広大な島にさまざまなロケーションがあり、そこでくり広げられる数多くのミッションが魅力。プレイしていて思わずツッコミたくなるアクションや指令などが多いが、それがいい雰囲気を出している。まめに表示される記録は、ちょっとしたモチベーションアップにつながって○。
週刊ファミ通1122号より
グラップリングフックやパラシュートを使ったアクションが豊富で、ハチャメチャなノリを心底楽しめる。敵を倒すことひとつを取っても、さまざまな対処法があって自由度も高い。操作性は快適で、慣れると移動と攻撃を同時に行えるようになり、かなり爽快です。文字が小さいのは残念。
週刊ファミ通1122号より
極めて広大なオープンワールドを、豊富な乗り物と充実した移動システムで快適に遊ばせてくれます。パラシュートやフックを使ったアクションの多彩さや爽快感は、ほかの作品にはない大きな魅力。NPCの動きなど粗さを感じる部分もありますが、それも込みでワイルドに遊べます。
週刊ファミ通1122号より
グラップリングフックが、プレイヤーに創意工夫をうながし、同ジャンルのゲームとの明確な違いとなっている。好きな地点へワープできたりと、遊びやすさを追求したシステムも好感触。若干難度が高いため、リトライ時のロードの長さは気になるところ。いい意味でおバカな作品。
週刊ファミ通1122号より
良かった点
1000平方キロメートルにもなる巨大なフィールド内をロード無しに探索し、銃撃・飛行・車両運転など様々な事が出来る、高い自由度が魅力。
基本的なゲーム設計はメインミッションとサブミッション、各ロケーションの制圧の三種類から成り、クリアに必須なエージェントミッションだけであれば10時間ほどあればクリアできてしまうが、サブミッションの制覇や、各ロケーションに散らばっている救援物資や武器資材を入手しストーリークリアをより容易に進めていこうと思えば、50時間は遊んでいけるほどのボリュームがある。加えて実績や、行動記録をより良いものにしていこうと思えば、できることは非常に多い。
また、その一方で懸念される「戦闘の単調作業化」や「移動のストレス」、「武器の確保」などについてもかなり配慮されており、非常に遊びやすい作りになっている。
特に自分が関心したのは主人公であるリコ・ロドリゲスが持っているグラップリングフックと言う技。LBでフックを射出し、壁や床、乗り物などに引っ掛け、その地点まで高速で移動できる、と言うものなのだが、これが戦闘から移動まで、あらゆる面で非常に役立つ重要な要素となっている。高さのあるビルから銃撃する敵にはこれを使い、ビルから引っ張り落とすことが出来るし、数十メートル先まで射出できるため、徒歩だと手間だが、乗用車に乗るまででもないような微妙に面倒な距離も数秒で移動してくれる。加えて強力な武器を持っている的などに引っ掛けることでしばらくの間動きを封じることが出来る。特に敵の拠点などに単身乗り込んでいく際にはこのテクニックが不可欠で、これが上手く出来るかで、戦い方のバリエーションがかなり広がる。また、直接戦闘に役立たずとも、フックで引き寄せた敵を浮かせて、その間にキルする”ジャグリング・キル”と言った要素や、敵を車両や木に括りつけて動きを封じるテクニックもあり、ネタプレイの幅も広い。
加えて、乗用車両は海陸空全部で車両は全105種+αと非常に豊富で、どこへ移動するにも車両を選ぶ楽しさがあり、また道路に行けばいくらでも走行車両が在るため、難儀することもない。陸用車両以外にもヘリ、クルーザー、飛行機、タンクなど、他のオープンフィールドゲームでは乗れないような船舶・車両もあり、こちらも幅広い。
また、フィールドも中々凝っており、山岳地帯は雪に覆われている一方で、沿岸部はきわめて南国的。また都市部は高層ビルや現代的なオブジェクトで囲まれており、それぞれ同じゲームの中の風雨系とは思えないほどに違いがあるため、各地を探索して回る楽しさも十分にある。
ストーリーも、USAのエージェント、リコ・ロドリゲスが、前大統領暗殺後の混乱に包まれた東南アジアの架空国家・パナウで反政府組織と手を組み反乱を起こしながら師匠であるエージェント、トム・シェルドンを探してゆく、というTPSでは割とよくあるものではあるが、これが中々オープンフィールドが持つゲーム性とマッチしており、各ロケーションで十を乱射したり、接着型爆弾を投げて周り国家が管理している様々な施設を爆破してまわる楽しさにつながっている。
悪かった点
日本向けにローカライズされる際に、暴力表現について大幅に規制が入っており、中にはゲーム内容が大きく削がれることになる要素まで削られている。
基本的な部分としては「民間人に向けて発砲することが出来ない(発泡しても頭を抱えながら逃げていくだけで流血描写などがない)」と言ったもので、削らないに越したことはないものの削られても暴力描写がゲーム性に強くつながっているゲーム性ではないのでさして問題ない。
しかし、その他に「制圧した各拠点に住まうゲリラ部隊の削除」と言うものがあり、これにより各ロケーション制圧が非常に面倒なものになってしまっている。制圧したはずの拠点には誰も居らず、制圧したと言う実感がまるで沸かない。その上、敵に負われている際に自勢力拠点内に逃げ込んでも誰も助けてくれないという始末。他にも、銃器搭載車両ではNPCに運転を任せ、自機は銃器に由る破壊工作を行う、と言った連携プレイも不可能となっている。
また、規制以外にも全体的にローカライズが今ひとつしっくり来ない印象を受けた。日本語吹き替えが全体的に一昔前の特殊部隊もののコメディ系アクション映画のノリで、しゃべりもどこか今風でなく、どうにも違和感があった。
それから、ストーリーの展開が非常に米国讃美的で、後々に判明する陰謀やパトロンとなっている勢力を鑑みると、一部拒否反応が出る人がいるかもしれないな、と思った。
この辺りを英雄主義思想が垣間見えるアメリカらしいヒーロー・アクションと見るか、反アジアもののゲームと見るかで、大きくストーリーに対しての評価は変わるように思う。(追記:開発元を調べたら北欧スタジオ製だったのだが、こんなシナリオになってしまったのは一体どういった訳なのだろう(困惑)
総評
ローカライズの際に行われた表現・要素の削除からだいぶケチがついてしまった感じはあるが、元のゲームの出来は申し分なく、十分に楽しめるものになっている。(むろん、表現規制なしでプレイできるのが一番いいのだが……。)
個人的には事前情報を仕入れずにプレイしていたためか、ローカライズについて不満が上がることはそれほどなかった。削除された要素は、きつね蕎麦にかける葱と七味みたいなもので、あった方が断然良いが、ないからといって台無しになるものでもないものが多い。
最近では輸入版ソフトウェアの入手もかなり容易になってきているので、規制無しでプレイしたい方は海外版を購入されたらいいと思う(少し調べてみたところソフト側にリージョンロックはかかっていないらしく、日本版の本体でも動作する模様)。
Xbox360の他、PlayStation3/Windows/Steamでもリリースされており、現在では3000円から購入できるので、他ハードをお持ちの方も興味があれば是非プレイしてもらいたい。