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プロジェクトも終盤に来て問題発生!?(その4)
【特別企画】ドキュメント・サンデーゲームスタジオの挑戦
●プロジェクトの終了日が2週間延期されることに!
2006年8月27日からスタートした、サンデーゲームスタジオ。当初は11月26日の全14回で終了する予定だったこのプロジェクトだが、この日取材に出かけたときは、スタジオ長の向さんが開口一番「スケジュールが延びます」とのこと。どうやらスケジュールが延びるのは、ゲーム開発の常なのか(?)、サンデーゲームスタジオもすんなり終わることはなかったようだ。商品化されるのは2007年春なので、まだまだスケジュールに余裕があるのかと思いきや、デバックなどとの兼ね合いで、いくら遅くても年内には開発を終わらせなければならないらしい。心なしか向さんの顔も心配そうだ。聞けば、ここへきてAチームの制作する『イルミナ(仮題)』はゲームの根幹に関わる部分で手直しがあったようだ。「少しでもおもしろいゲームを作りたい」という参加者の熱意もさることながら、今後のスケジュールが気になるところではある。
さて、この日は、一般募集した音楽と効果音を巡って、どれを採用するかでディスカッションが行われていた。Webで公開したα版をもとに、音楽と効果音を一般募集したものだが、応募者は思いのほか多かったようで、セレクトにも熱が入っていた。音楽によってゲームの印象もがらりと変わりかねないだけに、参加者みんなで1曲1曲を聴きながら吟味する表情は真剣そのものだった。

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▲こちらはAチーム。数週間まえにゲームの根幹に関わる部分で変更があったようで、こころなしかせわしなさそう。 |

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▲Bチームのおふたりは、比較的順調にゲーム開発が進んでいるためもあってか、楽しそうにディスカッション。 |
さて、恒例となった参加者へのインタビューも3回目(そしてラスト!)。今回は、デザイナーさん4人を一挙紹介することにしよう。
Aチーム |
たけおさん
――プロジェクトに参加したきっかけを教えてください。
たけお たまたま記事を見て、イラストの勉強になればいいなあと思って応募しました。まさか採用されるとは思わなくて、びっくりしました。
――プロジェクトに関わってみてどうですか?
たけお 作り始めてからゲームの企画が二転三転しているのですが、ゲーム作りはたいへんだなあと、しみじみ思いました。4人で意見をぶつけあって、企画はいろいろと変わりましたよ。でも、自分の作った絵が画面上で実際に動くのを見るのは、やっぱりとてもうれしいですね。時間的に辛かったり、睡眠時間を削ったりしても、動いている画面を見ると癒されます(笑)。
――プロジェクトについてはどう思いますか?
たけお とてもおもしろいと思います。ゲームとはぜんぜん関係のない人でも、ゲーム作りに関わってみたいと考えている人はたくさんいるハズなので、そういう人たちにとっては、ありがたい機会なのではないかと思っています。将来関わってみたいと思っている人は練習がてら参加するのもいいでしょうし。私個人としては、今回のプロジェクトにはゲーム会社の方が関わっていることで、勉強になればいいなあという下心があったのですが……なぜか、イラストの仕事が忙しくなりました(笑)。
――サンデーゲームスタジオを経て、今後の見通しのようなものは?
たけお 自分の風味を活かしたゲームを作っていきたいと、強く思い始めましたね。自分では自覚していなかったのですが、シグナルトークコーポレーションの方から「萌え系のキャラですね」と言われて、「自分の絵は萌え系に見えるんだ」ということで、思わぬ発見がありました。人にかわいいと思ってもらえる絵を描いていきたいと思っています。

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▲たけおさんのコメント。「頭の中でなんとなく物語らしきものをこねているキャラクターたちです。とりあえず、"お気楽SFまんが"的な物語で活躍させてやってみたいと思っています」 |
MArさん
――プロジェクトに参加したきっかけは?
MAr 友人に「こういうプロジェクトがあるけど、どう?」って薦められたんですよ。それで、おもしろそうだな……って思って応募しました。会社に所属してゲームを作っていると、なかなか自分の意見が言えなくなってしまうものですが、サンデーゲームスタジオでは、自分の意見がきっちりと反映されるところがおもしろいですね。会社にいると、上司の意見だけしか聞けなくなってしまいがちですが、作っていて「つまらないな」というナマの声が聞けるわけですし。今回は、かなり言いたいことを言いましたよ。
――そんなに?
MAr 遠慮なく(笑)。あまり大きな声では言えませんが、メンバーを泣かせたこともあるくらい。
――サンデーゲームスタジオに関わってみてどうですか?
MAr 僕はもともとゲーム会社に所属していたので、ゲームを作るときに「何が大切か」というのが、ある程度わかります。それは、根本をがっちりと固めてからゲーム制作に入るべきだということです。たとえば、何か新しいものを作ろうとして、新しいものばかりを集めてきてもよくない。そのへんをもうちょっと固める時間が欲しかったかな……と思いますね。実際のところ、僕らの作っている『イルミナ』(仮題)は、二転三転している嫌いがありまして(笑)。うまくいくと信じてはいますが。
――では、サンデーゲームスタジオの意義は?
MAr 取り組み自体は非常にいいことだと思いますよ。企画にあった人材というのはあると思いますので、人材のトレードとかができると、もっとよかったかもしれませんね。

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▲MArさんはフリーのイラストレーターさん。もともとは大手ゲームメーカーに所属していた。『イルミナ』のキャラクターデザインを担当。 |

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▲MArさんのコメント。「僕は会社でも言いたいこと言ってるタイプでした」 |
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Bチーム |
宣教師ゴンドルフさん
――プロジェクトに参加したきっかけは?
ゴンドルフ 何よりもおもしろそうだったからです。プロジェクト自体は、たいへんだけど、楽しいですね。
――どんなところがたいへんですか?
ゴンドルフ デザイナーがふたりなので、イメージが噛み合わない場合もあって、そこをどう合わせるかですね。いっしょに作業をしているBewさんとはテイストは近いのですが、違うところは果てしなく違うので(笑)。大切なところは、みんなで徹底的に話し合って、いいほうを採用したりしています。ゲーム制作はやっぱり共同作業になりますので、いくら自分では「これが最高のものだ」と思っていても、逆に調和が取れなければボツになります。そういう意味では、参考になることが多かったですね。
――泣く泣く我慢すると?
ゴンドルフ でも、アニメでいっぱい絵を描いたのに、何日か経って、「ごめん、容量の問題で入れられない」って言われたときは、目の前が暗くなりました(笑)。
――サンデーゲームスタジオについてはどう思いますか?
ゴンドルフ フリーでゲーム制作に関わっている方などは、大いに参加してみたらいいんじゃないかと思いますね。ほかの人がどのようにゲーム制作をしているかなど、発想の根源がわかって楽しいですからね。ゲーム作りも、なおいっそうおもしろくなるんじゃないかしら。
――サンデーゲームスタジオを経て、今後は?
ゴンドルフ わかりません(笑)。 終わったあとに、同じチームでまた作品を作りたい……と思っているかもしれません。

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▲パズルゲームやRPGなどがお好きなゴンドルフさん。とくにお気に入りのゲームは、『マジカルドロップ』に『大貝獣物語』だとか。 |

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▲宣教師ゴンドルフさんのコメント。「花と乙女を描くのが好きです」 |
Bewさん
――プロジェクトに参加したきっかけは?
Bew 僕はもともと社会人をしていたのですが、ひょんなことから絵を描くことになりまして、何となく自信のようなものもつきはじめたんですね。それで、本格的に挑戦したいと思っていた矢先に、知人からサンデーゲームスタジオのことを聞きまして、一も二もなく応募しました。
――では、実際に参加してみての感想は?
Bew まとめ役が必要だったかな……というのは実感していますね。グループ作業の場合は、個々の技術云々よりも、まとめるところで出来上がりが違ってくるだろうとは思っていました。ましてやサンデーゲームスタジオは、短期間しかないわけですし。たとえば、いちからゲームを作っていくのであれば、本当は最初からもっとしっかりと練らないといけなかった。幸いにも、いまは何とか形になっていますが、どこかにまとめ役がいないと、もっと悪い状況にもなり得たと思います。
――仕切る人が必要だと?
Bew それも含めて……ですかね。同じ方向を向かせてくれる人……とでもいいましょうか。僕ら的には、作るほうに集中させてもらえるとありがたかったかもしれません。そういった難しさも含めて、”ゲーム作り”なのかもしれませんね。
――プロジェクトに参加してみて、得るものはあった?
Bew 大いに。ほかの方のデザインのしかたとか、大いに参考になりました。ほかの人のタッチに合わせることも、勉強になりました。惜しむらくは、もうちょっとスケジュールが欲しかったことかな(笑)。企画のおもしろさに惹かれて参加させてもらった今回のプロジェクトですが、2回目、3回目と繋げられていくようなものを作り出せたら、意義はあったかな……と思っています。

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▲Bewさんのコメント。「クレジットで使用した自画像です」 |
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個性派揃いのデザイナーさんのこと、なかにはなかなか手厳しいことをおっしゃる方もいますが、それもこれもサンデーゲームスタジオに対する愛があればこそ。「いいものを作りたい」というみなさんの気持ちに変わりはなく、いったいどのような作品になるのか、心配半分、期待半分といったところです。そんなわけで、次回はいよいよゲーム制作も終了に!
※サンデーゲームスタジオの公式サイトはこちら
※Yahoo!ゲーム「サンデーゲームスタジオ」特設ページ
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