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須田氏の"パンクは死なない"! 『シルバー事件』のニンテンドーDS移植も明らかに!
【GDC 2007 リポート】

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●須田氏のゲーム観や『キラー7』制作秘話が赤裸々に!


 3月5日(現地時間)から始まったゲーム・デベロッパーズ・カンファレンスもいよいよ最終
日。セッションが続々と終了し、人が少なくなった最終日にも関わらず、たくさんの人が
集まったのが、グラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏によるセッションだ。『キラー7』を筆頭に個性的なオリジナルタイトルを手がけてきた須田氏のセッションは"Punk is not Dead"というお題で行われ、須田氏のプロフィール紹介から始まり、グラスホッパー・マニファクチュアの成り立ち、処女作である『シルバー事件』と『キラー7』の関係性、"ディレクターとは何か?"などが語られた。
 

▲須田氏はジョークを交えながら、自身のゲーム制作の経験を踏まえたゲーム観やディレクター論を展開した。

 

 「グラスホッパー・マニファクチュアは企画の立案から脚本、プログラム、グラフィック、サウンドなど、総合開発がやりたいと思い、立ち上げた会社です。うちのスローガンは、"Call&Response"、"Crash&Builde"、"Let's Punk"の3つ。今日は"Let's Punk"についてお話したいと思います」(須田)

 

 須田氏が定義する"Punk"とは、旧態然のゲームを作るのではなく、既存のゲームの概念を打ち破る姿勢のこと。須田氏は「日本のゲーム市場が縮小傾向にあり、新しいゲームが出せる土壌がなくなってきている」としながらも、「グラスホッパーは日本市場だけでなく世界に向けて作ることで新たなゲームを提供したい」と力強く語った。


 続けて須田氏はグラスホッパーの処女作『シルバー事件』と海外デビュー作となる『キラー7』が同様のコンセプトで作られた作品であると語り、オムニバス形式で展開するストーリーや、作品に合ったボタン配置にチャレンジしたことなど、制作裏話が披露された。また、『キラー7』を作ったあとに海外メディアから「何であんなに気が狂ったようなゲームを作れるのか? きっとドラッグをやりながら作っているのでは?」と質問されたという。それに対して須田氏は「ドラッグもやりませんし、タバコもやりません。お酒は好きですが、すぐに酔っ払います」と独特のジョークで会場を沸かせた。会場の笑い声が聞こえなくなったところで須田氏はこう続ける。

 

 「僕は人と同じことをするのが大嫌いなんです。運よくゲーム業界に入れたので、ゲーム業界に何らかの恩返しがしたいとつねに思っている。だから、ほかのパブリッシャーやメーカーさんと違うことをして貢献したいという気持ちが根本にあるんです」(須田)


 須田氏はオリジナルゲームを作るコツとして、ゲームの仕様書を作らないことが特徴であると語り、「スタッフとのコミュニケーション、会話でゲームを作っています。ただ、僕は言葉というよりも「上にグイッと」とか「下にバーンと」とか擬音で説明するので、若いスタッフは意味がわからなくて会社をすぐに辞めたがります(笑)。それをフォローしてくれているのがベテランスタッフなんです」と冗談とも本気とも取れる話で会場を再び笑わせた。


 そして話は『キラー7』のプロデューサーである三上真司氏と同ソフトを開発しているときのやり取りに。「三上さんもずっとゲーム企画の世界で生きてきた人。僕がどんな風に発想して、どんな風に考えてその結果になったのかを好意的に見てくれました」(須田氏)と語り、「ただ1回だけ『キラー7』のタイトルの"キラー"という言葉がダメかもしれないとなったときに「三上さんもいっしょに考えてください」と相談したらものすごく怒られました」とコメント。「これはとても意味のあること。ディレクターとして三上真司という名前、カプコンというメーカーに臆することなく作品を作ってほしいというメッセージを込めた怒りだったと思うんです」と語り、三上氏にディレクターとして自分を認めてもらえていたからこそ、『キラー7』というオリジナルタイトルが生み出せたと語り、同作品においてプロデューサーとディレクターの信頼関係が非常に強かったことを印象づけた。


 また、ディレクター、ゲームデザイナーとしての仕事について須田氏は「精神的にタフじゃないとダメ」と語り、"2ちゃんねる"でいろいろな批判を受けるが、その批判もお金を払って買ってもらっている人たちの意見としてすべてを受け入れる覚悟、そしてそれらの批判をディレクターとして吸収する必要であることを説いた。一方で須田氏は「ゲーム文化はまだ20年から30年しか経っていない。我々はまだ成熟する時期はいけないと思うんです。我々はもっと傲慢にゲームを作るべきで、初期衝動に忠実にゲームを作ることが大事だと思う」と自身のゲーム観についてもコメント。最後に力強く「これからも生涯をかけて"Punk"なゲームを作り続けたい」とセッションをまとめた。
 

 セッションの最後にサプライズ! なんと『シルバー事件』をニンテンドーDSに移植することを突然発表したのだ。さらにケータイで配信されている『シルバー事件 25区』もニンテンドーDSで発売することを明らかに。このセッションに多く集まった日本人マスコミだけでなく、ゲームファンにとってもうれしいニュースとなった。これに加えて、4月14日に東京でHOPPER'S vol.2 "SNAKE vs. ZOMBIE"というイベントを開催することもアピール。同イベントにはKONAMIの小島秀夫監督と三上真司氏の対談が行われるほか、ライブステージなどが行われるという。こちらもゲームファンは見逃せない情報と言えそうだ。これらの告知のあとにはWii用ソフト『ノーモア・ヒーローズ』のサイン新ムービーを披露。映像が終わったあとには会場が大きな拍手の渦に包まれ、セッションは幕を閉じた。

 

▲『シルバー事件』とケータイアプリ『シルバー事件25区』がニンテンドーDSで発売されることが決定! 詳細は不明だが、つねに新たなチャレンジをする須田氏がどんな仕掛けを盛り込んでくるか非常に楽しみ! さらに2007年4月14日に開催されるイベントもしっかりアピール!

 

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