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次世代機のゲームテクノロジーを検証するセミナー"ゲーム制作技術に関する最新動向"が開催

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●最新グラフィックスの動向やXNA Game Studio Expressなどを紹介

▲産官学の取り組みによる"ゲーム制作基盤に関する調査研究委員会"。セミナーにはゲームクリエーターや大学関係者など幅広い層からの参加者が集まった。


 2007年1月24日、財団法人デジタルコンテンツ協会の主催による"ゲーム制作技術に関する最新動向"と題する公開セミナーが行われた。デジタルコンテンツ協会では、ゲーム産業を研究するための機関として、"ゲーム制作基盤に関する調査研究委員会"を昨年に設置し、研究活動を行っており、今回のセミナーはその活動の一環として行われたもの。セミナーでは、トライゼット代表の西川善司氏による"3Dゲームグラフィックスの最新事情"と、マイクロソフトのXbox事業本部、ゲームテクノロジー部 部長の田代昭博氏による"XNA Game Studio Expressについて"というふたつの講演が行われた。

▲PCやゲームテクノロジーに対する造詣が深い、西川善司氏による、"3Dゲームグラフィックスの最新事情"。


 テクニカルライターである西川善司氏の講演""3Dゲームグラフィックスの最新事情"では、まずはグラフィックス的見地から見た3プラットフォームの特性についての説明が行われた。Xbox 360とプレイステーション3という、次世代機におけるグラフィック面での最大の特徴は、プログラマブル・シェーダ・アーキテクチャを採用していること。プログラマブル・シェーダ・アーキテクチャとは、ポリゴンを描画するときに陰影処理をプログラムできる技術のことで、これにより表現の幅が大きく広がることになる。よくリアルな画面を見て、「フォトリアリスティックなグラフィック」などという表現をすることがあるが、それはこのプログラマブル・シェーダ・アーキテクチャの効果によるものだ。

 

 Xbox 360にはXbox 360にはATIテクノロジーズの、プレイステーション3にはNVIDIAのグラフィックチップが採用されているが、プログラマブル・シェーダ・アーキテクチャなどに代表される基本概念は両者ともいっしょで、「グラフィックス面での相互移植性はゲーム機史上もっとも高いですね。マルチプラットフォームのメーカーには明るい未来が待っているかもしれません」(西川)とのことだ。

▲行く着くところはいっしょなので、ある意味グラフィックス的には似た思想を持つプレイステーション3とXbox 360。それが移植をしやすさを実現するという。


 一方のWiiは「ゲームグラフィックスの進化は踏みとどまる選択」(西川)をし、グラフィックス的にはゲームキューブの流れをそのまま踏襲、コントローラーに代表されるゲームプレイそのもののユニークさで独自性をアピールする道を選んだという。そのため、「多くのゲームスタジオにおけるマルチプラットフォーム展開において、Wiiの異端性が課題となるのかも……」(西川)とのことだ。

 プレイステーション3やXbox 360でハイクオリティーのグラフィックを描こうと思ったら、プログラマブル・シェーダ・アーキテクチャの習得は必須のようだが、ここでネックになるのが、日本においては、次世代機で初めてプログラマブル・シェーダ・アーキテクチャに関わるという開発者が多いこと。実際、現場に聞いてみると「プログラマブル・シェーダ・アーキテクチャとの接しかたがわからない」という声も聞かれるとか。とはいえ、Xbox 360に関していえば、本体の発売から1年以上経つわけで、「日本のタイトル限定で見ると、グラフィックスの作り込みにおいて、ここ1年で相当洗練された印象を受けますね(西川)という。その代表格がカプコンで、『デッド ライジング』や『ロスト プラネット エクストリーム コンディション』が世界的に高い評価を得たのはご存知じのとおりだ。

▲西川氏の講演をもとに、次世代機のグラフィックスのトレンドであるプログラマブル・シェーダ・アーキテクチャの特徴を紐解いてみよう。まずはHDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)レンダリング。いままでのゲームではディプレイの表示できない色などは表現していなかったが、次世代機では、現実世界といっしょで明るいところから暗いところまですべて表現して、カメラで捉えるところで補正する。それにより光の筋なども表現でき、フォトリアリスティックになる(HDRレンダリングをかけてあるのは右の画面)。

▲法線マップは微妙な凹凸を表現するテクノロジー。水面のさざなみや服のシワなどに効果を発揮(法線マップをかけてあるのは、右の画面)。

▲次世代機では影生成もよりリアルに。『ロスト プラネット エクストリーム コンディション』ではひとつの画面で3タイプの影を使いわけている(右の画面)。「PCに負けない影生成を」というのが開発のモットーだったそうだ。


 そのカプコンについて特筆すべきは、次世代に向けて自社でゲームエンジンを開発している点。"カプコンユニバーサルエンジン"と名付けられたこのゲームエンジンは、Xbox 360向け2タイトルのほかに、『バイオハザード5』や『モンスターハンター3』など、カプコンの主要な次世代機向けタイトルに採用されており、マルチプラットフォームに対応し、マルチコアに最適化された設計になっているなど、次世代機開発向けのさまざまな工夫が凝らされているらしい。次世代機向けグラフィックスに対するいち早い対応が、『デッド ライジング』や『ロスト プラネット エクストリーム コンディション』に対する高い評価を得たと言えそうだ。

▲特筆すべき、カプコンの自社制ゲームエンジン。ハイクオリティーなグラフィックスを実現するために、さまざまなテクノロジーが導入されているらしい。

▲講演の最後には、最新映像などが紹介。こちらはドイツのCRYTEK社によるゲームエンジン、CRYTEK CRY ENGINE 2.0を搭載した、PCゲーム『CRYSIS』のデモ。


 おつぎの講演は、マイクロソフトの田代昭博氏による"XNA Game Studio Expressについて"。開発環境を整備するためのXNA Game Studio Expressだが、2006年12月13日のサービス開始以降(関連記事はこちら)、着実に多くの利用者を増やしているようだ。会場では、XNA Game Studio Expressの一例として、ドイツのクリエーターが作った『XNA RACER』が紹介されたが、ほかにもFPSなどのたくさんのサンプルソフトを作っており、近日中にはソースコード込みでXNA Game Studio Expressに搭載される予定だ。「それぞれのゲームがどのように作られてるかを学べますよ」(田代)という。

 

 また、日本語化への対応も、現段階で徐々に行われており、2007年春にはオンラインをサポートした第一弾のアップデートなども予定しているとのこと。さらには、2008年中にはプロ仕様のXNA Game Studio Express Proも登場するようで、XNAも確実に進化しつつあると言えそうだ。

 高い技術力が必要になるハイクオリティーのグラフィックスを、なんとか平易に使いこなそうとする。今後のゲーム開発は、そのふたつのせめぎあいになるのかもしれない……そんなことを思わせる公開セミナーだった。

▲マイクロソフト、田代昭博氏による講演"XNA Game Studio Expressについて"。

 

▲昨今のゲーム開発は、手間もかかり開発環境も多様化してハードも複雑化している。その難しくなりがちなゲーム開発に対応したのがXNA Game Studio Expressだ。

▲講演では、4人のクリエーターが6週間で制作した(そのうち3人は兼任業務)、ドイツの開発会社による『XNA RACER』が紹介された。こちらは近日ツール込みでがXNA Game Studio Expressに実装される予定。

 

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