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日本のシリアスゲームの動向に世界の関心が集まる
【GDC 2005】

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●東大馬場助教授など、業界の識者3名が日本の現状を紹介

 "シリアスゲーム"というと日本のゲームファンには若干なじみの薄い言葉かもかもしれないが、ゲームをエンターテイメント以外の分野から活用することにスポットをあてた考えかたで、近年アメリカを中心に脚光を浴びている。具体例としては、教育現場や医療施設での使用など多岐にわたるが、今回のGDC 2005では3コマのセッションが同時進行するくらいの人気を博しているのだ。そのシリアスゲームの日本における現状にスポットをあてたセッション"シリアスゲームジャパン:日本シリアスゲームの動向"が、ペンシルバニア州立大学の藤本徹博士、IGDA日本コーディネーターの新清士氏、東京大学の馬場章助教授の3氏により行われた。 

▲世界的に脚光を浴びているシリアスゲームの日本の動向がレクチャーされるとあって、来場者の関心もかなり高いようだった。


 まず登壇した藤本氏は、日本ではマンガが教育に大きな役割を果たしている現状を説明し、ゲームが肯定的に受け入れられる土壌はできているとしたうえで、「交通事故にあった友人が『グランツーリスモ』でドライビングテクニックを学んだ」、「『桃太郎電鉄』で日本の地理を学んだ」といったユーザーの声を紹介した。そのあとで、歴史シミュレーションや音声認識対応ゲームなど、教育者の立場からみて興味深い日本のタイトルを紹介した。

▲ペンシルバニア州立大学の藤本博士。シリアスゲームに造詣が深い氏は、昨年に日本で講義を行い、日本にシリアスゲームという概念を紹介する端緒を築いた。


 つぎにスピーチしたのは新氏。日本のゲーム業界と教育界のギャップは小さくなっています」と前置きしたうえで、ゲーム脳の問題に言及。「非常に馬鹿げた議論ですが、マスコミが大きく取り上げることで、大きな悪影響力を持ってしまっています。一方で、韓国などではMMORPGを大学の教育に取り入れる例も出ており、ゲームの情報をいかにしっかりと紹介していくかという、ゲームリテラシーがより重要になってくると思います」としたのだ。 

 最後に登壇した馬場氏は、東京大学ゲーム研究プロジェクトをはじめとする、教育界のゲームに対する取り組みを説明。現時点の日本におけるゲーム学問に関しては、社会学、人間学、テクノロジーの3つの分野からアプローチが行われていると分析した。さらには、リハビリにゲームが使用されている事例などを紹介し、シリアスゲームの大きな可能性を示唆してレクチャーを終えた。 

▲東京大学ゲーム研究プロジェクトなどでもおなじみの馬場章助教授。日本の教育界におけるゲームの取り組みなどを説明した。


 会場にはたくさんの来場者が訪れ、日本のシリアスゲームに大きな関心を持っていることをうかがわせた。日本のシリアスゲームはまだまだ端緒についたばかりであり、そういった意味では日本の現状を海外に伝えるはじめの一歩として、非常に有効なセッションであったと言えるだろう。 

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