クロスレビュー
ハライチの岩井勇気氏プロデュースという異色の作品ながら、意外にも正統派な仕上がり。人の感情を“糸”として視覚で読み取れる主人公と、人間とは異なる特殊な存在で心を持たないはずの“奇虚”との恋愛模様が、儚く美しい。悲哀エンドは辛いものがあるが、そこもまたグッとくる。ベストエンドへの条件が若干複雑な部分もあるけど、好感度を設定して周回プレイができるなど、サポートはバッチリ。
週刊ファミ通1703号より
特殊な設定が多い和風ファンタジーものですが、ベースとなる時代の考証がしっかりされており、全体の構成や演出、テキストが巧みで物語に没入しやすい。コミカルとシリアスの塩梅も絶妙で、テンポ感も◎。心の機微や互いに惹かれ合う描写も秀逸で、攻略対象に感情がないという要素がさらに糖度を引き立てています。ただ好感度を上げるだけでは円滑に情愛エンディングにたどり着かない工夫もおもしろい。
週刊ファミ通1703号より
心の機微に疎い美形男子とともに江戸の町を観光(?)する前半パートだけでもかなりの密度。主人公の恋愛に対する嫌味のない積極性に和みます。敵対する化け物の描写が最小限なためファンタジー戦記ものとしての緊張感は弱めですが、物語後半では戦闘が登場人物の感情発露の機会として効果的に使われています。ルート分岐関連の情報が明示されるなど、ほどよい労力で攻略できるUX設計も良好。
週刊ファミ通1703号より
道具に魂が宿り、人の姿をとった“形人”をはじめ、独自の設定が魅力的。SFにおける典型的なアンドロイドと異なり、彼らと人間との関係は対等に近く良好で、その理由にうなずける点もすてきです。攻略対象それぞれの出自や正体が気になり、全ルートを読み進めたい気持ちを、快適にプレイできる機能がサポート。甘さは控えめな気もしますが、ともに危険をかいくぐるうちに育まれる同志の絆が爽やか。
週刊ファミ通1703号より
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