでは実現し得なかった優れたグラフィック性能の高いスーパーファミコンの性能を生かし切って描かれたそのキャラクターたちは、今もなお非常に魅力的。
移殖度も極めて高く、キャラクターのサイズや背景の視覚効果や動きなどはアーケードとくらべるとやや見劣りするが、様々な工夫が凝らされ、プレイ感覚はほぼアーケードそのまま。ステージ移行時の国名読み上げがなくなっていたり、各技のボイスが若干アーケードと比べるとちゃちに聴こえる印象もあるが、極めて些末な物。スーパーファミコンの対戦格闘の移殖ものでこれほど出来の良いものは中々無い。
悪かった点
7人のストリートファイターを倒したのちに出現する、四天王の性能が比べ物にならないほどに高く、凄くストレスがあった。
中でも四天王最後のベガは、連続して出すと割り込み不可の「ダブルニープレス」を当然のごとく数度連続で掛けて圧迫して来るほか、ベガの必殺技「サイコクラッシャー」はガードしても多段削りで結構なダメージを喰らってしまう上、被弾硬直が極めて長く、投げ確定の状況が生まれてしまう。この為、サイコクラッシャーは喰らっても大ダメージ、ガードしても削り+投げハメでそれと同等のダメージを負う可能性が常にあり、この上なく理不尽(ただ、幸いにもデフォルトの難易度では、サイコ投げハメを受けることはそれほどない印象)。
ただ、それ以外にもベガの通常技は判定が異常に強く、垂直ジャンプ大パンチを振られると飛び込みが全く通らないので、近距離主体のキャラクターはこの上ない苦戦を強いられることになるだけでなく、突進系の必殺技も超反応で止めに来るので、飛び道具を持たないキャラクターは特に苦行。
ストリートファイターIIIといいストリートファイターIIといい、ノンプレイアブルキャラクターを悪辣な仕様にするのが伝統なの?と思わざるを得ない。
対人戦で言えば、ガイルのサマーソルトキックやダルシムの通常技の判定の強さなども一つの問題として提起されることがしばしばあるが、CPUベガの性能に比べて極めて些細なことで、後の「ストリートファイターII'」でサイコ投げハメを喰らえば、その異常性がよく分かると思う。
総評
対戦格闘アクションの金字塔として今もなお高い人気と知名度を誇るゲームであり、そのコンシューマへの対戦格闘の普及を担ったのも頷ける高い移殖度を誇っている。「餓狼伝説SPECIAL」のスーファミ移殖版などをプレイしてしまった日には、ストII移殖の完成度の高さに思わず涙してしまう事間違いなし。
現在の格闘ゲームに比べるとシステムもかなりシンプルで遊びやすく、豊富な難易度調整や設定機能もあり、現在でも、格闘ゲーム入門用としてプレイするのに適しているので、今からでも是非プレイしてもらいたいスーパーファミコンのゲームとして挙げられると思う。
100万本以上のセールスを出したこともあり、ROMカセット流通も盛んで、中古ショップなどに行けばワンコインで買えるほか、Wii/WiiU VCでも配信されているので、興味がある方は是非。
2D対戦格闘ゲーム。複数人プレイはしないので、対戦ツールとしての評価は含みません。
個人的な格闘ゲーム史をつづってみようと思います。
レビュータイトルに★のある作品は、プレイ当時最好の格ゲーであったことを示します。
オリジナルであるアーケード版は未プレイだったので、初めてプレイした格闘ゲームです。
一対一の闘い、立ちガード、しゃがみガード、投げ、コマンド入力による必殺技、キャンセル、連続技。
などなど、多くの斬新さに衝撃を受けまくっていました。
しかも、ジャンルを確立してしまうほど新しいことをやっているのに、完成度も非常に高い。
もっとも当時は、波動拳を出すのに必死、昇竜拳なんて夢のまた夢、といった状態でしたし、今でもキャンセルだの連続技だのは、まったく使いこなせていませんが。
それでも肉弾戦を感じさせてくれるプレイ感覚に爽快感を求めながら、むさぼるように遊んでいました。
「スーパーフォーメーションサッカー」とともに、うちのスーパーファミコンのコントローラーを駄目にしたタイトル。
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