『龍が如く』の裏話が披露!? 豪華クリエーターが独自のゲーム論を語った!
●世界を見据えたゲーム開発について、セガの名越氏やゲームリパブリックの岡本氏が解説!
▲ホテルの会議室で行われたゲーム開発者向けのセミナー。ゲーム開発の関係者など約90名が受講した。 |
本日2月15日に都内のホテルベルクラシック東京で、おもにゲームソフトのローカライズを行っているユニコンプロダクツが主催するゲーム開発者向けのセミナーが開催された。セミナーのテーマは、"ゲーム開発と世界戦略"で、ユニコンプロダクツの代表取締役社長、マイク・サカモト氏がゲームの翻訳について説明を行ったほか、現役クリエーターが海外を視野に入れたゲーム開発について語った。
▲ゲームのローカライズについて語ったマイク・サカモト氏。クリスチャンの多いイギリスでは、"God"(神)という表現は避けたほうがいいなど、実際にローカライズに携わっているからこそわかる話を披露した。 |
まず最初に登壇したのは、キューエンタテインメントの代表取締役社長を務める内海州人氏。"グローバルゲームビジネスへの取組み"と題した講演で、キューエンタテインメントがどのような戦略のもとにゲームソフトを開発しているかが語られた。同社が開発を手掛けたPSP用ソフト『ルミネス -音と光の電飾パズル-』は、世界中で約70万本を販売し、アメリカで数々の賞を受賞するなど高い評価を受けた作品。その成功の秘訣について、内海氏は以下のように語った。
「じつは『ルミネス』は、あらかじめヨーロッパのマーケットを意識して作りました。ヨーロッパでは水口哲也の作品は人気がありますし、音楽やオシャレなものは向こうではウケるだろうと思っていたんです。ところが実はヨーロッパより米国で、よりウケました。それから、新規フォーマットの立ち上げ期、つまり新ハードのロンチにこそ新しくブランドを確立するチャンスがあるのでは、と思っていたのですが、この考えは正しかった。アメリカではほとんど広告をうっていないにも関わらず、ハードと同時発売のタイトルということでさまざまなプレスに取り上げていただきました。アメリカには新しいゲームを受け入れる余地があったようで、地道なPR活動が実を結んだわけです」(内海)
▲内海氏は、今後の予定としてXbox 360用ソフト『ナインティナイン・ナイツ』やPSP用ソフト『Every Extend Extra』も紹介。「これからは、ビデオゲームとモバイル、ブロードバンドの重なる部分を、マルチプラットフォームでやっていきたい」(内海)と語った。 |
ビジネス寄りの話が多かった内海氏とはうって変わって、自身のゲーム開発哲学について語ったのはセガのNEソフト研究開発部部長、名越稔洋氏。同氏は、日本のゲームが近年海外で通用しなくなり、同時に国内でも業界に閉塞感が漂っていることへの危機感から、自身が考えたことを実例を挙げて説明した。
▲「エンターテインメントはひとつの国から世界中に発信できるもの。そういう部分でこれからもがんばっていきたいと思います」と語った名越氏。 |
「以前、エレクトロニック・アーツとセガオブアメリカ、それにある日本のメーカーがほぼ同時期に野球ゲームを出したことがあったんですね。どれもメジャーリーグのライセンスを取っていたし、出来栄えもさほど変わらなかった。でもフタを開けてみると、エレクトロニック・アーツのひとり勝ちでした。何故かと考えて調査をしたところ、このエレクトロニック・アーツのゲームにだけ、アメリカのテレビの野球中継でよくあるカメラワークが使われていたんですよ。これはもう、僕らが表面上を似せて作っただけでは限界がある、文化の壁なんです」(名越)
同氏は、「価格も、海外で通用するための大きなポイントになります」とコメント。「日本では安かろう悪かろうという考えがありますが、向こうでは安いことへの美徳があって、それほど売れないソフトでもまとめてバリューパックとして売り出されればみんな買うんですよ」(名越)と、身近ながら興味深い話を披露した。さらに、「安さとともにゲームのボリュームにもこだわりがある。海外でゲームのプレゼンを行うと、まず"How long"と聞かれるんです。あちらではソフトのレンタルができるので、いちどでは遊びきれないほどのボリュームが必要だというんですね。これも疑問に思って調査をしたところ、メガヒットと言われる大作を遊んだ人の中でエンディングを見たのはほんの十数パーセントでした。仕方のないことではあるんですけど、見てもらえない部分に労力をかけるというのは非常に疑問に感じるところですね」と、本音もチラリ。最後は、2005年年末に発売された『龍が如く』について、以下のように語ったぞ。
「日本発の作品をワールドワイドに展開することの逆で、絞りこむことで新たなマーケットは作れないかと思って作ったのが『龍が如く』です。日本人だからこそよろこべるものを、と考えたんですね。ただ、ニッチな部分だけではないことを見せるために、きちんとお金をかけて作りました。それから、映像作品としても見れるものを作ろうと思ったんです。ゲームの中にゲーム以外でも勝負できるものを盛りこもう、と。ゲームは、映画やほかのコンテンツと同様に数あるメディアのうちのひとつなんだと、『龍が如く』を作る上で再認識しました」(名越)
セミナーのトリを飾ったのは、ゲームリパブリックの代表取締役社長を務める岡本吉起氏。講演のテーマは"岡本流ゲーム開発の着眼点"と発表されていたが、「なんにも考えてきてません。だって考えてきても、ほかの人と内容かぶるでしょ」(岡本)と冒頭から"らしい"発言。それでも、ほかの講演者の話を聞きながら考えたという6行のメモをもとに、自身のゲーム開発に対する考えかたを語った。同氏はまず、「貯金をしたほうがいいかしないほうがいいか、これはしなくていいです。まず一人前と認めてもらうためにはいろんなものを吸収する必要があるんで、自分に投資するお金をけちるなってことです。ゲーム作りが成功するかどうかの8割は運、2割は実力で決まるんで、2割の実力の部分くらいは自分を信じて努力して、100点満点を取っておいたほうがいいやんと思うんです」と精神論を披露。続いて岡本氏流のゲームの作りかたについて、以下のように語った。
▲「名越さんは日焼けサロンに行って来たようですが、僕は普段着で来ちゃいました」などと、岡本節を連発して爆笑を誘っていた岡本氏。 |
「俺はじつは感性に自信ないんですよ。俺ってずっとダメダメちゃんだなあと思ってたんだけど、"文句言い"なんです。人の作ったゲームを、最高におもろいやんと思ってはまってプレイして、でも遊んでるうちに俺だったらこんなふうにすんのになあって文句が出てきたから、それを新しくゲームにした。そうやってできたのが、『ストリートファイターII』や『バイオハザード』なんです。とにかく人の作ったゲームをやるのがいちばん大切。で、どうして名越さんはこんなふうにしたんやろか、とか考えるんですよ。その考えを本人に直接問いただして、自分が考えつくことの精度を高めていく。これは非常に重要です」(岡本)
現役でゲーム開発に携わる3名の話は、経験談が盛りこまれた非常に興味深いもので、セミナーの受講者も真剣に講演に聞き入り、熱心にメモを取っていた様子。世界を視野に入れたゲーム開発論がそれぞれ独自の目線で語られ、今後の3名の活躍に一層期待が持てる講演だった。
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