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社会人のためのゲームスクール”サンデーゲームスタジオ”とは?

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●開催日を日曜日に限定、完成した作品はすぐに製品化!

▲日曜日だけ行われえるサンデーゲームプロジェクトが始動。

 4月20日、ひとつの新しいゲームスクールのプロジェクトがスタートした。ゲーム開発メーカーであるシグナルトーク・コーポレーション主催による、"サンデーゲームスタジオ"だ。「ゲームのタマゴ(アイデア)を持ったすべての人に門戸を開放すべく」企画されたこのゲームスクールは、社会人でも参加できるように、その名のとおり、開催日を日曜日に限定しているのが大きな特徴だ。しかも、厳正なる審査の結果選抜された学生たちは、プロの指導のもとで学びながらゲーム制作にあたり、完成した作品は製品化されてYahoo!ゲームにて実際に販売されることになるという。さらに、インターンシップ(実習)なので、参加費用は無料。つまり、「プロデビューを果たしたい!」と志すクリエーターの卵にとっては、極めて有益かつ実践的な場となるのだ。このサンデーゲームスタジオの意図するところとは何なのか? 今回は、企画を立ち上げた、シグナルトーク・コーポレーションの代表取締役、栢孝文(かや・たかふみ)氏に話を聞いた。

▲シグナルトーク・コーポレーションの代表取締役、栢孝文氏。'99年にソニックチームにてドリームキャスト向け『チューチューロケット!』の企画、制作、プランニングなどを担当。一躍脚光を浴びる。その後ソニー・コンピュータエンタテインメントでの1年間の修行を経て、2002年に独立、シグナルトーク・コーポレーションを立ち上げる。同社ではPC向けに麻雀ゲーム『Maru-Jan』やパズルゲーム『まわりっぱ』などをリリース。人気を博す


――サンデーゲームスタジオを立ち上げたきっかけを教えてください。
 根底にあるのは、日本ゲームの未来に対する危機感です。いまのゲーム業界は、ゲームマシンのスペックがあがるにつれて、開発費が高騰化している。そうなると、リスクを恐れるあまり続編主義になりがちです。また、ゲームメーカーも大きくなるにつれ、株主の利益を優先しないといけなくなるので、売れるソフトだけを作る傾向にある。いま国内でリリースされているゲームソフトのうち、続編の占める割合は9割を超えるのではないかと思っています。

――若い才能が育ちにくいと?
 もちろん、私は続編を否定しているわけではありません。続編は続編で絶対に必要だし、私も個人的には続編を楽しむことも多い。ただ、いまの続編の比率はあまりにも高すぎる。せめて、続編50パーセント、オリジナル50パーセントくらいにはすべきだろうと思っています。サンデーゲームスタジオは、そういったゲーム業界に対する新しい提案という一面はありますね。 

――新しい人材育成の場を提供したい?
 はい。最近の世界情勢を見ていると、日本のゲーム産業は世界に誇る水準にあるのに、一方で人材の供給体制は韓国や中国、台湾などと比べてかなり脆弱だという印象がある。優秀な人材の育成は日本のゲーム産業にとっても急務だと思うんです。 

――そんなに差がありますか?
 韓国や中国などは国が予算を出していますからね。私のように「ゲームクリエーターとして独立したい」という者に対して、国が動いて建物やインフラなどを提供してくれる。埋もれた才能を発掘しようということに熱心なんです。その点、日本だけが立ち遅れているのかな……と。

――本来は、日本ももっと国を挙げて取り組むべき?
 私は国粋主義者ではないのですが、日本のゲームが大好きです。韓国の人とよく話をしていても、「日本のゲームのアイデアはすばらしい。プログラムのスキルなどでは引けはとらないが、ゲームのアイデアという部分では日本人には勝てない」と言われます。だったら、せっかく日本人の持つ大切な資産をつぶすわけにはいかないだろうと思ったんです。で、最近ようやく国も取り組み始めてくれたところではありますね。サンデーゲームスタジオを後援してくれている首都圏情報ベンチャーフォーラムさんは、経済産業省の傘下にあるのですが、積極的にサポートしてくれていますよ。

――それでサンデーゲームスタジオが立ち上がったと?
 そもそもサンデーゲームスタジオは、スタッフとの何気ない雑談から生まれたんですよ。「本当はゲームクリエーターになりたいけれど、家庭の事情などで諦めなければならない人もいる。そんな人たちに、土日を使ってゲームを作ってもらったらどうだろう?」と話していたんです。一方で、仕事柄よく持ち込み企画があるのですが、企画はいいけどプログラムはいまひとつだとか、なんとなくおもしろそうだけどキャラが冴えない……というケースが多い。才能のきらめきはあるのに、それを活かし切れていない場合がかなりあるんです。ならば、私のほうでマッチングをしてあげれば、すばらしいものができるのでは……という発想もありましたね。

――ゲームを作りたくても、なかなかその機会がない人に参加してほしい?
栢 
そうです。埋もれている才能やアイデアに出てきて欲しいと思っています。

――では、具体的にサンデーゲームスタジオが、ほかのゲームスクールと違う点を教えてください。
 いちばんの違いは、明らかに製品化を前提としたプロジェクトだということですね。あくまでも実戦の場だということです。そして、クリエーターの名前はちゃんと出します。これをデビューのきっかけにしてほしいと思っているんです。もちろん、クリエーターが作ったものに対しては権利も発生します。ロイヤリティーとして5パーセントを支払います。 

――制作開始まではどのような流れで?
 雑誌やホームページなどで希望者を幅広く募集して、最終的には9人をセレクトします。それで3つのチームにマッチングして、プロの指導のもと実際にゲームを作ってもらうことになるわけです。

――8月18日のスタートから11月26日の作品完成まで、スケジュールがきっちりと決まっていますが(笑)。
 そうですね。実際4ヵ月のあいだにひとつの作品を仕上げるのはたいへんだと思いますよ。ただ、期限を設けておかないとなかなかモチベーションが継続できないので、きっちりと期日を設定しました。で、11月26日の段階でできたものに対して、製品化できるかどうかを弊社ならびにヤフーさんで判断して、いけると判断したら販売となります。一方、「これは何かが足りないよね」ということにでもなれば、手直しをするなりしよかと思っています。いずれにせよ、なんらかの形では世に問いたいと思っているんですよ。

――ネットワークゲームの出現により、クリエーターさんが出やすい状況になっている印象がありますね。
 そうですね。たしかに私が’99年にゲームを造始めたころには考えられなかったことです。そういう意味では、いまはちょうど転換期になっていると思いますよ。ポータルサイトにカジュアルゲームを配信するというビジネスモデルであれば、別に販売網がなくても気軽にリリースすることができる。いままでゲームは大手ソフトハウスのものだったのですが、新たな販路が生まれたわけです。今回の、サンデーゲームスタジオは、そういった新しいビジネスモデルあればこそ、可能になった部分はありますね。

――今後のゲーム業界は、予算をかけて大作を投入する大手ソフトハウスと、手軽にカジュアルゲームを楽しめる層と二極化しそうですね。
 二極化どころか、十極化でもしてほしいですよ。いま、ユーザーの好みは細分化していて、「私はレースゲームしかやらない」、「私はサッカーゲームしかやらない」という人も多いわけで……。それがまた、ゲームの可能性を広くしてくれると思っています。カジュアルゲームのアイデアが、大作に活かされるケースもあるでしょうし。
 とにかくこのインタビューで、サンデーゲームスタジオのことを知って「これは俺のことだ!」と思った方は、すぐにでも応募してきていただきたいですね(笑)。応募要綱はけっこう敷居が高いので、けっこうたいへんかとは思うのですが、皆さんのやる気に期待しています!

 日本が世界に誇る文化と言われるビデオゲームだが、ここ数年、欧米市場でとても高いクオリティーのゲームが多数登場している。そんな元気のある欧米のクリエーターに負けないためにも、日本国内でも、より多くの新しい才能の出現が期待される。そういった意味では、サンデーゲームスタジオのような、才能発掘の場は大いに歓迎したい。

▲ユニークな試みに取り組んでいる栢氏。その成果のほどを期待したいところ。



※シグナルトーク・コーポレーションの公式サイトはこちら
※サンデーゲームスタジオの公式サイトはこちら
 

 

 

 

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