未知の言語に対して、各単語が使われる状況を回想しながら、言葉の意味を推測して自分で書き記していくことで、物語の全容を把握する。もしくは、自分なりの解釈のストーリーを紡ぐ、といった構造、ゲーム性、アイデアがすばらしい。小ぢんまりとしたボリューム感だけど、言葉の意味がひらめく瞬間や、理解できる言葉が蓄積されていくのが楽しく、周回プレイに没頭してしまいます。
週刊ファミ通1782号より
開始直後の「あ、これ手に負えない!」感さえ乗り切れば、停滞と爆発のサイクルを行ったり来たりしつつの辞書埋め作業に夢中になれます。単語の意味を修正・アップデートすることで、物語の真相が見えてくるだけでなく、対話相手となる人の心情の解像度が上がる体験にドキドキしました。辞書画面では登録済みの単語をうっかり消してしまいがちなど、操作性の溜めのなさが、あだになっている面が。
週刊ファミ通1782号より
ゲームに関心のない人も含めて全人類にオススメできる、実験的な作品。記憶喪失や、異世界に突然放り込まれたような状態を、これまでになく切実に実感できます。言語学習の過程を実践するかのようなプロセスも興味深い。ゲームとして遊びにくさを感じる点も、“体験”としてはこのままのほうが適切。くり返しプレイすることが、謎解きのためにも物語的にも、前提となっている仕掛けが見事です。
週刊ファミ通1782号より
意味不明の単語を、使用場面や状況などから法則性を見つけて推測する過程は、上質な推理アドベンチャー的な手応え。密室を何度も行き交い手当たり次第に気になる場所を調べるクラシックスタイルに、単語をどう受け取るかで物語の幅が広がる自由度が新しさをプラス。日本語だと言語の解読にワンクッション必要なので、そのぶん難度は少し高めかな。調べて推測する“過程”自体を楽しめる人なら。
週刊ファミ通1782号より