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【シンポジウムピックアップ】 宮本茂氏が"ゲームコントローラーの歴史"を語った

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●ゲームデザイン・テクノロジーの今と未来

 

 ここでは、立命館大学で行われた国際シンポジウムの中でも、とくに注目の講演をピックアップしたいと思う。

 

 シンポジウムの第2部は「ゲームデザイン・テクノロジーの今と未来」と題して、4人のゲーム業界関係者が登壇。第1部に負けず劣らず、豪華な顔ぶれが揃ってのシンポジウムとなった。
 

 第2部のコーディネイトを務めたのは、エンターブレイン社長にして、週刊ファミ通主筆の浜村弘一氏。冒頭で浜村氏は、「ファミ通が生まれてから20年間、ゲームの歴史を間近で見ていますが、よくまあこれだけ豪華なゲストを揃えられたなと、正直驚いてます。僕から見たら、神様みたいな人ばかり。『パックマン』を作った人、ファミコンを作った人、ゲーム業界そのものを作られた人……。そしてこれから始まる第2部にも、神様がまだまだ出てきます。ここでは、"ゲームデザインの今と未来"というテーマで、次世代ゲーム機が登場することで業界がどう変わるのか、ということに言及してもらおうと思います」と語り、最初の講演者である任天堂専務取締役情報開発本部長、宮本茂氏を壇上に招いた。言わずと知れた『スーパーマリオ』の生みの親である宮本氏は、ゲームの操作系、つまりコントローラーを切り口に、家庭用テレビゲーム業界の歴史とこれからを語った。
 

●ドンキーコングからレボリューションまで
 

 宮本氏の話は、ゲームの歴史を振り返るところから始まった。冒頭では、任天堂がファミコン登場以前に手がけていたテレビゲーム、"テレビゲーム15"や"ブロック崩し"を紹介。とくにブロック崩しの本体デザインは、任天堂入社2年目の宮本氏自身が手がけたものだという。当時の宮本氏はアーケードゲームの筐体そのもののデザインをおもに担当しており、その流れで初めて、筐体デザインとともにゲームの中身を作ったのが名作『ドンキーコング』。ゲームファンならご存じのとおり、このゲームは大ヒットした。そこで任天堂は、玩具として人気を博していた"ゲーム&ウォッチ"に『ドンキーコング』を導入しようと試みる。そしてここで、のちのゲーム業界に大きな影響を及ぼす画期的な発明がなされたのだ。
 

 「『ドンキーコング』をゲーム&ウォッチに移植するのは無謀なチャレンジでした。さあどうしよう、と。ジョイスティックをこんな小さなマシンに取り付けるわけにいかない。そんな中で生まれたのが、2画面のゲーム&ウォッチと十字ボタンなんです」(宮本)
 

▲工業デザイナーとして、ファミコン以前の任天堂の商品のデザインを担当していた宮本茂氏。

 

 ジョイスティックを薄くしたらどうなるか、というアプローチから誕生したのが、その後のゲーム機に連綿と受け継がれる十字ボタンだったと言うわけだ。
 

 そして宮本氏は時系列を追って、ゲームボーイ、スーパーファミコン、そしてニンテンドー64の操作系を作った当時のエピソードを披露。その中でもとくに革新的だったのがニンテンドー64のコントローラーで、ここにはアナログスティックとZトリガー、3Dゲームにおいてカメラ操作などを行うCユニットと呼ばれるボタン群が新たに採用。スーパーファミコンで導入されたLRボタンとともに、現在主流となっている多ボタンタイプのコントローラーの礎を築いた。
 

 しかし、と宮本氏は言う。こういった流れでコントローラーが複雑化したことにより、ゲームデザインそのものも複雑になっていってしまった、と。昔からゲームに親しんでいる人には新しい感動を与えたい。しかし新規のユーザーにも難しく考えずに楽しんでほしい……。「ずっとこの葛藤です」という宮本氏の言葉は、心からにじみ出たものだろう。

▲"ゲームデザイン・テクノロジーの今と未来"というテーマを、コントローラーという切り口からわかりやすく解説した宮本茂氏。『マリオ』の生みの親である同氏の言葉を、学生を中心とした来場者たちはひと言も聞き漏らすまいと真剣そのものの表情で耳を傾けていたのだ。

 

 この葛藤に対する最初の答えが、ニンテンドーゲームキューブのコントローラーだった、と宮本氏は語る。一見、ボタンが増え、より複雑化した操作系に見えるが、じつはこのコントローラーにはつぎのような秘密が隠されていた。
 

 「Aボタンだけが極端に大きいんです。これは、もうこのボタン以外は押さなくていいですよ、という呼びかけですね」(宮本)
 

 このころから任天堂は、複雑な操作に偏るゲーム業界に警鐘を鳴らし始める。そして"もう一度原点に帰ろう"、"ゲームの上手な人も初めての人も同じスタートラインに立ってもらおう"をテーマに研究開発を進めていった。その最初の集大成的な作品が、現在大ヒットしているニンテンドーDSというわけだ。
 

 「ペン1本で遊べたら、という大胆なチャレンジです。企画したときには、ペン1本で遊べるタイトルってそんなにないと思っていたんですけど、作っていくと慣れるんですね(笑)。じょじょにペン1本で遊べるものが出てきたんです。出てくると不思議なことに、いままでゲームを遊んでなかった、20代の女性ユーザーが驚くほど増えたんですね。新しいユーザー層を広げるということをやっと実現できました」(宮本)
 

 そして講演の締めくくりとして宮本氏は、2006年に発売が予定されている次世代機"レボリューション"(コードネーム)についても言及。つぎのように語って、来場者から拍手喝采を浴びた。
 

 「これからのビデオゲームを考えているとき、ビデオゲームの性能ということじゃなく、お茶の間に何があったらうれしいのか、という思いに至りました。その結果、家族全員が触る可能性があるコントローラーを、ということで、ゲームリモコンを考えたんです。リモコン1本で遊んでもらおう、と。これは新しいユーザーだけがターゲットなのではなく、いままであった良作もより快適に遊んでほしい、という思いも込められてます。ファーストパーソンシューティングとか、もっと快適に遊べるべきなんです。そこで、ヌンチャクというアタッチメントを考えました。左手でぐりぐりと3Dの動きをしながら、右手でポインティングするわけです。なお、このコントローラーにはまだまだ秘密があるんですが、それは来年公開、ということで(笑)」(宮本)
 

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